何!? 俺の知っている遊戯王の世界ではないのか!? 作:やーなん
ちょっと自由にパソコンが使えない環境になりまして、ちょっとずつ書き溜めて投稿したのですが、次回も少しかかるかもしれません。
こんなイロモノ小説を待っている人なんてごく少数でしょうが、需要があるのなら書きます。
其れでは、本編へどうぞ。
※デュエルの一部不自然な部分を修正しました。
俺たちはやってきた警察に事情を話すと怪我をしていた鉄次の子分を病院に連れて行くことになった。
当然当事者である俺たちも事情聴取されることとなる。
それは怪我人もいるところなので、病院の中で行われたが。
「全く、注意喚起したその日にことを起こすとは。私でも想像できなかったよ」
そして生徒会長まで飛んできて、呆れたように溜息を吐かれた。
「すみません。どうしても見過ごせなかったんです」
木村くんは何かを言いたそうにしていたが、俺が先んじて生徒会長に頭を下げた。
確かに助けようと言い出したのは彼だが、ことを喧嘩沙汰に発展させたのは俺の責任でもある。
「今回のように、デュエルで物事を解決しようとしない粗野な連中が居るのも事実だ。
君たちが無傷だったのは運が良かったに過ぎない。その点は十分反省したまえ」
「はい」
「だが、我が校の生徒を助けようとしたその心意気は称賛に値する。個人的には、だがね」
「……ありがとうございます」
俺はもう一度深々と生徒会長に頭を下げた。
「さて、『厳重注意』はこの程度にしておいて、よくもまあ本当にあの人数相手に無傷でいられたものだ」
「うちの家、今時なのに古武術の道場やってるんですよ。
古武術って言っても護身術みたいなものですけど」
「記録は私も見せて貰った。私も幼い頃から剣道を嗜んでいるが、なかなかの身のこなしだったね」
「長年やってればあれくらい誰にだってできますよ」
生徒会長のすらりとした姿勢からなにか武道をしていると思ってはいたが、やはりそうだったか。
いやしかし、俺の実家は某権ちゃんみたいなデュエル道場だったので、ガキの頃からやらされていた護身術が役に立つ日が来るとは……まさか本当に来てしまうとは。
どうせリアリストも存在するだろうこの世界で、突然マッチョになるシリーズ一期ラスボスよろしく体を鍛えておけば何かと役立つとは考えていたが、なんだかいまだに納得できないのはなぜだろうか。
「そういえば、件の大雲君の方はどうなっている?」
「ああ、あいつは思いっきり殴ってましたからねぇ、事情聴取が長びいてるみたいです」
うちの武術はあからさまな打撃技が無く、攻撃を受け流し自滅を誘う技が多い。
だから傍目から一方的に殴られて、勝手にすっころんでいるようにしか見えないのだ。
暴力で相手を制したわけではないと警察に説明する為に翔子にはデュエルディスクでその辺りを撮影してもらっていたのだが、まさか鉄次まで乱入してくるのは俺も予想外だった。
御蔭で彼は事実上の補導状態である。
「あの・・大雲先輩は大丈夫なんでしょうか?」
「事情はどうあれ、喧嘩をして相手に怪我をさせたのは事実だ。
最低でも停学は免れないだろうね」
「そうですか……」
木村君は悲しそうに俯いた。
「とは言え、相手がデュエルで事態を収めなかったことは大いに情状酌量の余地がある。
私も学校側に掛け合って自宅謹慎ぐらいにまでにさせてみせるさ」
「あ、ありがとうございます」
「君が感謝することではないだろう……おや」
生徒会長の視線を追うと、鉄次が警察官に付き添われてこちらに歩いてきていた。
「大雲先輩!!」
「へへッ、事情聴取が長引いちまうようだから、これから警察署だぜ」
鉄次はそう言って笑ったが、木村君の表情は晴れない。
「僕、余計なことをしちゃったでしょうか……」
「気にすんじゃねーよ。お前が居なければ、正直やばかった。
俺のほうこそ悪かったな。もうお前は立派な
じゃあな、と言って鉄次は警察官と一緒に去っていった。
「ただいま」
「お邪魔します」
俺と翔子が俺の家に帰ったのは夕日が完全に落ちてからだ。
え、何で俺の家に翔子が帰ってくるって表現したかって?
