番外編の内容的に次回に、今回の話のあとがいいかなぁ~、と思いまして(^^;
そんなわけで最新話です!
『……………』
座敷に並んで座るハヤテと、シャルロットは目の前にいる四人の人物に視線を向けながら、互いに異様な雰囲気とともに誰も口を開けずに異様な沈黙が支配していた。
「てか、こいつらから話を聞いてもしかして、とは思ってたが、やっぱりアンタだったんだな」
「アハハハ……なんだかよくわからないけど、久しぶりだね、クリスちゃん」
と、そんな座敷の雰囲気を見ながら席の広さの関係で一人近くのカウンターの椅子に座るクリスが言い、シャルロットは苦笑いを浮かべる。
「クリス先輩この人と知り合いなんデスか!?」
「ん?まぁな」
クリスとシャルロットの様子に切歌は驚いた様子で訊く。言葉にはしない者の他の三人、響と未来と調も驚いた様子でクリスを見る。
「この人はシャルロットさん。アタシたちの先輩だよ」
「と言うことはもしかして……」
「そっ、この人はIS学園の卒業生だよ」
「「「「っ!?」」」」
クリスの言葉に四人が驚いた顔でシャルロットに視線を向ける。
「なるほどね。クリスちゃんが一緒にいるわけだし、そうなのかとは思ったけど、やっぱり君たちもIS学園の生徒なんだね」
苦笑いを浮かべつつ、その四人分の視線に答えるように言うシャルロット。
「初めまして、私の名前はシャルロット・デュノア、今からだいたい三年前にIS学園を卒業したんだ」
そう言ってニッコリと笑みを浮かべるシャルロットに突然のことに気圧された様に呆然とする四人。そんな中でふと気付いたように未来がクリスに視線を向ける。
「で、でも、そのシャルロット先輩と、どうしてクリスは知り合いなの?時期的に先輩とクリスは重なってないでしょ?」
「この人とはアタシが学園に入る前から知ってたんだよ。ぶっちゃけ翔子さん達の知り合いなんだ」
未来の問いに答えたクリスの言葉に四人は納得したように頷く。
「って!この人が先輩だってことはわかったデスが、そんな先輩がなんで海斗先輩と一緒にいたんデスか!?」
と、そんな中で切歌が興奮した様子で訊き、調も隣でうんうんと頷き、響と未来も興味深そうに視線を向けている。
「この人の卒業時期考えたらわかんだろ?この人がIS学園にいた時期ってのはあの人たちがいた世代だよ」
「あの人……」
「たち……」
「デース?」
クリスの言葉に響と調と切歌が首を傾げる中、指折り数えていた未来は一人気付いた様子で驚いた顔をし
「もしかして!シャルロットさんって〝あの〟シャルロットさん!?」
「〝あの〟?」
未来の問いにシャルロット本人は首を傾げる。
「あ、あの織斑一夏と海斗のお兄さんである井口颯太と同級生で、風紀部の初代委員長の、あのシャルロットさんですか!?」
「「「っ!?」」」
「あぁ……それなら、うん、私のことだね。〝その〟シャルロットで間違いないよ」
「「「っ!!?」」」
未来の問いに理解した三人が驚いた顔を浮かべ、シャルロットの答えにさらに驚いた顔になる。
「と、と言うことは、この人があの北海道での戦いにも参加していた……」
「海斗先輩のお兄さんと特に仲のよかった八人の専用機持ちのうちの一人の……」
「〝あの〟シャルロット先輩デスか!?」
「う、うん。そうだけど……」
響、調、切歌の問いにシャルロットが頷く。
と、その言葉に四人は絶句したように口を半開きにして呆然としている。
その顔には驚き以上に、畏怖が込められているように見えた。
「………?……あの、みんな一体――」
「デデデデース!?あ、あのデュノア先輩と知らずに失礼しましたデス!!」
「へ?」
突如叫んだ切歌の言葉にシャルロットは呆けた顔をする。
そんなシャルロットを置いて彼女の目の前で切歌と調が深々と頭を下げる。
「あぁあぁぁ…あのデュノア先輩!二人も悪気があったわけではなく、ただ知らなかっただけなので!ど、どうか寛大な処置を!」
「は?ん?え?」
頭を下げる二人の隣で響が慌てた様子で言い、シャルロットはさらに混乱する。
