何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!? 作:やーなん
小説なのでテンポは大事ですが、内容も大事・・調整が難しいです。
今回は結構ぎっしり詰め込んだので、見づらいかもです。
もしそうだったら言ってください。
あと、話の都合で『魂の宝玉』の召喚制限をエラッタしました。ご了承ください。
需要があれば続きます。
それでは、本編です。
私の子供の頃の一番古い記憶と言えば、いつも泣いてばかりだった。
私は今でこそ結構強くなったが、昔はデュエルの腕は散々だったのだ。
デュエルを覚えておけば将来に有利なことがあるので、頭が柔らかい幼稚園の頃から親たちは子供に遊び方を仕込むことが多い。
私の居た幼稚園では、卒業くらいには八割の子供がデュエリストだった。
当然、幼稚園での子供たちの遊びは砂遊びや遊具遊びよりデュエルが多くなった。
そしてデュエルの強さで既に上下関係のようなものまで出来つつあった。
私は、そのカーストの中で最低の位置に居た。
私の有するカード群は全てがシンクロ特化。シンクロしてからでないと始まらない。
私の親は最初は玩具代わりに私にデュエルディスクのアタッチメントを与えた。
幼稚園の頃は絵柄を見て楽しんだり、それだけで十分だと思っていたらしい。
実際そう言う子供も多かった。
しかし、多少は理解の早い子供は親に組んでもらった単純なデッキを使い、デュエルの要領を掴み始めていた。
それが広まり始め、当然のように私は負け続けた。
だって私のモンスターって攻撃力ゼロばかりなんだもん。
弱いし何にも出来ない、と馬鹿にされ続けた。
教室の隅っこで泣いているのはしょっちゅうだった。
そんなある時だった。遊助が私に声を掛けて来たのは。
『俺が遊び方教えてやろうか?』
当時、彼の異様な雰囲気を今でも覚えている。
卒園する三ヶ月ほど前に、三日間高熱でうなされて以来、彼は以前とは風変わりした。
当時の私と彼は親同士が知り合いのお隣同士の感覚で、実を言うとちゃんと話をしたのは初めてだった。
私は昔から負けず嫌いだった為、一も二も無く頷いた。
自分で言うのもなんだが、私は理解が早く、機微に聡い子供だった。
もっと賢ければ無邪気であるように振舞えたのだろうけど、それはそれで子供らしくなかったかもしれない。
一週間もすれば、大体のルールを把握できた。
その日から私は負けなしになった。
私はそのレベルの子供から一足早く強くなりすぎたので、誰もデュエルしてくれなくなったのはすぐのことだ。
それからだ。私が遊助と一緒に居ることが多くなったのは。
小学生に上がったとき、それとはまた別の問題が発生した。
『何で二回もバトルフェイズがスキップされないといけないんだよ!!
おまえズルしたな!! 許さないぞ!!」
細々としたルールを理解しているからこそのプレイングなども、小学生の彼らから見れば鬱陶しくみえたのだろう。
私は強かったが、勝つたびに文句を言われるようになった。
だから友達なんて、出来なかった。だけど……。
『あのカードの効果でバトルフェイズがスキップされるタイミングは自分がバトルを宣言した時だ。
その時に初めてスキップする効果が適用される。
それを知らないでメインフェイズ1でターンを終えたお前が悪い。』
遊助はいつも、そんな風に私を助けてくれたのだ。
そんな感じだったから、私も遊助も友達は居なかった。
だからだろう、あんな約束をしてしまったのは。
「遊助、私もっと強くなりたい。
でも一人じゃこわいから遊助もずっと一緒に居てね」
『いいよ。俺はずっと翔子を守ってやる。』
そんな、他愛も無い約束のはずだった。
ある時、私は同級生の女子たちからいじめられるようになった。
最初は友達として接していたはずなのに、私が強いことが気に入らないらしかった。
最初の頃は遊助にも言えなかったけど、すぐにバレた。
彼は当然、激怒した。まるで他人事のような表情ではなかったのを覚えている。
それからずっと、遊助は学校では私に張り付くようになった。
私は始めて他人の悪意に晒されて、人間不信に陥って、彼にこういってしまったのだ。
「遊助。遊助だけは私を裏切らないで。私、もうあんなの耐えられないの」
きっとこのままでは自殺でもしてしまうとでも思ったのだろう。
『じゃあ、俺とお前の命を交換しよう。
今日から俺の命はお前ので、お前の命は俺のな。
