何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!? 作:やーなん
征竜・・今までありがとう(全員禁止ぷぎゃーwwwww
しかし最近環境に触れていないとはいえ、ネフィリムまで禁止とは・・シャドール好きなテーマだったのになぁ。
まあ、シャドールとか超電磁とかで出張できたし、仕方がないのかな。
今回は生徒会長の顔見世的なお話となります。
それでは、本編です。
「失礼します」
放課後、保健室から這い出てきた俺は翔子と木村くんを伴って、生徒会室へのドアを叩いた。
「入りたまえ」
言われた通り、俺たちは生徒会室に入室した。
中に入ると、生徒会長以外誰も来ていないのか、彼一人が奥の事務机で書類に目を通していた。
「えっと、生徒会長。俺たちはなんで呼びだされたのでしょうか」
「ああ、硬くならなくてもいいよ。罰則を犯した訳でもあるまいし。
それに私の任期も今月で終わる。畏まる必要もない」
メガネとスポーツ刈りが似合う怜悧なイメージを持つ生徒会長は、適当なところに座るように促した。
「まだ今年も五月ですが、もう引継ぎをなさるんですか?」
入学してひと月程度の木村くんがそう言った。
「珍しいかもしれないがこの学校の校風でね。
生徒にも早い段階でいろいろなことを任して行こうという方針なのだ。
まあ、不甲斐ないようなら元生徒会として卒業まで口を出していくつもりではあるが」
「あはは、後任も大変ですね」
「私の時もそうであったからね。容赦するつもりはないよ」
そう言って、生徒会長は目を通していた書類をまとめ、机の脇に置いた。
「では本題に入ろうか。
君たちはどこか部活に入るつもりはないのか?」
「えッ、部活ですか?」
ちなみに俺たちは放課後全員普通に集まれることから分かる通り、全員帰宅部である。
「いささか無遠慮だが、二人のデュエル中に君たちの戦績を見せ貰った。
須田遊助くん、本校在校中に940戦中797勝。これは全国平均から見てもかなり高い数値だ。
真辺翔子くん、君は中学生の頃は県大会でベスト16位以内に入ったそうだね。
そんな君たちが部活にも入らずにいる理由が知りたくてね」
「えッ、真辺先輩って中学デュエル県大会でベスト16位に入ったんですか!?
公式戦で成績を残しているなんてすごいじゃないですか」
生徒会長の言葉に木村くんは驚いた様子だった。
「付け加えるなら、あの時相性の悪い相手に当たらなければベスト4は確実だったって俺も周りも思っている」
「仕方がないわよ。運も実力のうちだし。
相性云々も避けては通れない道だもの」
「それに全国大会ならまだしも、高々中学の県大会だしな」
どこぞのピカ○ュウ連れたトレーナーのような微妙な戦績であるし。
強いことには変わりないのだが、結果を残せないのでは周りは認めないのだ。
「あのレベルの中学で県大会ベスト16は十分快挙であるとは思うのだが……おっと、他意はないよ」
「いいえ、構いません。団体戦ではものの見事に足を引っ張られましたし」
ちなみに団体戦では地区予選敗退である。本当にその程度のレベルなのだ。
「そんな彼女と、木村伸也くんはいい勝負をしたそうだね。君と彼女のデュエルは見させてもらったよ」
「あ、いえ、そんな、お恥ずかしいです。杜撰なプレイングばかりで……」
「そんなことはない、あの特異な構築とデュエルスタイルはとても衝撃を受けた。
それを初めての実戦であそこまで扱えるのなら及第点だろう」
「あれは……勝負は時の運と言いますし、それもこれも遊助先輩が僕にアドバイスをくれたおかげなんです」
「うむ、そのようだな」
頷き、恐縮したような木村くんから生徒会長は俺に向き直る。
「そして同様に、彼女の実力の根幹に居るのは君だね」
「なぜそう思うのですか?」
「見ればわかるよ」
「…………」
生徒会長の視線がクラスメイトどもが俺に向ける視線と同等なので居心地が悪くて何も言えなかった。
「違うのかね?」
「一応、こいつのデュエルの師匠とは言えますね。
俺は幼い頃からルールの呑み込みが早かったんで、誰にも勝てなくて泣いてたこいつにちょっと指導してやったくらいですけど。
そしたらこいつ一気に強くなりやがるんです。中学入るまでは負けなしでしたよ」
「それは君の功績であるとも思うのだが」
「ほら言うでしょう、十で神童十五で天才、二十歳過ぎればただの人って。
俺なんてただ、ルールの呑み込みが早いどこにでもいる男子高校生に過ぎないんですよ」
「なるほど、自分が天才やや未満であることは認めるのだな」
「いや、そう言うことじゃなくて……」
と言うか、生徒会長は何が言いたいんだ?
