何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!?   作:やーなん

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おしらせ:『粘体配合』の(2)の墓地回収効果はターン1にしました。
これで大分バランスとれたかな。

今まで名前しか登場しなかったあの人が登場します。
それでは、需要があれば続きます。


第二十三話 滅菌作戦 幕間

「全日本プロデュエリスト選抜大会ベスト16、おめでとうございます!!」

「おめでとうございます!!」

 事務所を出ると、何人かの俺のファンが待ち構えていた。

 

「ありがとう、励みになるよ」

「あ、あの、握手しても……」

「構わないよ」

「さ、サイン貰ってもいいですか?」

「いくらでも大丈夫だよ」

 ファンの子と握手をし、サインを配る。

 外面を取り繕うのも大変だ。ファンサービスがモットーのあのキャラもこんな気持ちだったのだろうか。

 

「茂樹さん、それくらいで……」

「ああ、わかった。じゃあね、みんな」

 マネージャーの新田さんに促され、俺は車に乗り込んだ。

 

 

「本当に、よろしいのですか?」

「何が?」

 俺は東京の街並みを窓から眺めていると、運転している新田さんが口を開いた。

 

「事務所との契約を打ち切った件ですよ。

 全日本の戦績がそんなに不満でしたか?」

「そうじゃないよ。

 個人的にはベスト16ってのは気に入っている。

 長年の実力者なのにどうにもうだつが上がらない感じが、長寿アニメの主人公みたいじゃないか」

 俺はそんな嫌味を吐いた。

 

「あなたはまだプロ3年目じゃないですか」

「フリーでやるだけだ、別にプロを止めるわけじゃない」

「3年目でフリーになるプロなんて聞いたことがありません」

「本当はどこの事務所にも入るつもりはなかったんだ。

 今の事務所も世話になった先輩に進められて、なんか流れで入っちゃったみたいなもんだし。

 結果を出したら止めようって思ってたんだ。丁度、契約の更新時期だったし」

「結果って、まだまだじゃないですか」

 それはそうだろう。

 全国大会とは言え、ベスト16はそこまで名誉な成績ではない。

 

 

「俺は最高だと思うけどな。

 先輩方に顔を立てたうえでの成績としては」

「…………」

 俺の皮肉に、新田さんは黙り込んだ。

 

「俺はプロデュエリストだ。アイドルじゃない」

 昨今、プロデュエリストはアイドル化が進んでいる。

 一昔前の硬派なイメージは現在には無いのだ。

 それは俺の求めていたものじゃなかった。

 

 思うまま、思いのままデュエルことすらままならない場所なんて、こっちから願い下げだ。

 

 

「それに、俺は栄達を求めると破滅するって、有名な占い師の先生に言われてんだ」

「は、はぁ……茂樹さんは占いとか信じるんですか?」

「信じるも何も、俺が今こうしてプロデュエリストをしているのは、その先生のお蔭みたいなもんだ」

 俺はそういって、当時の占い結果を思い出す。

 

 

 

 

「このデッキをシャッフルし、適度にカードの上下を入れ替えてください。

 その後、五枚ドローして裏側表示のまま並べてください」

 先生はそう言って俺にデッキを差し出した。

 

 俺は言われるがままに、すがるようにデッキを受け取り、シャッフルする。

 俺は何度かカードの上下を入れ替えてデッキを置き、カードを五枚引いて裏側のまま順番に並べた。

 

「これは左からあなたの過去、近い過去、現在、近い未来、未来を示しています。

 一番左のカードをリバースします」

 先生が裏返したカードは、『月の心鎧札 ベルゼバブル』。

 禍々しい悪魔が描かれていた。

 

「月の正位置に、悪魔ベルゼバブル。

 月の正位置はトラウマなどのマイナスな意味を持ち、悪魔ベルゼバブルは神託を齎す力を持ちます。

 あなたは遠い過去、死に関する選択をした」

 俺は唾を飲んだ。

 図星も図星だったからだ。

 俺はこの時点で彼女の能力を疑う気持ちを捨て去っていた。

 