だから俺を信じられなくなったら、その時は翔子、俺を殺しても良いよ。』
遊助はそんなことを言ったのだ。
今思い返せば、私に頼られるようになった頃から遊助はどこかキザッたらしかった。
これが当人曰く、浮かれていた、なのだろう。
それでも私は嬉しかった。
心の底から彼を好きになった。
だって結局の所、私を助けてくれたのはいつだって遊助だけだったのだから。
でも、今思い返せば、予兆はあったのだ。
他人に自分の命をくれてやるだなんて、彼はその頃から自分の命など、他人にくれてやるくらいどうでもよかったのだ。
私は、気づいてあげられなかった。
こんなにも彼のことが好きだったのに、あんなにも長い時間一緒に居たのに。
彼が本当は、何を恐れていたのかを。
翔子 LP6000
場 『愛と正義を備えし魔法少女』
魔罠 □■■■■ 『収束する因果律』カ① 『魂の宝玉』 セット セット
手札 □□□□
「俺のターン、ドロー。
俺は『
遊助は順調にアドバンテージを稼いでいく。
「『
俺はレベル2の『駆逐ロ型』と、『
怨嗟満ちる海の底から這い現われろ、悪夢の尖兵よ。
エクシーズ召喚!! ランク2、『姫級
フィールドに波紋が広がり、その中心から人型の上半身とおぞましい機械とも生身とも分からない下半身の少女が這い出てきた。
「『姫級
オーバーレイユニットをひとつ取り除き、デッキから『
俺は『
そして今手札に加えたこの『
墓地から『
俺は『
「そして墓地から特殊召喚に成功した」
「そうだ、『
特殊召喚に成功したこのカードをリリースし、『
次々と現われる、水死体のように白い肌の艦艇の亡霊たち。
上位種は女性の姿を象っているのに、まるで人間味を感じない。
『姫級
ランク2 水属性 アンデッド族 攻守1800/2100
レベル2『
『
(1)1ターンに一度、このカードのX素材をひとつ取り除いて発動できる。
デッキから『
(2)このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。
相手フィールド上に存在するモンスター1体を選んで破壊し、その後、自分フィールドに特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、『
『
通常魔法
『
(1)自分の墓地から『
その後、この効果でデッキから特殊召喚したモンスターよりレベルの低い『
『
『
「そして俺はバトルフェイズに突入することを宣言する。
この瞬間、『悲壮なる決意秘める少女』の効果が適用され、バトルフェイズがスキップされる」
「…………」
ふと、昔の思い出が私の中を過ぎ去っていった。
「俺はターンエンドだ」
遊助 LP4000
場 『
『
魔罠 □□■■□ 『
手札 □□□
「私のターン、ドロー。
遊助、覚えてる? 昔はよく、私を周りから庇ってくれたよね。
私嬉しかったんだよ。遊助はいつも私の味方だった」
「翔子、この世界ではデュエルは強さの証明だ。
俺は前世の知識より、他の同年代の誰よりもルールを理解できていた。
俺はやろうと思えばいつだって頭角を現すことが出来た。
……俺は分かってたんだよ。お前を庇ったとしても、いじめの矛先が俺へと向くことは無いってな。
そうじゃなかったら、誰が他人なんか庇うものか。
誰が、他人を庇ってくれるものか……」
「遊助……。
それでも、遊助が私を助けてくれた事実は変わらない。
連中の身勝手な悪意から、私を守ってくれた」
「人間なんてのは、数が揃えば出る杭を打ちたがる。弱い物を羽虫の羽をもぐようにいたぶりたがる。
そこに理由も意味も無いのさ。それは人間の習性みたいなもんだ。
考えるだけ無駄だし、向こうの言い分なんて聞くだけ無意味だ」
「でも遊助はそちらの側には行かなかった」
「誰が進んであんなクソの溜り場みたいな集まりに参加するか!!
笑顔を振りまいて内心を偽って周りに同調して、全員がそうなら人間の本心は一体どこにある?
どんどん増していく悪意に、誰も止められなくなる」
それは憎悪だった。
私が見たことも無い遊助の剥き出しの憎悪が、曝け出されていた。
「俺の前世はいつもその対象だった。
小中高といじめられ続け、大学でも上手くいかず就職も棒に振って、最後は人間社会に絶望した!!
そして家族には疎ましがられ、自室にこもって部屋から出る時間は一年で一日分も無い。
パソコンの前で顔も分からない相手に悪態づき、蔑み、嘲笑した。
俺がそちら側に行かなかったって?
