レ王女とリン公女、神通に羽黒、ホノルル以外のほとんど全ての艦娘から全力で駄目出しを受け、ヲ王女はヲ級を頭の上に侍らせ、一人、学園の桟橋で黄昏ていた。
ラタン王家、今では暫定的にシャングリラ人と呼ばれる事になった彼女達の成長を促すのは思いの力である。
その証拠に地球と呼ばれる世界に来てからのヲ王女の成長は、目で見て判る程の物だった。
妖精さんの倍程度であった身長も、今では小学生低学年の平均身長程度にまでは伸び、まんまるだった顔にも少しづつ鋭さが添えられてきている。
白い割烹着を着けた女性がヲ王女の横に立つ。
ホノルルは鳳翔の姿を見ると同時に彼女達、二人を守るのに最適な位置を求めて移動していた。
「鳳翔?」
今、ヲ王女が、一番追いつき側に居たいと思っている神通の母親は優しい表情で核心貫く言葉をかけた。
「諦めるの?」
躊躇いなくヲ王女の首が振られる。
そんなヲ王女を見た鳳翔は満足気な表情で頷いた。
「着いて来なさい。神通や貴女の姉様達が何でそんなに反対するのかその理由の一つを教えて上げる」
ダインからサルベージされた映像記録を見つめるヲ王女。声を失い、流れ出る涙をそのままに、怒りと悲しみにその小さな体を震わせる。
「まだほとんどの人は知らないわ。だけど戦いに出るならば、絶対に知る必要がある」
「どうして私に?」
「貴女には嘘をつきたくないから今は内緒。貴女の望みがかなって神通達に追いつけたなら、その時には教えて上げるわ」
鳳翔を訝しげに見やるヲ王女に鳳翔は告げる。
「反対されるなら、反対出来ない程の力をつければいいのよ」
ヲ王女がその瞳を真っ直ぐに鳳翔に向けて頭を下げる。
「宜しくお願いします」
艤装を外し、ホノルルにしごかれるヲ王女を横に密談する鳳翔とヲ級。
「鳳翔?ヲ王女を炊きつけるのは構いませんが、レ王女達の怒りをかうのは分かっていますよね?」
ニヤリと鳳翔は意地悪な笑みを浮かべる。
「大丈夫、反対しても既成事実として押し通すから、まあヲ級が絞られる覚悟をして置くのは悪くないわ」
「…怒られるのは確定ですか」
「恋する乙女の力になって欲しいと私に相談した時点で覚悟はしているのでしょう?」
「これが神通でなく、羽黒か長門なら私もここまで悩まないのですが」
「それは無理ね。どちらも神通のハーレム要員だから」
「どれだけ女たらしなんですか?」
「昔からよ。根が優しい上に下手な男性よりも強くて凛々しいから、神通が友達と思っている子達のほとんどは彼女に恋しているんじゃないかしら?」
ヲ級は何と無く思いついた名前を上げる。
「…響」
「…私が彼女の暴走を止めていなけば、今頃、手ごめにされていてもおかしくはなかったわね」
実の姉に睡眠薬を飲ませようとしたのを知った時には流石に引いたわ。
鳳翔の呟くような言葉を聞きたくもないのに耳に入れてヲ級は顔を思いっきりしかめた。
「ヲ王女に危害を加えたら。いえ、何かあれば、例えあなたの身内でも容赦しませんから」
「ヲッちゃんなら大丈夫。違うわね…ヲッちゃんじゃなければ駄目が正しいかな?その為にも彼女には私を超えるくらい強くなって貰わないと」