GOD EATER2 ~神速の神機使い~   作:etilltwice

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依頼中に右上に表示されているマップはオペレーターが見ているものじゃないかと思います。
動いてるキャラたちにはモニターに当たるものは全然ないからどうやってもマップは見れない気がするんですよ。
全員が眼鏡をかけていたり眼帯をつけているならあり得るかもしれませんけどそんなこともないのでここではあのマップはオペレーターしか見ていないこととします。


PS:メールボックスは止めます。ああいうやり取りは本文でやるべきな気がしてきました。




依頼風景

狙うのはあのアラガミ。

昨日まで全然いなかったけど今日こそいるといいな。

一足飛びに階段を駆け上がってカウンターへと近づき、こっちを見てため息とついているフランさんに声をかける。

 

「ドレットパ「ありませんよ。いい加減に諦めてください」

「そうなんだ……」

 

今日もか……

ここ一週間ずっと他の小型アラガミを狩ってばかりで僕の心は結構ボロボロ……

そろそろあってもいいんじゃないかな?

深いため息をついていると後ろからも元気な声が聞こえてきた。

 

「夏輝~、またドレットパイクがいなかったからって落ち込んでるの?大丈夫だって、そのうち克服できるよ!」

「あ~……あはは。そうだね、頑張るよ」

「うん、頑張れ!」

 

振り返って、満面の笑みを向けてくるナナに笑い返したけど引きつっているのが自分でもわかる。

そう言われてもどうすればいいか分からないからなぁ……

入隊してから時間が余った時はアラガミのデータを見て過ごしてて分かったことだけど、中型や大型はまだしも小型は映像でその姿を見ることすらキツイ。

絶望に染まった表情、断末魔の叫び、鉄のにおい、ガリガリという砕ける音。

外で経験してきた死の記憶が沸き上がり、体に纏わりついてきて脂汗で吹き出し反射的に逃げたくなる。

対抗するだけの力を手に入れた今では背中を見せて逃げる方が危険だって頭ではわかってるんだけどなぁ……

これはナナには言うつもりはない。

聞いてて気持ちのいい話じゃないし、きっと理解できないと思うから。

話をしていると階段をゆっくりと歩いて上ってくる音と欠伸をする声が聞こえた。

ナナと一緒にそっちの方に目を向けるとロメオ先輩が目をグシグシと擦りながら階段を上ってきた。

 

「おはようございます」「おはよう、先輩!」

「おはよう……二人ともよくこんなに朝早くから起きられるよな。俺はもう眠くて眠くて……」

 

僕たちに挨拶するともう一度大きな欠伸をする。

本当に眠そうだなぁ……

夜寝てるのかな……

 

「え~?先輩が遅いんじゃないの~?」

「そんなことねぇよ!」

 

先輩のだらしのない態度に口を尖らせるナナにつっかかった。

僕も口には出さないけどナナに賛成だ。

むしろ集合時間をもっと早くしてもいいんじゃないかと思う。

僕とナナから不服そうな目を向けられて先輩は少し焦った後、わざとらしく咳をして言い訳をした。

 

「いいか?俺は集合時間ぴったりに来てるんだ!これはジュリウスがこの時間がちょうどいいと思ったからこの時間にしてるんだ。だから、お前らが速いだけなんだ」

 

う~ん……

確かにその通りだと思うけどなんかもやもやする。

ナナも同じように奥歯にものが挟まったような顔をしているけど何も言えないみたいだ。

そんな僕らの顔をみて先輩はますます得意そうな顔になる。

 

「そういうことは時間通りに来てから言ってほしいですね」

 

僕もナナも言い返せないでいると、後ろから聞こえてきた声に先輩の得意顔はぶち壊された。

振り返るとフランが先輩をジトーっと見つめていた。

フランは先輩が怯んだのをいいことにさらに言葉を重ねていく。

 