―――知らないうちに俺も人間の習性に毒されていたんだよ!!」
「それは、今の遊助じゃないじゃない!!」
「同じさ!! お前が居なかったらきっと俺は同じように誰かを傷つける側に回っていただろうさ。
人間なんて、馬鹿は死ぬまで治らないって言うが、断言するよ。
そんなの、所詮は死んだこともない連中の希望的観測に過ぎないってな!!」
「遊助……」
「わかるか、翔子。お前は本当に俺にとって救いだったんだ。
お前が居たから、俺はカスどもの肥溜めに落ちずに済んだんだ……。
なのにお前は……・さぁ、お前のターンだ。デュエルを続けろ」
「……うん」
遊助の気持ちは痛いほど分かった。
彼にとって、私のことは本当に他人事ではなかったのだ。
「私は伏せカードをオープン。
罠カード『不条理な対価』を発動。
自分フィールドに『魔法少女』シンクロモンスターが存在する場合に発動出来る。
『魂の宝玉』を墓地に送り、カードを二枚ドローする」
引いたカードは……よし。
「私は手札から、『イレギュラー 予期せぬ事態』を発動。
デッキから光属性または闇属性の『少女』魔法使い族モンスターを手札に加える。
私は『愛語り愛のみの少女』を手札に加え、自身の効果で特殊召喚する。
このカードがこの効果で特殊召喚に成功した時、『暗躍する深窓の少女』か『魂の宝玉』を手札に加える。
私は『暗躍する深窓の少女』手札に加える。
『愛語り愛のみの少女』が特殊召喚された場合、自分はエクストラデッキから『魔法少女』シンクロモンスターを墓地に送らなければならない。
私はエクストラデッキから『因果集いし約束の魔法少女』を墓地に送る。
『愛語り愛のみの少女』
☆3 闇属性 魔法使い族 攻守 0/0
『愛語り愛のみの少女』の(2)の効果による特殊召喚は、1ターンに一度しか使用できない。
(1)このカードは通常召喚できず、デッキから特殊召喚もできない。
(2)このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この効果で手札からの特殊召喚に成功した時、デッキから『魂の宝玉』または『暗躍する深窓の少女』を一枚手札に加えることが出来る。
(3)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
自分はエクストラデッキから『罪背負い進む破棄の魔法少女』以外の『魔法少女』Sモンスターを1枚墓地に送る。
「全ての魔法少女は、華々しく活躍する権利を持っている。
私は永続魔法『魔法少女の変身シーン』を発動。
このカードが存在する限り、フィールド上で発動するレベル4以下の『少女』魔法使い族モンスターの効果を無効にしてもよい。
そして、シンクロ召喚に成功した『魔法少女』シンクロモンスターに対して効果を発動できず、次の相手のターン終了時まで、相手の戦闘及び効果の対象にならない。
私は『暗躍する深窓の少女』を自身の効果で特殊召喚。
このカードがこの効果で特殊召喚に成功した時、私はデッキから『愛語り愛のみの少女』か『魂の宝玉』を手札に加える。
私は何も手札に加えない。
『暗躍する深窓の少女』を特殊召喚した場合、私は私は手札を公開しなければならないが、『魔法少女の変身シーン』の効果で無効にする」
と言っても、手札はほぼばれているのだけれど。
『暗躍する深窓の少女』
☆3 光属性 魔法使い族 攻守 0/0
『暗躍する深窓の少女』の(2)の効果による特殊召喚は、1ターンに一度しか使用できない。
(1)このカードは通常召喚できず、デッキから特殊召喚もできない。
(2)このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この効果で手札からの特殊召喚に成功した時、デッキから『魂の宝玉』または『愛語り愛のみの少女』を一枚手札に加えることが出来る。
(3)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
自分は手札を相手に公開する。
「私は『魂の宝玉』を召喚する。『イレギュラー 予期せぬ事態』が発動したターン、私は魔法使い族モンスターを一度だけ更に召喚できる。
続けて、『魂の宝玉』を召喚。
……私はレベル3の『暗躍する深窓の少女』と、レベル4『魂の宝玉』をチューニング。
孤独と絶望の中から立ち上がり、友の手を取り更なる悪夢に立ち向かわん、シンクロ召喚!!
