IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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ちょっと息抜きとモチベーション上げのための番外編もどきです。
番外編ではありません。
もどきです。
なぜもどきかと言うと内容が本編に繋がってるからです。
ただぶっちゃけあんまり大きく本編に必要なかったんで私のただの悪ふざけです。

まあそんなわけでどうぞ!






第???話 世界の中心でアイを叫んだ颯太

 

 気付くと俺は上も下も分からない真っ白な場所に浮かんでいた。

 

――これは……何も無い世界。誰もいない世界。

 

「自由の世界」

 

 どこからともなく少女の声が聞こえる。

 

――自由?

 

「女性権利団体なんて倒さなくてもいい、自由の世界だよ」

 

――そんな……どうしたらいいかわからない。

 

「自分のイメージがないんだ」

 

「漠然としてるんだね」

 

「何もつかめない世界――それが自由」

 

 どこからともなく、今度は簪、シャルロット、師匠の声が聞こえる。

 

――俺は……俺は女性権利団体に負けた。

 

「はぁ?颯太君バカ?颯太君が一人でそう思ってるだけよ?」

 

 師匠の声が聞こえる。

 

――でも、俺は結局シャルロットを救うこともできずに……

 

「あれは颯太は悪くない。その事で誰も颯太を責める人はいないよ」

 

 今度はシャルロットの声が聞こえた。

 

――俺は卑怯で、臆病で、ズルくて、弱虫で。

 

「自分がわかれば、優しくできるでしょ?」

 

 今度は簪だ。

 

――俺は俺が嫌いだ。友達を救えず、ヒーローになれない自分が大嫌いだ。でも、それでも、好きになれるかもしれない。

 

 ピシピシッ

 

 どこからか何かひびが入る音が聞こえる。

 

――俺はここにいてもいいのかもしれない。

 

 ピシピシッ!

 

 先ほどよりも大きなひび割れる音が憩える。

 

――そうだ……俺は俺でしかない。

 

ピシピシッ!!

 

――俺は俺だ。俺でいたい。

 

 ピシピシッ!!!

 

――俺はここにいたい!

 

 ピシピシッ!!!!

 

――俺はここにいてもいいんだ!!

 

 俺が叫んだ瞬間何もなかったそこに青空が広がる。

 見渡せば見知った顔ぶれが俺を取り囲み、一様に拍手をしている。

 

「おめでとう」

 

 師匠が

 

「おめでとう」

 

 シャルロットが

 

「おめでとう」

 

 簪が

 

「おめでとう」

 

 一夏が

 

「おめでとう」

 

 箒が

 

「おめでとうございますわ」

 

 セシリアが

 

「おめでとう」

 

 鈴が

 

「おめでとう」

 

 ラウラが

 

「おめでとう」

 

 織斑先生が

 

「おめでとう」

 

 山田先生が

 

「おめでとう」

 

 クリスが

 

「おめでとう」

 

 アキラさんが

 

「おめでとう」

 

 貴生川さんが

 

「コングラッチュレイショ~ン」

 

 海斗が

 

「「おめでとう」」

 

 父さんと母さんが

 みんなが口々に微笑みながら僕に言う。

 

――ありがとう

 

 

 

 

 

 みんなに、ありがとう

 

 

 

 女性権利団体に、さようなら

 

 

 

 そして、すべての読者に――ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、なんだよこれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 俺は叫ぶ。

 

「なんだよこれ!?意味が分から~ん!!」

 

「どうしたの?なんかうやむやになっていい感じに終わったじゃん」

 

 俺の言葉に答える声に周りを見ればいつの間にか周りは真っ暗な空間に変わり、俺の目の前にはいつぞやの自称『火焔』の少女が浮いていた。

 

「うやむやにしたいとかじゃないんだよ!てかどういう状況!?俺確かコンテナの下敷きになって、シャルロットがブレードを振りかぶって………」

 

 俺は数秒考え

 

「……あれ?もしかして俺死んだ?さっきの意味の分からないあれは俺の走馬灯?」

 

「いんや、生きてるよ――まだ」

 

 と、俺の言葉に火焔が答える。

 

「まだ……?」

 

 火焔の言葉に俺は首を傾げる。

 

「厳密に言えばあと数秒でシャルロットの振り下ろしたブレードがアナタに当たる」

 

「えっ!?」

 

 俺はその言葉に慌てて上を見上げるがそこには真っ暗な闇が広がっているだけだった。

 

「………なんも起きないけど?」

 

「当たり前だよ。ここは私とあなたの精神世界。ここにいる限り時間は緩やかに進んでるからまだ平気だよ」

 

「…………よくわからんのだが?」

 

「わかりやすく言えばアクセルワールドの加速世界だよ」

 

「あ、OK理解した」

 

 火焔の言葉に納得する。

 

「それで?俺はなんでここに来たの?」

 

「ん~……なんとなく?」

 

「なんとなくって……」

 

 俺は火焔の答えに苦笑いを浮かべる。

 

「私、これでもあなたのことはそれなりに気に入ってるの。そんなあなたがシャルロットがあんなことになっちゃって、もしかして心が折れちゃったんじゃないかな~って思ってね」

 

「あぁ……」

 

 俺は頷く。

 

「別に心が折れちゃいないさ」

 

「でも今の状態はかなり絶望的な状況じゃない?」

 

「それでも、さ」

 

 俺は言いながら笑う。

 

「最後の瞬間まで俺は諦めない。どれだけ生きぎたなくても最後の瞬間まで足掻いて足搔いて戦い抜くさ」

 

 言いながら俺は立ちあがる。まあ上下左右の間隔は無いので立っているのかもよくわからないけど。

 

「さっ、わかったら俺を戻してくれ」

 

「………そっか」

 

 俺の言葉に火焔は微笑む。

 

「それでこそ私の認めた操縦者だね」

 

「ハハッ、ありがとう」

 

「まあせいぜい最後の最後まで見苦しく足掻いてみてよ」

 

「ああ」

 

 火焔の言葉に頷きながら俺は目を閉じる。

 真っ暗な視界は徐々にまばゆい光にあふれ――

 




次回!颯太の運命やいかに!?



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