何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!? 作:やーなん
今回からエンドフェイズの手札やフィールドの状況を簡易的に表してみました。
分かりやすくなれば幸いです。
「私のターンね、ドロー」
翔子がカードをドローする。
あいつも相手が一応初心者ではないとはいえ、後輩相手に手心加えるくらいの心の大きさは……。
「私は手札から、『魔法少女の先達』の効果を発動。
このカードを特殊召喚し、デッキから『魂の宝玉』を手札に加える。
相手はこのカードの特殊召喚に対し、手札・フィールドからレベル4以下のモンスターを墓地に送ることで、このカードを手札に戻すことが出来る」
あ、こいつ手加減する気無いわ。
『魔法少女の先達』
☆4 地属性 魔法使い族 攻守 0/0
『魔法少女の先達』の(2)の効果による特殊召喚は、1ターンに一度しか使用できない。
(1)このカードは通常召喚できず、デッキから特殊召喚もできない。
(2)このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この効果で手札からの特殊召喚に成功した時、デッキから『魂の宝玉』を一枚手札に加えることが出来る。
(3)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手は手札・フィールドからレベル4以下のモンスターを墓地に送ることで、このカードを手札に戻すことが出来る。
金髪縦ロールの女の子が優雅に召喚された。
ここまでくれば翔子が使うデッキの元ネタが理解できる者も多いだろう。
多くの視聴者にトラウマを植えつけた彼女である。
「えっと、墓地に捨てれるカードはありません」
「……木村くん、墓地に送ると捨てるは違うから気を付けてね。
それにわざわざ捨てれるカードは無いなんて教える必要はないんだよ。
該当するカードが無い時は、その効果を使用しないと宣言するだけでいいんだ」
「あ、そうなんですか……」
「墓地送りが強制効果だったら手札を公開しないといけない場合もあるけどね。
そこまでエグイ効果のカードはあんまりないから、覚えておくだけでいいけど」
余談はそこまでである。
「私はそのまま『魂の宝玉』を通常召喚」
こっちの説明が終わったのを見計らい、翔子がプレイを再開する。
『魂の宝玉』
☆4 光属性 魔法使い族 攻守 0/0
チューナー・効果モンスター
このカードはS素材とする場合、『魔法少女』モンスターのS召喚にしか使用できない。
(1)このカードがS素材として使用された場合、墓地には行かず永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに置くことが出来る。
(2)このカードが墓地に存在し、自分フィールド上に『魔法少女』Sモンスターが存在する場合、自分のメインフェイズに発動できる。
このカードを永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンに置くことが出来る。
この効果で永続魔法扱いとしたこのカードがフィールドを離れる時、このカードは除外される。
この効果はこのカードが墓地に送られたターンには使用できない。
(3)自分フィールド上の『魔法少女』Sモンスターはこのカードが墓地または除外ゾーンに存在し、フィールド上に『魂の宝玉』が存在しない場合、攻撃宣言をすることも表示形式も変更できず、効果を発動することもできない。
「チューナーモンスター? ……シンクロ召喚!?」
「そうよ、私はレベル4の『魔法少女の先達』に、レベル4の『魂の宝玉』をチューニング!!」
残念ながら変身バンクはありません。
アニメみたいに白い輪っかを潜り抜けるだけです。
「切なる願いの元に、新たな力と奇跡は訪れる。シンクロ召喚!!
