GOD EATER2 ~神速の神機使い~   作:etilltwice

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このSSでは初期に最終強化された神器が配られ、パーツは交換出来ない設定です。
だって曲がりなりにも数少ない適合者をぞんざいな扱いをして死んだらこまるじゃないですか。それと、初期の仲間がパーツを変えないのにも対応させてます。
ちなみに夏輝はクラウディア、カストルポルクス、インキタトゥスのカリギュラフルセットです。
え?レルネーの沼?
……………ナンノコトデショウカ(棒)


実地訓練

「はぁ、はぁ……」

 

所々から木が生え出ている丘の斜面を額についた汗を手の甲で拭いながら駆け上がる。

あっついなぁ……

久しぶりに見た空はうんざりする程の青。

太陽が容赦なく僕たちを照りつける。

隣で一緒に走ってるナナも少し大変そうだ。

今は実地訓練をしに行くところ……

 

「ジュリウス、いないね〜。どこにいったんだろう?」

「うーん、僕たちを置いていくとも思えないけどなぁ……」

 

なんだけど、ジュリウスの姿が見当たらない。

さっきまでは少し先に行っては僕たちを見守ってくれていたんだけどなぁ……

ジッとしていても仕方がないからジュリウスが走っていった方へと向かっている。

本当にこっちで合ってるのか少し不安だけど。

丘を登り切ると周りに木がない少し開けたところにジュリウスは立ってた。

開けた場所の先にある低地の方を向いてなんでかは知らないけど誰もいない方を向いて一人で喋ってる。

……幽霊?

いや、無線とかいうので話してるのかな?

何故か僕らはつけてないけど。

ジュリウスの独り言は僕たちが追いついてしばらくして終わった。

 

「たいちょー、なんで先行っちゃうの?」

 

ナナが不満そうに声を上げると直ぐに罰の悪そうな顔をしてこっちに振り向いた。

 

「すまない、通信が入ってな。それより、2人ともいるな?」

 

隊長に聞かれて二人そろって背筋を正して敬礼して、僕が以前隊長から教わった決まり文句を言う。

 

「はい、フェンリル局地科開発事務局、ブラッド所属第2期候補生2名、只今到着しました。……これ、いるのかな?」

「形式的に一応しておかないといけないことはあるものだ」

 

あ、やっぱり深い意味はないんだ。

ジュリウスに困ったような笑みを返されて確信した。

 

「気にしちゃダメだよ。これってたしかお役所仕事?みたいなものだよ」

 

ナナ、君が何のことを言っているか分からないけどジュリウスの苦笑いがより深くなってるから止めてあげようよ。

本人も自分の言った言葉の意味をよく理解出来てないみたいで首を傾げてるけど。

 

「まるでピクニックのようだな……」

 

ジュリウスはあまり緊張感のない僕らの様子を見て呆れたように呟いた。

そうは言っても僕たちは一度も戦場に立ったことがないから仕方がないと思うけどなぁ……

しばらく呆れた後、隊長は右手に持っている神器の切っ先でこの高台の先にある低地を指す。

隊長の指し示し方向をよく見ると何かが動いていた。

 

「見ろ……アレが人類を脅かす存在、アラガミだ。手段は問わない、完膚なきまでに叩きのめせ、いいな?」

 

 

大体半径10mくらいで少し歪な円状の広場の奥の方に植物を貪り食う四体の白い化け物。

僕らがこれから倒すことになる標的のアラガミ、通称オウガテイル。

現在確認されているアラガミの中で一二を争う弱さだけどそれでも一体いれば都市を壊滅させる強さを誇り、数も多い。

そして、僕にとって嵐や雷のような天災と同じく絶対に逆らえないものだった。

遠くから見るだけでも冷や汗が出て足が震える。

正直言ってあんなのと戦うどころか見ることすら願い下げだ。

まだ近づいてすらいないのに臆病風が唸りを立てて荒れ狂い、とても戦えるような状況じゃない。

……もう少しどんな仕事をやるか選んだ方が良かったかな?