「え?何?シャルロットって学生時代何やったの?何したらこんなに後輩たちに恐れられてんの?」
「し、知らないよ!?え?と、とりあえず頭を上げてよ!」
ドン引きした様子のハヤテの言葉に返しながらシャルロットは目の前で頭を下げ続ける二人に言う。
二人は恐る恐ると言った様子で顔を上げる。
そんな二人の様子にシャルロットは呆然としながら訊く。
「……ねぇ、私のこと知ってるんだよね?」
「「「「っ!っ!っ!」」」」
シャルロットの問いに四人が全力で首を縦に振る。
そんな様子をハヤテは興味深そうに、クリスは笑いをこらえるように見ている。
「私のことどう聞いてるの?」
「え~っと……」
シャルロットの問いに四人は顔を見合わせ
「元フランス代表候補生で、最初はIS学園に男装して転入してきて、海斗のお兄さんの取り計らいでフランス代表候補生をやめて指南コーポレーションの所属IS操縦者になって……」
「うん、あってる……」
未来の言葉にシャルロットは神妙な面持ちで頷き、続きを聞こうと視線で促す。
「その後、海斗のお兄さんが自主退学するまで友達としてずっと一緒に研鑽を積んできて、力をつけて」
「うんうん」
響の言葉に頷き
「海斗先輩のお兄さんが自主退学してからは、新設された風紀部の初代委員長に就任。北海道での戦いにも参加した……」
「うんうん」
調の言葉に頷き
「卒業まで風紀部委員長として陰から学園を牛耳っていた、IS学園の影のドン、番長シャルロット・デュノア先輩、デスよね?」
「………うん?待って」
切歌の言葉にシャルロットは首を傾げる。
「その噂まだ残ってるの!?僕は番長じゃないのに!」
「お?珍しい。シャルロットが〝僕〟って言うなんて、相当テンパってるな」
「ちょっとハヤテは黙ってて!」
「あ、はい」
茶化すように言ったハヤテにシャルロットが睨みながら言い、その迫力にハヤテが素直に頷き置いてあるお冷に口を付ける。
「え?だって、シャルロット・デュノア先輩ですよね?あの、ありえない言動とよくわからない数々の伝説を残し、いつしか番長と呼ばれて無事卒業していった、あのシャルロット・デュノア先輩」
響が恐る恐ると言った様子で言い
「校舎の窓ガラスを全部割ったって聞いたデス!」
「あれ?それ全部ピカピカにした、じゃなかったっけ?」
「群がるファンをバッタバッタと」
「殴ったんじゃないよ。フったんだよ」
切歌が言ったことを調が訂正する。
「ブハッ!」
耐え切れなくなったようにクリスが噴き出す。
「え?他には?他には?」
楽しそうにハヤテが訊く。
「あとは……セクハラしてきた数学教師に花瓶の水をかけた、とかデスかね」
「違うからね!?」
「数学教師にかけるってのはシャレが利いてるね。何桁の数字になるんだ?」
「面白がらないいでよ!」
笑うハヤテをシャルロットがギロリと睨む。
「こっちは学園の風紀取り締まってただけなのに噂に妙な尾ひれがついて最終的に番長だよ!?冗談じゃないよ!」
「え!?番長じゃなかったんですか!?」
「違うよ!」
響きの驚いたような問いに全力でシャルロットが言う。
「え?じゃあこれまで聞いた数々の伝説は……」
「ぼ――私も全部把握してるわけじゃないけど、ほとんど尾ひれがついてついて原型とどめてないモノばかりだよ」
未来の問いにシャルロットが若干冷静さを取り戻したようで、ため息をつきながら答える。
「え?じゃあアレはどうなんです?IS学園廃校事件を収めたのはシャルロット先輩だって言うアレは……?」
「あぁ……それは……」
響の問いにシャルロットは苦笑いを浮かべ。
「今君たちにどう伝わってるか知らないけど、収めたって程のことはしてないよ」
疲れた顔で言う。
「と、とにかく!私はただの風紀部委員長で、別にIS学園を陰から牛耳っていた学園の番長なんかじゃ絶対ありません!」
シャルロットはため息まじりに力強く言い切る。
「まあ、彼女がIS学園のもと番長だったかは置いておいて」
「置いとかないでよ!」
笑いながら言うハヤテにシャルロットがツッコむが、ハヤテは笑顔のままスルーする。