こいつの両親は共働きで、夕飯はいつも俺の家族と一緒に食うことに慣れてしまったかもしれない。
「あ、そういや今日はお袋居ないんだった。町内会の旅行だかなんだかで」
「そうなの? じゃあ私が夕食を作るわ。冷蔵庫に有るもの適当に使っていいわよね?」
「ああ、悪いな。俺は道場の親父のところに顔を出してくる」
そんな感じで俺は翔子から分かれて離れの道場に向かった。
俺は道場に向かうと、外からも組み手の音が聞こえてくる。
「おっす、皆。やってっか?」
俺がそう言いながら道場の扉を開けると、中で組み手をしていた門下生が組み手を止めて、一斉に俺に向き直って一礼した。
「「「押忍!! お帰りなさいませ、師範代!!」」」
「おお、相変わらず暑苦しいな」
俺はそんな軽口を叩きつつ、彼らの組み手を見守っていた人物の元へ向かう。
「親父、ただいま」
「うむ」
親父は重々しく頷いた。
そして妙な沈黙が訪れた。
「先ほど、警察から連絡があった。騒動を起したらしいな」
「押忍。言い訳はしません。この道場の技を暴力に使いました」
俺はそう言って親父に頭を下げた。
門下生たちが俺と親父のやりとりを固唾を呑んで見守っている気配がこちらまで漂っている。
「我が道場の理念は専守防衛。打撃技を廃し、ひたすら守りに徹することで何事にも対処できる胆力と冷静さを培うというものだ。
相手が先に仕掛けてくるのならまだしも、自ら挑発するとは何事か。恥を知れ」
「己の未熟さに痛み入るばかりです」
親父の言っていることはすべて正しいので、俺は頭を更に深く下げた。
「……だが、翔子ちゃんを守ったことは素直に評価しよう。
遊助よ、よくぞ男を見せた」
俺が顔を上げると、親父は巌のような表情を綻ばせていた。
「だが、我が道場の技で相手を痛めつけるのは関心せんぞ。
警察の方からも苦情があったわ」
「押忍、もうしません」
俺はもう一度頭を下げた。
門下生たちもホッとした空気が伝わってきた。
「親父、折り入って頼みがある」
「なんだ。言ってみろ」
「曾爺ちゃんのデッキを貸してほしい」
俺がそう言うと、親父は目を見開いた。
「遊助。お前、一度あのデッキに拒絶されているだろう」
「あれは俺が幼かったからだ。心身ともに、な」
そう、俺は一度自身で体験している。
故人のデッキを使用しようとして、デュエルディスクからばらばらに飛び散らせたのだ。
「まず、何故にあのデッキを借りたいというのだ。事情を話してみよ」
「はい」
俺は親父の前に正座して、本日の事の起こりや経緯を事細かに親父や門下生たちに話した。
「俺が今日戦った違法流通カードのカテゴリーは、俺の使うデッキとは相性が悪いのです」
相手は強力な耐性や効果を持った大型モンスターで戦うデッキだ。
そして、警察が来るまでに無力化した不良共からデッキを抜き取り、警察に預ける前にその内容を確認しておいたのだ。
そこには今回使用されてはいなかったが、強力なカードがまだまだ眠っていた。
「ですから、こちらも高レベルの大型モンスターを使用するデッキで、正面から戦う方がやりやすいのです。
連中はこの街を根城にしています。またいつ連中の持つデッキと戦うときが来るかわかりませんから、備えておきたいのです」
「……もとよりあのデッキは有事の際にと、爺様が残してくださったデッキだ。
お前が使いたいというのならば好きにするがよい。
誰か、蔵を開けるので人手が欲しい。遊助とあと二名ほどついて参れ」
そして俺と親父は二人の門下生を伴って蔵へと赴いた。
親父が蔵のカギをはずして扉を開けると、中には山積みになった箱が所狭しと置かれていた。
これが人手が必要な理由であった。
「あそこにある、一番奥の箱に入っている。まずは道を作るか」
俺と門下生の二人は四苦八苦しながら箱をどかして、ようやく目的の箱へたどり着いた。
「確かに、これだ」
積もっていた桐箱の埃を払うと、『須田家ヲ守護スル山札』と彫られていた。
箱を開けると、その中には無数のカードが無造作に入っていた。
その数、以前に数えた通りなら軽く四百枚はあるだろうカードの束だ。
とてもデッキと称せる物ではない。俺が昔使おうとしたままの状態だった。
「師範代、これはもしかして謂れのあるカードたちなんですか?」
門下生の一人、星井が訊いてきた。
