神様は食料DEATH   作:グレーガンス

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 ペース的に遅くなってすいません。エタるフラグとかじゃありません。
ようやく実戦だよ。戦闘描写書くの時間かかるなぁ。

 じゃあ本編どうぞ。


初実戦はチョロい

 

 

 此処、フェンリル極東支部は通称で”アナグラ”と呼ばれている。

そのアナグラに住み着いた神喰らいの戦士たちが戦場へと向かう最後の場所が、このエントランスだ。

 

俺こと神薙クウも今日。その仲間入りを果たすために、エントランスのベンチで人を待っていた。

 

 その人の名前は雨宮リンドウ。昨日タツミさんから聞いた情報によると同行者の生存率が断トツトップの滅茶苦茶強いゴッドイーターらしい。

 

その生存率たるや脅威の九十パーセントを誇るんだそうだ。

アラガミ最前線、この世の地獄、魔窟、アラガミ動物園等と世界で言われているこの極東支部で、だ。

しかも名字からわかるように俺の訓練を見てくれたツバキ教官の親族だ。どうやら弟らしい。

姉弟揃ってこの極東支部における重要人物、すごい姉弟がいたものである。

 

 そんなすごい人に俺は付き添ってもらえる訳で実にありがたいことだった。

昨日もリンドウさんなら大丈夫だと先輩三人から太鼓判を押してもらったし、ついでにリンドウさんについて色々教えてもらった――のだが、それらを思い返そうとした時エレベーターの扉が開いた。

 

 扉から出てきたのはツバキ教官と似た容貌をしていた。彼がおそらく雨宮リンドウさんだろう。

容姿とは異なり雰囲気がツバキ教官と違い少々軽い空気を纏っているように感じられるが、昨日先輩方に聞いた話的にはその方がそれらしかった。

彼もこちらに気づいたようで俺に話しかけてきた。

 

 「よお、お前が新入りか?」

 

砕けた口調だ。どうやら本当に姉弟では性格がずいぶん違うらしい。

 

 「はい、今日が初めての実戦になる新入りの神薙クウです。今日はよろしくお願いします」

 「おーおー、よろしく。俺は雨宮リンドウ、第一部隊の隊長なんかをやらして貰ってる。まあ、今日はとりあえず生き残れば大丈夫だからあんまり緊張なさんな」

 

特に緊張はしてなかったのだが堅めの言葉が緊張と取られてしまったのかもしれない。

まあどうでもいいことだ。

リンドウさんもカウンターに向かってヒバリさんから今日の任務を貰おうとしていた。

 

 「リンドウさん、支部長から見かけたら呼んでくれと言われているのですが……」  

 「あー、わかった、見なかったことにしてくれ。それよりちょうどいい任務は無いか?」

 

それでいいのかリンドウさん。てか支部長の扱いひどいな。

 

 「……まったくもう、こちらの任務になっています。確認してください」

 「了解っと。――――、ん。まあこれぐらいなら何とかなるだろ、じゃあこれ頼むぜ」

 「はい、ではミッション受注完了ですお気をつけて行ってきてくださいリンドウさん、クウさん」

 

準備は終わったようでリンドウさんがこっちに来た。

 

 「よし新入り、これからミッション内容を伝える」

 「はいっ」

 「よーし、良い返事だ。ミッション名は悪鬼の食卓、場所は贖罪の街で、内容はオウガテイル五体の討伐だ。詳しくは現地で話す。行くぞ新入り」

 

そうして、俺は初の出撃を果たした。

 

 

 

 

 贖罪の街が一望できる高台の上に俺とリンドウさんは立っていた。風は乾き、ボロボロのビル群は言い知れぬ哀しさのようなものを感じさせる。中心近くにある一際巨大な穴が開いたビルが嫌に象徴的だった。

 

 「この辺もずいぶんボロボロになっちまって……昔はもっと綺麗だったんだぜ?」

 「昔の街を知っているんですか?」

 

この昔が指すのはアラガミ出現以前のことだ。俺は生まれた時から世界が修羅っていたから映像記録でしか知らないが、リンドウさんはその頃の世界を知っているのだろう。

街を見る目に少しだが懐かしみの色を感じた。

 

 「ああ、まあ俺がガキの頃の話さ……。それはともかくとしてミッション前に命令を言っとく、よ~く聞いとけよ。

 命令は三つ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ、運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ。あ……これじゃ四つか」

 「ふはっ、はは」

 

リンドウさんの様子はちょっと間が抜けていて、

集中していた俺はちょっと気が抜けてしまって少し吹き出してしまった。

 