―――レベル8、『銃砲のベテラン魔法少女』ッ!!」
翔子はエクストラデッキから、白枠のカードを取り出し、フィールドに置いた。
『銃砲のベテラン魔法少女』
☆8 地属性 魔法使い族 攻守 2800/2100
シンクロ・効果モンスター
『魂の宝玉』+『魔法少女の先達』
『銃砲のベテラン魔法少女』はフィールド上に一枚しか存在できない。
(1)このカードがS召喚に成功した時、発動できる。
このカードは次の相手のターン終了時まで相手のカードの効果を受けない。
(2)1ターンに一度、相手フィールド上のカードを一枚を選択し、発動できる。
そのカードを破壊する。破壊したカードがモンスターの場合、そのカードの元々の攻撃力の半分のダメージを与える。
(3)このカードが相手によって破壊された場合、発動できる。
デッキから『魔法少女の先達』以外の『少女』魔法使い族カードまたは『契約を齎す者』を一枚手札に加える。
翔子のモンスターは大量展開が難しい代わりに、どいつもこいつも効果がぶっ壊れてやがる。
そのくせ安定性が高く、疑似的なピーピングやハンデスも備えている。
ダメージソースがシンクロ召喚に依存している点や、バック(防御カード)が薄くモンスターの維持が難しいところが欠点としてあげられる。
だがそれを有り余って火力が高いんだよなぁ……。
「『魂の宝玉』は墓地へは行かず、永続魔法扱いとしてフィールドに残る。
そして私は『銃砲のベテラン魔法少女』を使用し、その厄介そうな永続魔法をを破壊させて貰うよ」
「これですね? ではその効果に対し、速攻魔法を発動させてもらいます!!
『銃砲のベテラン魔法少女』は今はこっちのカードの効果で移し替えても意味ないから、対象を『魂の宝玉』に変更する!!」
速攻魔法
(1)自分フィールド上の
その効果を相手フィールドの正しい対象へと変更する。
『銃砲のベテラン魔法少女』の持つマスケット銃から放たれた弾丸は真っ赤なマントに跳ね返されて魔法・罠ゾーンに表示されていた『魂の宝玉』を砕いて終わった。
ていうか、この時点で原作的に『銃砲のベテラン魔法少女』は自壊しそうなものだが……おっと、こっちの世界は前世にあった作品とは一切の関係がありません。
それにしても、相手に自分のカードの対象を移し替えられて破壊された場合、それって相手によって破壊される扱いなのだろうか。
対象を移し替えるカードもあんまり見ないからそのあたりは分からねぇ、あとで先生にでも聞くか。
「うーん、墓地に送られたターンは『魂の宝玉』は魔法・罠ゾーンには戻せない。
『銃砲のベテラン魔法少女』も攻撃できないし、仕方がないがこのターンは終わりにさせて貰うよ」
結局モンスターを棒立ちのまま翔子はターンエンドしてしまった。
翔子 LP4000
場 『銃砲のベテラン魔法少女』攻2800
魔罠 □□□□□
手札 □□
「では僕のターン、ドロー。
うーん、このターンまでこっちのカードの効果を受け付けないのなら、そうだね。
僕は
デッキから
僕が公開するのは、
「またそのカード……また真ん中を選ぶわ」
「選択されたカードは、
公開したのと同名のカードなので手札に加え、手札から魔法カード
通常魔法
(1)手札の
このカードの効果で相手に見せたカードと同名のカードはこのターン使用できない。
「僕は手札の
『フレンドキャットロボ』を攻撃表示にし、バトルです」
「自爆特攻……?」
「いいえ、先ほど手札に加えた速攻魔法
速攻魔法
このカードはバトルフェイズにのみ発動できる。
(1)発動ターンによって以下の効果を適用できる。
●自分のターン:このターン、
●相手ターン:相手フィールド上のモンスター一体を選び、自分はコントロールを得て表示形式を変更する。
そのモンスターは表示形式を変更できない。
「僕は真辺先輩にダイレクトアタックです!!」
「うッ……」
猫型ロボの丸っこい手に装着された一対の手袋が相手モンスターを無視して見えない打撃を翔子に与えた。
お茶の間のお子様には決して見せられない光景である。
翔子 LP4000→2750
「僕は一枚カードを伏せて、ターンエンド」
木村 LP4000
場
魔罠 □■■■□
手札 □□
「…………私のターン。ドロー」
翔子は木村くんが何をしたいのか意図が読めないのだろう。
あいつの疑念も当然だ、これだけサーチを多用して、動きが鈍すぎるのだから。
今のマジックアームも伏せて相手ターンに使った方がリターンは大きいし、次のターン攻撃できる攻撃力2800のモンスターの前に攻撃力1250のモンスターを晒すという状況。
誘っているように見えるだろう。
俺だってもっと効果的な使い方をする。あのデッキを知らなければ。
翔子が同じくらいサーチをすれば、あと二回は確実にシンクロ召喚できているはずだもんな。
俺からすれば、二人ともサーチ手段が豊富なのは羨ましい限りなんだが。
「私は墓地の『魂の宝玉』の効果発動。
墓地のこのカードを永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンに置くことが出来る。
ただし、この効果でここに置いたこのカードがフィールドを離れる時、除外される。
これで『銃砲のベテラン魔法少女』の効果が使用できる!!