上は六十歳までいるうちの門下生の中でも俺に一番年が近く、筋が良いため親父も目を掛けている奴だ。
「このカードは海軍将校だった俺の曾爺ちゃんが第二次大戦後、海に沈んだ艦艇の破片やらで作ったデッキなんだと。
曾爺ちゃんはアメリカの名将や猛者を何人もデュエルで捕虜にしたって人なんだけれど、このカードは戦争の為じゃなくてそれらを教訓としたデッキなんだってさ」
昔はこんなデッキを受け継ぐのが嫌で仕方が無かった。
だが、今ならそんなことは無いと言える。
このデッキは誰かを守る為に使うデッキなのだから。
「さて、目的の物も見つかったことであるし、稽古場に戻るぞ」
親父に追従して俺たちも蔵から出た、その時だった。
「え、おわ!?」
俺は突然、足元がぬかるんだ気がしてバランスを崩し、箱の中身を地面にぶちまけてしまった。
「師範代!?」
「師範代、大丈夫ですか!?」
「なにをやっとるか……」
星井たち門下生は俺の元に駆けつけ、親父は呆れたように溜息を吐いた。
「いてて、今、確かに地面がぬかるんだ気が……」
「何言ってるんですか、ここ二週間は雨なんか降ってないですよ」
「わかってる。わかってるんだが・・」
俺が転んだ場所は、ぬかるんでなど居なかった。
だが俺はあの時確かに、足元をすくわれたような気がしたのだ。
「とりあえず、カードをひろいましょう。師範代たちのご先祖様のカードなんですから」
「ああ……」
俺は立ち上がり、散らばったカードを見てハッと気が付いた。
「待て、お前ら、拾うな」
「え!?」
「デッキだ……」
「師範代?」
「見ろ、デッキが出来ている……」
俺は地面に散らばったカードたちを指さした。
全て裏側で桐箱に入っていたカードたちだったが、それを地面にぶちまけてしまったらどういうわけかきっかり四十枚だけ表になっているではないか。
その奇跡にも似た偶然に、俺や門下生の二人も固まっていた。
「これは偶然……いや、違うな。爺様のデッキがお前さんを試しているのだろう」
親父は腕を組んで厳かに口を開いた。
「遊助、試しにこのカードでデュエルを行うのだ」
「はい、師範・・」
俺は表になったカードを拾い、残りを桐箱の中にしまった。
やはり、何度数えても四十枚ぴったりだった。
試にデュエルディスクに差し込んでみると、ガキの頃みたいに弾け飛んだりしなかった。
「じゃあ、師範代。俺が相手を務めさせていただいても良いでしょうか」
星井が手を挙げて立候補してきた。
「ああ、分かった。頼む」
俺たちは道場に戻ると、備え付けられているデュエルリングでデュエルを開始した。
「「デュエル!!」」
遊助 VS 星井
LP4000
先攻は、俺だ。
「俺のターン。
俺は手札から『
手札からいかにも地味な感じの少女が召喚された。
しかし彼女の纏っている装備は紛れもなく艦艇を象った兵器だ。
『
俺が普段使うのと違うデッキを使うので、俺たちのデュエルを見守る門下生たちがざわめいた。
「ずいぶんビーキーなステータスっすね」
「その理由もすぐにわかる。
『フブキ』が召喚に成功した時、デッキから『フブキ』以外の『駆逐艦』カードを手札に加える。
俺が手札に加えるのは、『
そしてこのカードはフィールド上に『駆逐艦』カードが一枚のみの場合か『特Ⅲ型駆逐艦』モンスターが存在する場合に手札から攻撃表示で特殊召喚できる」
『フブキ』と同じく艦艇の艤装や砲身、盾を身に纏った少女が召喚される。
こっちは彼女より幼く見えるから幼女と表現できるかもしれない。
『
「更に、手札の『
『
「俺は『アカツキ』の効果を発動する。このカード以外の『特Ⅲ型駆逐艦』モンスターが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『駆逐艦』カードを手札に加える。
俺はデッキから『駆逐艦隊遠征』を手札に加える。
……これら『
「わかりました」
星井は素直に頷いて、フィールド上のカードの効果を確認する。
『
☆2 水属性 機械族 攻守 600/2500
「フブキ」モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1)このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大1つまで)。