―――現れろ、レベル7『罪背負い進む覇気の魔法少女』」
気品溢れる罪業の少女が私のフィールドに現われる。
「シンクロ素材となった『魂の宝玉』は永続魔法扱いとしてフィールドに残る。
『罪背負い進む覇気の魔法少女』はシンクロ召喚に成功した時、相手の手札とセットカード、デッキの一番上を確認できる。
この効果で確認したカードはこのターン、相手は発動できない」
「シンクロ召喚時に発動させるカードは無い」
その宣言を受けて、私はセットカードと手札、デッキトップを確認する。
……危なかった。
セットカードは攻撃反応、手札には手札誘発のモンスターを握っている。
フィールドのこいつらも面倒な効果しか持っていない……。
攻撃できない……。
「『魔法少女』が特殊召喚されたことにより、『収束する因果律』に因果律カウンターがひとつ乗る」
『罪背負う覇気の魔法少女』
☆7 光属性 魔法使い族 攻守 2000/3000
シンクロ・効果モンスター
『魂の宝玉』+『暗躍する深窓の少女』
『罪背負う覇気の魔法少女』はフィールド上に一枚しか存在できない。
(1)このカードがS召喚に成功した時、発動できる。
相手のセットカード・手札・デッキトップを確認する。
この効果で確認したカードはこのターン、相手は発動できない。
(2)1ターンに一度、相手の手札をランダムに選んで発動する。
そのカードの種類(モンスター・魔法・罠)またはカード名を宣言する。
カードの種類を当てた場合、そのカードをデッキに戻す。
カード名を当てた場合、そのカードを裏側表示で除外する。
(3)フィールドに『愛に殉ずる盲目な魔法少女』が存在する場合、以下の効果を適用する。
●相手は常に手札を公開しなければならない。
「更に私はレベル3の『愛語り愛のみの少女』に、レベル4『魂の宝玉』をチューニング。
有限の世界が無限に突き抜け、愛は溢れ全てが満ちる。シンクロ召喚!!
―――現れろ、レベル7『愛に殉ずる盲目な魔法少女』」
眼帯と黒衣の少女がフィールドに降り立つ。
「『魔法少女』が特殊召喚されたことにより、『収束する因果律』に因果律カウンターがひとつ乗る」
『愛に殉ずる盲目名魔法少女』
☆7 光属性 魔法使い族 攻守 2000/3000
シンクロ・効果モンスター
『魂の宝玉』+『愛語り愛のみの少女』
『愛に殉ずる盲目な魔法少女』はフィールド上に一枚しか存在できない。
(1)このカードがS召喚に成功した時、発動できる。
相手の次のメインフェイズ1をスキップする。
(2)1ターンに一度、手札から『少女』魔法使い族カードを墓地に送り発動する。
このターン、このカードが戦闘するダメージステップの間、このカードの元々の攻撃力は二倍になる。
この効果は相手のターンにも使用できる。
(3)フィールドに『罪背負う覇気の魔法少女』が存在する場合、以下の効果を適用する。
●このカードが表側表示で存在する限り、相手はメインフェイズ2を行えない。
「『罪背負う覇気の魔法少女』の効果発動。
相手の手札をランダムに一枚選び、そのカードの種類かカード名を当てる。
私は『鬼級
「当たっているため、このカードは裏側表示で除外される」
これでそのカードはほぼ再利用不可能になった。
「私は、これでターンエンド」
翔子 LP6000
場 『愛と正義を備えし魔法少女』『罪背負う覇気の魔法少女』『愛に殉ずる盲目な魔法少女』
魔罠 ■■■■■ 『収束する因果律』カ③ 『魔法少女の変身シーン』『魂の宝玉』『魂の宝玉』 セット
手札 □□□
「俺のターン、ドロー。
なあ翔子。さっきから俺には前世があるという前提で話しているが、なぜお前はそれを信じてくれている?」
「それは……」
「そうしないと、話が進まないからだろう?
なあ、俺たちはどこまで分かり合えている?
十年以上一緒にて、俺が確信したのはお前は絶対俺の戯言を信じたりしないということさ。
適当に話をあわせてもくれるだろうし、親身になって聞く振りぐらいしてくれるだろうが、どうせそれだけだ」
「遊助だって、私のことどこまで理解しているっていうのよ」
「わかるかよ。人間って絶対分かり合えない部分ってのあるもんだろう?
