ハイスクール赤龍変 ~仙人見習いの青年~   作:紙ブクロ

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3回目の投稿です。


2、悪魔、しばいた。

「この子にちょっかいを出すなら、容赦しないわ」

 

 目の前の堕天使の男にリアスは言い放つ。

 後ろには傷ついた一誠がいた。目の前の男に襲われていたのである。男はリアスがグレモリー家のものと知って攻撃を止めた。

「……ふふっ。これはこれは。その者はそちらの眷属かこの町もそちらの縄張りというわけだな。まあいい。今日のことは詫びよう。だが、下僕は放し飼いにしないことだ。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」

「ご忠告痛み入るわ。でもそれを言うならあなた達もでしょう?」

「なんのことだ?」

 男が聞き返す。

「私のテリトリーにネズミを一匹潜ませていたでしょう? ご丁寧に一年前から潜ませて。今日しっぽを出しちゃったわよ?まあ、ネズミと言うには大きすぎるけど」

 錬蔵のことだ。堕天使側のスパイは十分あり得る。

「? なんのことだ。皆目見当がつかんな。悪魔に都合の悪いことは全て堕天使のせいとは、いささか妄想が過ぎるのではないか?」

 一言多い男だ。内心腹立たしいが嘘には聞こえない。

「そう、なら消えなさい。……今度私の邪魔をしたら、そのときは容赦なくやらせてもらうわ」

「その台詞、そっくりそちらへ返そう。グレモリー家の次期当主よ。我が名はドーナシーク。再びまみえないことを願う」

 そういって堕天使は空の闇へ消えていった。

「さてと、次はこちらね」

 振り向くと今にも気絶せんとする虫の息の一誠がいた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

「変なスーツの男に殺されかけただぁ?!!!」

 教室にでかい声がよく響く。

「声でけぇよ! 落ち着け!」

 一誠が慌てて口を塞ぐ。

 放課後、二人は間に机を挟んで話している。誘ったのは錬蔵だ。

「……それで? なんでそれがそのあとお前とグレモリー先輩とのご通学になるんだ?」

 錬蔵が昨日起こったを出来事をどう一誠に話すか悩みながら登校していたら、当の本人は鼻の伸び切った顔をしながら話題のリアス・グレモリーと並んで歩いてくるのである。

「それがさ、どうやら先輩が助けてくれたらしんだ。俺はすぐ気絶しちゃったから詳しくはわかんないけど。そんで朝起きたら俺の隣に、せ、先輩のあられの無いお姿が! おっぱいが!!」

「そこはいい、飛ばせ。他に何か言ってたか?」

「聞けよ! 一番大事なことだろうが!」

「うるせぇ、殴るぞ」

「悪魔がどうとか、俺の治療の為に魔力をわけたとかおっしゃっていたデス!」

 敬礼しながら報告する一誠。

「悪魔ねぇ」

 錬蔵は頭を抱える。どうやら向こうは一誠に隠し事をする気はないらしい。一誠を見ても特に術のたぐいをかけられている様子はない。

 二人が話していると、突如教室の入り口が騒がしくなる。そちらを見やると我が校の有名人其の三が入ってくるところだった。

「カッ、イケメンが、死ね!」

 隣で物騒なことをつぶやく一誠。やってきたのは駒王学園きってのイケメン王子木場 祐斗(きば ゆうと)。錬蔵たちと同じ二年生ながらその扱いは雲泥の差である。入り口付近で騒いでいるのは全て女子だった。

