小学生じみたセーラ服に、露出度の高い弓道着、一番ましなのがアイドルのステージ風衣装って、三十歳を越えた私にどんな嫌がらせよ。
まあ、ながもんの、チアガール風衣装や、お母さんの弓道着風の衣装で、ある程度は予想していたけど。
「それを着たら、演習場に向かうわよ」
「私に拒否権は?」
「あるわよ~妖精さんが遊んで欲しそうな顔でこちらを見ているしね」
言葉使いが間違っている。それは、拒否権じゃなく、死刑宣告っていうのよ。後、遊んで欲しいのではなく、私で遊びたいという顔よ。あれは。
あわてて、茶色の服を着てお母さんの後ろにつき従う私、その私の後ろにカルガモの雛よろしく並んでついてくる六人のセーラ服妖精さん。
そういえば、他の子達が看護婦さん姿の中でこの子達だけ、ちょっと浮いていたな。
あれだけボールのようにぐるぐると回っていた中で意外と細かいところまで見えていた私。
私が玩具にされていた時、止めようとしてくれていた子達もいたみたいだし…もしかするとこの子達だったのかしら?
膝を廊下につけて腰を落とす。降ろした手のひらに乗っかる六人
「助けようとしてくれてありがとう」
私の感謝の気持ちに邪気の欠片もない、いい笑顔が返ってくる。
やだ、何、この無茶苦茶可愛い生き物?お持ち帰りしたい。
「艤装コントロール妖精さんとダメージコントロール妖精さんね、一つの艤装に最低でも2人は付いてくるんだけど、貴女の場合三つの艤装で6人ってことかしらね?一人で三つの艤装を持つ子なんて前例ないしね」
その前例の無いことをしたのはお母さんだ。
「他の生徒や教職員には、一昨日伝えたんだけど、この学園、艦娘の選抜養成所兼、訓練施設に決定したわ」
「そんなっ!生徒や教師を無理やりこんな訳の判らない事に巻き込むの?」
「無理やりじゃないわ。戦う意志の無い者に、艤装を身に着ける事は出来ないし、給料もそれなりに上がるし」
「戦うなんてとんでも無いと思っている私は?」
「…何事にも例外はあるのね」
「…それは後から私と母さんで、じっくりと話し合いましょう。なってしまったものはしかたないし。それよりどうして皆は何も変わらないような顔で普通に生活しているの?」
廊下を歩くうちに何人かの同僚や生徒に遭遇していた。その誰もが私の服装にも、妖精さんにも特に気をとめず普通に挨拶をしてくれた。
それって、おかしいでしょう?幾ら説明を受けた所で変だと思う人はいる筈。
「妖精の粉って知ってる?」
いぶかしげな顔をする私にお母さんはキラキラとしたパウダーが入った容器を見せてくれる。
「この妖精の粉をかけられると、妖精さんや私達、艦娘に関連する事に対して違和感や疑問が一時的に抱けなくなるの。本当は、空を飛んだり、ちょっとした魔法を使う時に使う物なんだけどね。今回だけ特別に妖精さんがそうゆうふうに調合してくれたの。各国政府の承認を受けて、三日前このパウダーを人類領域に空中散布したわ」