書き始めてから二日目。RBのメインシナリオ終わっちゃった♪テヘペロ
嘘やん、こんなはずでは……
でもこの小説をエタるわけじゃないよ。もうちょっとだけ続くんじゃよ?
見知らぬ部屋で俺は目を覚ました。どうやら俺の嫌な予感は嬉しいことに外れてくれたようで、俺は快適な目覚めを迎えることができた。
先ほどの検査用とは異なる睡眠目的のベッドは実にふこふことしていて心地よい。
先程まで眠っていたというのにまた眠りにつくという誘惑に負けてしまいそうなくらいにベッドの柔らかさは殺人的だった。
「って、そうじゃない。ここ何処だ?」
部屋の正体が気になった俺は周囲を見渡した。
ベッド以外にも一通り生活が出来そうな設備の揃った部屋だった。
……誰かの私室か? いや、もしかすると――
何気なく胸ポケットに手を当てるとカサリ、と紙の擦れる音がした。
ポケットを探ると折りたたまれた紙が入っていた。
紙を広げてみるとそこにはこう書かれていた。
――神薙クウ君。お目覚め如何かな? 良い夢の一つでも見れただろうか? まあ、それは置いておいてね、君の寝ていた部屋はこれから君の自室として使ってもらう部屋だ。好きに使ってもらって構わないよ。あとこの後の予定だが、部屋に付いているものでもエントランスのものでも良いからターミナルを使用して確認してくれ、メールが来ている筈だ。連絡はメールで行われるはずだからね。では、君の活躍を期待しているよ。
ペイラー・榊
P.S まず最初に力加減を覚えるところから始めるといいだろうね――
ということはやはり、この部屋は俺の自室になるということらしかった。
ゴッドイーターが所属してすぐに得られる待遇の良さに正直眩暈がしそうだった。
つい昨日までの生活とのギャップがすごすぎて言葉も無い。
明日の生活の心配がないという感覚はここまで安らぎと嬉しさを生んでくれるものだったのかと一人呆けるが、その待遇を維持するためにはとにかくゴッドイーターとして不足なく活躍できてこそだと思い至る。
「とにかく、メールの確認をしなくちゃな」
口に出して、目的を確かにしてベッドから立ち上が……る? と、
…………あれ? 身体が、軽――い?
今にも宙に浮きあがってしまうんじゃないかと錯覚してしまうくらいに俺の身体が軽く感じた。
立つという感覚が起きる前と後で全く違っていたために、突っ立ったまま動いていないはずなのに自分が立ったままなのか信じられないというちょっとあり得ない経験に俺は困惑しつつも、手紙に書いてあった追伸を思い出す。
「力加減を覚えるところから始める……」
榊博士が手紙にそう書いたのは俺のこの状態を予測していたということだ。
――つまるところ、おそらくだが、俺はメディカルチェック時に何かされたのか、それともゴッドイーターになったことが原因なのか、筋力が恐ろしく強化された状態になっていると考えるのが一番自然なのだろう。
例えるならば運動不足なモヤシ人間がいきなりムッキムキのゴリラ筋肉を手に入れたようなものだろうか?
滅茶苦茶だが、考え方はそう的外れではないと思う。
感覚の差異に気をつけながらとにかくメールを確認、しな、けれ、ばっ!?
自分の感覚ではおっかなびっくりと歩いていたつもりなのだが踏み出す力が強すぎて壁へと顔面から突っ込んでしまった。
普通なら鼻骨の骨折や脳への影響とか悶絶ものの痛みが俺を襲うんだろうが、全くそんなことは無く、せいぜい軽くぶつけたとき程度の痛みしか感じなかったことと擦り傷の一つも傷がつかなかった事実に俺は愕然とした。
これは、強化され過ぎではないだろうか? 自分が化物になったようで少し、血の気が引く思いだった。
ちょうど倒れたすぐ横にターミナルがあったのでターミナルの腕置きをつかんで立ちあがる。
グシャゴシャ……バキッ
そんな音が俺の手の中で弾けて俺は今度は尻もちをつくハメになってしまった。
まさかと思いつつ、恐る恐る指を開いて見ると、俺の手がジャストフィットする形に変形してしまったターミナルの腕置きの破片が俺の手のひらにちょこんと乗っていた。
「……ははは。ふっ、え? はは、ハッハッハッハッハ」
中々にいいぶっ壊れ方をしていたと思う。俺が。
本当に加減を覚える方が先だと実感した俺は座ったまま身体の感覚を確かめた。二時間ほど。
そうしてようやく最低限の力加減を覚えた俺はやっとメールの確認をすることが出来た。
メールによると本日は既にやることは無いようで、明日からの訓練予定が書かれているばかりだった。
ただ、一つの注意書きが眼を引いた。というか吸い寄せられた。
※夕食はニ十時までに食堂で取ること。
さて確認するに現在時刻ニ十時五分である。
――――ニ十時、五分、なのである。
どうやら俺は、初の夕食を食べそびれたようだった。
…………ガムでも食べるか。
翌日からは俺とコウタの訓練が行われる。
始めに行ったのは身体能力テストだった。
「項目ごとに貴様らの記録を取る。それらが一通り終わったらとにかく限界まで走れ」
これがツバキ教官のありがたいお言葉である。
一時間ほどはコウタもゴッドイーターになったために強化された身体能力で楽しんでいたのだが……
三時間後
「はぁーっ、はぁーっ、も……無理。死、ぬ」
「まだまだだぞ藤木! あと二十周はしてこい!」
「…………マジ、っすか」
「私の言葉にはなんて答えろと言ったか覚えていないのか。藤木!」
「はっ、はいぃっ!!」
「よし。しかし、神薙。貴様随分と余裕だな」
「はい、自分でも分かりませんがやたらと強化されているみたいでして」
それこそ、我を失い混乱するくらいにな!
