IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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どうも、お久しぶりです。
クリスマスガチャで諭吉を触媒にエレシュキガルをお迎えした大同爽です。
呼べたはいいけどスキルレベル8で必要な杭72個×3に愕然としています。
周回地獄なうです。

リアルの方の用事だったりいろいろが重なって時間が取れなかったり。
やっと時間がとれるようになったクリスマス以降も自分用に買った某新撰組が舞台の新作PCギャルゲーにハマってなかなか更新できなかったりと、申し訳ない次第でありまして……。
しかも知らない間にお気に入り件数が50近く増えてたんですけど……何故?(;^ω^)
正直理由がわからなくて混乱しています。
とりあえずお気に入り件数3400超えた記念に番外編を考えておりますので、次回、もしくは次々回には番外編にしようかと思います。

とにもかくにも、まずは本編をどうぞ!






第141話 計画

「ねぇねぇあの噂聞いた?」

 

「噂って?」

 

「ほら、この間の日曜日に爆発騒ぎがあったじゃない?」

 

「その事件がどうかしたの?」

 

「うん。実はアレってさ、テロリストが井口君を狙ったものだったらしいよ」

 

「え?でも被害受けたのって生徒会長だったじゃん。会長ってひどい大怪我でまだ目が覚めてないんだよね?」

 

「そうなのよ。生徒会長はそれにたまたま巻き込まれて結果的に会長だけが大怪我負ったらしいよ」

 

「なにそれ。……でも、ていうことは、テロリストは目的はたしてないから、もしかしたらこの間みたいなことがこれからも起こるかもしれないんじゃない?」

 

「そうなのよ。下手すればもっと大きな事件が起こるかも」

 

「えぇ!?それこそとんだとばっちりじゃない!」

 

「ホントよ。どっかよそでやってほしいよね。関係ない私たちを巻き込まないでほしいわ」

 

「でも井口君、事件からずっと休んでるわよね」

 

「どうせテロを怖がってどっか逃げたんじゃない?」

 

「え~?会長って井口君にISのことを教えてた師匠でしょ?師匠が大怪我してるのに逃げたなんて信じられない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなクラスメイトの会話を聞き流しながら僕は視線を伏せる。

 日曜日に起きた爆発事件からもう四日が経ち、同時に学園内では事件に関する噂が飛び交っていた。

 噂には小さな違いはあれど、その内容はどれも先ほどから聞こえてくるクラスメイト達の話しているものだった。

 

「シャルロット……」

 

「あ、ラウラ、みんな……」

 

 心配げなラウラの声に視線を上げると、席についている僕の周りに集まるようにラウラ、箒、セシリア、鈴、そして一夏が立っていた。

 

「その…なんだ……あまり噂話は気にしない方がいい」

 

 箒が言葉を選びながら口を開く。

 

「噂はあくまで噂。わたくしたちの様に真実を知っているものがいる限り、颯太さんが悪者になることはありませんわ」

 

「大体おかしいのよ。颯太は完全に被害者でしょうが。颯太が攻められる謂れなんてないっての!」

 

 セシリアも箒に続き、鈴はイラついた様子で言う。

 

「それで、どうだ?その後颯太から何か連絡は……」

 

「ううん。あれから何の音沙汰もない」

 

「そっか……」

 

 一夏の問いに首を振りながら答えると五人は残念そうにため息をつく。

 

「まったく、あいつは今どこで何してんのかしらね」

 

「無茶をしてないといいんですが……」

 

「あいつは無鉄砲なところもあるが馬鹿じゃない。教官からも止められているし危ないことはしないと思うが……」

 

「心配だな……」

 

「先生にだけじゃなく我々にもちゃんと連絡を寄越してほしいものだ」

 

 五人はそれぞれ心配を口に漏らす

 

「みんな、ありがとう」

 

 颯太を心配している五人の様子に僕は思わずお礼を言う。

 

「颯太ならきっと大丈夫だよ。日本のことわざに『便りがないのは元気な証拠』って言うのがあるし、来週にはちゃんと……」

 

「シャルロット……」

 

 ラウラが心配そうに僕の顔を見ながら声を漏らす。

 大丈夫。きっと約束の来週にはちゃんと帰ってくる。

 吹っ切れているかはわからないけど、きっと僕たちの前に姿を見せてくれるって、きっとすぐに会えるって信じてるから。

 ねぇ、颯太……

 