 その王子がどうゆうことか真っ直ぐこちらへ向かってくる、途端に女子たちから敵視の目を向けられる。

「や。兵藤 一誠君だね」

 爽やかな笑顔だ。成程、女たちが騒ぐわけだ、と錬蔵は思う。

「あぁ、何のご用ですかね」

 おもしろくなさそうに一誠が返す。

「リアス・グレモリー先輩の使いで来たんだ」

「ーーっ」

「ほぅ?」

 突然三人の間に緊張が漂う。主に錬蔵と木場の間に。

「あんたもあの部の部員かい? すげぇな、有名人ばっかじゃねえか」

「いやあ、それ程でもないよ。……昨日は部長たちと『お話』したんだってね?」

「あぁ、また是非お邪魔したいね」

「そのときはまず僕がもてなすよ」

 そりゃ楽しみだ、と嗤う錬蔵。返す木場も笑顔が氷のように冷たかった。

「お、おい。二人とも止めろよ。なんだかこえぇよ」

 一誠が横から割って入る。一先ず二人はにらみ合いを止める。

 木場は一誠についてくるよう言うと二人して教室を出て行った。

 それを見送った錬蔵は大きく嘆息する。ありゃぁ相当ヤルな、心の中でつぶやく。

「今回はお呼びが無かったし、様子見するとするか」

 そういって立ち上がる。帰ろうと入り口をくぐると女子たちの声が入ってきた。

「う、嘘よ! 木場君があんな野獣どもと一緒なんて!」

「汚れてしまうわ、木場君!」

「まさかの兵藤を取り合っての泥沼の三角関係?!」

 ……、平和だなぁ。そのままあきれ顔で錬蔵は教室を離れた。

 

 

 

ーーーーーー

 

「ハーレム王に俺はなるっ!」

 木場にオカルト研究部へ案内された一誠はそこで自身の身に起こった全ての出来事を聞かされた。自身の身に宿る超常の力『神 器(セイクリッド・ギア)』、その力のせいで堕天使に命を狙われたこと。そして一度死んで悪魔に転生してしまった事実。

 あまりに現実離れしていたがそれを信じるだけの証拠もいくつも見せられた。一誠にはそれを受け入れる選択肢しかなかった。

 しかしそこでそのまま悩み苦悩するような男ではないのがこの一誠である。リアスから悪魔の新しい制度をきいた途端に鼻息を荒くする。

 早い話が成り上がり制度である。元人間の転生悪魔でも実力や仕事の頑張り次第で下級から上級悪魔になれる。上級悪魔となった者は自由に己の下僕を作れる。

 一誠にとって下僕=言うことを聞いてくれる女の子である。夢のような話だ、人間のままでは到底不可能な話である。

「フフフ、張り切ってるはね。期待してるわ。……ところでイッセー」

 さっきまで笑っていたリアスの声が一段低くなる。

「あなたの友人のに多々良 錬蔵君ているわよね? 彼がどういう子かあなた何か知ってる?」

「え、錬蔵ですか? あいつは友達で、すげぇいい奴です!!」

 力強く答える一誠、その答えにリアスと朱乃は苦笑する。

「そういう事ではないの、彼の人間関係とか普段の行動に何か普通じゃないと感じたことはない?」

 質問に首をかしげる一誠。実は、と朱乃が昨夜のことを一誠に説明する。

「あ、あいつが部長たちと闘ったなんて」

 まさかと思った。しかし反対に錬蔵なら、とも思ってしまう。アイツなら平気で笑いながら怪物と殴り合いしそうだ。

「悪魔とあそこまで闘える人間はそうはいないわ。それこそ『悪魔祓い(エクソシスト)』でもない限りはね」

「でも教会の者でもないと思いますよ。奴ら特有の信仰の匂いがしなかったです」

 木場が話に入ってくる。

「あらあら、そうなるとますますわからなくなってきましたわね」

「……殺しますか?」

 物騒なことを言い出したのはリアスの眷属悪魔で一年生の塔城 小猫(とうじょう こねこ)。学園のマスコットと名高いロリ少女だ。有名人ばかりといった錬蔵の言葉はあながちウソではない。

「で、でも! あいつはホントにいい奴なんス!! 今回のことも俺の為にやってくれた事だと思うんです。部長たちに手ぇ出したのは許さんけどっ!!!」

 必死で友をフォローせんとする一誠をリアスは見やる。

「イッセー、気持ちは分かるわ。でも貴方はこの前信頼していた者に裏切られたばかりだわ。彼もそうじゃないと言い切れる?」

「そ、それは……」

 一誠の脳裏に夕麻の記憶がよみがえる。もうあんな思いは二度と御免だ。もし錬蔵に裏切られたら、とてもじゃないが想像したくない。

 

『イッセー、どんなことでもいい、俺に話せ。嗤ったりバカにしたりしねぇ。俺はな、そういうのにゃ慣れてるんだよ』

 

 昨日の錬蔵を思い出す。あれが演技だと思いたくない。いや、信じたい、一誠は腹を決めた。

「俺はアイツを信じます! アイツは友達を裏切ったりするような奴じゃねえ!!」

「……そう、それでいいのね?」

「はい!それでももしアイツが先輩たちに迷惑かけたら、俺がぶっ飛ばします!!」

 リアスたちに向かって力強く言い放つ一誠。

「はあ、分かったわ。とりあえず彼のことは警戒しつつ様子を見ましょう」

「部長! ありがとうございます!!」

 というわけで、錬蔵のあずかり知らぬところで彼の処遇が決まった。

 