「ここ一週間はまだマシですがそれ以前は遅刻の常習犯だったじゃないですか。それともロミオさんにとっては集合時刻が少し遅いんでしょうか?」

「そ、それは……でも、最近は直ってるからいいじゃんか!」

「マシってだけで直ってる訳ではなく、現に昨日と一昨日も正確に言うなら一分遅れてますね」

「うぐっ……でも一分なんてほとんど変わらないし……」

 

先輩の咄嗟の反論も淡々と返されてそのあとの言葉は尻すぼみになって消えていった。

言葉を探そうと必死になってる先輩にナナが勝ち誇った顔で追撃をかける。

 

「ほら!やっぱり先輩が遅いんじゃん!」

「くっ……」

 

先輩はぐぅの音も出ない様子で悔しそうにナナを見つめている。

さっきとは正反対の構図になってるなぁ……

こうやって話すのは楽しいけどこのままじゃ話が進まなさそうだ。

まだ言い争っている二人を放っておいて僕の方からフランに話しかける。

 

「フラン、今日の依頼はどんなのがあるの?」

「今日はコクーンメイデンぐらいしかありませんね」

 

フランさんは手元に目を向けることなく答えてくれた。

もう調べてあったのかな?

仕事が速くて頭が下がるなぁ……

 

「それと、ロメオ先輩が同伴することを指定されているのは今日までだとされてますが……大丈夫ですか?」

 

事務的に話していたあと、少し声色が変えて聞いてきた。

これは……心配してくれてるのかな?

フランは表情がほとんど変わらないからどう思っているのか読み取るのが難しいなぁ……

ジュリウスの実地訓練以来ここ一週間、僕とナナは先輩と一緒に小型アラガミを狩っている。

メールで聞いた話だと、僕たちが戦場で危なくなった時のためらしい。

ジュリウスじゃない理由を聞いてみたら、ジュリウスは周りの中型アラガミとかを狩らないといけないからあまり僕たちには時間を割けないらしい。

ついに明日からはナナと二人だけになるのか……

不安は確かにあるけど、ここでフランに心配させても仕方がない。

考えていることを全く顔に出さずにいつも通り笑ってみせる。

 

「大丈夫だよ。少しずつだけど慣れてきてるからね。それにいつかは克服しないといけないんだから」

「しかし……いえ、なんでもありません。ですが、少しでも調子が悪くなったらすぐに言ってください」

 

何か言いたそうにしていたが口を閉じ、代わりに心配するような目でこっちをみる。

やっぱり聞かれてるから誤魔化しきれないか……

困ったように笑いながらどう返しものかと思案していたら、先輩が隣にきてカウンターから身を乗り出してフランに詰め寄る。

 

「フラン!今日の依頼は何だ?」

「え……?あ、それだったらもう夏輝さんが受注していますよ」

「今日はコクーンメイデンだよ」

 

突然声をかけられたフランは一瞬目をパチクリさせたけどすぐに先輩に聞かれたことに答えた。

さらにそこに間髪入れずに補足する。

すると先輩はにっと笑って少し乱暴に僕の肩を叩いてきた。

 

「夏輝はしっかりしてるな。俺は優秀な後輩をもって嬉しいぞ!」

「さっすが夏輝!先輩と違ってちゃんとしてるね!」

「うぐっ……!」

 

あ、今ナナの言葉が先輩に突き刺さったのが見えた。

先輩はわざとらしく咳をして見せた後、逃げるように格納庫の方へ早歩きで向かう。

 

「さぁ、行くぞ!出発時刻が迫ってるんだからな!」

「あ、ちょっと待ってよ~」

「フランさん、じゃあ指令の時もよろしくね」

「お任せください」

 