損傷カウンターが乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードはフィールドに『駆逐艦』モンスターが一枚のみの場合か『特Ⅰ型駆逐艦』モンスターがフィールドに存在する場合、手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
『
(3)このカードが召喚に成功した場合、デッキから『フブキ』カード以外の『駆逐艦』モンスターを手札に加える。
『
☆2 水属性 機械族 攻守 600/2500
「アカツキ」モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1)このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大1つまで)。
損傷カウンターが乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードはフィールドに『駆逐艦』モンスターが一枚のみの場合か『特Ⅲ型駆逐艦』モンスターがフィールドに存在する場合、手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
『
(3)1ターンに一度、フィールド上にこのカード以外の『特Ⅲ型駆逐艦』モンスターが存在する場合に発動できる。
デッキから『駆逐艦』カードを手札に加える。
『
☆2 水属性 機械族 攻守 500/2400
「ヒビキ」モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1)このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大1つまで)。
損傷カウンターが乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードはフィールドに『駆逐艦』モンスターが一枚のみの場合か『特Ⅲ型駆逐艦』モンスターがフィールドに存在する場合、手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
『
(3)1ターンに一度、フィールド上にこのカードを手札に戻し、手札からこのカード以外の通常召喚可能な『
「それなりに面倒な破壊耐性みたいっすけど、それ以外は師範代がいつも使うローレベルモンスターがお得意な大量展開ってところですか?
高い守備力もお飾りみたいだし、いつものスライムが女の子になっただけじゃないっすか」
星井は俺がスライムデッキで散々叩きのめしてやったことも忘れてそんな事を口にした。
「まだ序盤だ、好きに言うといいさ。
俺は『ヒビキ』の効果を発動する。このカードを手札に戻し、手札からこのカード以外の『
俺が召喚するのは、『
肩を中心に重厚な艤装を装着した少女がフィールドに召喚された。
『
☆6 水属性 機械族 攻守1800/1500
『フルタカ』モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1))このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大2つまで)。
損傷カウンターが二つ乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードは自分フィールド上に『駆逐艦』モンスターまたは『軽巡』モンスターが存在する場合のみ、リリースなしで召喚できる。
(3)このカードがフィールドから破壊され、墓地に送られた場合に発動できる。
デッキから『重巡洋艦』モンスター1体を手札に加える。
ちなみに、『駆逐艦』モンスターはやたら細かい指定の効果やカード名を持っていたが、『
「師範代、そいつレベル6っすよね? 通常召喚扱いならリリースが必要なんでは?」
「確かにな。だが『重巡洋艦』モンスターはフィールドに『軽巡』または『駆逐艦』モンスターが存在する場合のみ、リリースなしで召喚できる効果を持っている」
「なるほど……でも上級モンスターの割りに、ステータス低いっすね」
若干の警戒を滲ませて星井はそう言った。
上級モンスター、所謂レベル5や6のモンスターは目安とされる能力値が存在する。