ーーーーーーー

 

 

 それから数日の日々は割と穏やかなものだった。

 一誠はどうやら口止めされたらしくオカルト研究部での話を錬蔵がどんなに脅しすかして聞いても口をわらない。あんまり責めるのも可哀想だから詫びを言ってそれ以上は聞かなかった。

 リアスと朱乃は錬蔵のことを無視することに決めたようだ、すれ違っても目もくれない。元々そんな扱いではあったが。

 逆に木場などは会う度に無言で殺気を叩きつけてきた。それ自体はどうでもいいがそれを見た女子が何やら勝手に盛り上がってるのが面倒だ。

 時々、錬蔵の後を小さな影が尾行してくることもある。あれは確か一年生の塔城だったか、松田と元浜がマスコットがどうのと言っているのを聞き流した記憶がある。学校内は構わないが、流石に学外は鬱陶しいので適当にぶらついた後隙を見て逃げた。無表情ながら日に日に意地になってきているらしいのが見ていて面白い。

 

 その間錬蔵は何もしていないわけではない。放課後は町を回って通り魔や異常な事件が起こってはいないか調べていた。

 先日一誠を襲った男、それに一誠の夢が現実のものだとするとこの短期間で二回も人が襲われたことになる。他にもあるかもしれないと探っているとどうやら町の郊外で失踪事件が多発しているらしい。近い区間で分かっているだけで三人も失踪しているのに特にニュースにもなっていない。これは何かあるかもしれないと今日その郊外の森に出向いていた。魔物が好む真夜中を待って入る。

 森へ入ってしばらくしてすぐに錬蔵は異変を感じとった。周囲の空気には何者かが放つ凶悪な魔気が混ざっていた。それは奥へ行けば行くほどまるで濡れた布のように気味悪く錬蔵の四肢に絡みつく。

 一誠に関係あろうがなかろうがこれをこのままにはしておけない。

 進んで行くと開けた場所に廃屋があった。どうやら気味の悪い気はここが元のようである。錬蔵は迷わず入り口を蹴破って入る。

 中の空気は最悪だった。息を吸う度に泥臭い何かが流れ込んでくるようである。鼻からは埃の臭いに混じって赤鉄の臭いが射し込んでくる、間違いなく血の臭いだ。

 不意に笑い声がする。

 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ……。

 不気味な声が部屋に響く。錬蔵は足を止めて拳を握る。

「食事が自分から来たぞ」

 何かがしゃべる。

「でかくて喰いでがありそうだ。でも、肉は硬そうだね」

 声のする方へ視線を向ける。

「硬い肉はよく叩いて柔らかくしよう。あぁ、楽しみだ」

 ソレが姿を闇から現す。

 美しい顔の女だった、その身になんの布も纏っておらず豊かな乳房が惜しげもなくさらけ出されていた。

 ぬう、と錬蔵は鼻を押さえる。正直普通の女ならヤバかった(鼻血が)。しかしその女はとても普通のものではない、その証拠に錬蔵の背の高さよりも高く宙に浮いている。

 いや、浮いているのではない。女が近づくのと同時にその下に異形のモノが付いているのが見える。

 獣の身体だ。四足でその全てが大木のように太く、射し込むわずかな光がその凶暴な爪を照らしていた。後ろに生えた尾は蛇である。宿主とは別の思考を持って錬蔵を値踏みする。女の両腕には二本の槍が握られていた。