「あの、生徒会長。いい加減、本題に入ってくれませんか? 話の意図が読めません」
「ああ、そうだね。そろそろ本題に入ろうか。
君たちは特定の部活に入る気はないのだね?」
痺れを切らした翔子が尋ねると、生徒会長はそんなことを言ってきた。
「ええ、まあ」
「はっきりって、どの部活も私のレベルには会いませんでしたから」
「おい、はっきり言い過ぎだ」
「二人なら、もっとレベルの高い高校に入れただろうに」
「あ、俺はデュエル以外の筆記が駄目そうだったんで無理でした」
「そういった高校にデュエル特待枠の無いわけでもないと思うが?」
「……白状しましょう、ここに入ったのは家が近かったからです」
「自分も同じですね。私はスカウトされましたけど、全部蹴りました」
「やれやれ……」
これには生徒会長も苦笑い。
「話の腰を折るようで悪いのですが、遊助先輩は公式の大会には出なかったんですか?
先輩の実力なら、結構いいところまで行けると思うんですが」
「ああ、それな。俺も本当ならそうしたいんだが、どうにもコンボデッキというのは安定性を求められる大会じゃ活躍しにくくてな。
俺の勝率は八割ぐらいだが、実際は四度に一度は手も足も出ず負けるんだ。
俺は公式大会で三度目にそれを引き当てた。予選敗退だ。団体戦ではチームに入れてくれもしなかった」
「そうなんですか……」
「別に木村くんが落ち込むことじゃないだろう。人には向き不向き、デッキには得意不得意があるんだから。
俺には公式大会には向いていなかった、それだけの話だろ」
「ふむ、では自分の実力を試したいという意識はあるのだね?」
「そりゃあ、勿論です、会長。俺だって
俺が頷くと、生徒会長は笑みを深めた。
「それを聞いて安心したよ。
実は次の生徒総会、来週末のものなのだが、そこで私は我が校の生徒は全て部活に入部すべしという校則を提示する予定なのだ」
「え、そんな男子校みたいな……」
「私もそう思う、だがこれは学校側の意向なのだ。
実際問題、この学校の入部率は県内ワースト二位だ。学校の外に目を向ければ非行に走る生徒が我が校他校問わずに見受けられるありさまだ。
私はこの状況が改善されるまで仕方がないと思うがね」
「そうなんですか……」
確かに、俺や翔子が通学途中で不良に絡まれたのは一度や二度では無いが……。
「でも、生徒総会での議題提示ですよね。みんな反対されたら終わりじゃあ」
「木村くんの疑問は尤もだが、そこは長引かせればどうにでもなる。
最終的に生徒代表の
「うわぁ、黒い」
生徒会長の発言に翔子も思わず笑ってしまったようだ。
「全ての生徒というのは、生徒会の任を解かれた私でも例外ではない。
そこで私は新たな部活を創設したいと思っている。
後進を育成し、自らもデュエルの高みを求める部活だ。
そこに君たちも参加してくれると嬉しいのだが」
「しかし、会長、デュエル専門の部活なら他にも有ったはずですが?」
「それらが雑談の場としてしか機能していなければ、私はこんな提案をせずとも済んだんだがね。
彼らには悪いが、近いうちに地域の大会でもいいから実績を示してもらうことになる。でなければ廃部になるだろう」
「内容が被っていても、部活として成立すると?」
「書類で申請し、学校側に内容さえ通ればやることが近い部活が有ろうと問題はない」
生徒会長があまりにも正々堂々としているので、俺は携帯を義務付けられている生徒手帳を開いた。
……確かに、部活の申請に内容の重複に関する記述は無かった。
しかし俺は確信があった。この世界、デュエルが絡めば多少の常識的範囲内での無理は通る。
きっとこの生徒会長はやるだろうし、やり遂げるだろう、と。
「君たちも
私とてそれは同様だ。退屈はさせんよ」
生徒会長はそう締めくくった。
「……えっと、先輩たちはどうします」
木村くんは決めかねているようだが、俺の答えは既に出ている。
「翔子、お前はどうする?」
「多分遊助と同じ」
「そうか、決まりましたよ。生徒会長」
「ではその返事はいかに?」
「デュエルすればわかります。
勝敗は関係なく、俺は生徒会長の
「ふッ、そうだな」
結局、俺たちはそれしか知らない生き物なのだ。
「正直言わせて貰えば、君とのデュエルが今日中に実現できるとは思わなかったよ」
「俺も生徒会の先輩とデュエルする日が来るとは思いませんでした」
「私はいつでもいかなる挑戦でも受け付けていたつもりだったのだがね……」
そんな会話をしながら、俺と生徒会長は対峙する。
空いていたデュエルスペースを使い、デュエルの準備は今ここに整った。
「それじゃ、二人とも用意は良いわね?」
「ああ」
「勿論だとも」
翔子がジャッジモニターの前に立ち、最後の確認を取った。
そして俺たちは、デュエルディスクを前に構えた。
「「デュエル!!」
遊助VS生徒会長
LP4000
「先攻後攻は君が選んで構わない。
