ハイスクール赤龍変 ~仙人見習いの青年~   作:紙ブクロ

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紙ブクロです。

人生二回目の投稿です。
飽き性のなのに奇跡!


旧校舎のディアボロス+α
1、悪魔と遭遇しちまった。


     『死んでくれないかな』

 

 

 彼女は微笑みながらその言葉を口にした。

 美しい一対の黒翼が夕日をバックにして影を伸ばす。

 幻想的な光景だった。

 

 腹部に違和感を感じてみると、鈍く光る槍が刺さっていた。

 瞬間、血が噴き出る。

 赤く、赤く、視界に入る何もかもが赤くなる。

 

 あぁ、死ぬのか。嫌だ。嫌だ。

 そう思った刹那

 

     『あなたね、私を呼んだのは』

 

 別の声が聞こえる。

 いるはずのない者の声が聞こえた。

 嬉しそうに小さく嗤う音が聞こえる。

 

     『どうせ死ぬなら、私が拾ってあげるわ』

 

 いつも最後はこのセリフだ。

 

     『あなたの命。私のために生きなさい』

 

 ここでいつも眼が覚める。---

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

『オキナサイ! オキナサイ! オ、オキナイナラ、キ、キス、スルワヨ・・・』

「……うーん」

 目覚めは最悪だった。

 ここ最近いつも同じ夢にうなされている。おかげで起きた後も夢の後味が尾を引いている。

 当たりまえだ。自分が殺される夢を見て気分よく起きられるものがいるのか。まして殺した相手が初めての彼女の姿でった。

 自分の腹を擦ってみる。傷はない。夢のはずなのだ、あれは。

「起きなさい! イッセー!」

 階段からいつもの母親の声が聞こえる。いつもの朝だ。

「わーってるよ! いま起きる!」

 こうして兵藤 一誠のいつも通りの一日が始まる、はずだった。

 

ーーー

 

「……夕麻ちゃんのこと、マジで覚えてないのか?」

 一誠の言葉に目の前の二人は可哀想な者を見る目で返した。

「だからさ、俺らそんな子知らないって。マジ、病院とか言ったほうがいいんじゃないか? なあ、元浜」

 丸刈り頭の友人、松田が答える。

「ああ、何度も言うが俺たちは夕麻ちゃんという女の子を紹介されていない」

 元浜と呼ばれたメガネの男がキザな仕草で返す。

 二人は一誠の友人、いや悪友だ。どんなと言われれば三人で仲良くお宝映像を視聴したり、女の子の神秘についてかたりあったり、女子更衣室を覗いたりの中である。今日も仲良く三人で女子生徒から嫌悪の目と罵倒の言を浴びていた。

 こんなはずじゃなかった。

 一誠だって入学当初は女の子に囲まれたムフフな学園生活を想像していた。そのために男女比率が三対七と圧倒的に女子の多いこの私立駒王学園に進学したのである。

 難関といわれる試験も血の滲むような猛勉強で通った。ただひたすら女の子との学園生活の為に!!

 しかし、現実は厳しかった。女子にとって一誠は石屑、いや廊下に落ちたごみ屑以下。どんなに声をかけても見向きもされず、彼が望んだ視線は一部の『イケメン』といわれる特権階級のみがそれをほしいままにしていた。

 もう一度言おう。こんなはずじゃなかった‼‼‼

 そしていつの間にか同学年で志を同じくする二人と行動を共にするようになった。女の子からは遠のくばかりだが三人での時間は悪くなかった。この二人にもう一人足したのが一誠の学園内の友人数である。

 だが、そんな暗黒時代に一陣の甘酸っぱい風が吹いた。

「付き合ってください!」

 突然の告白だった。

 その主の名は天野 夕麻(あまの ゆうま)ちゃん、美しい黒髪のスレンダーな娘だった。そして夢で一誠を毎晩殺している張本人だった。

 浮かれて二人に自慢しまくったのを覚えている。泣いて悔しがられたことも。夕麻ちゃんとは後日デートをしたはずである。

 が、どうしてもその結末が思い出せない。気づいたら家で朝を迎えていた。

 それからだ、一誠の身におかしなことが起こり出したのは。

 まず、誰も夕麻のことを覚えていなかった。誰に聞いても先の二人のように知らないと返され、気でも狂ったのかと言われる始末だ。

 携帯の中のアドレスやデートで撮ったはずの写真さえ消えていた。一誠は自分の正気も疑ったがどうしてもあの時間が幻とは思えなかった。

 そして一誠本人にも変化があった。

 まず、あの夢である。デートの次の日から毎晩見るようになった。あまりにも非現実的だが異様に生々しさのあるゆめだった。

 身体にも変化がある。朝が弱くなった。夢のせいかと思ったがどうも違う。日の光自体がキツイようだ。特に朝が酷い。

 逆に夜は活性化する。興奮状態が続きいくらでも起きていられた。試しに走ってみたら驚くほどの速度が出る。全然疲れないで走れるのだ。調子にのって昼間もやってみたが全く駄目だった。