「二枚目、これはあなたの近い過去」

 二枚目は『戦車の心鎧札 エリゴス』。

 描かれているのは、やはり悪魔だ。

 そして、上下逆さまだ。

 

「戦車の逆位置に、悪魔エリゴス。

 戦車の逆位置は身勝手や傍若無人を意味し、悪魔エリゴスは未来を予知する力を持ちます。

 どうやら随分と好き勝手をしたようですね」

 淡々と、先生は占いの結果を口にした。

 彼女の言うとおりだった。

 

 

「三枚目、これはあなたの現在」

 三枚目は『魔術師の心鎧札 花魄』。

 先ほどとは打って変わって可愛らしい妖精のような少女が描かれている。

 ただし、カードの向きは上下逆さだ。

 

「なるほど……。魔術師の逆位置に精霊花魄。

 魔術師の逆位置も、やはりマイナスの意味を持ちます。

 そして精霊花魄は首を吊った木に自殺者の無念が集うことで生まれます。

 あなたは今、過去の選択や行いに悔いて、迷っている」

「はい……」

「では、あなたの相談事を伺いましょう」

 こくり、と俺は頷く。

 

 そして俺は彼女にすべてを告げた。

 俺が前世の記憶を持っていること。

 前世での過ち、そして記憶を持つがゆえに身勝手な振る舞いをしてきたこと。

 

 そして失敗し、後悔しているということを。

 

 

「では、四枚目、これはあなたの近い未来です」

 先生は何も言わずに、四枚目をめくった。

 それは、『太陽の心鎧札 ジャターユ』。

 異様な姿の鳥の姿が描かれている。

 

「太陽の正位置に、鳥の王ジャターユですか。

 太陽の正位置は成功や約束された将来などの意味を持ちます。

 しかし、鳥の王ジャターユは若さゆえに太陽に近づきすぎ、墜落しました。

 あなたの成功はいずれあなたに影を落とすものとなるでしょう。それをどのように扱うかは、あなた次第でしょう」

 それは、調子に乗れば失敗するということか。

 

「五枚目、これはあなたの未来です」

 そうして先生は最後の一枚をめくった。

 それは『恋愛の心鎧札 ラファエル』。

 天使の描かれたカード。

 

「恋愛の正位置にして大天使ラファエル。

 恋愛の正位置は信頼、情熱、結婚などの意味を持ち、傷を癒す天使ラファエル。

 あなたの未来にはあなたの悩みを受け止めてくれる誰かが現れることでしょう。その人物を大切になさい」

 先生はそういうと、メモ用紙を取り出した。

 そこには住所と電話番号が書かれていた。

 

「この場所へ行くといいでしょう。

 きっとあなたを導いてくれる人がいるはずです」

 

 そして俺は塾長や博士、秘密を分かち合える仲間を得る場所を見つけたのだ。

 

 

 

 

「……俺はジャターユみたいに墜落したくないしな」

「茂樹さん?

 フリーになってこれからどうするんですか。

 まさか賞金稼ぎになるなんて言うつもり無いですよね」

 世の中には額にこだわらなければ探せばいくらでも大会なんて転がっている。

 町興しの為に大会を起こすなんてザラだし、賞金稼ぎなんて言う連中が食っていける理由でもある。

 

「とりあえず、俺を雇ってくれるってところがあるから、そこでガキ相手にデュエル教えるのもいいんじゃないかなってな。

 ついでに自分がどこまでやれるか、腕試しするのも悪くない」

「それって結局、賞金稼ぎと変わらないじゃないですか」

「全然違うさ。俺は俺のやりたいことだけをやるんだ」

 何とも自分勝手な物言いだが、プロの業界にいたことで自分なりに整理がついた。

 

「講師ってのも案外悪くないのかもしれないしな」

 俺がそういうと、着信音が鳴った。

 アタッチメントの通話画面を呼び出し、相手を確認する。

 電話の相手は塾長だった。

 

