GOD EATER2 ~神速の神機使い~ 作:etilltwice
スピア?あれは……きっと走ってるんですよ!
あ、空中でどうしてるのかと?
…………分かりました。スピアが飛んで行っていることを認めましょう。
そうすると姿勢を制御しながら空中を飛んでいく……これも筋力がヤバイ……
とするとナナとエリナはムキm……………
……………………きっと彼女たちはインナーマッスルが半端なかったんでしょう。
訓練が終わったすぐ後に僕はロビーとソファで休んでいた。
なんでもナナがこの前メールで言ってたおいしいものを持って来てくれるらしいから、それを待っているところだ。
やることもないからぼーっと周りを見ているとなんとなく自動販売機が目に留まった。
そういえば使い方を教わったけどまだ一回も使ってないなぁ。
時間もあるし今の内に使っておこう。
近づいていって財布から出したお金を自販機の穴に入れると、パッと画面が切り変わった。
飲み物ってこんなにいっぱいあるんだね……
あれ?水も売ってる。部屋で蛇口を捻れば出てくるのになんで売ってるんだろう?
どれがどんな感じなのかすら分からないからおいしそうな名前のもののボタンを押す。
すると、ガシャコンと音を立てて何かが落ちてきた。
とりあえずそれを取り出し、手の上で転がして観察しながら、ソファの方へ歩いて行く。
円筒状の缶の一部には大きな字で『初恋ジュース』と書かれていて、その反対側には細々と小さな黒い文字で埋め尽くされている。
読んでみても何が何だかさっぱりだけど、一番上に書かれている『成分表示』という文字を見つけて少しげんなりした。
こんなよく分からない物をここの人はよく飲んでるのか……
でも、売られているからには毒とかが入っている訳じゃないだろうし……
ソファに腰を掛けて、そのまま悩みながら缶を眺め続ける。
……食わず嫌いは駄目だよね。
諦めて缶の上部に付いている変なものを引くと、軽快な音を立てて穴が空いた。
中を覗き込んでみても何も見えない。
躊躇していても仕方がないな……
そう思って諦めて一口あおりーー
「!?ゲホッ!?ゴホッ!ゴホッ!」
ーー思いっきりむせた。
何というか甘かったり、しょっぱかったり、辛かったり訳が分からない。
もう口では説明出来なくて、まずいとしか言いようがない変な味がした。
これを好き好んで飲んだり、レーションをまずいって言ったり……ここの人たちって皆味音痴なのかな?
それはそれとして、残りはどうすればいいんだろう……
そうやって考えていたらナナがエスカレーターから降りてきた。
僕の正面に座り、かついでいた大きな袋を自分の隣に下ろした。
「ナナが言ってたおいしいものってその中に?」
「うん、そうだよ!ちょっと待っててね」
僕がナナの持ってきた袋を指差すと、彼女は満面の笑みを浮かべて答えた後、袋をあさり始めた。
ただ、ナナを疑うようで悪いんだけどここの人の味覚は少し変わってるみたいだから、本当においしいものが出てくるのかかなり不安だ……
あ、でもナナは僕と同期だし、外から来た可能性も……
「じゃーん!お母さん直伝!ナナ特製のおでんパン!すっごくおいしいから、食べてみてよー」
慈悲はなかった……
ナナの差し出した得体の知れない物体を見て僕はつい肩を落として、ため息を吐いた。
そんな僕の様子を見たナナは、僕にそれをさらに押し付けてくる。
「あー!信じてないでしょ!本当においしいんだから!」
「分かったよ。貰うから落ち着いて」
仕方ないから渋々受け取ってすぐ近くからよく観察してみる。
見た目はパンの切り込みに、木の串で纏められた汁気の多い具材が入っているだけのとてもシンプルなもの。
中の具材が見たことが無いことを除けば普通に食べられそうだ。
「さぁさぁ、ガブッといっちゃおー!」
誰かさんが串ごと食べさせようとしていなければ。
「えっと、ナナ?明らかに食べ物じゃない物のが混ざっているんだけど……」
「へ?ちゃんと全部食べられるよ?」
そう言ってナナはもう一つ取り出すと5秒も待たずに食べきってみせた。
そして一息ついた後、僕に熱のこもった視線を投げかけてくる。
……食べるしかないみたいだ。
パンを両手で持ち、目をつむる。
そして、思いっきりかぶりついて目を閉じたまま一口二口噛んで行く。
……………?
「意外とおいしい……」
「でしょ〜」
ナナの嬉しそうな声を聞き流しながら、手の中にある物に目を落とす。
……改めて見てみてもあまりおいしそうとは思えないなぁ。
「まだまだ沢山有るからいっぱい食べてね」
顔を上げるとナナが新しいおでんパンを袋から取り出していた。
本当によく食べるなぁ……
思わず苦笑しながら、またおでんパンをかじる
うん、やっぱり見た目と違っておいしいや。
??? side
フライアのとある一室。
本来なら豪華な一室は大量の本で足の踏み場がないほどに散らかっていて汚く、キッチンも埃が積もっている。
そんな部屋の中で大型テレビの前の唯一確保された空間で、寝巻き姿のままの俺は蠢いていた。
手の届く範囲には空き缶が数本転がっていて、オレが如何に退廃的なことをしているのかを示しているようでもあった。
今、目の前の画面で起こったことが一段落ついて思いっきり背筋を伸ばす。
「くぅ〜やっぱりパガラリーは最高だな!」
台本も面白いし、キャラそれぞれの個性も光っていてしかもいい味を出してる。作画もキレイで滑らか、しかもCVもキャラぴったりだしな!