だから俺はそれでもよかったんだ。お前にそこまで求めるつもりは無かった」
「でも、私たちの間には決して近づけない見えない壁が有った」
「なんだ、分かってたのか」
「分かってたよ。遊助はいつも一歩引いた目線で物事を見てたから。
私は少しだけ寂しかったけど、言葉にはしなかった。だってそれを口にしたところで、遊助を困らせるだけだってわかってたから」
「俺にはお前は勿体無い女だよ。
だけど俺はお前を好きになれない。俺にとって愛なんてものは意味なんて無いからだ」
「え……」
その物言いに、私はどこか引っかかりを覚えた。
「俺は、スタンバイフェイズに手札から速攻魔法『
『
俺は『
「変身直後を狙うなんて、お約束が分かっていないわね」
「ターンを跨いでいるくせに、どこが変身直後だ。
そいつらがどいた為、俺はメインフェイズ2へと突入する。
『
そして、『姫級
オーバーレイユニットをひとつ取り除き、デッキから二枚目の『侵食侵犯』を手札に加える。
俺はターンエンドだ」
遊助 LP4000
場 『
魔罠 □□■■□ 『
手札 □□□
「私のターン、ドロー。よしッ!!
たとえ遠き昔の色褪せた思い出だとしても、私はそれを覚えている。
魔法カード、『遥か遠き日の約束』を発動!!
手札・墓地・デッキから素材となるカードを除外し、『魔法少女』シンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する。
私は手札の『悲壮なる決意秘める少女』と墓地の『魂の宝玉』を除外し、『時迷い運命抗う魔法少女』を選び、エクストラデッキから特殊召喚する!!」
黒髪を翻し、颯爽と盾を携えた魔法少女が現われた。
「『魔法少女』が特殊召喚されたことにより、『収束する因果律』に因果律カウンターがひとつ乗る」
『時迷い運命抗う魔法少女』攻2500→2900
「バトルよ、『時迷い運命抗う魔法少女』で『姫級
そしてこのカードが戦闘を行う場合、戦闘をするモンスターの効果は無効になり、ダメージステップ収容時まで相手はカードの効果を発動できない!!」
「くそ、さっきからデッキトップに恵まれてやがる……」
遊助 LP4000→2900
「私はこれでターンエンドよ」
翔子 LP6000
場 『愛と正義を備えし魔法少女』『時迷い運命抗う魔法少女』
魔罠 ■■■■■ 『収束する因果律』カ④ 『魔法少女の変身シーン』『魂の宝玉』『魂の宝玉』 セット
手札 □□
「俺のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズに、私はこのカードを発動する。
リバースカードオープン。罠カード『
「んな、そのカードは!!」
「このカードは相手のスタンバイフェイズに、墓地に『因果集いし約束の魔法少女』を含む『魔法少女』シンクロモンスターが三枚以上とフィールドに『時迷い運命抗う魔法少女』が存在する場合にのみ、自分の墓地のカードを全てデッキに戻して発動できるという複雑な発動条件を持つカード。
だけど知ってのとおり、その分強力な効果よ。
相手はデッキ・エクストラデッキの枚数が元々の数になるようにカードに戻し、お互いのプレイヤーはカードを5枚になるようにドローする」
「折角肥やした墓地アドが全部パーか」
「そしてこっちはフィールドアドバンテージを有利な状態で引き継げる。
時間を戻せるって本当にズルイわよね」
「果たして、そうかな。
俺は『
遊助のフィールドに、妊婦のようにお腹を膨らませた人型の亡霊が現われた。
「『
このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからカードを二枚ドローし、手札を二枚を墓地に送る。
そして永続魔法『
デッキからレベル10『
そして遊助は、低く笑った。
「時間が戻せたら、子供の頃からやり直せれば、何もかも上手くいくと思うか、翔子」
「いいえ、思わないわ」
「そうさ。人間は死んだくらいじゃ変わらない。
たとえリセットが出来ようが、セーブ&ロードが出来ようが、同じ過ちを繰り返す」
まさに自分がそうだと言う様に、遊助は嗤う。
「なあ翔子、俺は努力が大嫌いなんだ。
成功した人間は皆努力しているというが、失敗した人間は美談で終わるだけだろう?
結果的には失敗したけど、努力したので満足です……馬鹿じゃねーのか。
時は金成りって言うくせに、時間を浪費して失敗して挫折する。
なあ、これってギャンブルで大敗するのと何が違うんだ?
汗水流して努力して、失敗すれば意味が無くなる。過程が大事だって? じゃあなんで人間社会は結果を求めるような社会になってるんだよ。
一瞬で大金を失うのと、時間を掛けて四半期を失うのとじゃあ、どうして後者が尊ばれるんだ?