 

「もしもし、どうかしましたか塾長」

『ああ、茂樹君。悪いね、移動中かい?』

「ええ、事務所を出たところです」

 プロリーグも終わり、今日は顔を出すと塾長に伝えているから連絡がきたこと自体はさほど不思議ではなかった。

 

『これから予定はあるかい?』

「……新田さん次の予定はいつ?」

「茂樹さんが事務所止めるって言い出してから仕事減ってるんで、明後日ですかね」

 新田さんは即座に答えた。

 

「そうっすか。だそうですけど、塾長」

『よかった、急ぎの用が無いのならスズナ君に声を掛けてくれないかい?

 さっき不穏なメールが届いてね、何やら面倒事に首を突っ込むらしい。

 僕はこれから例の企画の打ち合わせがあって力に成れそうにない。』

「スズナが? あいつ確か遊助んところに遊びに行ってるって聞いたんだけど、どうなんすか?」

『先日の一件は伝えたとおりだよ。

 丁度ユリちゃんもいる。彼女のことだから、ユリちゃんも巻き込みそうだなぁ。』

「……ちょっとユリちゃんが心配なんで、俺行ってみてきますわ」

『ああ、そうしてくれると助かるよ。』

 俺は通信を切ると、新田さんに言った。

 

「悪いけど、駅までお願い」

 

 

 

 

 特急で三十分、鈍行を乗り継ぎ遊助の家の最寄りの駅に着くと、俺はスズナに電話を入れた。

 

『はいはい、こちら飯島でーす。』

「おいスズナ、何やらかそうとしてやがる。俺も一枚噛ませろ」

 向こうからは楽しげな返答があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、こいつらは目の前で何かしたわけじゃないんで連れてきた奴は押し込んでおいたぜ」

 スズナさん達C班は簡易テントを押し込まれ、ガラの悪そうな元暴走族の人たちに睨まれ怯えている不良達を示した。

 

「ありがとう、情報を引き出し、ことが終われば警察に引き渡そう」

「残念だが、連中はもうすでに奪ったカードを持っていなかった」

「仕方がない。それに彼女のカードを奪い返せば終わりというわけでもない」

 私は肩を落として意気消沈している彩貴くんを見やる。

 隣には木村くんが不安げに彼を見ていた。

 

「会長、D班とE班も交戦を開始したようっす」

「位置は?」

 私はすぐにテーブルの上の地図を確認し、指示を飛ばした。

 それらが終わった頃だった、彼が現れたのは。

 

 

「おッ、なんだこれ、こんな街中でキャンプでもやってんのか?」

 それは着崩した悪趣味な紫色のスーツを纏った見るからにチャラチャラした茶髪の若い男だった。

 

「おッ、茂樹さん!! ホントに来たのか!!」

 私の横で地図に情報を書き込んでいたスズナさんが喜色を浮かべた。

 

「よぅ、スズナ。ユリちゃんもこっち来てるんだろ?

 何やってるか知らないが、遊助と一緒に飯食ってゲーセンでも行こうぜ」

 彼女の声に彼も手を挙げて応じた。

 

「茂樹さん、なんでここにいるの? お仕事どうしたのよ」

「お、ユリちゃんおひさー。

 最近仕事減らしてるんで、ちょうど時間が空いたからこっちに来たんだよ。

 ってか、お前が失踪したって聞いたときはこっちも心臓止まるかと思ったんだぞ、このやろー」

「ちょ、軽々しく頭触んないでよ!!」

 ユリちゃんと年の離れた兄妹みたいな様子で接する彼と彼女らの関係性というのは、傍から見れば疑問が浮かぶ。

 

 

「あの、スズナさん、彼は?」

「あああの人は、弾 茂樹っていうプロデュエリストだ。

 私のバイト先のデュエル塾によく講師としてきてくれるんで、仲のいい隣の兄ちゃんみたいな人だ」

「プロだって? そんな人まで戦力に出来るのなら頼もしいが」

 流石にそれは無理だろう。

 プロというのはしがらみが多いものだ。

 心配して見に来ただけだろう。

 

