何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!? 作:やーなん
ブンボーグで大量展開したり、0帝で真帝王領域が制限になった理由を痛感したり、ファーニマルで事故ったりワンキルしたり、PSYフレームでドローゴーしたり、満喫してます。
でも若干青眼とよく遭遇する印象。あいつら打点高いのポンポン出せてずるいですよね。
それを領域張れなかった0帝で勝った時はスカッとしました。
あと、そろそろ以前の話のカードをより今風にエラッタをしたいと思います。
あとは『スライム』融合モンスターのカード名とか語呂悪いし。
その時は元ネタ解説とかキャラ紹介に合わせて報告したいと思います。
それでは雑談もこのくらいで、本編へ。
需要があれば続きます。
公園は一種の野営地の様相を呈していた。
星井の指示で元暴走族の面々が買い出しを行い、物資を調達したのだ。
元から公園に備えついていた木製のテーブルを中心とし、食料や医療品を置く簡易テントまで設置された。
こいつらキャンプに来たんじゃねえのか、とも思ったが、思ったより慣れているので口をはさむ機会を失った。
「なんで私まで……」
殆どスズナさんに連れ出されたユリちゃんは公園の端の方で唇を尖らせていた。
「思ったより人員が集まったから、別にユリちゃんは前線に出なくていいぞ。
ここに居てもすることはあるだろうしな」
「あっそう、じゃあ私はここで待機しているわ」
ご自由にお使いください、と書かれた紙が置かれたビニールシートの上にまとめて置かれている飲料水や麦茶などから一本を取って、ユリちゃんは中身を飲み始めた。
「星井さんって、元族だったんですね」
「おう、関東決闘者連合十九代目総長だったんだぜ」
半分地面に埋まったタイヤに腰掛けているのは、亀井と星井の奴だった。
「関東決闘者連合って……めっちゃヤバイ暴走族じゃあ……」
「そいつは最盛期の話だぜ、何代か前からは人さまに迷惑を掛けないってことになって、俺たちはデュエル以外の喧嘩はしたことないくらいだ。
ごてごての特攻服も時代遅れだって、このジャケットに代わってたし」
星井はそう言って笑っていたが、当時のこいつらはとてもそうは見えなかったなぁ。
「星井さんって、有名な暴走族だったんですか?」
傍からその話を聞いていた木村くんが興味津々といった様子で星井に言った。
「関東決闘者連合は昭和三十年頃、ちょうど学生運動の最盛期辺りに社会に不満を持った学生たちを中心に発足したかなり過激な暴走族として有名だな。
メンバーは最盛期には一万人を超え、起こした暴動は数知れず、警官隊と激突し互いに数多の死傷者を出している。
私の祖父もその鎮圧の為に激突した、と武勇伝を語ってくれたことがある」
代わりに生徒会長が答えた。
ふぇー、と木村くんは驚いたような声を出した。
「師範代に止めを刺された俺の代以降は、ただのバイクの同好会みたいな感じにまで衰退してるっぽいって後輩が言ってたっすね。
初代総長の武勇伝は先輩から代々語り継がれていたんすけど、どうにも革命やらなんやらで、よく分からんっす」
「そういう時代だったというだけだろう。
私の父も警官だが、流行りだからと学友と一緒に学生運動に参加していたらしいからな」
「みんな馬鹿騒ぎしたいだけだったんすかねぇ……」
若さとはそういうものなのかもしれない。
「あの……うまく言えないんだけどさ。
俺とつるんでた連中も、根っからの悪い奴じゃないんだ。
お互いに馬鹿話したり、飯食ってエロ本回し読みしたりさ。
その中には、仲間から誘われて一緒にデッキ狩りをするようになったり、抜けたくても抜けられずにずるずるいる奴らもいるんだ。
皆、馬鹿なことする仲間がいることに酔ってたり、孤立するのが怖いだけなんだ、きっと」
亀井は沈痛な面持ちでそう言った。
彼は彼なりに思うところがあるのだろう。
「わかっている。誰だって過ちは犯してしまうものだ。
だが、やってしまったことは取り返しがつかない。