レベル6モンスターの代表格たる『邪帝ガイウス』などの攻撃力2400が基準とされている。
ステータスの高さは場持ちの良さに直結するので軽視はできない。
「そして俺は手札から永続魔法『駆逐艦隊遠征』を発動する。
フィールド上の『駆逐艦』カードを2ターン後の自分のスタンバイフェイズまで任意の数除外し、その数までデッキからレベル6以下の『
『駆逐艦隊遠征』
永続魔法
(1)1ターンに一度、自分フィールド上の『駆逐艦』カードを2ターン後のスタンバイフェイズまで選んで除外し、その数までデッキからレベル6以下の『
この効果を使用するターン、自分はバトルフェイズを行うことはできず、この効果で加えたカードは召喚・特殊召喚できない。
「俺は『フブキ』と『アカツキ』を除外し、デッキから……」
「どうしました、師範代?」
「あ、……いや、なんでもない」
俺がデッキからカードを選ぼうとした時、一枚のカードが既に選ばれていたのだ。
これでギョッとするなと言う方がおかしい。
「俺はデッキからレベル4『
ちなみに自己主張してたのは言うまでもなく前者である。
俺はどちらかと言うと大量展開の要である『軽巡旗艦オオヨド』を手札に加えたかったのだが、まあどちらでも勝敗を左右しないだろうからいいけど。
カードを拾い集めた時に確認したが、今のこのデッキに『重巡洋艦』よりレベルの高いカードが存在しない。
低戦力で戦えと言うことだろう。いいさ、そういうのは得意分野だ。
「カードを二枚セットし、ターンエンド」
遊助 LP4000
場 『
魔罠 □■■■□ 『駆逐艦隊遠征』 セット セット
手札 □□□
「じゃあ、俺のターンっすね。ドロー。
俺は手札から、『ウルティマン 初代』を特殊召喚する。
言うまでもないことっすけど、このカードは相手フィールドにのみモンスターが存在する時に手札から特殊召喚できるっす」
星井のフィールドに、赤と銀の人型の巨人がジュワッと出現した。
……言うまでも無かろうが、星井が使うデッキは日本特撮の大家であるあのシリーズだ。
容易な特殊召喚条件を持つ高レベルモンスター群であり、今回の仮想敵とするバイオショックデッキの練習台にはちょうどいい相手である。
こいつの構築は下級モンスターが殆ど入っていないどこぞの天使族デッキを思い浮かべて貰えばいい。
そいつらが効果破壊する必殺技カードなどをサーチしながら襲い掛かってくるのである。
上級モンスターばかりのデッキの常として事故率は高いが、回れば強力な制圧力を有するデッキだ。
え? 上級モンスターばかりなのに事故らないデッキがあるだって? 一体それはなにフォートなんでしょうねぇ。
「『ウルティマン 初代』が特殊召喚に成功した時、デッキから『光線』魔法カードを手札に加えることが出来るっす。
俺はデッキから『スペースリウム光線』を手札に加え、そのまま発動するっす!!
『重巡洋艦フルタカ』を破壊して貰うっす!!」
「『重巡洋艦フルタカ』は破損カウンターを乗せることで破壊を免れる」
『ウルティマン 初代』
☆8 光属性 サイキック族 攻守2500/2000
(1)このカードは相手フィールドにのみモンスターが存在する場合のみ、手札から特殊召喚できる。
(2)このカードが特殊召喚に成功した場合、発動できる。
デッキから『光線』魔法カードを手札に加えることができる。
(3)このカードが特殊召喚に成功したターンから数えて三度目のスタンバイフェイズに発動する。
このカードをデッキに戻す。その後、レベル8以下の『ウルティマン』モンスター1体を手札に加える。
『スペースリウム光線』
通常魔法
(1)自分フィールド上に『ウルティマン』モンスターが存在する場合にのみ、相手フィールド上のモンスターカードを対象に選び発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2)このカードが墓地に存在する場合、墓地に存在する『光線』カードを除外することで手札に加えることが出来る。
このサーチとサルベージが容易な某光の巨人の代名詞と言える『光線』カードが際物で、油断していると瞬く間に場を荒らされる。
「バトル!! 俺は『ウルティマン 初代』で、『重巡洋艦フルタカ』を攻撃っす!!」
「破損カウンターを乗せることで、『フルタカ』は破壊を免れる!!