「せ、生徒会長、し、知らないんですか?」

「うむ?」

 振り向くと、彩貴くんが信じられないものを見たという表情であわあわしていた。

 

「有名人なのか?」

 プロと言ってもピンキリなのだ。

 講師として箔を付ける為にプロの資格を取る者も居れば、立身出世の為の切手とするものもいる。

 それでも狭き門であることには変わりないのだが。

 

「プロ三年目でプロデュエリストの登竜門である新人プロデュエリスト大会で華々しく優勝!!

 若手プロのトップデュエリストとしてテレビにも引っ張りだこの弾 茂樹じゃないですか!!

 すごい有名人ですよ、なんで知らないんですか!?」

「すまない、テレビはあまりみないのだ」

「ぼ、僕もテレビはあんまり……」

 私と同じで木村くんもテレビには疎い様子だった。

 

「いろんな雑誌の表紙とか飾って、曲とかも出しているのに本当に知らないんですか?」

「おい、曲のことはやめてくれ」

 すると、茂樹プロは慌ててそう言った。

 

「あれはクソ企画だった。

 俺はアイドルどころかただのデュエル屋だってのに、素人の歌なんて誰も聞きたくないだろうにさ。

 カラオケ番組のゲストでいい感じに歌えてしまったばっかりに……」

「さ、サインください!!」

「勿論、サインを断らないのが俺のモットーなんだ。

 だから曲の話はやめような」

 茂樹プロはそれはもう、彩貴くんの色んなものにサインを書きまくった。

 その間に彼は事情を把握に努めていた。

 

 

「なんか塾長から面倒事に首突っ込んでるって聞いたから来てみたけど、この様子じゃ大丈夫そうだな」

「なんだ、帰るんですか茂樹さん」

「まさか、俺にもやらせろ。

 プロになる前はストリートデュエルでならしたもんだ。久々に腕が鳴るぜ」

「茂樹さんまで……」

 むしろやる気になっている茂樹プロに、ユリちゃんは呆れ顏だ。

 

「あ、あの、姉さんも茂樹プロの大ファンなんです!!

 姉さんの為に茂樹プロが戦ってくれたと知ったら嬉しさのあまりに気絶しちゃうかも……!!」

「ははは、大げさだなぁ」

「僕も姉さんも、茂樹プロみたいなプロデュエリストになるのが夢なんです!!

 こうして出会えてとても光栄です!!」

「うーん」

 すると、茂樹プロのにこやかな笑みに影が差した気がした。

 

 

「それはおススメしないかなぁ」

「えッ」

「悪いことは言わないよ。

 ただプロの世界は夢を叶える場所じゃなく、誰かに夢を与える場所なんだ。

 俺はそれを間違えて業界を去った人を何人も見ている」

 茂樹プロはその長身を屈ませて、視線を合わせ彩貴くんにそう言った。

 

「君にこの業界は似合わない」

 彼はその言葉を、呆然としたまま受け取った。

 

 

「茂樹プロ、できればひと試合ご教授願いたい」

「おっ、いいな。本当は仕事以外で素人とのデュエルは受けちゃいけないことになってるんだけど、プライベートだしな」

 茂樹プロは一も二も了承してくれた。

 思った通り気さくな人物らしい。

 

 私と彼は公園の中央に来ると、お互いにデュエルディスクを展開した。

 

 

 

 

 

      「「デュエル!!」」 

 

 

 

 

「先攻は俺だな、俺は『弾幕少女 紅白の巫女』を召喚」

 巫女装束の少女が彼の前に現れた。

 

『弾幕少女 紅白の巫女』攻1900

 

「このカードは1ターンに一度、デッキから『弾幕』魔法・罠カードをセットできる。

 俺はデッキから永続魔法『弾幕展開』をセットし、発動する。

 このカードの効果により、1ターンに一度、自分フィールドの『弾幕』モンスターは次の相手のターン終了時まで攻撃力300ポイントアップする」

 