「ああ、博士から話は聞いている。おそらくかなり身体能力が上がっているだろうとな」
それをもっと早く聞きたかった。
「だから、安心しろ。その分貴様の訓練は厳しくする。とりあえず神機を取ってこい」
安心できる要素ねえ! と心中叫ぶが決して表には出さずに、はいとだけ返事して神機を置いてあるケースに向かう。
俺の神機はとりあえずバスター/ブラスト/タワーシールドの編成になっているのだということを訓練前に聞いていた。
……一番重い奴全部載せじゃねーか、と脳内突っ込みが炸裂していた。
ケースを開けると、いかにも、『俺は重いぜBOY。持ち上げられるカイ?』という煽りすら感じられるほどにデカくてゴツい神機がのさばっていた。
昨日までならこんなものを持ちあげられるなど夢にも思わないが、今なら大丈夫なんじゃないかと感じられる程度には自身の強化っぷりを昨日の握撃と今日の訓練で実感していた。
だから――そこらへんの鉄パイプ程度の重さにしか感じなかったのは全部オラクル細胞とかってやつのせいなんだ。
…………もう俺の身体能力に関しては、なんて言うか、あれだ。――アキラメヨウ。
ア、ツバキキョウカン。コノジンキ、メチャカルイデスネ。アア、ソレニクンレンナイヨウカイテアルンデスカ、ジャアカタッパシカラヤリマショウソウシマショウ。
そして、俺は伝説となった。
今日の一番の収穫はツバキ教官のあっけにとられた顔だった。スゲェ貴重なもの見せてもらった気分だった。
そんな訓練?が終わり、今は夕食の時間となった。
昨日行きそびれ、今日の朝始めていった食堂に来ているがメニューは朝と同じくジャイアントトウモロコシだ。食えるだけありがたいので特に文句は無い。だが今はどうやら配給が厳しいだけらしく平常時ならばもっと色々あるそうだ。
食堂のおばちゃんに新しく入ってきたのについてないねぇ、とか言われたが今後の楽しみとなっているので個人的には全然OKだった。
「あ゛あ゛ーーーーー、疲れたぁーーー。こんなのが毎日あんのかよ、俺、大丈夫かな?」
一日の疲れを全て放出するかのように机に突っ伏しているのは散々しごかれたコウタだ。
なにかおどろおどろしいオーラのようなものが全身から滲み出ており、隣にいる俺にまで悪影響が無いか心配になった。
「大丈夫か? コウタ」
「大丈夫じゃねーよ! てか何でクウは全然疲れてねーんだよっ! 神機持ちながらバク宙とか三回転半捻りとかわけわかんねーことやってたじゃんかよぉっ!!」
がばりと起き上がって俺を問い詰めるコウタ。
……いや俺も変なテンションになっておかしなことやってるなぁ。
「出来たからね。仕方ないね」
「いや、ねーよ」
二人で文句なんかを言い合いながらトウモロコシにムシャムシャとかぶりつく。
夕食は結局コウタとぐだぐだと話して終わった。
夕食後はコウタの部屋に誘われてバガラリーを見た。疲れていたコウタが途中で寝てしまったので奴をベッドに放り込んでから自室に戻る。
改めて自分の力と体力、さらには視力等の感覚器まで数段どころか数十段すっ飛ばして強くなっているのが確認出来た。
その滅茶苦茶さには呆れるばかりだが、自身の強力な武器になってくれることは間違いない。
素直に感受して訓練に励もうと心新たに床に就いた。
……明日も頑張ろう。
ラボラトリ階層の一番奥の部屋。
その部屋で幾多のディスプレイの前で思案に暮れている人物がいた。
――ペイラー・榊。彼はある人物から上がってきた報告書に書かれている記録と所感、そして先日に自身が取ったデータを並べて、一人唸っていた。
「……素晴らしい、素晴らしいが実に不思議だ」
褒め称えてはいるが実に悩ましくもあった。
彼が悩んでいるのはこの極東支部では初になる新型神機使い、神薙クウのことだった。
「新型とはいえ他支部や本部の新型と比較してもクウ君の適合率は高すぎる。正直なぜアラガミ化していないのか不思議なくらいだ」
神機に適合するということはより人を外れてアラガミに近くなるということだ。
クウの適合は試験のあの場で即座に強力なアラガミに変化してもまるで可笑しくない程の数値を叩きだしていた。
だからこそ榊は悩んでいる。神薙クウは果たしてこのまま人間のままでいられるのだろうか、
と。
「いつ、何のきっかけでアラガミになってしまってもおかしくない。これは厳重な注意が必要だね」
神薙クウは気づいていない。自身がどれほど危ぶまれているかを。
「しかし、報告書の記録は他のゴッドイーターに対して頭抜けている。……戦力としては申し分ないだろう」
神薙クウは知らない。戦力として如何に期待されているかを。
「どちらにせよ、彼のことはよく見ていないといけないようだ。元からそのつもりではあったけれどいやはや、嬉しい誤算になることを願うとしようかな」
神薙クウは知るはずもない。この考えを持った人物が極東支部に”二人”いることを。
――彼はまだ知らない。
クウは強く生きることを決めましたまる