 一体なにが起きているのか。

「なんだ一誠? 最近調子がわるそうだなあ。 よし今日は一丁放課後に俺の家へ寄れ。秘蔵のコレクションをみんなでみようじゃないか」

「それは素晴らしい。松田くん、ぜひともイッセーくんを連れて行くべきだよ」

 グフフ、と笑う悪友ども。変態だ。しかしその輪に確実に一誠も加わっている。

 いいだろう、友よ。その誘いに乗ろうじゃないか。

「わーったよ! 今日は無礼講だ! 炭酸飲料とポテチで祝杯をあげながら、エロDVDでも視聴しようじゃねえか!」

 そして三人で盛り上がるうちに後ろから声がかかった。

「朝っぱらからあほ過ぎる集会の相談してんじゃねえよ」

 一誠にかかる日光が途端に遮られた。後ろを向くとそこには分厚い壁があった。

「早朝の爽やかさの欠片もねえぞ、お前ら」

 壁がしゃべる。

「錬蔵よ、分かってねえなあ、俺たちは健全な男子高校生だぜ? 欲望の権化なんだよ。エロいことしないと産んでくれた親に失礼というものだぜ」

「その発言こそ失礼だろ」

 錬蔵と呼ばれた青年が松田に突っ込む。

 相変わらずでかいな。一誠は横に並ぶ錬蔵を見る。入学当時は同じクラスでビビったものだ。偶々課外活動で班が一緒になった時恐る恐る会話したら普通にいい奴だった。それ以来一誠の数少ない友人枠の一人である。

「ンなこと言ってもお前も男ではないか。興味が無いわけではなかろう」

「ないとは言わんが節操ってもんがあるもんでね」

「錬蔵くん、錬蔵くん」

「なんだよ?」

 元浜に呼ばれてそっちを向く錬蔵、そこには広げたエロ本が、しかも元浜推薦の最も際どいページが待っていた。少しの間ののち。

「ごははああぁっっ!!」

 鼻血を吹き出し膝をつく錬蔵。

(免疫無さすぎだろう)

 一誠の知る錬蔵の唯一の弱点がこれである。女にとことん弱いのだ。

「ふははは!! どうやら喜んでくれたようだね! この私の自慢のセレクトを!!」

「てめぇ! うわ、止めろ! 近づけんな!!」

「かっかっかっ! すぐに言い返せるだけ成長したなあお前も。最初は一度見たら回復するまで時間かかっただろ」

 バカ二人が錬蔵を弄りだす。いつものやり取りだ。

「うわ、『 野獣(ザ・ビースト)』よ。また興奮して鼻血垂らしてるわ」

「あんなのに襲われたら抵抗できないわよ、恐ろしい」

 女子たちの勝手な言葉が聞こえてくる。一誠たちとつるでいる影響か、錬蔵もその一派とされていわれのない陰口を叩かれていた。一度頭にきて反論しようとしたら錬蔵本人に止められた。

『他人は自分の見たいもんしか見ねえよ。下手に言い返したって変わらんさ』

 逆にうっとおしくなくて楽だとのたまうほどである。身体がでかいと心まででかくなるのか、かなわねえなと思ったものだ。

 ふと気づくと弄られ終わった錬蔵がこちらを見ていた。松田元浜たちは自分の席へ戻っていく。

「イッセー、お前、最近体質変わったとかないか?」

「え? き、急にどうした?!」

 いきなり心配事を言い当てられて驚く。

「ここのところのお前の纏う気配がなぁ。なんとなく違うんでなぁ」

 一誠は戸惑う。話したいがさっきの松田達を思うと踏み切れない。錬蔵にまで病気と言われてはもう自分ほ信じれなくなりそうだ。

「い、いやあ。別になにも……」

 ないと言いかけた時。横目に揺れる紅の髪が見えた。

 すぐに視線が釘づけになる。

 真紅の髪の少女。完璧なスタイル。顔の作りは日本人ではなく全てのパーツがバランスよく並んでいた。

 リアス・グレモリー。我が校のアイドルである。

 彼女が廊下を歩くと誰もが足を止めてその姿を見つめる。一誠も例外ではなかった。

 しかし前と違い今は彼女の美しさに少しだけ恐怖を感じていた。だが、見るのをやめることはできない。

 ふと、彼女と目が合う。口元が微かに緩んだ気がした。

(笑った? 俺に向けて?)