『紅白の巫女』攻1900→2200

 

「カードを二枚セットし、ターンエンドだ」

 

 茂樹 LP4000

 場  『弾幕少女 紅白の巫女』攻2200

 魔罠 □■■■□ 『弾幕展開』 セット セット

 手札 □□

 

 

「私のターン、ドロー!!」

「生徒会長!! 茂樹さんはめっちゃ強いから、盤面が整う前に決めた方がいいぜ!!」

「おいスズナてめぇ……いや、それくらいの助言あってないようなもんだけどさ」

 茂樹プロは横目でスズナさんを睨むが、すぐに視線をこちらに戻した。

 

「元より、私が狙うのは短期決戦のみ!!

 私は『紅き宝石魔術師』を召喚!!」

 

『紅き宝石魔術師』攻1700

 

「このカードが召喚に成功した場合、デッキから儀式魔法を手札に加えることができる。

 私は『聖杯探査』を手札に。このカードは永続魔法ながら儀式魔法としても扱う。

 永続魔法『聖杯探査』を発動し、その効果を使用する。

 1ターンに一度、手札から召喚条件を無視して『英霊』儀式モンスターを儀式召喚する。

 儀式召喚!! 現れろ、数多の伝説を持つ騎士たちを束ねる王!! 『剣の英霊 伝説の騎士王』!!」

 我が眼前に最強の騎士が降臨した。

 

「マジかぁ……」

 それを見て、茂樹プロは頭を掻いた。

 

「やべぇよスズナ、俺プロモ用のデッキで始めちまった」

「ああうん、私も予想外だった。

 遊助の奴が暇があったら生徒会長とデュエルすると驚くぞとか言ってたが……そうかぁ」

「素人相手に無様に負けたら笑ってあげますよ、茂樹さん」

「いやね、そもそもこの世界にプロとアマに差があるのかっていう。

 皆ガキの頃からデュエル仕込まれてるのにさ」

 仲のいい三人は小声で何やら言い合っていた。

 

「どうかしましたか?」

「あ、いいや!! 悪いね、こっちの話だから。続けて!!」

「はい。

『紅き宝石魔術師』は、フィールドの『英霊』儀式モンスターの攻守は500上げる」

 

『伝説の騎士王』攻3000→3500

 

「『紅き宝石魔術師』の更なる効果、一度だけ魔法・罠カードを破壊するか、相手モンスターの表示形式を変更できる。

 私は魔法・罠カードを破壊する効果を選択。左端のカードを破壊願う」

「おっと、こっちか。対象に選択されたリバースカードオープン!!

 トラップカード『気合回避』だ。このターン、『弾幕』モンスターを対象とする効果を受けず、戦闘で破壊されない」

「ならば、手札から『裁定者の英霊 旗持つ聖少女』を捨て、発動する。

 デッキから装備魔法『契約の呪印』を手札に加える。

『契約の呪印』を発動し、『紅き宝石魔術師』に装備する。

 そして、『契約の呪印』の効果発動。1ターンに一度、『英霊』儀式モンスターを選択し、三つの効果から一つの効果を選択して適用できる。

 私は選択したモンスターのカード名を持つ『英霊宝』魔法カードをデッキから発動する効果を選ぶ。

 私はライフを2000払い、デッキから『英霊宝 星の聖剣エクスキャリバー』を発動する!!