 そこまで見るともう鼻を押さえる必要はない、錬蔵はゲテモノに反応する趣味はなかった。

「よう、バケモン」

 ニヤリと嗤う錬蔵、その笑みはまるで肉食動物の威嚇のように凶暴なものだ。

「どうやら随分おいたしているようだなぁ、もう悪さ出来んようにこらしめにゃならんぞ」

 子供に諭すような言い方である。バイザーの顔が歪む。

「ほざけ人間、たった一人でこのバイザー様をどうにかできると思っているのか?」

「どこのアニメで覚えたんだ? その台詞。あんまり古すぎてジョークにもならんぜ」

 とことんバイザーをからかう錬蔵。次第にバイザーの顔が怒りに染まっていく。醜い姿だと改めて思う。まるで

よくある美少女フィギュアの上半身を首を取った怪獣の玩具に無理やり接着したような歪さだ。

「人間が戯言を言いおって! 四肢をもいで生きたまま喰ってやるわああぁぁ!!」

 バイザーが錬蔵に飛びかかる。獣の前足が錬蔵を押し潰そうとするのを横に飛んで躱すとそこに槍の一撃が迫る。それを足で蹴って払うと後ろに回り込む。

「小賢しいっ!」

 尻尾の蛇が錬蔵を襲う。その両顎を両腕で掴んで防ぐとあらん限りの力を込める、服の両袖が膨張した筋肉によって裂けてゆく。

「ぬううんんんん!!!!」

 ついには蛇の顎を上下に引き裂いてしまう。手を放すとだらんと閉まりなく下顎が垂れる、もう使い物にはなるまい。

「貴っっ様ああぁぁ! よくもおおおぉぉぉぉ!!」

 もはやバイザーの顔はさっきまでの美しさはなくその醜い本性どうりの化け物の顔になっていた。

 再び獣の身体と槍で攻撃してくるがその尽くを錬蔵は躱してゆく。その身体に見合わない軽やかな足取りだ。まるでバイザーと舞踏でもしているかのように自然で無駄がない。

 槍を躱し、すれ違いに数発軽く獣の部分に打撃をいれてみる。

「小賢しいわあぁっっ!!」

 効いた様子もなくすぐに攻撃を仕掛けてくるバイザー、錬蔵の拳には大型車のタイヤを殴った感触が残る。

 普通の攻撃は効かんか……。そう思った錬蔵はヒュウッと息を吐き己の気をコントロールする準備をする。

 自身の気を丹田、へその少し下辺りに集中、圧縮させる。

 バイザーの槍を潜り抜け正面に立つと思い切り地面を踏みしめる。引き締められた錬蔵の腰、背中、肩、腕が順番に勢いよく回転する。と同時に圧縮された気が同じくその順番を一気に駆け抜け拳を目指す。

 バイザーに拳が当たった瞬間拳から力が弾ける。

「ぐああああぁぁぁぁ?!」

 それはバイザーを押し返すほどの衝撃だった。

 怯んだところを同じように追撃する。拳を打つ度に轟音が周囲に轟いた。

 たまらずバイザーは後ろに飛んで距離を空ける。

「おのれええええぇぇ! 只の人間のくせにいいぃぃっ!」

「まだそんなに動けるのか? タフだなぁ、参っちまうぜ」

 どう見ても錬蔵の方が余裕がある。バイザーを見てニヤリと嗤って見せた。その顔がバイザーのプライドを傷つける。

「おのれええええぇぇ! 殺す! 絶対に殺してやるぞ人間ンンッッ!」

 がむしゃらに突っ込んでくるバイザー、ひらりと錬蔵が避けると直ぐに身体を向けて突っ込んでくる。まるで闘牛の牛だ。

「あんまり頭に血が上ると前が見えなくなるぜ?」

 同じように錬蔵が躱すとバイザーの目の前には壁があった。そのまま止まれず壁に突っ込む。壁を破壊して止まるのを見た錬蔵はそのまま地面を蹴ってその獣の背中に乗る。

「貴様?! 降りろぉ!」

 慌てて振り落とそうとするが錬蔵は見事なバランスで乗り回す。

「なかなか面白いアトラクションだぜ」

 軽口を叩くのも余裕である。目の前にはバイザーの人部分の背中がある。ここだけはまだ妖艶な曲線を保っていた。

 また息を吐き気を操る錬蔵。今度は丹田ではなく伸ばした二本の指先に集中させる。その先をバイザーの背中の中心に照準を合わせる。最少、最速の動きで錬蔵の指がバイザーに突き刺さる。

 ゴキリと何かが砕けた瞬間、

「ギャァァッァァァァァッァ!!」

 バイザーが悶絶し倒れる。倒れた後も起き上がらずに唸るしかできない。

「脚がぁ、動かないぃ? 畜生ゥゥッッ!」

 寸指破と呼ぶ技である。それがバイザーの腰骨を折り、頸髄を破壊した。

 化物はその見た目通り身体もでたらめかと思われるが意外とそうでもない、実体として肉があるならそれを支える骨、動かす指令を送る神経、指令を出す脳がある。それが通用しないのはその法則性無視出来るほどの力がある上位存在か元からそういった構造の生物ぐらいだ。