思考が後悔の方に傾き始めたとき、声が聞こえた。

 

「古来から人間は強大な敵と対峙し……常にそれを退けて来た」

 

……?

静かにジュリウスは語り始める。

僕の気持ちに気付いて励まそうとしてるのかは分からなかったけど、その真剣な雰囲気は僕たちを惹きつけるには十分だった。

 

「鋭い爪も強靭な牙も持たない人類が何故勝利したのか」

 

 

隊長の静かだけど熱のこもった演説に僕もナナも聞き入っていた。

だからこそ気付くことが出来なかった、隊長の背後の草むらが動いてることに。

突如現れた白い影。

それがナナめがけて飛びかかってくる。

オウガテイル………!?こんなところに……!?

 

「ナナ!」

 

とっさにナナに覆い被さる。

来たるべき激痛に備えて目をつぶる。

………………?

あれ?攻撃が来ない?

目を開けて恐る恐る振り返るとそこには隊長の勇姿が。

左手一本で奴のあごを掴んで持ち上げていた。

 

「反応はいい。だが次からは装甲で受けるようにするといい」

 

離れようともがくオウガテイルを片手で抑え込み、何でもないかのように言ってのける。

……この人本当に人間なのかな?

あ、神器使いだった。

隊長は僕たちに傷が無いのを確認すると巨体を軽く空中に放り、振り向きざまに一閃。

哀れな犠牲者は断末魔の叫び声を上げることすらも出来ずに真っ二つになった。

追い討ちのように地面に落ちた死体を神器で喰らう。

隊長はここまでの動作を1秒足らずでこなしてみせた。

もはや職人技だ。あまりの手際の良さに言葉を失う。

僕もナナも呆然としていたら、ジュリウスはまたこちらに振り返ってまた話を続ける。

 

「共闘し、連携し、助け合う、戦略と戦術……人という群れを一つにする、強い意志の力……意思こそが俺たち人間の最大の武器だということを忘れるな。」

「意志の……力……」

 

ジュリウスの言葉をナナが呟く。

何か感じ入るところがあったのかな?

僕にはよく分からない。

 

「時間だ、行くぞ」

「アイアイサー!」

 

そう言ってジュリウスは走り出し低地に向かって飛び降りた。

その後を少し遅れて元気よく返事をしたナナもついていく。

えーと……励まして、くれてたのかな?

なんかちょっと違う感じがするけど……

気にしても仕方ないか。

それにいい加減覚悟を決めないといけないな。

この職業を選んだのは僕だし、今更ごねてもどうしようもない。

まだ怖いけどそれでも頑張らないといけないか。

腹をくくって隊長とナナの後を追って飛び降りた。

まずは状況確認。

広場の奥右側にオウガテイルが四体、植物を貪り喰っていてまだこっちには気付いてないみたい。広場の左右には登り道があるけど何かが来ることはない……と思う。

 

「危ない時は俺がフォローするから取り敢えず各自で動いてみてくれ」

「え〜そんなこと言われても……夏輝、どうする?」

「じゃあ……二体ずつ分断して戦わない?」

「分かった〜」

 

僕の張り詰めた様子に対してのんびりとした口調のナナ。

顔を合わせ、うなずくと同時に並んで駆け出しナナは右へ、僕は左へ行く。

その途中で僕は神器をショットガンに変えて、オウガテイルの動向を探る。

敵はまだ気づいていない。

ナナの方を見ると、彼女もハンマーを肩にかけてこちらの様子を伺ってるみたいだ。

まだ心は準備は整った。

 

「行くよ!ナナ!」

「せーのっ!」

 

僕たちの声に気付いてオウガテイルたちが振り返るけど遅い。

何度も引き金を引くと同時に発生した衝撃を抑え込む。

一発、二発、三発。

そこまで撃つとカチッと音がするだけで弾が出なくなった。

銃筒の中で爆散したエネルギーが三体のオウガテイルの肌に突き刺さった。

弾が届く範囲が広い!