 「――とりあえず死ぬな、それさえ守れば万事どうにでもなる」

 

俺はリンドウさんの教えを不思議なくらいすんなりと受け入れて気負いのない返事をしていた。

やれやれ、この人は本当にすごい人だ。と、俺は思ったのだった。

 

 

 

 

 高台で陽気なひと時を過ごした俺達は今、教会の陰に身を隠していた。

 

 「あー、連中固まってやがるよ。散らばってくれてる方がありがてぇんだけどなぁ」

 

俺達が覗く先には討伐対象のオウガテイルが五匹全部集まっていた。

リンドウさんとしては俺に各個撃破させたかったのだろうが、思惑が外されて悪態をついている。

だが、リンドウさんは仕方ねぇか。と一言つぶやいて俺に向き直る。

 

 「新入り、わかってるな?」

 

俺は頷いて神機を構えた。

 

 高台でありがたい命令を貰った後、今日の任務は俺の思うように動いていいとリンドウさんに言われていた。「ケツは持ってやるから好きなようにやれ、もちろん大前提の命令は踏まえて、だけどな」男らしいことこの上なかった。

 

 普通こんなことは新人には言われないのだろうが、俺は新型故の期待があるのかもしれなかった。

 

――ならば期待に応えてこそ男が上がるというものだ。

 

俺はリンドウさんの前に出ると、オウガテイルどもの内一番手前の奴だけがこちらを向くのを見計らって一気に教会の陰を飛び出した。

 

 

 

 一番手前のオウガテイルまでの距離は目算三十メートル程あったが人類を超越した速度でぶっちぎる。

まだ俺を認識しているのは一番手前の奴だけだ。

そいつは鳴き声をあげようとしている。俺の事を他の個体に知らせたいのだろう。

 

だが残念。他の奴らが俺のことを知るのはお前が喰われてからだよ。

 

神機を捕食モードに変える、ミキミキと音を立ててバスターの長い刀身を喉の奥にしまいながら、真っ黒な(あぎと)が姿を現わす。

俺はその作業が完遂する一呼吸の間に距離を詰め切り、オウガテイルの頭を神機で喰い千切ってやった。

 

喰い千切る音か、俺の足音かどちらかは知らないが他の奴らはこちらに気づく。

奴等は驚いただろう。振り向いたら仲間の一匹が首無しになってるんだからな。

これで一匹は仕留めた…………と言いたいところだが、残念ながらマスクロストオウガとなっているこいつはまだ死んだわけではない。

 

 アラガミという奴はいわゆるオラクル細胞の塊、単細胞が集まった群体生物に過ぎず頭が急所というわけではないのだ。

だから首無しも時間がたてば再生するだろう。そこがアラガミが厄介な点である。

 

だが、アラガミとて絶対無敵の不死身の存在などでは無い、もしそうなら人類はとっくに餌として消費されつくしていただろう。

奴らの急所はコアと呼ばれる部位で、それによって奴等はオラクル細胞を自身の形に留めている。そのコアをぶち抜かなければアラガミにとどめはさせないのだ。

 

……が、頭にある聴力視力等の機能は当然無くなるし、捕食した俺は――

 

 

 神機は元の形を取り戻し、俺の体は力が漲っていた。

アラガミを捕食することによりオラクル細胞が活性化するバースト状態に移行したからだ。

 

溢れる力をそのままに、こちらに気づいたオウガテイル共に切りかかる。

 

一体目は突撃捕食直後の前傾姿勢から切り上げ逆袈裟の形でナナメに両断してやった。これで二体はしばらく戦闘不能だ。

二体目は振り抜いた姿勢の俺に噛みついてきたが、この状態は俺にとってなんら行動が阻害される姿勢等ではない。腕を縮め真っ直ぐに突き出して後ろにいるやつ諸共串刺しにしてやった。

串刺しになった時コアごとぶち抜いたのか、串団子になった二体のオウガテイルの動きが停止した。

まあ頭からケツまで貫通しているからそんなこともあるだろう。

 

残る一体は尾を上げる独特なポーズでこちらに向いていた。

これは尾の針を飛ばすオウガテイル独特の攻撃だ、いくら小型アラガミでも直撃を貰えば即死までありうる。俺はいったん距離を取るためにバックステップを踏んで奴の針を躱す。飛んだ針の間隔は広く、到底当たりはしないものだった。俺はその間に刺さった死骸を捕食で神機に喰わせた。

 