その後ろを少し遅れてナナが走ってついていく。

僕はフランに挨拶をしてから、ナナと先輩を追いかけるべく走り出した。

そこで手が痛いことに気が付いた。

開いて手のひらを見てみると強く握り過ぎてたみたいでくっきりと跡が残っている。

……誰にも気づかれなくてよかった

心の中でため息をついて二人を追いかけた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

うっそうと木がしげる森の中、コクーンメイデンの頭が宙を舞う。

少しの間空中で回っていた頭はすぐに輪郭がにじみ、黒い靄となって虚空に溶けていった。

一旦離れて地面に残された胴体が動かないことを確認する

 

『対象のオラクル反応停止。討伐完了しました』

 

イヤーデバイスからフランの冷静な声が聞こえてもう一度近づく。

神器に力を込めると徐々に青い刃が黒くなってまるく膨らんでいく。

黒い大きな口と化した神器でコクーンメイデンの亡骸を喰いちぎる。

根元は少し残ったがそれもすぐに靄となって消えていった。

コア回収を終えたところで後ろの二人から声をかけられた

 

「夏輝、グッジョブ!」

「おつかれ夏輝!」

「先輩もナナもありがとう」

 

それぞれの言い方で褒めてくれた二人に周囲を警戒しながら笑顔を返すと、二人とも神器を地面に下ろして一息をついてた。

ロメオ先輩は最初からあまり気負ってなかったみたいだけど、今ではナナも余裕が出てきてる。

これも標的があと一体しかいないからだろう。

小型種で一体しかいなかったとしてもちょっとミスをしたらすぐに死んじゃうから気を抜いちゃいけないと思うんだけどな……

それに依頼になかったアラガミが乱入してこないとも限らない。

……まぁでも、ずっと気を張ってるのは辛いしわざわざ言うことでもないか。

二人とももう神器を構えてるから分かってるんだろうし。

 

「うっし、あと一匹だけだな」

「早く倒しておでんパン食べよう!」

 

二人ともやる気満々だなぁ……

二人が気合を入れ直してるのを見た後、もういちど周りを確認しながらイヤーデバイスのボタンを押してフランと連絡を取る。

 

「こちら夏輝、周囲に標的以外のアラガミは?」

『交戦することになりえるアラガミは標的のみです。標的は今夏輝さんから南へ20m、東へ10mいったところにいます』

 

ぐるっと見たけどそれらしい影は見当たらない。

ここからは見えないけど標的はそこまで遠くにいる訳ではないのか……

戦闘音を聞かれてなければいいけど……

少し不安になりながら振り向いて先輩の指示を待つ。

 

「夏輝、サンキュー。じゃあとっとと倒しに行くか!」

「おー!」

 

先輩はこっちに声をかけるとコクーンメイデンの方へ駆け出した。

ナナも掛け声を上げて走って追いかけていく。

僕がして欲しかったのはそういうことじゃなくて具体的にどういう風に戦うかとかを支持することだったんだけど……

まぁ、基本的に先輩が無計画に戦ってるのはこの一週間で分かってたことか。

僕は一番軽い武器だからせめて二人より先に行って注意をひいておかないと。

急いで二人の方に駆け出しながら無線を入れる。

 

「二人とも待って。僕が先に突っ込んで注意を引くから、その後に思いっきり叩きつけて!」

「分かった!」「おう!」

「それと気づかれるから話すときは小さな声で話すか無線を使って!」

「りょーかい!」『悪い!』

 

……ナナ、分かってないよね?

それでも走るペースは二人とも下げてくれてるから標的が見えるころには二人の前に出れた。

地面に突き立つ小さな体は金色に線が入った人形のような形をしていてどうも不気味な雰囲気を醸し出している。

 

「!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その虚ろな目が僕たちを捉えるのを察した瞬間に一気にコクーンメイデンの前まで跳びこむ。

これで気を引けるは!!