問題なのは、取り返しのつかないことに他人を巻き込み、仲間をその道に引きずり込むことだ。
それは許されない悪だろう」
「その場に流されたとしても、仕方なかったとしても、だとしても、誰かを傷つけるなんておかしいですよ」
生徒会長も坂間弟も、難しい表情で厳しいことをいう。
「いやはや、耳が痛いっすねぇ」
「……」
星井も亀谷もばつの悪そうな顔で目を逸らすばかりだ。
「あ、そうだ。
こういう時はこう思えばいいんですよ。
おじいちゃんが言っていました。人が悪いことをするのは妖怪“どんせん”の仕業なんだって」
木村くんが急にそんな変なことを言い出した。
ぶはッ、とユリちゃんが飲料水をむせて吐き出した音がした。
「おうおう、大丈夫かユリちゃん」
彼女の背中をさするスズナさんだったが、その表情は無理して顔を強張らせている。
どう見ても笑いをこらえているようだった。
「何の妖怪なんだ、それは」
「……さぁ、僕も詳しくは。
何でも、人を悪いことするように仕向けたり、カードの内容を書き換えたりするそうです」
「とんでもない妖怪だな、そいつは……」
「つまり木村くんは、罪を憎んで人を憎まずと言いたいわけか」
乙女の痴態をスルーする程度には、ここにいる面々は紳士だったようだった。
「そうだな、悪いの全部“どんせん”のせいだ。
人に魔がさすのも妖怪“どんせん”の仕業に違いない」
面白かったので俺も乗っかってみた。
「そうっすね、許せないっす、おのれ、“どんせん”!!」
「絶対許さねぇ!!」
と、俺と星井が悪乗りしていると、ユリちゃんとスズナさんは肩を揺らしながらトイレの方に歩いて行った。
と、そんな束の間の急速も終わりを告げた。
「星井さん、地図を買ってきたっす」
「おう、悪いな」
仲間の買ってきた地図をテーブルの上に広げ、俺たちはブリーフィングを開始した。
「亀井くん、まず不良達が集めたカードはいくつかの集積地に分けられ、その後に本拠点に運ばれる、それで間違いないかね?」
「はい。そんでそれらは定期的に変わるんで、多分俺が捕まったんで今は変えられていると思います」
「厄介だな」
生徒会長は顔を顰めて、地図を見下ろした。
「そして本拠点の場所は俺らも知らされませんでした。
リーダーの直属の部下が出向いてカードを回収してたみたいっす」
「なるほど、つまりそれほど結束力の高い組織ではないということか」
これは朗報であった。
つまり連中は忠誠心など無いに等しく、情報収集はそこまで難しいものではなさそうだからだ。
「でも、裏切ったら半殺しにされるってのは徹底されてました。
リーダーは違法改造したアタッチメントを持ってて、裏切者にはそれで制裁するって話です。
実はそれでかなりやばいこともやってるって噂で……」
「やばいこと?」
生徒会長の疑念に、亀井もぶるりと震えて続きを語った。
「なんでも、逃げた奴は家に火をつけられるとか、モンスターでボコボコにして再起不能になったやつもいるって話で……。
それが嫌なら家のカネを持ってこいとか、平気でいうらしくて」
「とんだ下種野郎っすね」
流石の星井も吐き捨てるようにそう言った。
「ではまず、五人のグループで行動班は動いてくれ。
二名はタッグデュエルを想定し、もう二人は撤退を含むその二人のサポートや継続戦要員、もう一人は連絡係だ。
この役割分担を徹底し、エリアごとに分けて各班は行動することになる。
そして、近くの班から救援があれば、それに駆けつける。
このようにしてリスクを可能な限り抑えるんだ」
「なるほど、つまり最初の二人がやられても、継戦要員が相手をして、その間に仲間を呼ぶってことですか」
ああ、と生徒会長は木村くんに頷いて見せた。
「また、相手も二組いる場合も救援を、最低でも連絡と戦闘状況は逐一報告するように。
多少効率が落ちたとしても、安全に行けなければ意味がない」
「わかりました」
「では、行動班とここに残ってサポートする人間を編成してくれ」
かくして、俺たちは不良達の本拠地の情報を求め、作戦を開始した。
「いいからデッキだせっつってんだよ、ああ!!」