 相手フィールド上のすべてのカードを破壊する!!」

 

 生徒会長 LP4000→2000

 

 眩い聖剣の輝きが相手フィールドを一掃する。

 

「なに!?」

 だが、『紅白の巫女』は涼しげな表情でそれを避けたのだ。

 

「リバースカードオープン。

 速攻魔法『術符の宣言』を発動。自分フィールドに存在する『弾幕』モンスターを選択し発動できる。

 俺は『紅白の巫女』を選択し、そのカード名が記された『術符』カードを手札に加える。

 俺は『術符 夢幻封呪』を手札に。

 そして、『弾幕展開』を効果を発動。

 自分フィールドの『弾幕』モンスターの攻撃力を300アップする」

 茂樹プロは淡々とカードの処理を進める。

 

「まず、『弾幕展開』の効果で『紅白の巫女』の攻撃力が次の相手のターン終了時まで300アップする。

『弾幕』魔法・罠カードの効果が発動された為、『紅白の巫女』の効果が変化する。

 このターンの終了時まで、『紅白の巫女』は相手の効果を受けない。

 そして、『弾幕展開』が墓地に送られた為、レベル4以下の『弾幕少女』を手札に加える。

 俺は『弾幕少女 白黒の魔砲使い』を手札に加える。

 

『紅白の巫女』攻2200→2500

 

 

『弾幕少女 紅白の巫女』

 ☆4 地属性 魔法使い族 攻守 1900/1500

 このカードの(1)と(2)の効果は1ターンにいずれかしか使用できない。

(1)1ターンに一度、デッキから『弾幕』魔法・罠カードを一枚選んでセットできる。

(2)魔法・罠ゾーンに『弾幕』カードが存在する場合、1ターンに一度発動できる。

 デッキから『弾幕妖怪』モンスター1体を選んで手札に加える。

(3)このカードは『弾幕』魔法・罠が発動したターンのみ、攻撃宣言できる。

(4)『弾幕』魔法・罠が発動した場合、ターン終了時までこのカードの(1)と(2)の効果は発動できず、このカードは相手の効果を受けない。

 

 

『弾幕展開』

 永続魔法

『弾幕展開』はフィールドに一枚しか存在できない。

(1)1ターンに一度、発動できる。

 自分フィールド上に存在する『弾幕』モンスターの攻撃力は次の相手のターン終了時まで300ポイントアップする。

 この効果は相手のターンにも使用できる。

(2)フィールドに表側表示のこのカードが墓地に送られた場合に発動できる。

 デッキからレベル4以下の『弾幕少女』モンスターを手札に加える。

 

 

「く、実質一枚も損害は無しか。

 バトルフェイズに突入する!!

『伝説の騎士王』は一度だけ相手のカードを手札に戻すか、ダイレクトアタックできる。

 私はプレイヤーにダイレクトアタックを選択!!!」

 凛々しい騎士王が突風を纏って茂樹プロに突撃する!!

 

「……それ宝具撃った後に使えないんじゃ……あ、いや、なんでもない。

 手札から『弾幕少女 紅霧屋敷のメイド長』を捨てて効果発動。

 このカードは『紅霧』モンスターを攻撃対象に選択された場合か、相手のダイレクトアタック宣言時に手札から捨てて発動できる。

 その攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる」

 その刃が届く寸前に、メイド服の少女が現れたと思うと攻撃が空振りした。

 

「……一太刀浴びせることもかなわずか」

「いやいや、こっちは冷や汗もんだって。

 こんなに瞬発力の高いデッキに遭遇したのは久しぶりだよ。

 判断力も悪くないし、遊助が本丸を任せるのもわかるわ」

 茂樹プロはそういって額の汗をぬぐった。

 

「だが、得てしてそういうデッキは防御に割くカードは減っちまうもんだ」

「……私はターンエンドです」

 図星だった。私の守りは目の前に立つ強壮な騎士と魔法使いのみだ。

 

「だが、そう簡単に突破できるとは思わないでください」

「そういうセリフは効果無効化系のカードで制圧してからいうもんだ。

 悪いが次のターンが回ってくると思わないことだ。

 俺のターン、ドロー。

 俺は魔法カード、『術符 夢幻封呪』を発動する。

 このカードは『紅白の巫女』が存在する場合にのみ発動できる。

 相手の表側表示のカードを全て無効にし、このターン、相手はカードの効果を発動できない」

「出たよ鬼畜カード」

「あんな緩い条件で相手のみのネオタキオン効果とか」

「外野、うるさいぞ。

 ……これで『伝説の騎士王』の攻撃力は元に戻るな」

 

