IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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今回は少し短めですがこれで学園祭の流れはいったん一区切りです


第96話 生徒会だよ全員集合

 

「と言うわけで……」

 

「織斑一夏くん!生徒会庶務着任おめでとう!」

 

「おめでと~」

 

「おめでとう。これからよろしく」

 

 俺、師匠、のほほんさん、虚先輩が言いながら持っていたクラッカーを鳴らす。

 場所は生徒会室。俺たちの目の前にはいまだ状況の理解しきれていない一夏が呆然といた。

 

「……なぜこんなことに……」

 

 呆然と呟く一夏。

 と言うのも、今日の全校集会にて織斑一夏争奪戦の結果発表が行われたのだが…その一位が生徒会の出し物「シンデレラ」だったのだ。

 種明かしをしてしまえば全校生徒参加型演劇「シンデレラ」の参加条件は「生徒会に投票すること」だったのである。生徒の過半数の参加した結果生徒会の出し物は投票で一位を勝ち取ったのである。

 まあぶっちゃけ計画通りだった。

 そんなこんなで一夏は生徒会庶務に着任、同時に発表された「織斑一夏派遣」と言う案の発表のおかげで他の生徒からの苦情も沈静化に成功。

 無事に計画通りに一夏は生徒会入りを果たしたのである。

 

「一番無難な解決策だっただろう?」

 

「元は一夏君がどこの部活にも入らないからいけないのよ。学園長からも、生徒会権限でどこかに入部させるように言われてね」

 

「おりむーがどこかに入ればー、一部の人は諦めるだろうけどね~」

 

「その他大勢の生徒が『うちの部活に入れて』と言い出すのは必須でしょう。そのため生徒会で今回の措置をとらせていただきました」

 

 俺の言葉に続いて三人が言う。その連携はさすが幼なじみだと言えるだろう。

 

「俺の意志が無視されている……」

 

「え?俺や一夏の意見、意志が考慮されたことがこれまでにあったか?」

 

「……………」

 

 俺の言葉に一夏が押し黙る。どうやら反論できなかったようだ。

 

「えーと……とりあえず、放課後に毎日集合ですか?」

 

「当面はそうしてもらいますが、派遣先の部活が決まり次第そちらに行ってください」

 

「わ、わかりました」

 

「ところで……ひとつ、いいですか?」

 

「? なんですか?」

 

 虚先輩には珍しく、一夏に歯切れ悪く言う。

 俺や一夏が不思議そうに見ていると、さらに二回ほど言いづらそうにしながらやっと小声で口を開いた。

 

「学園祭の時にいたお友達は、何というお名前ですか?」

 

「え?あ、弾のことですか?五反田弾です。市立の高校に通ってますよ」

 

「そ、そう……ですか。年は織斑くんと同じですね?」

 

「ええ、そりゃまあ」

 

「……二つも年下……」

 

「え?」

 

「なんでもありません。ありがとうございました」

 

 そう言ってお辞儀をした虚先輩の姿に俺はなんとなく察した。

 

「さぁ!今日は生徒会メンバーが揃った記念と一夏くんの庶務就任を祝ってケーキを焼いてきたから、みんなでいただきましょう」

 

「わ~。さんせ~」

 

「では、お茶をいれましょう」

 

「あ、手伝いますよ」

 

「ありがとうございます」

 

「本音ちゃんは取り皿をお願いね」

 

「は―――い」

 

 できるだけ自然に虚先輩の手伝いを申しでて、先輩と一緒に簡易的なキッチンの方に行く。

 

「……年の差は気にしなくてもいいと思いますよ?」

 

「え?」

 

 ボソッと虚先輩にしか聞こえないであろう音量で言った言葉に虚先輩が首を傾げる。

 

「恋愛は自由ですから。それに二つくらいの差なんてむしろアドバンテージだと思いますよ」

 

「………っ!?」

 

 俺の言葉の意味に気付いたらしく、虚先輩は頬を赤く染め、驚愕の表情を浮かべる。

 

「なっ…なんの話ですか……?」

 

「弾は俺も一度会ったことがあって連絡先も知ってるんで、もしもそうなら力になれるかなぁ~って思ったんですが……違いました?」

 

「~~~~~~~……よ、よろしくお願いします」

 

「はい」

 

 数秒の思考の末、恥ずかしそうに言う虚先輩に俺は笑顔で頷く。

 

「虚ちゃ~ん、ケーキ切れたけどそっちはどう?」

 

「あ、すみません。もう少しです」

 

「……どうしたの?顔赤いわよ?」

 

「っ!?い、いえ…これは……」

 

「さてはぐっちー…お姉ちゃんにセクハラしてたな~?」

 

「あ?バレた?」

 

 冗談めかして言ったのほほんさんの言葉に笑いながら頷く。

 

「颯太君?生徒会役員がセクハラとか……切り落とすわよ?」

 

「どの部位をですかっ?」

 

 ハイライトの無くなった目で無表情に言う師匠に異様な恐怖を感じながら俺は全力で否定する。

 

「冗談!冗談ですよ!ちょっと俺の世間話に付き合ってもらっただけです!他に変なことは断じてしてません!」

 

「そう……ならいいわ」

 

 スッと元の師匠に戻ったことに安堵しつつ虚先輩の先輩を手伝い、お茶を運ぶ。

 俺の運んだお茶をそれぞれ手に取る。

 机にはショートケーキが並べられ、非常においしそうだった。

 

「それでは……乾杯!」

 

「かんぱ~い!」

 

「乾杯」

 

「乾杯!」

 

「は、はは……乾杯。はぁ……」

 

 こうしてIS学園生徒会はすべての役員をそろえ、新たなスタートを切ったのである。


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