最初感じた違和感は、在るべきものがそこに無いという事、 確かに置いて置いた筈のものが無くなっている。
お菓子だったり、鉛筆だったり、手慰みに書いた落書きだったり。
さほど困りはしないけど、気にはなる、奥歯に何かが挟まったような違和感。
これが、私自身の艤装の中でおきた事でなければ、容疑者は一人しかいないんだけど、艦娘が艦娘の艤装に入る方法は現在の所、確立していないし、妖精さん達いわく、多分、無理じゃないかと言う事で、ホノルルは容疑者から早々にはずれる事になった。
羽黒がバツの悪そうな顔で、私から話を聞くなり響と共に強制的に簀巻きにして、妖精さん謹製の救難艇に放り込んであったホノルルを解放した。
ホノルルは、そんな狼藉を咎め立てするでもなく平静な顔で何かを考えていた。
「ご主人様、幾つか確認させて頂いても宜しいでしょうか?」
「どんな事?」
「本当に無くなっているのは、それだけなのでしょうか?私の予想が仮に正しいのなら、他にも無くなっている物があるのでは?」
棚卸しを戦闘航海中にやれというの?
「大丈夫です、やって貰うのは…」
ホノルルの言葉に従い、私の艤装妖精さん達が調べてくれた結果を見て私の顔が引きつった。
私が密かにため込んでおいた秘蔵の沢庵缶が300缶中、250缶、鳥飯缶が300缶中、150缶、他の非常用備蓄食料も根こそぎ半数近くが被害に遭っていたのだ。
羽黒の視線が心なしかキツイような気がする。
「確か非常用糧食は、乾パンと水が主体で一部缶詰が学園での基本だった筈では?」
「それは赤城さん対策に副司令が流した流言よ。皆も信じちゃったみたいだけど、そんな事実はありません」
妹の響が笑顔できいてくる。
「私達にまで黙っていたのは?」
「沢庵缶って何処でも人気有るじゃない?競争相手が減るといいな~って思って…ごめんなさい」
「後で没収です」
羽黒の言葉に私は観念して項垂れた。
「話し合いは終わりましたか?」
ホノルルが私達を見て聞いてくる。
頷く私達。
「結論は明らかです。ご主人様の艤装内には密航者がいます」
「でも人間に、それは幾らなんでも無理でしょう?戦闘機動、少ないとは言っても毎日のようにやっているのよ?ホノルルの対Gシートを実験してた人達だって一回で音をあげて半死半生で第一艦隊の子達に移動する事になったじゃない?」
「私も同感です。でもそんな事を気にもしない子達を私達は知って居ますよね?」
あー成る程、妖精さんの事か。
「ある偉大な科学者がこう言ったと言います。あれが最後の一匹とは限らないと、こんな不思議生物が居るのです、他にも同じようなのが居てもおかしくはない筈です」
暴論なのに、暴論に聞こえない。
ホノルルの提案を受けて、その生き物が好むらしい沢庵缶が餌にされる事になった。
妖精さん達が手ぐすねひいて待ち受ける中にそれは現れた。
体をロープでグルグル巻きにされているのにどこか嬉しそうな生き物。
缶詰ごとポリポリと齧ると言う、健康極まる前歯。
クラゲに大きな目が着いた被り物を着けている。
妖精さんより倍位の体長の青白い肌の少女。
私は彼女を怖がらせないように腹這いになって問いかけた。
「貴女のお名前は?」
「ヲッ?」
ネタバレが有ります。
そういうのが嫌な人は、本文へどうぞ。
ようやく真のヒロインが登場しました。
基本プロットはラモックス風です。