破損カウンターが二つ乗ったことで、このカードは守備表示になる」
『フルタカ』は涙目になりながら半壊した艤装で身を守るように守備表示になった。
遊助 LP4000→3300
「そのカードが破損カウンターを乗せられる数は二つまで。
これで厄介な耐性を失ったっすね」
「このデッキを攻略するには攻撃力よりも手数がいる。
お前のデッキじゃあ少々相性が悪いが、手加減はしないぜ」
「うっす、カードで足りない分は気合でカバーします!!」
「お前のそういうところ、嫌いじゃないぜ」
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドします!!」
星井 LP4000
場 『ウルティマン 初代』
魔罠 □■□□□ セット
手札 □□□□
「俺のターン、ドロー。
俺は手札から『
小柄な体に幾つもの兵装を身に着けた少女が召喚された。
『
「そしてバトルだ。『兵装実験軽巡ユウバリ』で『ウルティマン 初代』を攻撃!!」
「え、自爆特攻っすか?」
「トラップカード発動、『反航戦』。
このターン、お互いが受ける戦闘ダメージは半分になる」
『ユウバリ』が撃ちにくそうに『ウルティマン 初代』に砲撃を行ったが、彼はバリアーを張って砲弾を彼女に弾き返した。
跳ね返った砲弾が直撃した『ユウバリ』は当然兵装が半壊して悔しそうに防御姿勢に移った。
遊助 LP3300→2550
『反航戦』
通常罠
(1)このカードが発動するターン、『
このカードが発動したバトルフェイズ終了時、フィールド上の全てのモンスターは守備表示になる。
「破壊される『ユウバリ』は損傷カウンターを乗せることで破壊を免れ、守備表示になる。
そして、『ユウバリ』が戦闘を行った場合、デッキから『工廠』カードを手札に加えることが出来る。
俺が手札に加えるのは『
バトルフェイズ終了時、『反航戦』の効果でフィールド上のモンスターは全て守備表示になる。
『ウルティマン 初代』を守備表示にして貰おう。
そして俺は手札から永続魔法『
俺は『重巡洋艦フルタカ』の損傷カウンターを一つ取り除く」
『
☆4 水属性 機械族 攻守1000/1800
『ユウバリ』モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1))このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大1つまで)。
損傷カウンターが乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードが存在する限り、自分フィールドに『駆逐艦』モンスターが存在しない場合、通常召喚に加えて一度だけ『駆逐艦』モンスターを召喚できる。
(3)このカードが戦闘を行った場合、デッキから『工廠』カードを一枚手札に加えることが出来る。
『
永続魔法
『
(1)1ターンに一度、フィールド上の損傷カウンターを一つ取り除くことが出来る。
(2)このカードを墓地に送り、墓地に存在する『
そのカードを手札に加える。
「俺は『ユウバリ』の効果で『ヒビキ』を召喚し、カードを一枚セット。
『フルタカ』を攻撃表示にして、ターンエンドだ」
さて、敢えて低攻撃力を晒してみたがどうだろうか。
遊助 LP2550
場 『
魔罠 □■■■■ 『駆逐艦隊遠征』『
手札 □□
「始めて使うデッキのせいか、少しプレイングが雑じゃないっすか?
俺のターン、ドローっす」
「確かにディスアドだし無茶なプレイだったかもな。
だがお陰でこのデッキのくせが分かりつつある。
このデッキも俺を理解しようとしているのが伝わってくる」
星井もこちらの行動がブラフかどうかわかりかねているようなので、そんな風に答えた。
「なるほどです。俺は『ウルティマン 初代』を攻撃表示にして、バトルに突入するっす!!
『ウルティマン 初代』で『重巡洋艦フルタカ』を攻撃する!!」
星井のデッキは優勢だと出来ることが少ない。
すぐにバトルに突入してきた。
「俺はリバースカードオープン。
永続罠カード『艦隊防御』を発動する。『
俺は『ヒビキ』に損傷カウンターを乗せる。
損傷カウンターが乗った『ヒビキ』は守備表示になる」
『ウルティマン』のチョップ攻撃を受ける『フルタカ』に『ヒビキ』が割り込み、代わりに艤装が半壊した。
遊助 LP2550→1850
『艦隊防御』
永続罠
(1)自分フィールド上に『
1ターンに一度、自分フィールド上の『
「あれ、防がれちゃいましたか。てかやっぱりブラフだったすか。
ここは数を減らしておくべきっすかね。俺は手札から『ウルティマンスラッシュ』を発動するっす。
相手フィールドのモンスターを一体破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与えるっす。
俺は『ユウバリ』を選択します!!」
「く……俺はトラップカード、『
このターン、墓地に送られる『
あっぶねぇ、『ウルティマンスラッシュ』を使われるのならあんな賭けはしなかったってのに。
危うく負けるところだった。
遊助 LP1850→850
『ウルティマンスラッシュ』
通常魔法
『ウルティマンスラッシュ』は1ターンに一度しか発動できない。
(1)自分フィールド上に『ウルティマン』モンスターが存在する場合に相手フィールド上に存在するモンスターを対象に選択し、発動できる。
そのモンスターを破壊し、元々の攻撃力分のダメージを与える。
『
通常罠
(1)このカードが発動するターン終了時まで自分フィールド上の『
「わざわざデッキに戻しちゃうんですか?」
「このデッキは墓地アドはデメリットの方が多いのさ。
それで、他に何かないのか?」
「いいえ、無いっす。俺はターンを終了するっす」
星井 LP4000
場 『ウルティマン 初代』
魔罠 □■□□□ セット
手札 □□□□
「俺のターン、ドロー。
『駆逐艦隊遠征』の効果でスタンバイフェイズに除外されている『フブキ』と『アカツキ』はフィールドに帰還する」
「こっちの『ウルティマン 初代』は特殊召喚されてから三度目のスタンバイフェイズにデッキに戻り、デッキからレベル8以下の『ウルティマン』モンスター1体を手札に加える。
俺はデッキから『ウルティマン ザ・セブン』を手札に加える。
その瞬間!! トラップカード『ウルティマンの絆』を発動するっす!!
