IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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4月入って忙しくてなかなか更新できずすみません。


第93話 秘策

「ちょっと待った!!!!」

 

 一夏が自身のIS『白式』を起動しようとした時、どこからともなく大声とともに大きな音が聞こえてくる。

 

「っ!?」

 

「誰だ!?どこにいやがる!?」

 

 一夏と巻紙が声の発生源を探す。

 

「ここにい――アァッ!ちょ、ちょっと待って!つっかえた!」

 

 勢い良く聞こえてきた声は途中から間抜けな声に変わる。

 声の出どころを探すと近くのロッカーから這い出そうとする颯太の姿が。

 

「アァッ!!やばい!ダサい!二人に気付かれる前に何とか抜け出さなくては――」

 

「いや……気付いてるから」

 

「えぇ!?」

 

 一夏の言葉に颯太はバッと顔を上げる。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

『…………』

 

「ダレモイナイヨ~?」

 

 言いながら颯太はゆっくりとロッカーのドアを閉める。

 

「いや!見えてたよ!もう無理だよ!ごまかせないから!頼むから手助けしてくれ!」

 

「………チッ」

 

「あ、今舌打ちした」

 

 渋々と言った様子でゆっくりとドアを開けた颯太。

 

「気を取り直して――今の話、全て聞かせてもらった!そこのマキガミとやら!生徒会副会長井口颯太の名において、俺の目の黒いうちはこの学校で好き勝手はさせないぜ!」

 

「へぇ~…こんなところに居やがったか、井口颯太よぉ~?」

 

 颯太の言葉を聞き、冷たい笑みを浮かべたまま女性は颯太を睨む。

 

「私の目的は織斑一夏だけじゃなくてめぇにも、むしろてめぇがメインだったからなぁ。井口颯太、てめぇには――」

 

「その前にここから出るんでちょっと待ってもらえます?」

 

「あぁん!?てめぇふざけん――」

 

「じゃかぁしぃ!!あんたはーだーっとれぃ!!」

 

 言いながら巻紙の言葉を遮って叫んだ颯太は無理矢理入り込んだロッカーからどうにか体をひねり出す。

 

「ふんっ!!!~~~~~~~モウッもうちょいっ!!!――ッツアァァ!!!あっ!抜けた!!一夏お待たせ!やっと――」

 

「颯太危ない!!」

 

 どうにか抜け出た颯太は嬉しそうに一夏に視線を向けるがそれと同時に一夏が叫ぶ。

 

「なに――っ!!!?」

 

 一夏の言葉の真意を聞こうとした颯太の言葉を遮り颯太の身を襲ったのは鞭のようにしなりながら放たれた巻紙のハイキックだった。

 

「ゲフッ!」

 

「颯太!?」

 

 その一撃を受け、地面を滑りながら吹き飛ばされる颯太に一夏が駆け寄る。

 抱き起した颯太は力なくぐったりとしていた。意識がないようで一夏の呼びかけにも答えない。

 

「てめえ……!」

 

 一夏は怒りを込めた視線で巻紙を睨むが逆に巻紙は警戒を強めた視線をふたりに向ける。

 

「おい、てめぇ……何者だ?」

 

「はぁ?俺は――」

 

「違う!お前じゃねぇ!私が聞いてるのは――そこの自称凡人だよ。てめぇ…気絶したフリはやめろ」

 

「あ?バレてました?」

 

 巻紙の言葉にひょこりと颯太が身を起こす。

 

「なっ!?颯太!?気絶してたんじゃ……」

 

「いやぁ~気絶したフリして隙をついて倒してやろうと思ったんだけど……」

 

 やれやれと言った表情でゆっくりと立ち上がりながら首や肩をぐるりと回しながら颯太が言う。

 

「驚いたぜ?てめぇ私が蹴りを入れる瞬間に左腕で受けつつタイミングを合わせて後ろに自分で飛びやがったな。そのおかげでほとんどダメージを殺しやがった」

 

 ギロリと颯太を睨みつけて語る。

 

「私が聞いてたのは、ある程度の訓練は受けていても、せいぜい一般人に毛の生えた程度だってはずだったんだが……どこでそんな芸を身に着けやがった?」

 

「ハワイでオカマに習ったんだよ」

 

 お道化たように肩をすくませる颯太。

 

「そういうアンタの蹴りはたいしたものだったけど、俺みたいな一般人に毛の生えた程度のやつに対応されるようでは……プークスクスクスwwww」

 

 ニヤリと笑みを浮かべる颯太にギリリと歯を噛みしめた巻紙はニッと顔の冷たい笑みをさらに歪ませる。

 

「いいねぇ!!この『亡国機業』が一人、オータム様をコケにしたんだ。ただですむとは思ってねぇよなぁ!?」

 

 

 

 〇

 

 

 背筋の凍るような冷たい笑みに顔を歪ませるマキガミこと、オータムの言葉を聞きながら、俺はドクンドクンと脈打つような左腕の痛みを顔に出さないように必死に余裕の表情を作っている。

 確かに先ほどのオータムの蹴りはアメリカの格闘訓練でニコさんやアリスさんに教えてもらった技術で威力は殺した。

 だが、ついこの間教えてもらった技術を本番でいきなり成功させられるわけがない。

 結果俺の腕は殺しきれなかった蹴りによって十分すぎるほどのダメージを受けている。

 先ほど確認した感じでは折れてはいないが、正直鈍い痛みが脈打つようにいまだ左腕に居座っている。

 

「一夏ぁ!!!」

 

「お、おう!!」

 

 返事をしながら急いで立ち上がった一夏に視線を向けながら俺は口を開く。

 

「お前、なんか作戦あるか?」

 

「い、いや……お前は?」

 

「………ああ!策はあるぜ」

 

 俺はオータムに警戒を向けながら言う。

 

「そう……たった一つだけ策はある!」

 

「たった一つだけ!?それはいったい?」

 

「ああ!とっておきのやつだ!」

 

「とっておき!?それは?」

 

「それはなぁ……――逃げるんだよぉぉん!!!」

 

「えぇぇぇぇ!!?」

 

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