私は左の伏せカードを選択し、破壊する!!」
「対象にされた伏せカードをオープン!!
速攻魔法、
デッキからモンスター扱いにできる
僕はデッキから
速攻魔法
(1)デッキからモンスター扱いとして特殊召喚できる
通常魔法
(1)このカードは発動後、モンスターカード(機械族・地・星1・攻250/守250)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。
(2)モンスター扱いとしてフィールド上に存在するこのカードが破壊され、墓地に送られた場合に発動できる。
墓地に存在する
「見事に伏せはフリーチェーンのカードばかり……認めざるを得ないわねえ、遊助のアドバイスはきっと的確だったと思うわ。とても攻め難いよ……」
「俺は助言しただけさ、カードを選んでデッキを作ったのは間違いなく木村くんだぜ」
翔子は知らないだろうが、俺の前世には甲虫装機と呼ばれるカテゴリーが一時代を築き上げたことがある。
大会上位はすべて甲虫装機、甲虫装機。その有様から遊戯王ではなく同じカブトムシをテーマとしたカードゲームであるムシキングだと揶揄されたくらいだ。
伏せ除去に長けたそのカテゴリーの所為で、ヴェーラー握ってない方が悪い、なんて言葉も耳にするようになった程だ。
俺的にカオス、ゴヨウラインに並ぶ遊戯王暗黒時代の一つだと思う。まあ、その後にも魔導書とか征竜とかいろいろあったけど。
……おっと、どうでもいい話だなこれは。
とりあえず、俺は学校では習わないアドバンテージの概念を入念に木村くんに教え込んだ。
破壊されても損失が少ないカード、一対一で相手と損失を交換できるカードなどなど。
この世界の住人はアニメ世界同様ライフアドやボードアドを重視するようで、強力なカードでフィールドを制圧し、ゲームを有利に進めていくことを好む傾向にある。
それ自体間違ってはいないと思うが、俺としては仕留めきれなかった時のケアを重視したいと思っている。
打点の低いデッキを使っているせいで慎重にゲームを進めないといけないからだ。
「ここは少しでもダメージを与えておこうかな。
バトルよ、『銃砲のベテラン魔法少女』で、
翔子の攻撃宣言、対し木村くんにカードの発動の意思はない。
木村 LP4000→2450
あ、これはマズイ。
翔子相手にライフが2500を下回るのは非常にマズイ。
「速攻魔法発動、
このカードは、戦闘で破壊された、
速攻魔法
(1)このカードの効果が発動したターン終了時まで、
(2)このカードは自分のターンに発動することは出来ず、発動したターンはこのカードの効果以外で相手にダメージを与えることはできない。
翔子 LP2750→350
全体的に低ステータスだからこのライフ4000世界でも許される強力なバーン効果だ。
木村くんは恐らくダメージレースで勝てる自信があるのだろう。
その為に強力なカードを手札に呼び込んでいるのだから。
だが、一見有利に見えても一瞬ですべてがひっくり返ることがあるのがこのゲームなのだ。
しかもこういうことはあまり言いたくないが、翔子のライフは350。
遊戯王アニメ業界で言うところの『鉄壁』と言うやつだ。
主人公補正が働いたりなんだりして、ライフが500以下になると絶対に減らなくなるというイヤボーン並みのお約束と言える。(例外あり)
だが待ってほしい、翔子に、翔子なんかに主人公補正があるだろうか? いや無い。(反語
そもそも、俺もあいつもライフギリギリで逆転勝利なんてよくあることである。
そんなお約束なんかに気を取られるなんて
「僕は墓地に送られた
デッキから
僕が手札に加えるのは、
遊助先輩!! 僕、ちゃんとやれています、勝てそうですよ!!」
落ち着け木村くん、そこでフラグ立てるな!!