『ウルティマン』がデッキに戻った時、手札から同じレベルの『ウルティマン』を特殊召喚する!!
俺は今手札に加えた『ウルティマン ザ・セブン』を攻撃表示で特殊召喚。
特殊召喚に成功した『ザ・セブン』はデッキから光線魔法カードを手札に加えることが出来る。
俺は『ワイド光線』を手札に加えるっす」
『ウルティマンの絆』
通常罠
(1)自分フィールド上の『ウルティマン』モンスターがカードの効果でデッキに戻った場合に発動できる。
手札からデッキに戻ったカードと同じレベルの『ウルティマン』モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できる。
『ウルティマン ザ・セブン』
☆8 光属性 サイキック族 攻守2700/2100
(1)このカードは相手よりライフが少なく、自分フィールドのモンスターが破壊された場合のみ、手札から特殊召喚できる。
(2)このカードが特殊召喚に成功した場合、発動できる。
デッキから『光線』魔法カードを手札に加えることができる。
(3)このカードが特殊召喚に成功したターンから数えて三度目のスタンバイフェイズに発動する。
このカードをデッキに戻す。その後、レベル8以下の『ウルティマン』モンスター1体を手札に加える。
入れ替わるように新たな赤と銀の巨人がフィールドに現れる。
どうしよう、すごくやりずらい。
このターンで決めるつもりなんだが、俺の前世における親父は『セブン』の放送当時からのファンでDVDを買ってくるくらい好きだった。
俺もそれを横で見ていたから、結構思うところはあるのだ。
うう・・いかんいかん、これはデュエルなのだ。しっかりしろ、俺。
それに『ワイド光線』は『ザ・セブン』がいる時のみ使える全体除去だ。
あいつも勝負を決める気でいるのだ。やるしかないのである。
「俺は『
そして『ヒビキ』の効果を発動する。
このカードを手札に戻し、手札からこのカード以外の『
不死鳥の如く舞い戻り、備えよ『ヒビキ』。
そして俺が召喚するのは、『
両腕にカタパルトや砲身を備えた少女がフィールドに現れる。
『
☆4 水属性 機械族 攻守1200/2000
『センダイ』モンスターはフィールドに一枚しか存在できない。
(1))このカードが破壊される場合、代わりに損傷カウンターを一つ置く(最大1つまで)。
損傷カウンターが乗っているこのカードは守備表示となる。
守備表示のこのカードが戦闘する場合、このカードはダメージ計算を行わずに破壊される。
(2)このカードが存在する限り、自分フィールドに『駆逐艦』モンスターが存在しない場合、通常召喚に加えて一度だけ『駆逐艦』モンスターを召喚できる。
(3)このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、発動する。
デッキから『夜戦』魔法カードを一枚手札に加える。
「『
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『夜戦』魔法カードを手札に加える。
俺が加えるのは、フィールド魔法『夜戦領域』だ。
そのまま発動し、バトルだ!! これでようやくこいつらの戦いができる」
「また自爆特攻っすか?」
「まさか。……各艦に告ぐ、総員魚雷を装填し、その全火力を持って敵を葬れ!!