なあ、俺の言っていることなんて所詮は社会にも出たことの無い負け組みの戯言だと笑うか?」
「さあ、私も社会に出たことが無いから分からないわ」
「結局、死ねば全部終わりなんだよ。
幾ら努力したって、幾ら金を稼いだって、死後には持っていけないんだからな。
結局意味が無いのなら、何かをする意味なんてないんだ」
「遊助……また同じことを繰り返すのが怖いの?
だったら、どうして……」
「お前に何が分かる、何が分かるよ!!」
そう叫んだ遊助は、やはりどこか怯えているように見えた。
「俺はスケール6の『姫級
遊助の左右に巨大な生物とも機械とも取れる武装に乗った病的なまでに白い女が並び立つ。
「スケールは5と6。
それじゃあペンデュラム召喚は出来ないわよ!!」
「『鬼級
このカードのスケールは、もう片方の『
よって、このカードのスケールは11となる。
これで、レベル7から10までのモンスターを同時に召喚可能!!」
「最上級モンスター専用のスケール幅……」
「そして、『姫級
このターン、エクストラデッキからカードを特殊召喚できなくする代わりに、墓地から『
「墓地からペンデュラム召喚ですって!?」
道理で、あんなにぽんぽんと墓地に高レベルモンスターを墓地に送っていったわけである。
「水底に沈む無念と怨嗟の魂よ、今こそ海上へと這い上がり、生ける者全て焼き尽くせ!! ペンデュラム召喚!!
暗く深い水底から現われろ、悪夢と絶望の化身『
遊助のフィールドに、はだけたレインコートの小柄の人型が現われた。
『
今までの異形の亡霊とは違い、ほぼ完全な人型を有しているが、レインコートの下から伸びる尻尾のような部分の先端は、当人より巨大な異形の顔と口があった。
今まであからさまに上位種らしい姫級や鬼級という名を持っていないのに、その表情はへらへらとこちらを嘲笑っている。
「『
このカードが墓地からP召喚に成功した場合に発動する。
相手の手札・フィールド・墓地のカードを三枚まで選んで除外する。
『愛と正義備えし魔法少女』と手札二枚を除外しろ」
「くッ」
「バトルだ。『レ型』は相手モンスター全てを攻撃でき、破壊したモンスターを『
まずは『時迷い運命抗う魔法少女』を攻撃!!
それと同時に『姫級
『
『レ型』の異形の口から砲弾が放たれ、身動きの取れない魔法少女に直撃した!!
『愛と正義備えし魔法少女』攻守2900/1000→1900/0
翔子 LP6000→4700
「破壊された『時迷い運命抗う魔法少女』は、『
メインフェイズ2、更なる『
このカード以外の『
俺は『
『
☆10 水属性 アンデッド族 攻守3200/2800
『
『レ型』モンスターはフィールドに一枚しか存在できず、P召喚でしか特殊召喚できない。
(1)このカードが墓地からP召喚に成功した場合に発動する。
相手の手札・フィールド・墓地から三枚カードを選んで除外する。
(2)このカードは全ての相手モンスターに攻撃でき、このカードが戦闘で破壊したモンスターは自分フィールドに守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターは『
(3)1ターンに一度、このカード以外の『
そのカードの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
翔子 LP4700→3450
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
遊助 LP2900
Pゾーン ◆6 『姫級
◇11『鬼級
場 『
魔罠 □□■■□ 『
手札 □
「私のターン。ドロー。
遊助、私はあなたの全てを受け止めてあげるわ。
私は『慈愛と因果の少女』を召喚。
このカードが召喚に成功した時、墓地または除外されている『魂の宝玉』を攻撃表示で特殊召喚する。
除外されている『魂の宝玉』を特殊召喚。
そして、レベル2の『慈愛と因果の少女』と、レベル4『魂の宝玉』をチューニング!!
優しき祈りは次元を超えて天を貫き、希望となって降り注ぐッ!!
―――シンクロ召喚、レベル6『因果集いし約束の魔法少女』!!」
さあ、大詰めと行きましょう。
「シンクロ素材となった『魂の宝玉』は永続魔法扱いとして墓地へは行かずフィールドに残る。
そして、『因果集いし約束の魔法少女』の効果発動するけど、意味が無いわね。
このカードは自身の効果でレベル7となり、攻撃力が200アップする。
更に、『収束する因果律』に因果律カウンターがひとつ乗る」
『因果集いし約束の魔法少女』 レベル6→7 攻2700→2900
「今こそ全ての悲しみと絶望を希望に変える時よ。
『収束する因果律』のもうひとつの効果。
自分フィールド上に存在する『魔法少女』モンスターを対象に発動する!!