「わかんねーなら痛い目みせんぞ」
「う、う、うええぇぇん!!」
「こちらA班、二名を補足。
小学生高学年ほどの少年を恐喝中。即行動に移ります」
『こちら本営。座標確認……了解した。
即座に撃滅し情報を聞き出せ、以上。』
連絡係の元暴走族の仲間が本営に連絡を終えた。
生徒会長もノリノリのようだ。
「おい、お前ら」
「あん?」
「なんだよ、文句あんのか!!」
「デュエルしろよ」
「ええ、小学生相手より楽しいと思うわ」
俺と翔子はデュエルディスクを構え、不良達を威嚇する。
「さっさと行け、デュエルの邪魔だ!!」
「う、うん!!」
ランドセルを背負った小学生は、涙を袖で拭くとその場から逃げだした。
「おい、待てよ!!」
「翔子、任せた」
「わかったわ」
小学生を追いかける不届きな不良の方へと俺は向かった。
「「デュエル!!」」
翔子と残った方の不良のデュエルが開始されたのを尻目に、俺は目の前の不良に足にその辺に落ちている小石を蹴り上げて見事命中させた。
「いでッ、くそ!! てめぇ、ただじゃおかねぇぞ!!」
足を抑えて振り返る不良に、俺は鼻で笑って見せた。
「デュエリストなら、デュエルで語れよ。
お前にその矜持が残っているっていうならな」
「てめぇ……!! デュエル!!」
「デュエルだ!!……俺のターン」
これは、……勝ったな。
「俺は永続魔法『
『
『ワ型』の効果により、デッキからカードを二枚ドローし、その後手札を二枚墓地に送る。
今しがた墓地に送った『
墓地のこのカードは自分フィールドの『
このカードを特殊召喚し、選択したモンスターと合計したレベルになる。
この効果で特殊召喚されたこのカードはフィールドを離れた場合に除外されるが……言わなくてもわかるだろ?
俺はレベル2となった『
怨嗟満ちる海の底から這い現われろ、悪夢の尖兵よ。
エクシーズ召喚!! ランク2、『姫級
このカードのORUを一つ取り除き、デッキから『
俺は『
そして俺はスケール5の『鬼級
「はん、それじゃあペンデュラムの意味がねえじゃねぇか」
「『鬼級
このカードのスケールは片方の「『
これで俺はレベル7からレベル10までのモンスターをペンデュラム召喚できる!!
更に、『姫級
このターン、墓地からもモンスターをペンデュラム召喚できる!!」
「は、はぁ!? 墓地からペンデュラム召喚だと!!」
「水底に沈む無念と怨嗟の魂よ、振り子の揺らぎに従い、今こそ海上へと這い上がれ!! ペンデュラム召喚!!
暗く深い水底から現われろ、悪夢と絶望の化身。『
墓地からペンデュラム召喚に成功したこのカードは、相手の手札・フィールド・墓地のカードを選んで三枚除外できる。
さあ、手札のカードを三枚除外しろ」
「く、くそ!!」
先攻三枚ハンデスとか鬼畜の所業だが、今の俺は全く心が痛まない。
世の中には成功率八割を誇る『ゼンマイハンデス』とか、『六軸リチュア』とかあったからね。手札が二枚残るなんて十分優しいもんだ。
っていうか、おろ埋とサーチを内蔵した永続魔法とか普通に禁止カード級である。
デメリット付きとはいえこのカード自体サーチ可能で三積みできるとか。
……これは余程のことがなければ封印だな、うん。
「カードを二枚セットして、ターンエンドな」
「くそ、ドロー!!」
「あ、スタンバイフェイズに永続罠『
このカードが存在する限り、自分フィールドの『
ほら、早くしろよ。遅延か? デュエリストなら手札が三枚もあれば何だってできるだろう?」
笑顔で煽る俺だが全く持って心は痛まない。
この世界でこの手のロックはあまり褒められた行為ではないので、敬遠されがちなのだ。
そしてこの世界では、無条件で相手の魔法罠を全部消し飛ばす『羽箒』などは経験上存在しない。
これ決まった以上、相手は何もできずに終わるのみだ。
「も、モンスターをセット……ターンエンド」
「ま、こんなもんか」
そのあと『レ型』をリリースして墓地に送り、再びP召喚して相手を完膚なきまで叩きのめし、ゲームセットした。
「くそッ、くそ!!! こんなのデュエルじゃねぇ!!