 僕はそう心の中で呟きながら視線を窓に向ける。

 秋の澄んだ青空と学校の敷地が見える。

 ぼんやりとそれらに視線を向けていた僕は

 

「ん?」

 

 一瞬小さな人影が視界に入った気がする。

 

「今の……」

 

 僕はその人影を探して視線を巡らせ――ようとした時

 

「お前たち、席に着け。もう予鈴はなっているぞ。おい、凰。お前はさっさと自分のクラスに戻れ」

 

 それは教室に現れた織斑先生の言葉に遮られた。

 織斑先生の登場に鈴は慌てて二組に向かって走って行き、ラウラ達も自分の席に戻っていく。

 僕も視線を教卓の方に向ける。

 少し先ほどの人影は気になったが今は授業に集中だ。

 それにきっとさっきのは僕の勘違いだろう。

 その人影が一瞬――颯太に見えた気がしただなんて……きっと何かの間違いだろう。

 

 

 〇

 

 

 

「こんにちは。精が出ますね」

 

 俺は言いながら植え込みの土をいじる作業服の初老の男性の横に屈む。

 ここはIS学園。実に四日ぶりくらいに、とある用事で学園にやって来ていた。

 

「おやおや、こんにちは。どうかしたのかね?今は授業中ではないかい?授業に出なくてもいいのかな?」

 

 初老の男性は俺に視線を向け、柔和な笑顔を浮かべながら問う。

 今は時間で言えばちょうど3時間目の頃だろうか。当然みんなそれぞれの教室で授業を受けている時間だ。そう、普通なら。

 

「ええ、まあ。ちょっと事情がありまして、人を探していたところです」

 

「ほう、人を。お困りのようなら私もお手伝いしましょうか?一人で探すにはこの学園は広いですよ?」

 

「いえ、それにおよびません。その探し人には、ちょうど出会えましたから……」

 

 俺は言いながらその初老の男性に視線を向ける。

 

「轡木十蔵さん……ですよね?」

 

「……………」

 

 俺の言葉に会話の途中もとめることのなかった手を止めて初老の男性――轡木さんは俺に視線を向ける。

 

「IS学園、学園長の轡木十蔵さん。師匠から、更識楯無生徒会長から言われてきました。何か困ったことがあればあなたを頼れ、と……」

 

「そうですか……」

 

 言いながら数秒ほど考え込んだ轡木さんはおもむろに立ち上がる。

 

「移動しましょう。ここでは何なので。あと、お茶くらい出しますよ」

 

 そう言って笑う轡木さんに連れられ、俺は歩き出す。

 

 

 〇

 

 

 

「どうぞ。布仏虚くんの茶葉ですから美味しいですよ。お茶菓子もよければ」

 

 重厚なドアをくぐり学園長室にやって来た俺は部屋の一角に置かれたソファーに通された。

 高級感のあるソファーで待つこと数分。

 轡木さん自らが淹れてくれた紅茶とお菓子をお盆にのせて轡木さんが俺の向かいに座る。

 その時改めて轡木さんをじっくりと見る。

 柔和そうな表情を浮かべ、頭は総白髪。顔にも年相応にしわが刻まれている。

 

「どうかしましたか?」

 

「……いえ」

 

 俺の視線に気付いたのか轡木さんが訊くが俺はゆっくりと首を振ってから紅茶に口を付ける。

 

「あ、おいしい……」

 

「ハハッ。布仏虚くんほど淹れるのはうまくないがね」

 

「いえ、そんなことないです。とてもおいしいです」

 

 言いながら一緒に出してもらったガトーショコラにフォークを刺して口に含む。

 濃厚なチョコレートの味が口に広がり、程よい甘さが紅茶によく合う。

 正直これほどのガトーショコラは初めてである。

 

「フフッ」

 

 ガトーショコラの味に舌鼓を打つ俺の様子に向かいで轡木さんが笑いを漏らす。

 

「な、何か?」

 

「ああ、すみませんね。つい……なんて言うのか、君のお菓子を食べている様子が楯無くんにそっくりでね。さすが師弟だと思ったんだよ」

 

「……そうですか」

 

 轡木さんの言葉に俺は数秒考え、それ以上の言葉を言うことができず、紅茶に口を付ける。

 