私の方が年上だからね。ジャッジ、そのように」
「わかりました」
先攻後攻は本来デュエルディスクが無作為に決める物だが、不公平にならない範囲でジャッジは裁量を許される。
「では俺の後攻で。先行有利のゲームだとよく言われますが、俺のデッキはご存じ初動が遅いので」
「わかった、遊助が後攻ね」
翔子がモニターを操作すると、俺のデュエルディスクに後攻の文字が表示された。
「私のターン。
私は『赤銅の魔術使い』を召喚。
このモンスターは表表示で存在する限り一度だけデッキから『英霊宝』カードを手札に加えられる。
私が手札に加えるのは、『英霊宝 星の聖剣エクスキャリバー』」
生徒会長に召喚されたのは、一対の剣を手にしたなんでさとか言いそうな赤毛の少年だった。
『赤銅の魔術使い』
☆2 地属性 魔法使い族 攻守 1000/800
『赤銅の魔法使い』のカードは1ターンに一度しか発動できない。
(1)このカードは表側表示で存在する限り、自分のメインフェイズに一度だけ発動できる。
デッキから『英霊宝』カードを手札に加えることが出来る。
(2)フィールドのこのカードは、自分フィールドに『英霊』儀式モンスターが存在する限り、攻撃対象にならない。
「カードを二枚セットし、ターンエンド」
生徒会長があの作品をモチーフにしたデッキを使うのは知っていた。
前世では中二病時代のバイブルだったのだ。一度でいいから手合せ願いたいとも。
会長 LP4000
場 『赤銅の魔術使い』
魔罠 □□■■□ セット セット
手札 □□□
「俺のターン、ドロー。
俺は永続魔法『エンカウント!!』を発動。
俺のフィールドにモンスターが存在しない場合、お互いのスタンバイフェイズごとに俺はデッキからレベル2以下の水族通常モンスターを特殊召喚できる。
俺は更に『スライム・レッド』を召喚。
カードを二枚セットし、ターンエンド」
遊助 LP4000
場 『スライム・レッド』
魔罠 □■■■□ 『エンカウント!!』 セット セット
手札 □□
「私のターン、ドロー」
生徒会長はドローした姿勢のままカードを確認し、にやりと笑った。
「初手はお互い様子見、だがここからは私も動かせて貰おう。
私は手札から、『英霊召喚の儀式』を発動する!!」
『英霊召喚の儀式』
儀式魔法
『英霊召喚の儀式』の(1)の効果は1ターンに一度しか使用できない。
(1)自分フィールドに通常召喚したレベル4以下の魔法使い族モンスターが存在する場合に発動できる。
デッキから『英霊』儀式モンスターを選び、選んだ儀式モンスターを儀式召喚する。
(2)手札の魔法カードを捨てることで発動できる。
ターン終了時にこのカードをデッキの一番上に戻す。
「リリースもせずに、しかもデッキから儀式召喚ですって!?」
木村くんが驚くのも無理はない。
俺だって初めて見た時はインチキ効果も大概にしろッって叫びそうになったものだ。
「私はデッキから『剣の英霊 伝説の騎士王』を儀式召喚する!!」
木村くんの驚愕をよそに、生徒会長は鎧を纏う女剣士を召喚した。
『剣の英霊 伝説の騎士王』
☆8 光属性 戦士族 攻守 3000/2500
『英霊召喚の儀式』により降臨。
『英霊』儀式モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
このカードは『赤銅の魔術使い』がフィールド上に存在する場合のみ儀式召喚でき、この方法以外で特殊召喚できない。
(1)手札のこのカードをデッキに戻すことで、デッキから『赤銅の魔術使い』を一枚手札に加える。
(2)このカードは表側表示で存在する限り、一度だけ以下から効果を選択して発動できる。
●このターン、このカード以外は攻撃できず、このカードは相手プレイヤーにダイレクトアタックできる。
●相手フィールド上のカードを一枚対象に選択し発動する。そのカードを手札に戻す。
(3)お互いのターン終了時に自分フィールド上にレベル4以下の魔法使い族モンスターが存在しない場合、このカードを墓地に送る。
制限やデメリットもあるが非常に強力なモンスターである。
そして言うまでもないが、強力な専用サポートまで存在している殺意の高いモンスターだ。
それにしても、マズイなこれは……負けたかもしれない。
「そして私は手札から『英霊宝 星の聖剣エクスキャリバー』を発動する。
このカードは自分フィールド上に『剣の英霊 伝説の騎士王』が存在する場合に、ライフを2000支払い、発動できる。
相手フィールド上の全てのカードを破壊する」
『英霊宝 星の聖剣エクスキャリバー』
通常魔法
(1)自分フィールド上に『剣の英霊 伝説の騎士王』が存在する場合にのみ、ライフを2000ポイント払って発動する。
相手フィールド上のカードを全て破壊する。
「俺はリバースカードを開示する。
速攻魔法発動、『スライム・フラッシュ』だ!!