冷静に防御カードを手札に加えるプレイングには感心するぞ。
と言うか興奮しているせいか息苦しそうだぞ!!
体弱いんだから無茶するなよ!! ヤバくなったらネオタキオンするからな!!
ネオタキオンする 動詞
①デュエルを中断するということ。
語源 召喚されると必ずデュエルが中断されるというジンクスから →ネオタキオンドラゴン
用例 私の引いたカードは『RAM 七皇の剣』だ。これでいつでもネオタキオンを……はッ!?
……冗談はともかく、あいつ興奮してプレイングミスしやしないだろうな。
しょうがない、激励するか。
「落ち着け、次はお前のターンだ。
あとライフは350しかない。しっかりと考えて、確実に仕留めるんだ」
「はい、頑張ります」
ん? あれ、俺自分からフラグ立ててないか?
「うーん、どうしようかなぁ……。
悪手だけれど、しょうがない。私は手札から『恋惑い背中追う少女』を特殊召喚する。
このカードが特殊召喚された場合、デッキから『魂の宝玉』を一枚手札に加える。
あなたはこの時、私に任意の『少女』魔法使い族モンスターを墓地に送らせることで、このカードを手札に戻させることが出来るけど?」
「じゃあ、手札に戻してください」
「私はデッキから『悲壮なる決意秘める少女』を墓地に送る」
ああそう言えば、木村くんには墓地アドについてあまり教えてなかったな。(フラグ)
彼のデッキってあまり墓地に依存しないタイプだし、次にでもいいか。(フラグフラグ)
『恋惑い背中追う少女』
☆2 水属性 魔法使い族 攻守 0/0
『恋惑い背中追う少女』の(2)の効果での特殊召喚は1ターンに一度しか使用できない。
(1)このカードは通常召喚できず、デッキから特殊召喚もできない。
(2)このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる、
この効果で手札からの特殊召喚に成功した時、デッキから『魂の宝玉』を一枚手札に加えることが出来る。
(3)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手はこのカードを手札に戻すことができる。
この効果でこのカードが手札に戻った時、自分はデッキから任意の『少女』魔法使い族モンスターを墓地へと送る。
「私はカードを一枚伏せて、ターンエンド」
翔子 LP350
場 『銃砲のベテラン魔法少女』攻2800
魔罠 □□■□□
手札 □□
「僕のターン、ドロー!!」
木村 LP2450
場
魔罠 □□■□□
手札 □□□□
木村くんのハンドアドは万全だ。
翔子のバックは薄い。このターンで決められるだろう。……うん、きっと。
「今こそ決めます!!
道具の行く末、科学の最果ては魔法に等しい!!
魔法発動ッ、
「ついに来たわね、後生大事に手札に抱えていたそのカード」
言うまでもなく、木村くんの切り札だ。
「このカードは発動後、デッキトップを五枚公開する。
その後、この効果で公開したカードまたは墓地の中から
「は、はぁ!?」
翔子が目を剥くのも無理はない。
ある程度限定的とはいえ、デッキも墓地も自由にカードを使用できるなんて、まさに夢のようなカードである。
前世の世界で墓地から魔法カードを回収するカードがことごとく禁止カードにぶち込まれていることを考えれば、どれほどイカレた効果を持っているか理解できるだろう。
そして何よりサーチできる。
しかし、当然ながら重いデメリットも課せられている。
翔子もデュエルディスクを操作し、今発動したカードの公開情報を確認している。
通常魔法
(1)このカードの発動後、セットされたカードを手札に戻し、自分はデッキトップを五枚公開する。
このターン終了時まで、この効果で公開したカード及び墓地のカードを一枚選び、手札として使用できる。
(2)このカードの発動から自分のドローフェイズを5回スキップする。
(3)このカードが墓地に送られたターン終了時、このカードが墓地に存在する場合に発動する。
自分の墓地のカードを全てデッキに戻す。この効果は無効にできない。
このカードが墓地に存在する限り、自分はカードを召喚・セットすることはできず、デッキからカードを手札に加えることもできない。