『伝説の騎士王』攻3500→3000

 

「俺は『弾幕少女 白黒の魔砲使い』を召喚」

 

『弾幕少女 白黒の魔砲使い』攻2000

 

「『紅白の巫女』の効果発動。デッキから永続魔法『弾幕戦闘規定』をセットし、発動する。

 このカードが存在する限り、『弾幕少女』の攻撃力は300アップする。

 

 更に手札からフィールド魔法『妖魔の楽園 忘却の秘境』を発動する。

 このカードが存在する限り、お互いに戦闘でモンスターを破壊されず、『弾幕』モンスターがモンスターとの戦闘で発生するダメージは二倍になる。

 そして、自分フィールドの種族一種類につき200ポイントずつ攻撃力がアップする」

 

『紅白の巫女』  攻1900→2400

『白黒の魔砲使い』攻2000→2500

 

「バトルだ、『白黒の魔砲使い』で『紅き宝石魔術師』を攻撃」

 箒に跨る魔女風の少女がデフォルメされた星屑をまき散らしながら『宝石魔術師』に突貫する。

 成す術なく彼女は尻餅を付いた。

 

 生徒会長LP2000→400

 

「『弾幕戦闘規定』の効果により、戦闘ダメージが発生したプレイヤーは、戦闘を行ったカードをデッキに戻す。

 そして『紅白の巫女』で『伝説の騎士王』を攻撃!!」

「だが攻撃力はこちらが上回っている!!」

 私は敗北を確信していたが、お約束なのでそう口にした。

 

「『忘却の秘境』の更なる効果。

 弾幕モンスターが戦闘を行う場合、元々の攻撃力はレベルまたランクが低い方と同じになる」

 

 

『妖魔の楽園 忘却の秘境』

 フィールド魔法

(1)お互いに戦闘でモンスターは破壊されず、『弾幕』モンスターがモンスターとの戦闘で発生するダメージは二倍になる。

(2)自分フィールドの『弾幕』モンスターの攻撃力・守備力は自分フィールドの種族の種類×200ポイントアップする。

(3)『弾幕』モンスターが戦闘する場合、元々の攻撃力はレベルまたはランクの低い方と同じになる。

 

 

『紅白の巫女』が投げた牽制の呪符を振り払った『騎士王』に、彼女のキックが炸裂した。

 これにも伝説の騎士王も形無しで、あえなくデッキへと戻っていった。

 

 生徒会長LP400→0

 

 勝敗を告げるブザーが鳴る。

 

 

「納得の強さでした。これで本気のデッキではないとは恐れ入る」

「君も卒業したらすぐにプロ試験受けなよ、絶対一発合格だからさ」

 私は茂樹プロと固い握手を交わした。

 

「できれば、いずれ本気のデッキで手合せ願いたいものです」

「やめといた方が良いよ、この人の身内用のガチデッキはえげつないから」

 ユリちゃんが半眼で彼を睨んだ。

 

「はっはっは、賭けデュエルで俺が容赦するわけないだろ!!」

「クッキーの一束の為に剥きになるくらいだもんな!!」

「それをファンの前で言うなよ!!」

「ほかにも……」

「このやろ!!」

 逃げるスズナさんに、追う茂樹プロ。

 

 

「生でプロのデュエルを見れるなんて……感激だね!!」

「……うん、そうだね……」

 木村くんの満面の笑みに、彩貴くんは歯切れ悪く笑い返した。

 

 こうして、強力な戦力が我が陣営に加わったのだ。

 

 

 




ちなみに、冒頭の占いは他の転生者全員分考えています。
でも出すタイミングが見当たらない・・。占い特集の話でも書こうかしら。
まあ、その辺も需要があればってことで。

自分がADSをすると相性の悪いデッキによく出会う印象。
それでは、また。
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