ニコニコと笑みを浮かべる鳳翔の前で、正座させられている私達。誰も鳳翔の目を直視しようとはしない。
いや、本当に怖いのよ。目が笑っていないんだもの
いい大人が何でこんな目に合っているかといえば、話が弾み過ぎたせいとしかいいようがない。
三人共通の話題と言えば、鳳翔お母さんの事以外にあまりなく、当然その話が始まると意気投合した私達が悪口を言いまくってしまったのは理の当然では無かろうか?私は悪くない…と思う。
あえて言うのなら、最初から最後まで鳳翔お母さんが、部屋の中に居た事に気が付かなかったのが敗因だろうか。
あれだけ普段存在感があるのに黙っていると。まるで気配を感じさせなくなるなんて
「さて、言い訳したい子はいるのかしら?」
「鳳翔、この二人は悪くない。部屋に鳳翔が居ることを私が伝えておけば、あそこまで話が暴走しなかった筈だ」
お母さんを含め私達三人の唖然とした顔が長門を見つめる。
「居たの気が付いていたの?それなのに?」
「別に悪い事をしている訳ではないだろう?忌憚の無い意見を述べ合っただけで」
爆笑し、お腹を抱えて笑い転げる鳳翔。
「神通、どうしてこんな面白い子を隠していたのよ?」
「…今日までは、敵視されていて話した事もあまり無かったんだもの」
なし崩しに正座から解放された私達は、ようやく真面目な話しをはじめていた。
「艤装を解体?」
「はい。妖精さんと鳳翔が助けてくれました。艦娘としての名前が雪風で、本名が白雪ですからあまり変わらないですけど」
「そんなに簡単に艤装って解体出来るの?」
鳳翔は、困ったように微笑んだ。
「出来るけど、普通はしないから。大体駆逐艦クラスの艤装を一つ作るのにでも、九桁近い材料費が必要なのよ 。今頃は、あの人始末書の山に埋もれているんじゃないかしら?」
実際には、その頃、学園付きの主計官と怒鳴りあいの喧嘩を繰り広げていたらしい。
「それに、記録を精査したら白雪は元々駆逐艦ではなく、重巡洋艦の方に適性があるらしい事が、判明したしね」
鳳翔の言葉に長門が言葉を繋ぐ。
「艤装が準備出来次第、艦娘として復帰してもらう」
私は復帰と聞いて目を輝かせた白雪に尋ねた。
「あんな事が有ったと言うのに、恐くは無いの?」
「少しだけ、でもまた艦娘になれるのが嬉しいという気持ちの方が上回っている 。洋上を全力で疾駆する時の高揚する気持ちは艦娘になった事がある人でなくては判らないから」
新しく出来た友達、白雪が透明で純粋な笑顔を私に向けてくれる
「それに、私は人を助ける為に自衛官を志したのよ?」