このカードを切り札に、どうデメリットと上手く付き合うか相談した結果、フルマジックのデッキが出来上がったというわけだ。
ドローが出来なくなっても大丈夫なように、サーチを豊富にした。
ちなみに翔子は三枚積みだと思っていたようだが、こんなリスクの高いカード三枚も詰めるか。二枚だけだよ。
『超次元空間収納ポケット』で、三分の二、三分の一を見事引き当てた翔子ちゃんでした。
「なるほど……墓地が過去、場と手札が現在、デッキが未来ってことなのね」
「その全てを自由に行き来できるから、タイムマシーンなんですよ。
ではデッキトップから五枚を公開します。
一枚目、
公開されるカードを宣言する度に、木村くんの表情が若干曇った。
二枚は
墓地にあるカードで今使って有用なカードは無い。
そうなると木村くんの手札次第だが、ジャッジモニターから確認すると俺は思わず閉口した。
あかん、これ完全にプレイミスだ……。
三枚ある彼の手札はこうだ。
たったライフ350が削れない……。
「僕は……・デッキから公開した通常魔法、
お互いのプレイヤーは……それぞれの効果を適応します」
あ、一気に木村くんのテンションガタ落ちだ。
通常魔法
(1)お互いのプレイヤーは以下の効果をそれぞれに適用する。
●自分:相手フィールド上の表側表示のカードを選んで墓地に送り、そのカードがモンスターなら相手は墓地に送られたカードのレベル・ランク以下のレベルを持つカードをデッキから特殊召喚する。
それ以外のカードなら相手は一枚カードをドローする。
●相手:このカードのコントローラーの手札を確認し、一枚選択して墓地に捨て、可能ならばもう一枚をデッキの上に戻す。
「あッ……」
翔子はすべてを察した。
本来なら対象の取らない墓地送りという優秀な効果であり、手札のカードを一枚になるまでセットして使うのが主な用途だ。
実際、翔子のフィールド上に存在する『銃砲のベテラン魔法少女』の三番目の効果に接触しないで墓地に送れる。
送れるのだが……いささか運が悪すぎた。
「『銃砲のベテラン魔法少女』を墓地に送ってください……」
「じゃあ、私はデッキから『慈愛と因果の少女』を特殊召喚するわ。
『ストーンキャップ』を墓地に送って、『マジックアーム』をデッキトップに戻してくれるかな」
そして彼の手札に残ったのは『夢の機械タイムマシーン』のみだった。
あれだろうか、『IF BOX』の元ネタは言うまでもなく原作屈指のチートアイテムだが、それを使うとの○太は大抵恥を掻く結果に終わる。
……そんなところまで再現しなくてもええやんか。
「ターン……エンド。
ターン終了時に、『タイムマシーン』の効果で、墓地のカードは……全てデッキに戻ります」
戦意喪失とはこのことであった。
なのに。
「私はリバースカードを開示する。
罠カード『魔法少女の宿命』を発動。墓地またはフィールド上の『魂の宝玉』を手札に戻し、墓地からシンクロモンスター以外の『少女』魔法使い族カードを特殊召喚する。
私はフィールドの『魂の宝玉』を手札に戻すが、このカードは墓地から永続魔法扱いとして置いた為、除外される。
そして私は墓地に存在する『悲壮なる決意秘める少女』を特殊召喚。
続けて『魂の宝玉』を通常召喚。そのままレベル4の『悲壮なる決意秘める少女』に、レベル4の『魂の宝玉』をチューニング。
終わり見えぬ旅路を歩む、決意と覚悟が明日を信じる希望となるッ!!
―――シンクロ召喚、レベル8『時迷い運命抗う魔法少女』!!」
黒髪をなびかせ、出てしまったよ、翔子のエースカード。
『時迷い運命抗う魔法少女』 攻2500
「このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠を全て持ち主のデッキに戻す。
『超次元空間収納ポケット』をデッキに戻してもらう。
シンクロ召喚に使用された『魂の宝玉』は墓地へは行かず、永続魔法扱いとなる。
そして、『慈愛と因果の少女』の効果発動。
1ターンに一度、墓地の『少女』カードをデッキに戻し、墓地または除外ゾーンから『魂の宝玉』を特殊召喚する。
私はレベル2の『慈愛と因果の少女』と、レベル4の『魂の宝玉』をチューニング。
優しき祈りは次元を超えて天を貫き、希望となって降り注ぐッ!!
