IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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二週間以上更新があいてしまい申し訳ありません
ちょっと短めですが最新話です!





第215話 社畜ブタ野郎はインターン少女の夢を見ない

 

「社長…報告書持ってきたよ…」

 

「おう、ありがとう」

 

 パソコンの画面とにらめっこしていたハヤテにノックの音とともにムラサキがやってくる。

 

「初日の様子はどうだった?」

 

「まあまあかな…猫探しも問題なく済んだし…まあ本人は微妙そうだったけどね」

 

「微妙?」

 

 ムラサキの言葉にハヤテがパソコンの画面から顔を上げる。

 

「本人としては思ってた仕事内容とギャップがあったみたいだよ…」

 

「なるほど、そういうことね……」

 

 ムラサキの説明にハヤテが納得したように頷く。

 

「想像とはちょっと違うかもしれないけど、僕らの仕事は嘘偽りなくこうだからな……まああいつは僕らの仕事を海斗救出の場面しか見てないからね。そういう仕事ばっかりだと思ってるんだろうけど」

 

「インターンだからね…ありのままを体験してもらうのが一番だよね…」

 

「そういうこと」

 

 ムラサキの言葉に肯定を示すように頷く。

 

「とりあえず、今日のキネクリ――雪音クリスのインターン報告書は受け取ったよ。後で目を通しておくよ」

 

「了解…ところで…――」

 

 ハヤテの言葉に頷きながら、相変わらず表情の読み取れない半眼の無表情でムラサキがハヤテに視線を向け。

 

「ぶっちゃけ社長は彼女のこと、どうするつもりなんですか?」

 

「どうって?」

 

 ムラサキの言葉にハヤテは首をかしげる。

 

「雪音クリスをうちの会社のインターンに来ることを許可したってことは、最終的には彼女はうちの会社に就職する可能性があるってことでしょ?社長はそのあたり、どう考えてるのかなって思って…」

 

「……………」

 

「それに…今のところ予定してなくても、彼女にも本職のほうにも参加してもらうこともあるかと思うけど、そこんとこどうなのかなってね…」

 

 押し黙るハヤテにムラサキは続けて言う。

 

「このインターンが終わった時、彼女が本気でうちの会社で働きたいって言った時、社長はどうするつもりなんですか…?」

 

 ムラサキの言葉に少し黙ったハヤテはパタリとパソコンの画面を閉じる。

 

「そうだね……できるなら、僕は彼女にはあまりこっちの世界に足突っ込んでほしくないんだよね」

 

 言いながらハヤテはため息をつく。

 

「あの子はね、幼少期をあまりいい環境で過ごしてこなかったんだ。それこそ、一般的な子どもとは比べ物にならないくらいに過酷な環境にいた」

 

「へー……」

 

「そんな彼女が、今友達に囲まれて普通の学生らしく生きてるんだ。わざわざ〝こっち〟に来る必要ないだろ?」

 

「それはそうかもだけど…」

 

「それに、うちの会社は今の状態で十分バランスとれてるんだから、別に増員とか必要ないだろ?」

 

「でも、社長が文句垂れてても、彼女の就職の最終決定って上の人たちでしょ…?その辺はどうするの…?」

 

「……インターンにはこちらで評価を記録して提出するという制度があってだな」

 

「うんうん?」

 

「そこで評価が低いと本人が希望しててもその会社には就職できないことがあるんだ。つまり――」

 

「まさか…」

 

「わざと評価を低めに設定しておけば彼女がうちの会社に就職できなくなる、と言うわけさ」

 

 グフフフフ、と悪い顔で笑うハヤテにため息交じりにムラサキはジト目を向け

 

「さすが社長、ブタ野郎ですね」

 

「おいやめろ。お前のその声でそのセリフは僕に刺さる」

 

「私は私が嫌いなんだよ」

 

「あぁぁぁぁ!あのキャラそっくりだなぁ!声だけ瓜二つだな!!」

 

「最低だね社長は。だけど…なんかほっとする……」

 

「やめろ~!それ以上聞くとあのアニメ見たくなるだろ!今日はこの仕事片付けないのに仕事そっちのけでアニメ見ちゃうだろ!」

 

 頭を抱えて机に突っ伏すハヤテ。

 

「まったく、何の話してたかわからなくなったじゃないか」

 

「社長が女子高生のインターンの評価をわざと低くして雇わなくて済むようにするブタ野郎だって話です」

 

「うん、その言い方には語弊がある」

 

「でも事実でしょ…?」

 

「………うん」

 

 ムラサキの言葉にハヤテがすっと目をそらす。

 

「でもね!確かに言ったけど!別にホントにやろうとは思ってないからね!?」

 

「はいはい…わかってるよ、社長があくどいこと言ってても本当にそれを実行することができないファッションワルだってことくらい…」

 

「ファッションワルって言うなし」

 

 ハヤテは言いながらパソコンわきのマグカップに口をつけ

 

「にがっ」

 

 完全に冷めて苦みが際立ったコーヒーに顔をしかめる。

 

「コーヒー淹れなおすか」

 

「なら私が淹れるよ…社長は仕事の続きをしなよ…」

 

「おう。ありがとう」

 

 ハヤテの言葉に頷いたムラサキは社長室に備え付けられたミニキッチンのスペースに向かう。

 

「……………」

 

 そんなムラサキを見つつハヤテは机に置かれた先ほどムラサキの持ってきた報告書を何気なく手に取り

 

「ホント……どうすっかねぇ~……?」

 

 大きくため息を漏らし、マグカップに残ったコーヒーを飲み干すのだった。

 




そんなわけで改めまして二週間以上あいてしまい申し訳ありません!
ちょっと12月頭の名古屋であった某アイドルゲームのドームライブに行っていたり、かと思えばパソコンが壊れたり……
とにかくいろいろいいことも悪いこともありまして……(;´・ω・)
パソコンの故障もまだ解決していないので、次回の更新も遅れるかもしれませんが、ご了承ください。


さて、そんなわけで今回の質問コーナー!
今回は一般有澤社員さんからいただきました!
「ハヤテくん、食べる?( ・∀・)つ_。_⌒_(大盛り激辛麻婆豆腐を示しながら某麻婆神父のように)
それともこっち?( ・∀・)⊃└┘(某激辛カップ焼きそばEND持ちながら)」



と、いうわけで――実食!

ハヤテ「…………」

おいおいどうしたよ?食えよ。

ハヤテ「……じゃ、じゃあ、まずは大盛り激辛麻婆豆腐から……あ、あーん………――んぐっ!?」

お?どうだ?
うまいか?
お?泣いてるな。震えてるな。
泣き震えるほどうまいか。
ほら、お次は某激辛カップ焼きそばENDだぞ~
おかわりもあるぞ~

ハヤテ「ん~ん~!!」(全力で首を振る)

ほら~!食えよ~!!

ハヤテ「ん~!!!!」



はい、ハヤテ君が次の日トイレでさらに地獄を見るであろうことが確定したところで今回はこの辺で。
次回をお楽しみに!

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