思ったように神器を扱えないのに苛立つ僕を、敵意のこもった六つの目が睨みつけてくる。

そのうち一番後ろの一体にはナナのハンマーが振り下ろされ、オウガテイルがグゲッと奇妙な声を出して地面との間でプレスされる。

じっと見ている場合じゃないな……

竦みそうになる足に鞭を打ち、敵をちゃんと視界に入れたまま一旦距離を取りながら神器の形を変える。

……?

一体はちゃんとついてきてる。

でも、もう一体はこっちに来ないで尻尾を振り上げてる?

近づいてこない方に警戒していると何かが飛んできた。

 

「グアっ!?」

 

慌てて横に飛び退いたけどそのうちの一つが右腕を深く切り裂いて飛んでいく。

痛みに怯んで足を止めたのが悪かったみたいで、近くにいた方が飛びかかってきた。

 

「うあっ!?」

 

盾を構えたけど不安定な体勢だったせいで勢いを殺し切れず、尻餅をついてしまう。

さらに噛み付こうと何度も襲い来るオウガテイルの牙を盾で必死に防ぐけど、攻撃が激しくて立つことも出来ない。

マズイ……このままだと何もできずに喰べられる……!

でもどうすれば!?

なんとかオウガテイルを抑えつつ考えようとするけど焦ってとても考えること「ガッ!?」

 

一瞬攻勢が止んだかと思うと肩に衝撃を受けて、少しの浮遊感の後に地面に叩きつけられた。

突然起きたことが理解できず頭が真っ白になる。

な……にが……?

顔を上げると何故か敵との距離が開いていた。

……よく分からないけど今がチャンスだ。

片手をついて振り返りながら立ち上がり、一目散に逃げる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

怖い怖い怖い怖い……

情けない声を出してることも気にならない。

死にたくない。

今すぐここから逃げーー

 

『俺たちは大丈夫だ!今すぐここから逃げろ!!』

 

ーーー!!!

足を止めた。

振り返り神器を構え、倒すべき相手を見据える。

敵は二体、共に近づいて来ている。

逃げてどうする?

また泣き寝入りするのか?

まだ右手は痛むし、歯の根も合わずガチガチ音を立ててる。

でもーー

 

「もう後悔したくないんだ!」

 

覚悟を決めて歯を食いしばり、無理やり震えを止めた。

前傾姿勢で駆け出し、神器は斜め後ろへ。

出来るだけ近づいて、噛みつこうとした瞬間に少し左に跳んでかわす。

さらに横を通りすがるついでに神器を振り上げて足の付け根を斬る。

 

「ここ!」

「ギャッ!?」

 

やっと一撃……

いや、まだ油断出来ない。

今にも飛びかかろうとしするもう一体の前で跳び上がり、体を踏みつけてもう一度跳んで背後を取る。

振り向くとまず足を怪我した方がこっちへ突っ込んできているのが目に入る。

そうじゃない方は振り返りながら後ろに下がったみたいだ。

取り敢えずは一体倒す!

神器を肩に担いで走り出し、突進してきた方の頭に全体重を乗せて突き出した。

 

「グギャァァァァ!!」

「くっ!」

 

断末魔の悲鳴を上げるオウガテイルに刀身が頭を突き抜け胴体にまで深々と突き刺さる。

よし、いけた!

っていけない。まだ終わってなかった。

周りを見渡して残りのオウガテイルを探すと、尻尾をまた振り上げてるのが見つかった。

マズ!