まずは『重巡洋艦フルタカ』で『ウルティマン ザ・セブン』を攻撃!!」
「え!? まさか、そのフィールド魔法、『スライム・パラダイス』みたいな効果を持ってるんじゃ……」
「まさにその通り。
『夜戦領域』が存在する限り、レベル6以下の『
『
3300-2700=900
星井 LP4000→3100
ありったけの砲弾と魚雷の直撃を受けて、流石の光の巨人も膝を折った。
「そのピーキーなステータスはこのカードがあるからっすか!?」
「その通り、続けて……『センダイ』でダイレクトアタック」
別にフィニッシャーは誰でも良かったんだが、彼女がこっちにキラキラした視線を向けていたので思わずそのまま攻撃指示を出した。
『センダイ』は腕の砲門から容赦なく艦砲射撃を繰り出し、両脇に備え付けられた魚雷発射管からこれでもかと魚雷をばら撒いた。
『
星井 LP3100→0
デュエル終了を告げるブザーが鳴り響いた。
「あうぅ、また負けてしまいました。
初めて使うデッキだというのに強いですね、師範代。
いくらこちらが優勢でも一瞬の隙で逆転されるから、師範代とのデュエルは恐ろしいんですよ」
星井が悔しそうにそういうと、周りの門下生どももうんうんと頷いていた。
「本来は、もっと高レベルの大型モンスターを切り札にするデッキなんだよ。
戦艦とか空母とか……。まあ、俺好みの戦い方だったのは否定しないがな」
弱いカードで強いカードを殴り倒すというのもロマンだしな。
「そこそこだったな、遊助。お前もまだ未熟だ。お前も精進あるのみよ。
そのデッキはお前が持っていて構わない。元々そうなるべきものだ」
「……押忍、師範」
俺もこの程度でこのデッキを使いこなしたとは思わない。
明日からも何度か使って、もしもの時に備えておくべきだろう。
ちなみに。
「ああ、そうだ。親父、翔子が夕飯作ってくれるってさ」
「なに? そういえば今日は町内会の旅行だったか。どれ、俺も顔を出しておくか。
お前たち、今日はこの辺にしておくぞ」
俺と親父がそんなやり取りをすると。
「師範たちは姉御の手料理かぁ、いいなぁ」
「俺たちはせいぜい、休みの日に握り飯作ってくれるくらいだもんなぁ・・」
「俺もいつか彼女を作って手料理を食べさせてもらうんだ・・」
などと、ぬかしやがる馬鹿ども。どいつもこいつもいい年して何言ってるんだ。
「あほなことぬかすな。
俺と翔子はただの幼馴染だっての。
あれはな、硬くなった座布団と同じなんだよ。顔だって見飽きてんだ」
どういうわけだかうちの門下生どもから翔子は女神みたいに崇拝されている節がある。
あんな野暮ったい奴のどこが良いんだか。
「「「…………」」」
当然、そんなこと言えばブーイングしまくるこいつらなのだが、今日に限って誰も反論しなかった。
「どうしたんだ、お前ら」
「師範代、後ろ、後ろ」
振るえた声で星井が指さした方を見ようとしたが、それは出来なかった。
素晴らしい右ストレートが俺の顔面にぶち込まれ、ざっと数メートルほど殴り飛ばされたからだ。
「遊助、今日の晩御飯抜きね」
そんな冷たい声で、俺は全てを察した。
「さ、流石姉御っす!!
さっきのパンチ、俺は返せる気がしないっす!!」
「すげぇきれいな姿勢だったなぁ……あれが見よう見まねだってんだから恐ろしい」
「ってか、師範代大丈夫か? あれ完全に入ってただろ」
「やっぱりまだまだなぁ、遊助よ」
やれやれ、と親父はため息を吐いた。
翔子は昔から呑み込みが何でも早く、その昔親父がお前が男だったらなぁ、と言わしめたほどだった。
正直、俺が守る必要なんてないくらいうちの道場の技術をガキの頃から見て覚えているのだあいつは。
ただ、手加減が出来ない。
こればっかりは実践で覚えないと難しい塩梅があるのだ。
ていうか、俺が真後ろを取られるってどういうことだよ……。
全く気が付かなかったぞ。もうデュエリストじゃなくてアサシンにでもなれよ……。
俺は打ち捨てられた座布団のようにしくしく泣いていた。
正直今回一番悩んだのは、某艦隊デッキを誰に渡すか、でしたね。
自分は横鎮にぎりぎり滑り込んだ最古参のプレイヤーなのですが、そこそこ愛着がある為何度か出したい。
じゃあデッキコンセプトが似てるところもあるし、主人公に持たせるか、と言うことになりました。
今後はスライムデッキと使い分けて行くか感じになります。そろそろスライムもマンネリになりだしたし。
それにしても自分デッキのカードが自己主張し出したらと思うとどこかホラーですよねぇ。
かわいいカードならともかく、ワイトみたいなのだったら夜も眠れなくなりそうですww
それでは、また次回。
需要があれば書きます。それでは。