このカードを墓地に送り、乗っていた因果律カウンターの分だけ対象のモンスターのレベルを上げ、攻撃力をその数×100アップする。
そして、この効果は対象としたカードの効果として扱うことが出来る!!」
「な、んだとぉ!?」
『因果集いし約束の魔法少女』 レベル7→12 攻2900→3900
「私はレベル12となった『因果集いし約束の魔法少女』の最後の効果を発動させる!!
このカードと墓地の『慈愛と因果の少女』を除外し、手札の『契約を齎す者』を公開する。
この効果により、私はこのデュエルに勝―――!!」
「カウンター罠、発動」
「え……・」
「『爛れ墜ちる希望』。
特殊召喚に成功したモンスターの効果が発動した場合に『
その効果を無効にして、そのモンスターを破壊する。
俺は『
「ゆう……すけ?」
「希望なんて、いらない。
先の見えない無責任な希望なんて、絶望と何が違う」
憎憎しげに、遊助は吐き捨てた。
「前世の俺にだって、友達くらい居たさ。
親友と呼べる奴だっていた。だけどそいつは!!
いつしか俺をいじめる側に回ったのさ!!
本当の絶望は、希望の先にこそある。いらない、いらないんだよそんな物!!」
「ああ、そっか」
私は、全てを理解した。
「遊助、あなた……もしかして、死ぬのが怖いんじゃないの?」
「はぁ?」
「より正確にいえば、また失うのが怖いんでしょう?
あなたは前世で得られなかった多くのものを得てしまった。
人間ってのは今まであった物が突然取り上げられると理不尽に思う動物だもの」
今まで彼の叫びは、ひとつを除いて彼は克服してしまっていたのだ。
厳しくも暖かい家庭、充実した学校生活、数多くの仲間たち、そしてデュエリストとしての将来。
だけど、遊助は絶対に克服できないことがある。
それが、死。そしてそれに伴う喪失だ。
別に一度死んだ人間が、死を恐れなくなる理由は無いのだから。
命を投げやりに扱うのも、その裏返しかもしれない。
人間は理屈だけの生き物ではないのだから。
私の予想は……。
「なんで……」
かちかち、と音がした。
「なんで……考えないようにしてたのに……」
遊助が体を震わし、歯を打ち鳴らしている音だった。
「これからずっと何も考えないように生きて、いずれ訪れる緩慢な死を受け入れようと思っていたのに……」
遊助は泣いていた。
寒さに凍える子供のように、震えながら。
「やっと、見せてくれたね。遊助の本当の想い」
「うるさい、翔子なんて嫌いだ!!
お前に、死ぬ瞬間の冷たい海の底に沈んでいくような感覚が、分かるか?
何も聞こえないんだ、何も感じなくなるんだ、視覚的じゃない究極の暗闇の中に放り込まれるあの一瞬!!
もう嫌なんだよ!! これからはアレに怯えて生きなきゃならない。
死を知ってしまったから!! 余計に怖いんだよ!!」
「それは、普通のことだよ、遊助」
「うるさいうるさいうるさい!!
嫌だ嫌だ嫌だ、あの瞬間、手の平からぬくもりや思い出が滑り落ちていくような感覚が!!
もう、耐えられないんだよ……。知ってしまったら、もう……」
がくりと、遊助は膝をついた。
彼の手からカードが滑り落ちる。
「優しさなんていらない、希望なんていらない。
行き着く先はあの闇の中で、奈落の底にすべてが墜ちていく。
……神様、これは報いなのか? 自分に置かれた状況を何一つ自ら変えようとしなかった俺への罰なのか?
教えてくれよ、転生なんてさせたんだから、生まれ変わる直前に出てきて説明くらいしてくれたっていいじゃないか!!
理由も分からず、なにを省みろって言うんだ!!」
「大丈夫だよ、遊助」
「なにが大丈夫だっていうんだよ!!
