日本からイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、中南米諸国、インド、中国、トルコ、オーストラリア、ロシア、世界の主要国に艦娘の技術が伝えられたが、その技術(より正確には妖精さん)の扱いずらさは世界各国の想像を遥かに越える物だった。
妖精さんが嘘を見抜く力を甘く見た中国が最初にやらかした。
自国の艦娘を半ば監禁し、その艦娘の命を盾に艤装を妖精さんから、奪い調べようとしたのだ。
日本から提言されていた、既存の軍事組織に艦娘を預ける事の危険性を世界は知ることになった。そして、その結果も。
世界で一番正直な政治家達。それが中国指導部が受ける事になった報いだった。
妖精さんが中国に撒いた妖精の粉は、指導的人物が嘘をつく事を禁ずるという物だった。
軍事、政治、教育界、会社、果ては、学校内でのクラスにおける級長まで全ての人物に禁じられた嘘。
中国全土で巻き起こった大混乱、その後に刷新された指導部が作り出した新たな統治形態は以前のそれとは見違えるような物になった。
そして、イギリス、アメリカ、日本も含め大部分の国が中国に大きな感謝を捧げることになった、どの国も水面下で同じような計画を立てていたのだから。
この時、人々は、まだ政治の世界に嘘は付き物と考えていたのだ。
だが、この時に撒かれた妖精さんの粉は後に中国に新たな繁栄をもたらす事になる。
全ての国々、そして自国の国民から信頼出来る相手であると見なされる事には、それほどの意味があったのだ。
国と国の争いに艦娘が関わる事も、艤装の中に妖精さんがいて、艤装の制御を彼女達が握っている以上、現実的ではなかった。妖精さんにとって、国もイデオロギーも関係がないのだから。
唯一、テロリズムに対してのみ、人命救助として動く可能性があるくらいだ。
国から国民に対するテロ行為、人が他の人を傷つける行為、そういった行為を嫌だといい、正すことが出来る妖精さんに対して人々の感情が大部分好意的な物になるのはおかしな話ではなかったのだろう。
そんな妖精さんと密接に結びついた。私達、艦娘という存在も世界に少しずつ受け入れられていた。
だからこそ、私達は、その兆候に気がつけなかったのだ。
国連や国会で大真面目に深海棲艦の駆除が終わるのは今年度中か、来年かとその当時は議論され、艦娘の各国毎の保有枠まで、もうけようとしていたと聞いて今、この世界に生きる人々はそれを信じる事が出来るだろうか。
深海棲艦には、駆逐艦級までしかいないとミスリードされていた私達がそれを知るのは、艦娘最悪の1日と呼ばれる事になる日を待たなければならなかった。