真・恋姫†無双〜中華に響く熱き歌〜   作:ま未来への咆哮

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こんにちは!
今回も新しい人が出てきます。
だけどバサラは出ません。
ではどうぞ!


閑話4 歌う役人

 

バサラが晋陽で熱狂ライブをしている頃、遠く離れた土地でのことである。

そこに、だいたい800人ほどであろうか。賊が街を襲おうと接近していた。

だいたい街とは10キロほどしか離れていない。

対する街には元々住んでいた人たちが500人ほどはいたが、戦えるものはだいたい100人ほどであり、しかもほとんどが素人である。

そして群の役人が100人ほどの軍を率いてきたが、それでも200人ほどしかおらず、賊とは4倍もの数の差がある。

街の人々はもう、駄目だと諦めかけていたが、軍とそれを率いる役人の顔を見て、不審に思う。

笑っているのだ。この状況で、なぜ笑える。

街の人たちは誰もがそう思った。

不意に軍の中でもそれなりに偉いであろう男が役人に話しかける。

「へへ、旦那あ。こんな燃える状況、久しぶりですなあ。」

「ああ、まったくだぜ。今まで詰まらねえ事務作業しかやってなかったからなあ。久しぶりに大暴れできそうだぜ!」

そんな会話が街の人々の前で行われる。

会話が終わると、役人は踵を返し、軍と街の人たちの混成の軍の前に立つ。

「聞けえええ!街の者たちよー!!この街を奪おうと賊が近づいている!貴様らはこの街を賊風情に盗られてもいいのかああああ?!」

役人は大きな声でそう叫び街の人たちに問いかける。

 

『ふざけんなんあああ!』

「おれたちの街だあ!余所者なんかに盗られてたまるかあ!」

「そうだそうだ!」

「あのクソ野郎どもがあ!目にもの見せてやらあ!」

 

様々な声が街の人たちから上がる。

先程までとは表情が違う。役人や軍の姿勢や態度を見て影響を受けたようである。

それを見て役人は満足そうな顔になる。

そして街の人たちに話す。

「その意気は良し!!だが、敵と味方の戦力は比べると絶望的だあ!」

「そして地形も見晴らしが良く、兵を隠す場所も無い!よって策の立てようも無え!!例えあったとしても間に合わせる時間も無え!」

「なら、どうするか!勝つ方法はたった一つ!それは、それは敵大将の首をとることだ!」

そう街の人たちに語りかける。

「だから、我らは敵大将を目掛け突撃する!」

「だが、このまま突撃してもお前らには恐怖が残るはずだあ!」

「その恐怖を消すための方法を伝える!心して聞けえ!」

そう役人が言う。

「恐怖を、消すための方法・・・」

ゴクッ・・・

街の人たちから生唾を飲み込む音がする。

「それはあ、歌うことだああああ!!」

『・・・はあ?』

どういうことだ?

街の人全てが思った。

「歌う、ですか?」

「そうだあ!歌うことにより恐怖を和らげ、闘争心を燃やし、敵に立ち向かう心を得る!」

「だから、歌え!そして敵を打ち破るぞおおおお!!」

役人はそう言って叫ぶ。

街の人たちは一瞬やけくそか?と思ったが、そういう様子ではなく至って真面目な様子だと判断した。

「よく分からんが、歌うしか無えみてえだな。」

「ああ、このままじゃどうせ負けるんだ。だったらお役人様の言うことを聞くのもええかもしれんな。」

街の人たちはやる気になってきている。

そう見た役人が叫ぶ。

「よし!では歌うぞお!おれのあとに続いて歌ええええ!

やあってやろうぜえええ!!」

『おおおおおおお!』

「いくぞお!おれはとことん止まらねえ!やあってやるぜええええ!」

『やあってやるぜえええええ!』

そう叫んでから歌う。

 

 

ああ、ああ、ああ!なんだ、この昂揚感は、なんだ、この闘争心は!

これが俺か。これが俺たちか!

いつも温和だった街のやつらが今では戦士のような顔をしている。

そう変えるほどのものがこの歌にはあるのだろう。

なんせこの歌は今の俺たちに相応しいからだ。

これは、強大な敵に立ち向かう者を鼓舞する歌だ。

そして、覚悟を固め、敵を打ち倒す。

生まれ育った故郷を、大切な人を、己自身の誇りを守るために!