ほんと、あれ作るのに何年かかったんだろうな。
しばらく心の中でパカラリーを褒めちぎった後、またテレビを操作する。
さぁて、次はユノさんのライブだ!
操作しながら近くに置いてあった缶に手を伸ばして口元に持っていく。
げ……空だ。
本を掻き分けながら移動して、冷蔵庫を開けて見てもストックはない。
ロビーまでいくの面倒だな……
仕方がない、買いに行くか。
普段着を探し出して着替えると部屋から出て歩き出す。
久しぶりの休暇だし、買ってきたらまた部屋でゴロゴロするぞ!
歩いているとエレベーターへ歩いていく途中にある空き部屋が目に入った。
いや、空き部屋じゃなくて今はこの前入った新人の部屋なんだっけ、とエレベーターを待ちながらぼんやりと思い出す。
ジュリウスもあんな感じだし、まだ入って間も無いから馴染めてないかもしれない。ここは俺の出番だな!……と言いたいけど、まだ一週間も経ってないから喋る余裕もないか。
ジュリウスはスパルタだからなぁ、俺なんか二週間は訓練が終わった頃には疲れ果ててベッドに直行してたしな。
腕組みをしてそんな事を考えていたけど、エレベーターが着いた音が聞こえて現実へと戻ってきた。
「新人のことはともかく、今日はせっかくの休暇だし全力で楽しむぞ!」
そう拳を握りながら中に入る。
…………えーっと、何なんだ?この状況。
エレベーターから降りたら知らない女の子と男子がなんだか向き合って和やかな雰囲気になってる。
いや、そこは問題じゃない。
問題はその二人がなんだかよく分からない物を一緒に食べていることだ。
……いや、ホント何食べてるんだ?
初対面だから話しかけておきたいけど、話しかけずらい……
いや、ここでヒビってどうすんだオレ!
諦めかけた心に喝を入れて奮い立たせ、カオスに突っ込む覚悟を決める。
よし、行くぞ!
「見ない顔だね、君たち?ひょっとして噂の新人さん?」
声をかけると女の子は顔を上げ、その向かい側にいる男もこっちに振り返った。
女の子の方は黒いネコミミ(?)で顔が幼く、服を全体的に着崩している感じがある。それと男子の方はボサボサの茶髪で顔は少し女の子っぽく、少し作業着みたいな格好だ。
二人はオレに気付いて同時に声を出した。
「あ、はじめまして!」「はじめまして、僕は藤堂夏輝です」
「そうだった!私は香月ナナです。これからお世話になります、先輩!」
ナナは夏輝が自分の名前を言ったのを聞いて、その後に慌てて付け加えた。
まぁ、それはさておき今先輩って言ったよね?
「先輩……いいね!なんか、いい響き……!」
なんだかこうむねに熱いものがこみ上げてくるな。
思えば神器使いになって早半年……
ジュリウスの厳しいしごきを受けて、戦場で命を削りながら生きてきたのが報われたような気がしてきた!
じゃあ早速先輩らしいことでもするか!
「よし、オレはロミオっていうんだ!先輩が何でも教えてやるから、何でも聞いてくれ!」
「あ、その前に言っておくーー」
そして急に思い出したかのように顔をしかめて、右手の人差し指だけをピッと持ち上げて言う。
「ブラッドは甘くないぞ、覚悟しておけよ!」
くーっ!
今のオレスゴく先輩っぽいな!
こういうことを一回言ってみたかったんだよ。
憧れてはいたけど今までオレが一番下だったから言えなかったんだよな……
「じゃあ先輩、血の力って何ですか?」
おっといけない、質問に答えないと。
ナナがこっちを見て首をかしげてるから、今のはナナからの質問か?
ヤバイ……ジュリウスの座学は依頼で疲れて寝てばっかだからなんかこうフワフワしてる……
あごを掻きながら頭の中に浮かんできた言葉を一つ一つ捕まえて並べていく。
「簡単に言うと……必殺技みたいなものが使えるようになるんだ!」
「「必殺技?」」
「そうなんだ。うちの隊長なんて、すげぇカッコいい技もってるんだぜ?」
二人とも血の力は知らなかったみたいだ。
ああ……オレ、今スゴく先輩やってる!
こいつらとも仲良くやってけそうだし、今日は随分いい日だな!
神様マジでありがとう!
オレ、神を狩ってるんだけど!
