サイレンが学園に響きわたる。
「洋上哨戒中のピケット艦、雪風より入電、駆逐艦イ級六体が学園に向かって進攻中。敵勢力到達予定時刻13:00、学園内すべての非戦闘員、訓練生はシェルターに避難して下さい、艦娘及び戦闘要員は所定の配置で迎撃!佐藤 譲学園統括官は司令部に急いで戻って来てください!てっゆうか、この忙しい時に、あの万年バカップル逹はどこに消えたのよっ?」
「大淀副司令、マイク入ったままです!気持ちは良く分かりますし同感ですが、自重して下さい」
「どうやら、私達は、娘とゆっくり話をする余裕も与えてはもらえないようだな」
父は、私の後ろで正座中(さすがに娘に殺気をはなったのはやりすぎだと叱られて反省させられている)の母親に声をかけた。
「鳳翔、やれるな?」
「そうゆうときはやれと言って下されば良いのです」
「そうだな、鳳翔、お前に迎撃艦隊の指揮は任せた」
どこか眩しそうに父は母親を見て命じた。
「任されました。元祖、第一航空艦隊におまかせあれ」
誇らしげに微笑むお母さん。
目の前にいる父に対して、最後まで格好をつけたかったみたいで、お母さんは、粛々と立ち上がろうとした。
その結果として、長時間、正座していた足の痺れで見事にひっくりかえったのは、当然の結果だろう。
回りにいた教職員、生徒の誰もが笑わなかったのは、先程の惨劇を忘れてはいなかったからだろうか?
コホンと、照れ隠しに一つ咳払いしたお母さんは、私達への指示を手早く行う。
「薫は避難誘導に回って。艤装が使えないのでは足手まといです。妖精さんの言う事を良く聞いて恵を守って、恵は薫が、学園の変化に対応できるようにサポート、私は迎撃に出ます」
戸惑っている私の手を引いて妹が駆け出した。
「姉さん、シェルターには、第二体育館からが早く行けるようになっています。避難指示を聞き落とした子がいるかもしれませんから、各教室の不在確認をしながら向かいましょう」
深海棲艦がこの学園にやってくるまで、およそ十分、地震多発国家日本で生まれ育った教え子達の反応はさすがとしか言えない物だった。
敵勢力、到達予定二分前にすべてのシェルターの員数確認が終了して出入口が封鎖されようとする。
シェルターの扉の外に佇む白いチアガール姿の人物を残して
「長門、母さんをお願い」
初めて呼んだ名前なのに何度も言っていたかのようにしっくりくる言葉。
確かに、今の彼女に他の名前は似合わない。
花がほころび咲き誇るような笑顔。
「神通、初めて私の名を呼んでくれたな。任せておけ、鳳翔にも、他の誰にも、傷一つ、つけさせはしない」