「これでわかってくれたかもしれないけど、彼女自身友人だった井口颯太の弟である海斗君のことは五年たった今でも気にしててね。ちょくちょく会ってたらしいんだ。たぶん君たちが見た海斗君と一緒にいた場面もその時のものだろうね」
「あ……」
「そういうことだったんデスね」
ハヤテの言葉に納得したように頷く調と切歌。
「僕も彼女から少し話は聞いていてね。海斗君と会ったとき、彼自身は学園生活は順調だと答えてるらしいけど、実際のところがどうなのかはわからない。何か問題があっても、それを彼女には相談できていないのかもしれない。で、そんな時に今日たまたま海斗君の知り合いである君たちに出会ったから、何か話がきけたらなぁ、って思って訊いたんだけど……」
「は、早とちりだったデス……」
「ごめんなさい……」
苦笑いで言うハヤテの言葉に切歌と調が謝り、響と未来も頭を下げる。
「いやいや!あれは僕の言い方が悪かった!だから気にしないでほしい。それに……」
言いながらハヤテはニッコリと笑う。
「少なくとも彼に、彼のことを大切に思ってくれる友人がここに、五人もいるんだもの。きっと彼は大丈夫だろうね。な?シャルロット?」
「そうだね」
ハヤテの言葉にシャルロットも頷く。
「私が言うのは変な話だけど、これからも海斗君と仲良くしてあげてね」
「「「「っ!」」」」
シャルロットの言葉に四人が息を呑み。
「わかりました!」
「はい!」
「もちろん…です!」
「先輩を一人にはしないデース!」
「アハハハ、ありがとう」
四人が力強く頷いたのを見てシャルロットは安心したように頷き
「クリスちゃんも、よろしくね」
クリスはシャルロットの言葉に数秒黙り、プイッとそっぽを向き
「……言われなくても。アイツはあたしにとっても大事な後輩だしな」
そう言ったクリスの様子にシャルロットとハヤテは顔を見合わせ
「うん。ありがとう」
シャルロットは嬉しそうに頷いた。
「さてと、ちょっと話込みすぎたな」
言いながらハヤテが立ち上がる。
「僕らは先に失礼するよ」
ハヤテの言葉にシャルロットも立ち上がり、二人は座敷から下りて靴を履く。
「それじゃあ、今日は話せてよかったよ。楽しかったよ」
「こ、こちらこそ、ありがとうございました!」
ハヤテの言葉に響が元気に頷く。
「そ、その、改めてごめんなさいデス、お好み焼きも勘違いしたことも……」
「だから、気にしなくてもいいったら」
ハヤテは笑い、自身の分と五人の分の伝票を取る。
「あっ!」
「それは――」
「いいのいいの。ここはお兄さんが奢ってあげる。その代り、海斗君のことよろしくね。あと、こうして会ったときはまた話聞かせてね」
『っ!』
ハヤテの言葉に五人は顔を見合わせ
「わかったデス!」
「その時は、また……」
「海斗のことも、気にかけておきます」
「次は一緒に食べましょうね!」
「今日はありがとうな」
そう答えた五人の言葉にハヤテは笑顔で頷き、自身と五人の計六人分の会計を済ませ、シャルロットとともに去って行った。
さてさて、今回の質問コーナー!
今回の質問はもよもよ(´ω`)さんからいただきました。
「一夏達はミサイルを破壊し世界を救った後、颯太の事をどう思ったのでしょうか。」
と言うことですが
箒「自分たちの未熟さのせいで犠牲になった仲間、だろうか。私たちにもっと思慮深さがあれば、力があれば、颯太の考えを理解できれば。どれだけ後悔しても足りない」
セシリア「だからこそ、私たちは颯太さんに託されたこの世界を守っていかなければいけないと思いますわ」
鈴「なんせ、あの颯太が最後に言ってきた難題だものね。ちゃんと全力で取り組まないとあいつに顔向けできないわ」
ラウラ「アイツのやり方は間違っていたかもしれんが、それでもその想いはきっと間違っていなかった。だからこそ、アイツの想いに恥じない自分たちでありたい」
一夏「だから俺たちはこれからも颯太の分まで頑張っていくつもりだぜ」
と言うことだそうです。
颯太の託したものは、彼らにとって、やはりとても重要なものとなったようです。
さてさて、今日はこの辺で!
また次回をお楽しみに!
次回は番外編を予定しております!