―――シンクロ召喚、レベル6『因果集いし約束の魔法少女』!!」
ひ、一人でやってるよー……。
「『因果集いし約束の魔法少女』がシンクロ召喚に成功した時、デッキ・エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターは全てデッキへ戻る。
『リトルフレンドキャットロボ』をデッキに戻してもらう。
この効果にチェーンして、『時迷い運命抗う魔法少女』の効果発動。
このカードは1ターンに一度、自らを除外できる。同様に1ターンに一度、自身を除外ゾーンからフィールドに帰還できる。
デッキに戻る効果を回避したのちに、帰還させて貰う」
……すごい、このコンボ決まるの20回に一度くらいなのに。
『時迷い運命抗う魔法少女』攻守2200→2400
「『時迷い運命抗う魔法少女』は自身の効果で攻撃力を200ポイントアップする。
バトルだ、二人の魔法少女で、ダイレクトアタック!!」
木村 LP2450→0
勝敗を告げるブザーが鳴り響く。
もうやめて、木村くんの(精神的な)ライフはゼロよ!!
「よし、勝った」
「よし勝った、じゃねぇよ!! お前少しは容赦してやれよ!!」
周り見てみろよ、こっちのデュエルを観戦していた奴らドン引きしてるぞ。
「う、うう、勝てなかった……」
「気を落とすなよ、確かにプレミもあったが、あれは運が悪かった」
俺は木村くんを慰めた。
とは言え、せめて『超次元空間収納ポケット』で何かをサーチしていれば、展開は違っただろうに。
「とりあえず、今のデュエルは録画してあるから、戦術研究室で反省会しような?
俺の教え方についてもいろいろ反省点は分かったから」
「木村くんはよくやったと思うよ」
「だまらっしゃい、気の弱い木村を徹底的に叩きのめしやがって……お前は後で説教な。
そもそもこんな勝負はガチガチ女をデッキ調整のデュエルに誘うのが間違いだったんだ」
「ちょっと、誰がガチガチ女よ」
「お前以外にだれが居るよ。遊びの無いガチデッキばっかり組みやがって。ロマンの無いデッキのどこが楽しいんだか」
「あ、カチンときた。私のデッキを馬鹿にしたわね。もう許さない」
「お前のデッキを馬鹿にしたわけじゃないさ、その持ち主がガチガチ頭だっつってんだよ!!」
「あの、二人とも、喧嘩はそれくらいに……」
最終的に、俺たちは木村くんを挟んでお互いに威嚇しながら帰ることになり、周りの連中からはまたかと呆れられたのだった。
まず、こんな色物小説を読みに来てくれる読者の皆様に最大限の感謝を。
ちょっとしたプレミが致命的となり、結果負けるなんてことって結構ありますよね。私は結構あります。
熱く白熱したデュエルが書ければいいのですが、実際文字だけで緻密なデュエル小説を読むのって疲れますよね。
だから自分は大雑把にいきます。アニメだって大味なデュエル多いし。
それにしても、直接的なキャラの名称を使わない縛りをしてますが、そのキャラを率直に表せるカード名を考えるのが難しいですね。
でもシンクロ口上考えるの楽しいです。
そういえば某オリカウィキでまどマギのオリカ設定を置いてあるったのを拝見したことがあります。
向こうは儀式カテゴリーで、シンクロで魔女をやってました。
すごく感銘を受けたのですが、こっちも儀式で遣るのは二番煎じで面白くない。
じゃあ向こうが契約の儀式をコンセプトにするのなら、こっちはシンクロで魔法少女への変身をコンセプトにしよう、と言う感じで決まりました。
次回も、需要があれば続きます。
※サブタイトル付け忘れるとかどうかしてましたww
こんな時間まで書いているからかなぁ(深夜4時ww
需要があるのなら書きますよ、ええ。睡眠時間なんて放り捨てて、ね。