初手愚痴失敬。本編どうぞ。
「人類最後の砦、”フェンリル”にようこそ――」
分厚そうな鉄板の壁にぐるりと囲まれた広い部屋。頑丈な檻のようにも思える部屋でかけられた第一声は歓迎の言葉だった。
多分かなり偉いであろう人からの声かけに背筋が勝手に反応して姿勢を正した……どうやら俺は柄にもなく緊張しているらしい。
「今から対アラガミ討伐部隊。”ゴッドイーター”の適性試験を始める……が、少しリラックスしたまえ、その方がいい結果が出やすい」
緊張を見抜かれているのかそんな言葉がかけられたけれど、あんなに離れた窓から俺の様子なんてわかるんだろうか?
ちょっとした疑問が浮かぶがおそらく無理だろうなという結論がすぐに脳内表示された。
代わりに出てきた答えは定型文だろうという何とも味気ないもので。正直、いらない考察だった。
「心の準備が出来たら、中央のケースの前に立ってくれ」
そんな益体も無いことを考えていたらもうすでに適性試験を進める段階に入っていた。
部屋の真ん中に我が物顔で鎮座しているケースとやらは、非常に物々しい。
どうも剣らしきものが納まっていて、それの柄を俺が握ればいいのだろうが……受け皿のような形状のケースの下半分。そしてちょうど手首が収まるだろう窪みのもう半分がケースの上部に付いている。
…………どう考えても落ちてくるよな、上半分。
正直、印象が最悪最低クソッタレである。ゴッドイーターに見慣れたゴツイ腕輪を装着する装置なのだろうが、見た目手首用ギロチンである。
大丈夫なのだろうが、手首と泣き別れしそうで手を置く気にならなかった。
――が、しかしゴッドイーターになるのなら避けては通れない必須項目だ、我慢する他無いのだろう。覚悟を決めて手を置き、剣の柄を握る。
……俺、偉くなったらこの試験の装置改良するんだ。
次の瞬間。かかったなっアホがっ! と言わんばかりにケースの顎がガシャンっ、と勢いよく噛みついてきた。そして手首からグチャグチャと租借音の様NAaaaaaaaaAAAAaAAAaaAaaaAAAAAaaaaaaaaaa!!!!
―――気持ち悪い。
細胞一つ一つが作り変えられる。幼虫が成虫になるために蛹の中身が一度ドロドロに液状化して変化するかのように、俺は俺という外見を保ちながら中身がごっそり書きかえられていく。
全身の筋肉、神経、内臓、骨格、関節、鼻も耳も口も眼も果ては脳味噌までその影響は及んでいるように思えた。多分、思えた、筈だ。
しばらくして、もしかしたらほんの少しだったかもしれないが俺的にしばらくして、ようやく俺は自分が手を挟まれたままうずくまっていることに気づき、乱れた呼吸を整えながらゆっくりと立ち上がった。
試験用ケースは俺の復調に合わせたかのようにぱっくりと口を開けた。
剣を握ったまま腕をあげる。見た目持ち上げられなさそうな剣は予想に反して羽毛のように軽く、至極あっさりと持ち上げることが出来、拍子抜けであった。
……ハリボテなのだろうか、この剣。
しかしその予測は外れていたのか、剣の根本辺りから黒い触手のようなものが俺の腕に取り付けられた赤い腕輪と接続した。
何これ気持ち悪っ。
「……おめでとう、君がこの極東支部初の”新型”ゴッドイーターだ」
新型……? 支部初? 駄目だ何の話か全く分からない。というかこの試験のどこがアルコールパッチテスト並みにお手軽な検査なのか小一時間問い詰めたい。
「この後はメディカルチェックが予定されており、その時間まで扉の向こうで待機していてくれたまえ。ああ、気分の悪い時にはすぐに申し出るように」
とにかくあれだ。なにはともあれ、
「期待しているよ――」
俺、偉くなったら絶っっっっっっ対――
「――神薙クウ君」
――この試験改良するっ!!
ユウじゃなくてクウです。作者の間違いじゃありませんあしからず。