そのための歌だ。

そして、そんなおれも、賊共からこの街を、妻を、己の誇りを守るために立ち向かう!

さあ見せてやるぞ、賊共!

この街に攻め入ったことを、後悔させてやる!

 

 

「頭あ。街が見えてきましたぜ。」

部下がそう報告してくる。

そしておれも街が見えたのを確認した。

あの街には事前に偵察を送っていたので、ある程度の戦力は知っていた。

戦えるのはせいぜい100ほどとのことだ。

この辺の軍も駆けつける頃にはあの街はもう、おれらのもんだろう。

軍のことは、軍が来るまでには決めとけばいい。

だから、美味い酒や女のことを考えよう。

そう思っていたが、

「頭あ。街のやつらが出てきたみたいですぜ。」

「ああ?」

部下の報告で街の方を見る。

確かに街から出て来てる。

だが、数ではこちらが遥かに上だ。数を利用して囲んで殺せばいい。

そう考え部下達に

「野郎ども!よく聞け!街のやつらが攻めてきたみてえだが、数はこっちのが遥かに上なんだ!数に任せて囲んで殺しゃあいい!いいな!」

指示をだす。

『ヘイ!』

部下たちはそう返事を返す。

馬鹿なやつらだ。皆殺しにしてやる。

そう思った。

そう思ってしまった。

「な、なんだあいつら?!」

やつらが近づくにつれてやつらの異常さが分かるようになる。

やつらの1人1人が死ぬのを恐れて無え。むしろ勇んで向かってきやがる。

死ぬのが怖くねえのか?!

そして、狙いも分かった。

やつらは先頭の馬に乗った男を筆頭におれ目掛けて突撃して来てやがる。

てことはこの勢いを止めて囲んじまえば皆殺しにできる。

だが、あの先頭のやつを筆頭にして、士気が高い。

そしてなによりも、あの先頭のやつがやばい!

髪を振り乱して剣を振り回し、馬を駆けさせながら大声で叫びながら

 

歌ってやがる。

 

あんなやつ見たことが無え。

あいつはやべえ。逃げねえと死ぬ。

直感でそう思った。

だから逃げようと思った。

だが、あいつと目が合ってしまった。

まずい。

だが、あいつも気づきやがったのか、笑いやがった。

まるで見つけたと言わんばかりに。

その瞬間、おれは虎に目をつけられた獲物のような気分になった。

おれは逃げたい。なのに、体が動かねえ。

対してあいつはさらに大声をあげて歌う。

まるで闘争本能を爆発させるかのごとくだ。

あいつは、おれに近づき、剣を振りかぶる。

おれはそこまできてもあまりの迫力に体を動かすことはできなかった。

あいつが剣を振った、そう思った時におれの意識はそこで途切れた。

 

 

 

「賊共よお!聞けえ!貴様らの大将はこのおれが討ち取ったあ!まだ刃向かうと言うのなら相手をしてやるわあ!降参か、戦うかあ、どちらか選べえ!」

そう役人が賊に向け言い放つ。

賊たちはなにが起こったか分からず、混乱していた。

だが徐々に頭が討たれたことを悟り、戦意を失っていく。

そして1人の賊が武器を捨てると、我先にと武器を捨て、全員が降参した。

ここに戦は終焉し、街の人たちは勝利を喜んだ。

 

 

それから賊の処罰を決めるため、役人と軍は自分たちの場所へと帰る。

街の人たちは役人と軍に感謝の意を述べ、帰りを見送った。

そして役人はと言うと道中

「まだ戦いてえ!それに歌い足りねえぞ!」

そう叫びながら帰っていった。

 

 

 

 




ありがとうございました。
前回の閑話も今後の重要人物を書きましたが、今回の人も重要な人物です。
あと、この人はオリジナルではなく実在の人物です。
この人は日本史、中国史を見ても似たような人がいないんじゃないかという人です。
あえて言うなら日本の戦国時代のかぶき者くらいですかねえ。
では、ありがとうございました。
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