このターン、相手モンスターは攻撃できない!!」
『スライム・フラッシュ』
速攻魔法
(1)自分フィールド上に『スライム』モンスターが攻撃表示で存在する場合に発動できる。
このターン、相手モンスターは攻撃宣言できない。
「ううむ、残念ながら勝負の女神は私に味方しているようだ。
私はトラップカード、『英霊宝 究極の守りを齎す鞘』を発動。このターン、私はいかなる効果も受けない」
「あかん……」
これは負けたわ。
『英霊宝 究極の守りを齎す鞘』
通常罠
(1)このカードは『剣の英霊 伝説の騎士王』がフィールドに存在する場合のみ発動できる。
ターン終了時まで、自分フィールドのモンスターは相手の効果を受けず、戦闘でも破壊されない。
このカードが発動するターン、自分はダメージを受けない。
このカードの発動と効果は無効にできない。
『スライム・フラッシュ』はただの明かりに成り下がり、俺のフィールドのカードは全滅した。
「悪いね、これも勝負だ。
私は『赤銅の魔術使い』、『剣の英霊 伝説の騎士王』でダイレクトアタックする」
遊助 LP4000→0
ゲームの終わりを告げるブザーが鳴り響く。
「いやぁ、お強い。流石生徒会長だ。まさかワンキルされるとは思いませんでしたよ。
ああなってはまさしく手も足も出ない」
「運が味方しただけだろう。普段はこうもうまくはいかない」
「いいえ、俺は勝負運ってのを信じているんですよ。
持っている人間は必要な時にデッキが力を貸してくれる、とね」
俺は生徒会長と固い握手を交わした。
「勝負運か……それで、返答はいかに?」
「その前に一つ聞かせてください。
俺はさっきみたいなデュエルであっさり負けることがあります。それでも構いませんね?」
「勿論だ。勝ち負けは大事だが、それが全てではない。
それに個人戦ならまだしも、団体戦ならいかようにもフォローできる。私はそういう試合をしてみたいのだ」
「なるほど、では否とは言いません。翔子、お前も良いよな」
俺が振り返り翔子に確認を取ると、彼女は黙って頷いた。
そう、たったそれだけなのだ。俺が欲しかった言葉は。
誰もが勝負は勝ち負けではないと嘯くが、それを許してくれる場所は俺も翔子にも無かった。
そんなところでデュエルを続ければ、俺はそのうち勝ち負けでしか物事を考えられなくなる。
中学の頃、それで一時期俺は荒れたことがある。
部活を離れ、デュエルからも離れてから、ようやく俺は元のようにデュエルを楽しめるようになった。
「木村くんはどうする?
会長はこう言ってくださっているが?」
「ぼ、僕も会長と一緒にデュエルがしたいです。
僕も誰かと一緒に戦いたいと、思っていたから……」
木村くんも決まりのようだ。
「では、よろしくお願いします。生徒会長」
「その仰々しい呼び方も今月で最後だぞ。
これからは荒木 誠治として部をまとめていきたいと思っている」
そんなわけで、俺たちは来月から部活に参加することになったのだ。
ここで書きたいことは前書きに書きました。
需要があれば続きを書きます。
それではまた次回があれば。