 そう思ったとき途端に夢を思い出した。最後の声はリアス先輩の声じゃなかったか?そんなことを考えていると身体が激しく揺さぶられた。

「おい!イッセー!! しっかりしろ!」

「うおっぷ、ちょ、キツイ! 止めろ、いろいろ逆流する!」

抗議の声を上げるとすぐに錬蔵はその手を止めた。

「お前本当に大丈夫かぁ? 尋常じゃなかったぞさっきの」

「え、え~。そうかぁ? いつもこんなかんじだろ?」

 誤魔化そうとするがどうやら通じなかったようだ。真っ直ぐに目線を向けてくる。この時の錬蔵は梃子でも動かない。

「イッセー」

「お、おう?」

「どんなことでもいい、俺に話せ。嗤ったりバカにしたりしねぇ。俺はな、そういうのにゃ慣れてるんだよ」

 腹に響く声色だった。本当、かなわねぇなあ。はぁ、と息を吐く。一誠は諦めた。信じよう、こいつを。

 

「実はさ……」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 夜の校舎。

 

 誰もいなくなるのを待って錬蔵は忍び込んでいた。

 目的地は旧校舎、リアス・グレモリーが部長を務める『オカルト研究部』部室である。

 昼間一誠から話を聞いた錬蔵はすぐにリアスについて情報を集めた。他に手がなかったのだ。もう一つの手掛かりである夕麻という少女は手繰ろうにも足がかりが少なかった。

 そこでリアスを調べたのだが日頃の悪評のおかげで大したことは分からなかった。そこで一番手っ取り早い方法を選んだ。相手の本陣に入って直に調べるのだ。

 校舎の裏手に回ると木々に囲まれて古い木造の建物が見えた。旧校舎と呼ばれている。そこにオカルト研究部があるとのことだ。

 旧校舎に近づいてすぐ錬蔵は舌打ちをする。

「これに気づかんかったとは、我ながらまぬけだなぁ」

 旧校舎の周りには結界のようなのものを張られていた。侵入者を拒絶するような代物ではなく認識をゆるくするたぐいのもののようだ。

「師匠に日常での術の使用を止められてるといえこんな目と鼻の先にあるとはなぁ」

 錬蔵は自嘲する。

 元々錬蔵はある事情でとある仙人のもとで十五になるまで修行していた。特に武術の稽古は性に合っていた。時々仕事の手伝いで憑き物落としもやった。このまま仙人になってもいいかと思っていた時、師匠から。

「このまま外の世界を知らずに修行したって碌なもんにゃならんよ。山を下りて人と交われ。若いうちにしか体験できんことは若いうちにどんどんやってこい」

 と言われて叩き出された。日常での術の使用禁止付きで。

 しかたないので、とりあえず学校にいくことにした。受験勉強はしんどかったが修行に比べれば随分楽だった。

駒王学園にしたのは近いのと、多少でもレベルの高い学校で保護者を安心させたかったからだ。外で生活を初めて思いがけない自分の弱点がわかったりしたが運よくよい友人もできた。時々知り合いの霊能者に呼ばれて師匠に内緒でアルバイトもした。

 かくして一年間無事に高校生活を送っていた錬蔵だった。

 中に入って進んでゆく。どうも二階から違和感を感じる。そこを目指した。一番奥まで行くと突き当りに教室があった。入り口には『オカルト研究部』と丁寧に書かれたプレートがかけてある。