一体誰が、この世の誰が先の見えない死に対して、大丈夫だなんて言えるんだよ!!」
「大丈夫よ、私、いいこと思いついたから」
「なにを……」
「まだ私のターンは終わっていないわよ。デュエルを続けましょう」
私は悲嘆にくれる遊助に笑い掛けてそう言った。
「私は魔法カード、『穢れの浄化』を発動。
フィールド上・墓地の『魂の宝玉』をデッキに戻し、カードを一枚、ドローする。
私はフィールドの『魂の宝玉』をデッキに戻し、ドロー」
やはり、このタイミングで来たのか。
「私はフィールド魔法『魔法少女の
墓地の存在する『魔法少女』シンクロモンスターを除外し、そのカードが指定するチューナーと異なるチューナーを要求するエクストラデッキの『魔法少女』シンクロモンスターを選び、選んだカードに記されたチューナー以外の素材を手札に加える。
私は『時迷い運命抗う魔法少女』を除外し、デッキから『巡り合う不屈の少女』を手札に加える」
「そ、そのカードは!? シリーズどころか、別のッ」
「このカードは自分フィールドの表側表示の魔法カードを除外し、特殊召喚できる。
私は『魔法少女の
この効果で特殊召喚に成功した時、デッキから『魔法入出力演算デバイス』を一枚手札に加える。
『魔法入出力演算デバイス』は、永続魔法扱いとして自分フィールドに置くことができる。
『巡り合う不屈の少女』は、永続魔法扱いのチューナーを素材として、シンクロ召喚できる!!
私はレベル4の『巡り合う不屈の少女』に、レベル3の『魔法入出力演算デバイス』をチューニング!!」
私のデッキに吹いた新しい風が、私を勝利に導く。
「幼き体に不屈の心宿る時、眠れる闘志が目を覚ます!!
シンクロ召喚!! 現われろ、『不撓不屈の魔砲少女』!!」
今までの魔法少女とは毛色が違う、メカニカルな杖を手にした少女が私のフィールドに降り立った。
「シンクロ召喚に成功した『不撓不屈の魔砲少女』にシンクロ素材となった『魔法入出力演算デバイス』は装備魔法扱いで装備できる。
このカードの装備モンスターは、攻撃力が800アップする!!」
『不撓不屈の魔砲少女』攻2400→3200
「このカードは『魔法少女』としても扱う為、『魔法少女の変身シーン』の効果が適用される。
更に、『不撓不屈の魔砲少女』の効果発動。
フィールドに存在する表側表示の魔法カードを任意の数だけ除外し、攻撃力をその数×500ポイントアップさせる!!
私は『姫級
そして、除外されていた『時迷い運命抗う魔法少女』を自身の効果で帰還させる!!」
こうして二人の魔法少女が並び立つ。
「バトルよ、『不撓不屈の魔砲少女』で『
彼女の放つ膨大な光の奔流に、異形の少女は跡形も無く消え去った。
遊助 L2900→900
「これでトドメ、『時迷い運命抗う魔法少女』でダイレクトアタック」
遊助 LP900→0
デュエル終了のブザーが鳴る。
「遊助」
「な、なんだよ……」
「手を出して」
と言いつつも、私は遊助の手を取り、デュエルディスクにセットされているデッキを取り外した。
「あ……」
そして私もデッキを取り外し、二つのデッキを重ねてシャッフルした。
「カードは当人の魂だっていうのが本当なら、これで私たちの魂は一緒よ。
……これでもう、死後も独りじゃないわ。
私も、その時は一緒に行くから」
「しょうこ……う、うぅ……ぁぁ……」
私は彼が泣き止むまで、ずっと抱きしめていることにした。
「……もう大丈夫だ、ありがとう、翔子」
結局、遊助が落ち着く頃には夕方になっていた。
「俺、どこまでやれるか分からないけどさ……頑張ってみるよ。
……そう言えば、頑張るって言葉も嫌いだったな」
遊助ははにかむ様に笑って顔を逸らした。
「今度、一緒に『遊戯王』に行こう。
塾長や他の皆にも紹介したいし。翔子なら皆も受け入れてくれると思うから」
「うん」
その日を境に、私達は本当の婚約者同士になれたのだ。
墓地からペンデュラム召喚だって!? →そのうち本家でやりそう。
それにしても、DDBにトリシュ、ゴヨウ効果はやりすぎな気もし無くない。元ネタもそんぐらいインチキだし多少はね?
それぐらいの方が絶望感あるでしょう?
あと、先駆者さまの元ネタの作品は勘弁してと言いましたが、出さないとは言っていません。てへぺろ。
今回はちょっと長くなりましたが、書きたいことは書けました。満足です。
では、また次回。需要があればまた。それでは。