12月8日、ハワイではまだ7日に日付が変わったばかりの時間、私達は虫の知らせとでも言うのだろうか、寝苦しさ、息苦しさを覚えて自然と起き出していた。
何故かホテルの外には艦隊を構成する全員が集まっている。
少しだけ肌寒さを感じる夜風。
羽黒がポツリとこぼす。
「落ち着きません」
暁が両手で自分の肩をだくようにして答える。
「私もぞわぞわするわ」
このままでは、何か致命的に良くない事が起こるような感じ、最初の実戦でも感じた、どこか間違った道を無理やりに進まされているような違和感。それを私も確かに感じ取っていた。
そう言えば昨日のパーティーでカリフォルニアに聞かれた事があったな。
もしかして使えるかな?
「カリフォルニアとホノルルを誘って皆で夜間襲撃訓練をしましょう」
「それは流石に不味くない?昨日、お互いやらかした後じゃない?」
羽黒の言葉に私は首を降った。
「表向きは、明け方以降に無人島で懇親会を開く事にします。幸い、深海棲艦出現率がグレーゾーンの島が近くにありますから。実弾を持って行ってもおかしくはありませんし、カリフォルニアからは夜戦訓練を見せて欲しいと言われていますしね」
暁がもっともらしい表情でコメントしてくれた。
「神通を敵にしたくはないわね」
「私は知っている。うちの姉に喧嘩を売った人物の末路を」
響があること無いこと喋ろうとするのを、慌てて止める。
「お願いだから、あんまり脚色はしないでよ」
「大丈夫、話を盛り上げるのに、真実以上のスパイスは必要ないから」
私は苦笑して羽黒に言う。
「行ってきていいかな?」
不思議な事に、昼間の演習に参加した全員が三十分ごには揃っていた。
カリフォルニアが私に言葉をかけてくれた
「助かったわ。どうしても眠れなかったの」
「しっかりとその戦い方を見せて貰う」
ホノルルは同じ軽巡洋艦という事もあってか、何かと私に絡もうとするが悪い子ではない。
いいでしょう。私達、第二水雷戦隊の戦い方をその目に焼き付けてあげる
現地時間で一時、私達はオアフ島の宿舎を後にして洋上にでた。
一時間後、夜目のきく妖精さんが不審な人影を洋上に見つけた。
艦娘ではないのに、人型をしている何か、最初、溺死者かと考えた私達はその人影に近づこうとした。
羽黒が波間に何かをみつけて大声を上げた。
「対潜戦闘開始!!雷撃来るっ!」
私と響が羽黒を追い抜かす。
爆雷を使って攻撃しなければいけないような敵が今までいなかったがゆえに、軽視され、国によっては訓練課程からも削除されてしまった対潜戦闘訓練、日本特有のお役所仕事で必要性を疑われながらも生き残っていた。その技術が私達を救った。
青白い死骸と生物機械じみたシュノーケルの混合物、
初めて見るそれは、私達に生理的な嫌悪感を感じさせた。
「新型?」
「今までいなかった事だけは、間違いないね」
艦娘用の救助用具、ゴム製救命艇に乗せられたそれを私達は交互に確認し記録する
司令部に報告をした私達に、真珠湾への即時帰還命令が下された。