「さあて、鬼が出るか蛇が出るか」

 ガラリと扉を開ける。カギはなかった。罠かもしれないが構わず入る。スイッチを探して見つけると部室の電気をつける。

 異様な部屋だった。部屋一面に謎の文字がびっしり書かれている。部屋の中央の魔法陣らしきものが一際存在感を放った。

「参ったなぁ、西洋方面は専門外なんだがね」

 ポリポリと後頭部を掻く。玄角にでも助言を仰ごうとスマホを出して写真を撮ろうとしたとき。

「うちに何の御用かしら?」

 声のする方をみるとリアス・グレモリー当人が立っていた。腕を前に組み凄まじい威圧感を放つ。

「いやぁ、ちょっとこっち方面に興味があってね。部活見学に来たんですよ」

 しれっと返す錬蔵。

「あらあら、困りましたわね」

 今度は入り口から声が来る。

「見学期間はもう過ぎましたのよ?」

 そこにいたのは姫島 朱乃(ひめじま あけの)。リアスと並ぶ学園の有名人だ。リアスと同等のスタイルと和風な雰囲気がアンバランスな魅力を放つ。

「固いこと言わんで下さいよ。高校生活をもっとまともに謳歌せんとしてるだけですよ」

「それにしては、とても非常識な時間帯だとおもうけど?」

 尤もだ。早いこと退散しよう。それに錬蔵にとって二人は別の意味で刺激的すぎる。鼻が痒くなってきた。

「そう言われちゃかなわねぇ、お暇します。失礼しました」

 頭を下げて帰らんとする。

「あらあら、もうお帰りですの? 私はもう少しあなたとお話したいですわぁ」

 どうやら入り口は使えないようだ。

「そうねえ、ぜひともそうしましょう?」

 そう言った瞬間リアスに何かの力が集まるのを感じる。

(! やべぇ?!)

 瞬時に危険を感じた錬蔵は身を屈めてリアスの前へ飛び込とそのまま横に回転してリアスの足を払う。

「きゃっ?!」

 倒れたリアスに追撃しようとするがゾクッと寒気が走り後ろに飛びのいた瞬間、錬蔵の居た場所に電撃が落ちる。

「部長大丈夫ですか?!!」

 放った張本人である朱乃がリアスに声をかける。

「よくもリアスを!」

 今度は朱乃に膨大な力の流れが集まる。

「ったく、忙しいなあっ!!」

 錬蔵は近くにあったソファを蹴り飛ばす。かなりの重さのはずだが物凄い速さで朱乃に襲い掛かる。

「速いっ?!」

 朱乃は電撃の矛先をソファに変えて撃ち落とす。しかしその陰に隠れていた錬蔵が現れる。

 (やられる?!)

 朱乃はダメージを覚悟して身構えたがその前に錬蔵が飛びのく。錬蔵と朱乃の間を黒い塊が通り過ぎる。塊が壁に当たるとその部分だけが跡形もなく消え去った。

「朱乃! 大丈夫?!」

「ええ、大丈夫ですわ」

 お互いの無事を確認するとすぐに錬蔵を警戒する。当の錬蔵はリアスの放った攻撃に驚いているようだ。

「なんだいありゃ。人間技じゃねえぞ?!」

「当たり前でしょ。私たちは『悪魔』なんだから」

 リアスの言葉に驚きの声が上がる。

「悪魔ぁ? 鬼も蛇もすっ飛ばして悪魔が出んのか!」

「知ってて来たんじゃないの? まあ、どっちにしてもこのまま帰すわけには行かないわ」

 そう言って構え直すリアスたち。

(分が悪いなぁ)

 よくない状況だ。入り口は使えない。どうも二人は接近戦が不得手とみるがお互いをカバーしあっていて決定打をくれない。かといってこのまま時間を与えたらとんでもない攻撃がきそうである。その力が二人には確実にある。

 逃げるなら今だ。錬蔵は窓に向かって駆け出す。

「しまった! 駄目よ!!」

 後ろから叫ぶ声が聞こえるころには錬蔵は窓を吹き飛ばして外へ飛んでいた。横目で部室から外へ伸びる雷を捉える。

 間一髪だった。あと一歩で丸焦げだ。身を捻って着地すると全力で闇を駆ける。その巨体には似合わない速さであった。

「追わなきゃ!」

 そういって壊れた窓に近づいたその時、自分の管轄内での異常を感じた。どうやら自分の眷属か何者かに襲われている。

「これは、イッセー?」

「部長どうしました?」

 急に立ち止まったリアスに心配の声をかける朱乃。

「ごめんなさい、朱乃、彼はあなたが追って。私は他に用が出来たわ」

 それを聞いて頷き、悪魔の翼を広げ飛んでゆく朱乃。リアスは部屋の中心の魔法陣に立つ。

「次から次へと。問題ばかりね」

 そういって陣を起動させた。




こんな感じになっちゃいました。
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