僕が来たのに反応してか、コクーンメイデンは胴体に当たる部分の外装を開く。

そこには黒いとげが所狭しとばかり詰まっていた。

それを見た瞬間、反射的にある光景が脳裏に浮かんでくる。

その名前も知らない人は僕と同じようにアラガミから逃げていた。

突如その人の目の前の地面からコクーンメイデンが生えてきてその人を串刺しにした。

その人は訳が分からないと言わんばかり目を見開いて、昆虫標本のように串刺しにされた手足を微かに僕の方に動かした。

そして、コクーンメイデンの頭から発射された光弾に体を吹き飛ばされて無残にも死んでしまった。

過去に見た犠牲者の姿を自然と自分と重ね合わせてしまい、手にはドロドロとした汗が流れ、動悸も激しくなる。

 

「……!!」

 

叫びだしたくなるのを必死にこらえて、頭にこびりついた記憶を追い払う。

今はそんなこと考えてる場合じゃない!

止まろうとする足に鞭を打って飛び上がり迫りくる棘をすれすれのところでかわす。

さらに、コクーンメイデンの頭掴み、蹴った勢いを利用して回転し、途中で突き放してコクーンメイデンの後方に跳び距離を取る。

飛んできた勢いが強すぎて膝をついてしまう。

そこまで動いた訳じゃないのに息が切れて苦しい。

それでも何かを考えるよりも先に叫んでいた。

 

「先輩!ナナ!よろしく!」

「おっけー!」「おまかせあれ!」

 

二人の返事が聞こえ、少し遅れて鈍い金属音が響き渡る。

 

『討伐対象鎮圧確認。依頼完了です』

 

「「終わったー!」」

 

歓声に続いて二人がが駆け寄ってくる音が後ろから聞こえてきた。

あんまり気を使われる訳にもいかないな……

二人に気付かれる前に膝をついたままゆっくりと深呼吸をして呼吸を整え、顔の汗を拭いながら立ち上がり二人の方に振り返る。

これで多少は――

 

「夏輝、大丈夫だった?」

 

――誤魔化せないよね……

ナナの心配そうな声を聞いて、少しがっかりしながら笑顔で応える。

 

「大丈夫だよ。攻撃にもあたってないしね」

 

ついでに手をひらひらさせて大丈夫なのをアピールしてみる。

これじゃ駄目そうだとは思うけど。

実際ナナはまだ不安そうにこっちを見て、先輩も何やら考え込んでいる。

 

「でも、トラウマとか大変なんだよね?さっきも変な感じだったし」

「じゃあさ……フランに頼んで依頼を減らしてもらえばいいんじゃないか?それで慣れたら元に戻せば」

「ゴッドイーターには僕が希望して入ったんだ。こうなることも覚悟の上だったから気にしないで」

 

遠回しに放っておいてと伝えるとナナは納得がいかないというような表情になり、先輩は少しむっとした顔になる。

ちょっと嫌な言い方になっちゃったかな……?

でも、心配してくれるのは嬉しいけどこれは僕の問題で他の人にはどうしようもないことだから。

 

「うーん、なんかもやもやするけど……いいや、おでんパン食べよう!」

「「え……?」」

「はい!どうぞ!」

 

僕らの間にあった嫌な雰囲気は突然ナナがおでんパンを取り出し、さらに僕と先輩にも手渡そうとしたせいで消え去った。

手渡されたものを見てみるとぎゅうぎゅうに詰め込まれていたせいか少し形が崩れてしわだらけになってる。

それでも味は変わらなさそうだ。

いや、重要なところはそこじゃなくて。

 

「……そこは回復錠とかスタングレネードをいれるところだよな?」

「うん!でも、スタングレネードを入れないと結構空きができるんだよ!」

「……だとしてもスタングレネードをいれなきゃダメなんじゃないか?」

「えー!?でも結局使わないじゃん!」

 

先輩の当然の注意もあっさり却下された。

確かにそうだけど……

なんとも言いようがないままいるとナナはおでんパンを食べ始めた。

……仕方ないから僕もおでんパンを食べながら迎えを待とうか。

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