いつの時代の言葉だろう。
船頭多くして舟、山に登るとは。
「まず第一に私達、ラタン王家に責があるとのお言葉ですが、受け入れられません」
会議室に怒号が巻き起こる。
「誤解があるようですから、最初に言っておきます。ダインは機械ではありませんし、奴隷でもありません。私達の家族で、納税義務もある国民の一人です。お互いの同意があれば、私とダインの誰かが、結婚する事だって可能なのですよ?」
レ王女は会議に出席していた各国の代表に言い放った。
「行方不明の家族が死んで、その遺骸を敵に利用されていた。その状態で家族を拐われた私達に責任がある?ふざけるなって、こう言う場合に使う言葉ですよね?」
だから、挑発してどうするの?
私の心の中で発した悲鳴が聞こえたのか聞こえていないのか、一転、悲しげな顔になるレ王女。
「ですが、家族を殺されたという同じ被害者でもあります。ラタン=レ王女として宣言致します。私達の家族を奪い、それにくみする者達全てとの戦いに参加し、その消滅を見届ける事を」
言葉一つで納得出来るものでも、説得される物でもない。
それでも、相互理解に連なる最初の一歩は確かに刻まれたのだ。
これからが大変、等と思っていた私は、ラタン王家のしたたかさを甘く見ていた事に会議終了直後には気が付かせられた。
さっきまで殺気さえ感じさせた各国の代表達が、ニコニコと満面の笑顔でヲ王女とレ王女に話しかけている。
つい先程まで行われていた会議との落差に私は目を白黒させていた。
「どうゆう事なんですか?」
私達の教育係を押し付けられたリン公女に尋ねる。
「本音と建前ですか?対外的には、わたし達に対して怒ってみせる必要があったのでしょう。今は会食なのですから、敵意はかえって害になると考えたのではないでしょうか?」
「リン公女。いい所まではいっていますがそれだけではありませんからね」
リン公女の守役と紹介されたリ級艤装、どことなくイ級を思わせるその姿を多くの人は敬遠して、この辺りだけ、人の密度がひくくなっていた。
「怒って見せたと言うのは正しいと思います。ただこんなサイトが一昨日から出回っています」
「ラタン王家、公式サイト?そしてヲッちゃんファンサイト?…えっ?でも」
「ほとんどの戦というものは、戦う前には、結果が決まっています。国家同士の関係でも同じ事、今回はラタン王家が表向き各国からの謝罪欲求を突っぱねたという事になっていますが、その行為には、正当であると言うだけではなく、こちらの世界の国家に対して力の誇示をする事を各国から依頼されていたという背景があるのです」
「私達の国々からですか?」
「そうゆう事です。私達、ラタン王家が無理難題には毅然として対応し、そうでいながら、誠実さ、愛らしさも兼ね備える。ラタン王家と言われた時、地球人類がレ王女を思い、武威を。ヲ王女を見てけがれ無い優しさ、誠実をイメージする。そんな未来を彼等と私達は望んでいるのです。順調にヲ王女のファンも増えているようですしね?」
最後のって何か関係あるの?いやあるんだろうな。