死体の影に隠れて一度やり過ごす。

 

「ふぅ……危ない危ない」

 

死体から少し顔を出して相手の動きを確認。

よし、あの変なのを使わないで近づいてきてる。

直ぐに影から出て神器を回収……出来ない。

深く刺し過ぎたせいと、あと返しが引っかかるってるせいで抜けない。

足で死体を蹴って力を入れてもビクともしない。

そうしてる間にもオウガテイルの足音は近づいてくる。

ちょっとこれ本当にマズくないかな?

最悪の想像が頭に浮かんで一瞬動きが止まり、冷や汗が頬に垂れるの感じる。

急いで抜かないと!

力づくで抜こうとしても全然駄目。

そんなことしてる間にオウガテイルはどんどん迫ってくる。

いったいどうしたら……

そうだ!捕食形態(プレデターフォーム)

刀身が縮むと同時に黒い顎が神器から伸びて死体を喰らう。

神器が元に戻るのも待たずに突進してくる敵に対して回り込むように避ける。

神器はもう剣に戻った。

もう何の支障もない。

オウガテイルが足を止めてこちらに振り返ろうとする間に銃に形を変えて銃口を顔面に突きつけた。

 

「これで終わりだ!」

 

さっきとは違ってゼロ距離で放たれた銃弾が顔を抉り、一瞬でひき肉へと姿を変えた。

遺された体が地面に倒れて完全に動きを止めたのを確認してほうっと息を吐いて額の汗を拭う。

やった……

 

「勝った……」

 

独り言のように呟き、勝利を噛みしめる。

怖かったけど、なんとかやれた。

そんな僕の肩を誰かがぽんと叩いた。

 

「夏輝、お疲れ様!」

「よくやったな。ゆっくり休むといい」

 

振り返ると直ぐ後ろにはナナが、少し離れたところにはジュリウスがいた。

 

「ありがと…つっ!」

「へ!?大丈夫?」

 

胸を撫で下ろすと同時に今まで忘れていた右腕の傷が痛み出した。

反射的に手で抑えたせいでナナを心配させちゃったみたいだ。

傷口を除きこもうとするナナを制止して笑顔で応える。

 

「これくらい大丈夫だよ。明日には治ってるさ」

「本当?だったらよかった」

 

僕の言葉を聞いてナナは笑顔に戻った。

心配してくれるのは嬉しいけど大げさだなぁ……

そういえばさっきからジュリウスが何も言わない。

見てみると真剣な様子で何か無線で話してる。

ナナも僕の視線を追って隊長をみて首を傾げる。

ひと段落ついたのか隊長はこちらに向き直ると僕をみて少し罰が悪そうな顔をした。

 

「この近くにアラガミが出没したらしい。二人とも行くぞ」

「分かりました」「分かりました〜」

 

広場から出る道の片方に向かって走り出した隊長の後ろをナナと一緒に追う。

どうやら僕の初めての実践はもう少し続くらしい。




ーーー夏輝のメールボックスーーー
fromジュリウス
少し前から思っていたんだかお前は訓練用ダミーと戦う時に動きが悪くなる傾向がある
しかもいつもと比べて様子がおかしいが大丈夫なのか?

Re
大丈夫。問題ないよ
だけど、まだ実践的な動きとか相手の動きを観察するのが上手く出来ないんだ
良かったら教えてくれないかな?

ReRe
だったらいいんだが……
動き方についてはいい機会だからナナも一緒に明日の訓練で教えることとしよう

ーーーーーーーー
fromフラン
大切なことを言い忘れていました
無線って知っていますか?

Re
いや、知らないよ?
それって何かな?

ReRe
無線は現場のゴッドイーターとオペレーター、またはゴッドイーター同士が連絡するための機械です
大抵の人は邪魔にならないよう、耳につけるタイプのものを使用していますが中には手に持つタイプの物を使う人も居ますね
無線は戦場において作戦や周囲の情報は死活問題ですから任務の時は絶対に忘れないでくださいね?

ReReRe
教えてくれてありがとう
凄く大切なことは分かったから絶対に任務をするときは着けていくことにするよ
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