ご満悦なオレをナナは首を傾げながらジッと見つめてきた。
「すごーい!じゃあ、ロミオ先輩の必殺技ってどんな感じですか?」
その無邪気なナナの言葉はそれまで浮ついていたオレの心を地面に叩きつけた。
「ば、バッカ、お前、ほら……必殺技ってのはさ……そんな、すぐに手に入るもんじゃないんだよ……」
口がカラカラになって舌が回らない。
目の前に誰がいるとか関係なくとりあえず自己弁護を口にした自分が嫌になる。
ブラッドにはオレとジュリウスしか居なかったからあまり詳しくは分からないけど、オレの血の力の成長はジュリウスよりも圧倒的に遅いらしい……
そうじゃなくてもオレはジュリウスの足下にも及ばないのに……
……ダメだ、このままだと明るく振舞えそうにない。
部屋に帰ろうと思って口を開く前に、目の前に缶が差し出される。
「のど、乾いてませんか?僕はちょっと飲みきれないのでよかったらいりませんか?」
「お、おう?ありがとう」
促されるままに受け取り、
しょっぱさや苦さや辛さとかが不協和音を立てながら口の中を蹂躙し、奥へとなだれ込ん…………
「ゴファッ!?」
「「先輩!?」」
何だよこれ!?
こんなマズイもの想像すらしたことないぞ!?
体を起こして缶を見ると『初恋ジュース』という名高い悪名がデカデカと張り付いている。
夏輝の方は礼義正しい感じだと思っていたのが間違いだったのか!?
咳き込んでいると背中に暖かいものを二つ感じた。
落ち着いてから顔を上げるといつの間にか近くに来ていた二人が、心配そうに背中をさすりながらこっちを覗き込んでる。
二人は俺がもう大丈夫なのを確認すると、二人はホッと息を吐いて元の場所に戻って、ナナは夏輝をジトッとした目で見つめ、夏輝は首を傾げていた。
「大丈夫ですか、先輩?」「先輩大丈夫?も〜夏輝、何あげたの?」
「僕が飲めなかったジュースだよ?ここにいる人なら口に合うかと思って……」
「なんでそんなものオレに渡すんだよ……」
「僕は外から来たから口に合わなかっただけで、ここに居た先輩は好きだったりするのかなぁって思いまして。」
こいつ……もしかして世間知らずなのか?
夏輝はオレにこんなものを飲ませたことを気にしてバツの悪そうな顔をして、ナナの説教を受けている。
夏輝がまた失敗する前に一つだけ言っておくべきことがあるな。
どうしても教えとかないといけない事があったから一旦ナナを押し止めた。
「二人とも。ここで生きていくからにはこれだけは知っていなければいけないことがある……」
さっきよりも真剣に話しているのが二人にも伝わったのか、生唾を飲み込む音が聞こえた。
珍しくオレの周囲の雰囲気が緊張しているのも気にせず適度な間隔を取ってもう一度言葉を発する。
「……いいか?たとえ何があっても
自然とオレらの間に沈黙が広がり、誰も何も発しない。
場が一気に白けたような気がするのは気のせいだといいな……
「もはや飲むじゃなくて使用なんですね……」「言われなくても飲ませませんよ〜」
夏輝には呆れたようにような目でこちらを見て、ナナは当然のように受け流す。
そして、夏輝はふと思い出したように何処か上の方を見て急に立ち上がった。
「まずい……もう座学まで時間が無い!」
「ええ!?もうそんな時間!?先輩またね!」
「じゃあ先輩また今度話しを聞かせてください」
「お、おう。頑張って来いよ」
ナナに声をかけながらエレベーターへと駆け出した夏輝を追って、ナナも隣りにあった袋を担いで慌ただしく駆けて行った。
二人共大変そうだな。
こんな時も急がなくてすむ休暇最高!
さて、少し遅れたけど飲み物を買ってユノさんのライブでもみるか!
そう思って立ち上がろうとしてやっと気付いた。
まだ中身が残っている初恋ジュースが置き去りにされていることに……
romeo side end
ーーー夏輝のメールボックスーーー
fromフラン
アドレスを教えるのが遅くて申し訳ありません。
基礎訓練は辛いかもしれませんがを頑張ってください。
影ながら応援しています。
Re
応援ありがとう。
確かにジュリウスの訓練は厳しいけど、ちゃんと僕らのことを気遣ってくれてるから無理って程じゃないよ。
でもそれを言ったら、「これはあくまで基礎訓練でゴッドイーターに入隊したら更に厳しくなる」って。
Re
命がかかっているから仕方ありませんよ。
愚痴なら聴きますから頑張って下さい。
ーーーーーーーーーーーーーー
fromロミオ
色々話せてよかったよ
これからも分かんないことがあったら俺がなんでも相談に乗るからさ楽しくやって行こうぜ
よろしくな!
あ、あと敬語は無しにしないか?
初めは良かったけど年は同じ位なのに敬語使われるのはどうもむずがゆくってさ。
Re
分かった、じゃあこれからは普通に喋るよ。
こちらこそありがとう、先輩みたいな人がいて安心したよ。
あと初恋ジュースを飲ませてごめんね。
じゃあ先輩。ブラッドについて教えてくれるかな?
Re
今みたいな質問はブラッドを設立したラケル博士に、どんどん聞けばイイと思うな!
Re
先輩…………