「……それで?今日はどういった要件で私を訪ねてきたのかな?」

 

 と、優しい笑みを浮かべたまま轡木さんが訊く。

 俺は紅茶のカップをテーブルに置き、姿勢を正す。

 

「はい。まず最初になんのアポも取らずに急にやって来てすみません」

 

「いえいえ。君の今の事情については君の担任、織斑先生から聞いています。大変でしたね」

 

「…………」

 

 轡木さんの言葉に俺は一瞬視線を伏せる。

 

「……少しお時間をもらったことで、俺も少し冷静にいろいろと考える時間と、いろいろと調べる時間ができました。おかげで考えをまとめることができました」

 

「ほう?」

 

 俺の言葉に轡木さんが目を細める。

 

「師匠が爆弾に倒れた時、最後に俺に言いました。学園を頼む、と」

 

 俺の言葉に轡木さんは何も言わず続きを促す。

 

「師匠が倒れた今、IS学園の生徒会長の代理はどうなるんでしょうか?」

 

「そうですね、通常通りなら生徒会長の不在時には生徒会長が代理人を指定する、それができない場合は副会長が繰り上げで代理業務につくことになりますね。今回であれば更識くんが君に学園を頼むと言ったのなら、副会長である井口くんが生徒会長代理として生徒会業務につくことになりますね」

 

「そうですか……ちなみにその場合の俺の権限ってどのくらいになるんでしょうか?」

 

「そうですね……基本的には通常の生徒会長と同レベルの権限となりますね」

 

「そうですか……」

 

「それを聞くことが要件でしょうか?」

 

「いえ、それは大前提です。そこのところをはっきりさせておかないと、俺のこれからの計画が変わりますので」

 

「計画、ですか……?」

 

 俺の言葉に轡木さんが目を細める。顔は笑みを浮かべたままだが少なからず威圧感が増したように思う。

 

「俺が生徒会長代理となったら、少し学園を改革したいと思いまして。その旨はまとめて来ました。どうぞ」

 

 言いながら俺は持っていたカバンから書類の束を取り出す。

 

「ふむ。見せていただきましょうか」

 

 書類の束を受け取った轡木さんはポケットに掛けてあった眼鏡をかけて書類にゆっくりと目を通していく。

 ゆっくりと目を通し、一枚、また一枚と書類をめくるたびに轡木さんの目が驚愕に見開かれる。そして――

 

「……なるほど………」

 

 数分、あるいは数十分の時間をかけ、ゆっくりと目を通していた書類の束をテーブルに置き、轡木さんが眼鏡をはずす。

 

「これは……本気ですか?」

 

 姿勢を正した轡木さんが俺を正面から見据えて問う。

 

「ええ。いたって真面目に本気で考えてます」

 

「………下手をすれば戦争になりますよ?」

 

「戦争……」

 

 轡木さんの言葉を受け、俺は目を閉じその言葉を何度か心の中で反復しにっこりと笑いながら頷く。

 

「戦争……うん、いいですね。しましょうか、戦争」

 




颯太君の計画とは……
はたして戦争の意味するところとは……


さて、第十七回質問コーナー!
今回の質問は蓮零さんからいただきました!
「颯太君や一夏君に質問です!
季節はもうクリスマス間近ですが、二人はもし自分に恋人がいたら、クリスマスはどこに連れていきますか?
もしくは、何をプレゼントしたりしてあげますか?」
ということですが

一夏「そうだな……無難に一緒にご飯行ったり、どこか遊園地とかもいいかもな。相手が料理できる奴なら一緒に料理作って一緒に食べてもいいし。
 プレゼントは……そうだな、あんまり高いもの買っても相手が困るかもしれないから、相手が欲しがってるものとかをあらかじめリサーチしておくかな」

なるほど。
颯太は?

颯太「俺は……ん~、相手が非オタなら一夏みたいに無難にどこかにご飯食べに行くとか、遊園地かな。あと、映画とか。オタクなら好きな映画とか見に行ってもいいし、何かイベントに行ってもいいし、うちで好きなアニメの上映会でもいいな。
 プレゼントは、非オタなら本人が欲しがってるものか、カバンとか使えるものかな。オタクなら好きなアニメのグッズとかかな」

だそうです!蓮零さん!
そんなわけで今回の質問コーナーはここまで!
また次回!

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