「さあて、大人しくなったところで聞きたいことがある」

 苦しむバイザーの前に錬蔵が立つ。

「お前さんのお仲間に黒い翼をもつ奴は居るか? いるんなら教えろ」

「貴様に話すことなどある、ガッ?!」

 錬蔵のごつい靴のつま先がバイザーの顔にめり込む。

「嘘を吐くなよ? 最近ソイツが町に出て困ってんだ」

「知るか! どこぞの堕天使が自分等にとって都合の悪い奴を狩ってるんだろうよ!」

 悪魔の次は堕天使か、錬蔵は内心毒づく。

「分かった、じゃあ、次の質問だ。お前が今まで攫った人たちは今何処にいる。まだ無事な奴はいるか?」

 正直質問の答えは分かっていたが聞かずにはいられなかった。聞いたバイザーは口の端を吊り上げて厭らしく嗤う。

「馬鹿かお前は? 無事な奴なんているわけないだろう! 一人残らずこのバイザー様が喰ってやったわっ!」

 そう言ってケタケタと高笑いをする。胸糞が悪くなる声だ。

「……もういい。お前は此処で俺が滅ぼす」

「やってみろ! 人間があぁぁ!」

 全身に殺気を纏う錬蔵。対するバイザーもよろけながらも脚を動かし立ち上がる。回復が早い、やはり化物は化物だ。

 しばし睨みあい、お互いが身構えた時。

「そこまでよ」

 闇から声とともに電撃が襲う。とっさに飛びのき閃光から腕で目を庇う錬蔵。その耳には雷の轟音とともにバイザーの断末魔に近い叫び声が聞こえる。

 閃光が止み、前をみるとそこには焼け焦げて瀕死状態のバイザーの姿がある。

「両者とも、これ以上の勝手は許さないわ」

 声の方へ視線を向ける。いるのはもちろんリアス・グレモリーその人だ。

「どういうことだ? なんでここにいる?」

 リアスに質問する錬蔵。声にはたっぷり殺気が籠っている。

「それはこちらの台詞よ。あなたが先に答えなさい。

 向こうも怯まずに聞き返す。錬蔵は答えない。

「あらあら、だんまりですか? 困りましたわね」

 横に並んだ朱乃が言う。口はこう言っているがその顔はまるで虐めがいのある獲物を見つけたように悦んでいた。

「闘いますか?」

 そう呟いて小猫が前に出て構える。敵を前にした戦士の顔だ。

「小猫ちゃんちょっと待ちなよ。約束でね、先ず僕から相手をさせてもらうよ」

 そういいながら嬉々としてこちらに剣の切っ先を向けてくる木場。

「団体でお出ましかよ。いいぜ?丁度暴れたかったんだ。相手してやる」

 逃げ時だ、頭では分かっている。しかしバイザーへの怒りと闘いを邪魔された憤りがそれを許さなかった。錬蔵とてまだ若い、完全に感情をコントロールすることはできなかった。

 今にもやり合おうと二人、その時。

「止めろぉっっ!!」

 両者の間に一誠が割って入る。

「木場! この野郎、その物騒なモン仕舞え! 錬蔵も煽んじゃねえよ! お前らここで何する気だ?!」

 必死に止めようとする一誠だが木場は剣を下ろそうとはしない。

「兵藤くん、そこをどくんだ。彼は僕たちにとって危険なんだよ」

「ふざけんな! だからって友達を見捨てられるか!!」

 相変わらずバカだこいつは。そう思い嘆息する錬蔵。いつの間にか頭に上った血も下がっていた。殺気をといて腕を前に組む。

「どういうつもり?」

 リアスが聞いてくる。

「降参だ、そこの阿呆に免じてな。煮るなり焼くなり好きにしろ。その代り、納得のいく説明をしてもらうぞ」

 そういってリアス達をジロリと睨む。

「そう、分かったわ。いいでしょう、ついてきなさい。場所を変えるわ」

 かくして再び錬蔵はオカルト研究部に行くことになった。




バイザー戦闘とアーシアイベントどっちにしようか迷ったんですがこっちにしました。

理由=寸指破かましたいから。

後悔は後でめちゃくちゃします。
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