 オウガテイルは離れた距離を詰めようと走り出す……が、俺は奴に合わせて距離を詰める気なんてさらさらなかった。

 

――神機の形態を変える。新型の俺に許された特権、剣から銃への変形だ。

 

撃ち出されるのはブラストに合ったモルター弾――――そら、吹っ飛べ。

 

 

弾丸が鼻先に触れたオウガテイルは爆砕してバラバラになった。行動不能の連中にも止めを刺して俺の初陣は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 「適合率は前例が無いほど高く、必要とした訓練期間は五日。身体能力は人類を超えていて、人格はやや好戦的で負けず嫌いだが上司に対する態度は心得ているな。しかも新型の前代未聞ルーキーだ。支部長も博士も期待をしている。それを頭に入れておけ」

 

 それが我が尊敬する姉君から教えてもらった今回俺が面倒をみる新入りの評価だ。

正直最初に聞いたときは冗談かと思ったが、姉上はこういうことでは嘘は吐かない。つまりはそんな化物みたいな奴が今回俺がみる新入りということだった。

……よく俺も化物みたく強いなんて言われるが俺はベテランだから良いんだよ。経験ってやつだ。

 

まあ、なにはともあれ支部長にも博士にもさらには姉上にも期待されているなんて可哀想なやつだ。新入りにとって大きな期待なんてのは肩に乗った大荷物、足に繋がれた大鉄球てなもんで、戦場で動きを鈍らせる原因になる劇物なのだから。

 

 だから俺は新入りの緊張は出来るだけ解いてやろうと色々言ったし、好きにやれ後は俺がなんとかするということも言った、んだが…………

 

――――まさか超スペックを利用しての一方的な殲滅劇を見せられることになるとは思わなかった。

 

俺の助けがいらないというケースはほとんどないのがこの新入り同伴ミッションだが、極めて一方的な展開になるなんてのは初めてだ。こりゃ、姉上達が期待するってのも無理無いわ、俺も期待したいぐらいだからな。

それに期待に気づいてんのか気づいてないのか知らないが新入りの動きに迷いは無かったし、良い動きが出来てた。

前代未聞のルーキーってのも間違いないだろう。

 

……だが、これからどうなるかはわからねぇ。期待をかけるだけになったらあいつは何時か身動きが取れなくなっちまう、なんてこともあるだろう。

そういう時は俺が気にしてやんなきゃ駄目だろうからな。

 

 「やれやれ、これも隊長の役目ってな」

 

 一言だけ呟いてから止めを刺してる新入り――クウのところへ向かう。

 

 「おいクウ、ずいぶん豪快な戦い方だったじゃねぇか。怪我はないか?」

 「大丈夫です、無傷ですよ。あと素材回収も終わりました」

 「よーし上出来だ。どうだ、初陣の感想は?」

 「正直に言えばあっけなかったです。これからもこうならいいなって思ってますよ」

 「おうおう、言うじゃねえか。だが残念なことにそいつらより強いのはたぁーくさんいる。だから油断しないで早く背中を任せられるようになってくれよ?」

 

単純にスペックなら俺の知る誰よりも高いかもしれないが、チームでの動き方なんてのはまだ分からんだろう。そういうのも覚えてもらわんと背中は預けられない。

 

 「出来る限りのことはしてみます。期待には応える主義なので」

 

あっさりと返しやがって、頼もしい限りだ。

こいつなら何時か俺の背中を守るどころか俺を超えて強くなる日が来るだろう。だがその日までは、助けてやるのが先達の務めってな。

 

 「威勢がよろしくて結構だ。あと言ってなかったがお前は俺の第一部隊配属になる。俺がお前の隊長って訳だ。何かあったら相談してくれてもいいぞ」

 

言った意味に気づくことはないかもしれねえ。だがいつか壁にぶち当たった時には相談の一つでもしてくれるだろう。

隊長発言には驚いたのか眼を少し見開いたクウを尻目に言う。

 

 「さあ、任務は終わりだ。警戒はしながらだがアナグラに帰るぞ」

 「――はいっ、隊長!」

 

一拍遅れた返事を返した大型ルーキーが俺に付いてくる。

今日は初任務達成祝いとでも言って飯を奢ってやるとしよう。

俺は飯と配給ビールを楽しみに戦場を後にした。

 

 





 ※うちのクウ君は超人です。

リンドウさんかっこいいですよね。あんな風に書けてたら嬉しいなぁ。
次はリンドウさんの恋人の露出ねーさんかなぁ。
待て次回!
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