てめぇそれでもデュエリストかよ!!」
「じゃあこれはデュエルじゃなくて狩りな。
お前らクズは俺たちのハンティングゲームの獲物なんだよ!!」
俺はかくし芸の為に密かに練習しておいた悪役張りの顔芸で不良を威圧しつつ、その胸ぐらを掴んだ。
「さあ、こっちに来てもらおうか」
「ひ、ひぃ……」
不良を引きずりながら、俺は翔子とリザーブ二人と連絡係が待っている方へと戻る。
「私は『紅蓮の魔天将』を召喚。
このカードは手札を一枚捨てて、デッキからレベル4以下の『魔天』モンスターを特殊召喚できる。
私はデッキから『鉄槌の魔天従騎』を攻撃表示で特殊召喚。
自分フィールドに『魔天』モンスターが存在する場合、『魔天風の癒し手』は守備表示で特殊召喚できる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから『魔天』魔法・罠カードを一枚選んで手札に加えることができる。
私が選ぶのは、『魔天風の導き』。そしてこのカードを発動する。
『魔天風の導き』の効果により、デッキから『守護の魔天獣』を守備表示で特殊召喚。
『紅蓮の魔天将』は自分フィールドの『魔天』カード×200ポイント攻撃力をアップさせる。
よって攻撃力は2600。『守護の魔天獣』の効果発動。相手フィールドのモンスター1体を効果を無効にして守備表示にする。
『鉄槌の魔天従騎』の効果発動。このターンこのカードしか攻撃できない代わりに、このカード以外の自分フィールドの『魔天』モンスターの攻撃力をこのカードに加算する。
これでこのカードの攻撃力は5600!!
さあ、バトルよ!! 私は『魔天従騎』で『生ける屍』を攻撃!!
このカードは相手の守備力を超えた場合、その分の倍の数値の戦闘ダメージを相手に与える!!
『生ける屍』の守備力は400、差分は5200だから10400の貫通ダメージよ!!」
「そ、そんな、あ、あぎゃあぁあ!?」
戻ってみると、ゾンビが巨大なハンマーを持った幼女に粉砕されていた。
こっちはこっちでオーバーキルしていた。
「成敗!!」
「こっちは終わったぞ」
「こっちも初めてシンクロ無しで勝てたよ!!
でもなんか物足りない感じね」
それは『妖仙獣』使っていると三兄弟だけで十分強くて『大刃禍是』を使う必要ないという哀愁に似ているのかもしれない。
「さて、と」
俺たちは二人の不良を一か所に追い詰めて五人で取り囲んだ。
「お前ら、巻き上げたカードをどこかに集めているらしいな。
一体どこに集めているか教えろ。教えなかったらこのまま警察に突き出してやる」
傍から見ればどちらが悪人か分からないが、こっちも容赦をするつもりはない。
「は、はぁ? い、言えるわけねぇだろ!!」
「言ったらリーダーに何されるか……」
二人はがくぶるしながら必死に口を閉ざし、ぶんぶんと何度も首を横に振った。
「……っち、応援お願いします」
「あい、こちらA班。デュエルの結果二名を確保。
警察に突き出すんで応援寄越してください」
『こちら本営、了解した。そちらに応援を送る。』
連絡役が伝令を送ると、こちらもひと段落した。
「恐怖による支配は徹底しているみたいね」
「なら、喋るやつが出るまで狩り尽くせば良いだけの話だ」
戦いはまだ始まったばかりだ。
不良達があんなことするのも、全部妖怪“どんせん”の仕業なのね。
だから皆さんも鼻で笑って彼らをご覧ください。