会敵までの時間が加速度的に短くなっていく。
三時間が一時間半になり、一時間が30分になる。
名前も無い、満潮時には海に沈んでしまうような岩礁で私達は疲れ傷ついた身を潜めていた。
度重なる交戦は全員を疲労させ、四回目の戦で遂に舞風と叢雲がその身に傷をおった。
兵装のほとんどを失った二人を助ける為に、島風と不知火も手持ちの弾薬をほとんど射耗してしまった。
実質戦力に数えられるのが私と羽黒だけになってしまった私達には、本土までの三十キロが遥か遠くに思えた。
…と思っていた時が私にもありました。
トンテンカンテン、金属音が妖精さんと年少組の方向から聞こえてくる。
何をしているの?
…私と羽黒は口を大きく開けて四人の駆逐艦娘を見つめた。
なにこれ?
主砲と魚雷発射管をとり外し、槍か刀としかみえない物騒な代物を装備している。
妖精さんが得意気な顔で解説してくれる。
弾の無い主砲や魚雷発射管はただの重し?弾なんて当たらなければいい?
羽黒が恐る恐る声をかける
「不知火?」
「島風と話し合いをした時の事を思い出して気がついたのです」
あれを話しあいと君達はあくまで言い張る気か。
「弾薬がないなら、殴ればいいと」
島風もいい笑顔で頷いているし、舞風も、叢雲も、何でそんなにやる気なのよ 。
あー暗くなっているのが馬鹿らしくなってきた。
「羽黒?」
目を輝かせて妖精さんが作っている武器を見つめている。
巨大な戦斧を取り上げ振り回す。
「これはいい物です。何より弾切れが無いのが最高ですね」
私にまで押し付けるな。
無言の抵抗を笑顔で押し潰してくれる羽黒
結局薙刀のような物を押し付けられてしまった。
「今までの戦いで気がついた事があります」
羽黒の言葉に不知火達は真剣な顔付きで意見交換を行っていく。
これまでの真っ向勝負ではなく、囮に注意を引き付け、相手の死角から物理で殴る。
普通の艦隊戦闘とはまるで異なった陸上戦闘とも思える戦いかた。
そんな戦いを三度繰り返した結果が今、私の前に並んでいる。
私以外の誰も完全な艤装を身に着けている艦娘はいない。
誰もが大なり小なり傷ついた艤装で、それでも、何とかたどり着いたのだ。
最後の戦いでは、学園から飛来した妖精さんが操る爆撃機に獲物を掠め取られ、不知火と島風が怒声をあげたとか。
見なかった事にしよう。
羽黒と私は鳳翔の前に正座させられていた。
「学園から三十キロ?何故私達に助けを求め無かったのです?」
「助けを求めても、そんな通信は今までと同じように無視されるに決まっています。誰が深海棲艦と戦えるのです」
羽黒ははっと気がついた顔をする
鳳翔は痛まし気な顔で羽黒を見た後、優しく抱き締める。
「私達艦娘がそんな現実は変えます。そして、変えることが出来る可能性を貴女は見る事ができたはずです」
羽黒が顔をしたに向けた
「…申し訳ありませんでした」
「今回は不問にしますが、次は適切な行動をとって下さいね。最後になりましたが、全員、一人も欠けずに連れかえってくれた事を感謝します」