IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

247 / 309
パソコン復活!
本編進めようかとも思いましたがちょうどクリスの誕生日でしたので息抜きがてら番外編です。





雪音クリス誕生日特別番外編

 

「クリス先輩~!誕生日~――!」

 

「「「「「おめでと~(デ~ス)!!」」」」」

 

 パーン!パパ~ン!

 

「お、おう。ありがとう……」

 

 海斗の言葉に続いて響、未来、切歌、調が叫び、五人が手に持ったクラッカーを鳴らす。

 その様子にクリスは戸惑いつつも少し照れたように頬を染めていた。

 ここはIS学園学生寮のクリスの部屋である。

 

「どうぞ!私たちからのプレゼントデ~ス!」

 

「二人で選びました……」

 

 二人が差し出す包装されたプレゼントを開けると、中からは可愛らしいピンク色の兎のぬいぐるみが現れる。

 

「私たちからも!」

 

「はい、おめでとう!」

 

 響が差し出したプレゼントは二羽の黄色いヒヨコのぬいぐるみが、未来のプレゼントはクマのぬいぐるみだった。

 

「こ、こんな可愛いぬいぐるみ、あたしには似合わねーよ!」

 

「とか何とか言って去年響達からもらったぬいぐるみはちゃんとベッドの周りに飾ってるじゃないですか~」

 

「なっ!?そ、それは……!」

 

 海斗の指摘にクリスが顔を真っ赤に染めて言い淀みながら自身のベッドに視線を向ける。そこにはベッドの枕の周りに並ぶ可愛らしい犬や猫のぬいぐるみが三体並んでいる。

 

「はい、ちなみに僕からはこれです」

 

 と、海斗が綺麗に包装されたプレゼントを渡す。中からはドングリを抱えたリスのぬいぐるみが。

 

「先輩って意外とこういう可愛らしいの好きですもんね」

 

「う、うるせぇよ……」

 

 海斗の指摘にクリスは唇を尖らせながら恥ずかしそうに頬を染めて顔を反らす。

 

「ちなみにマリアやセレナ、翼先輩と奏先輩たちからもあずかってるデスよ」

 

「お、おぉ……」

 

 両手で抱えるほどの大量のプレゼントを見せる切歌と調の姿にクリスが驚きの表情を浮かべる。

 

「まあ、クリスはたくさんのプレゼントより、たった一人からの特別な一つだよね?」

 

「なっ!?未来、てめぇ!?」

 

「ふふっ」

 

 未来の言葉に今日一番に顔を真っ赤に染めたクリスが慌てた様子で叫ぶが未来は気にした様子なく未来は微笑む。

 

「へぇ~、クリス先輩そんないい人がいるんですか?」

 

「い、いや、別にそんなんじゃ……」

 

「とか何とか言って~!クリスちゃんあの人のこと――」

 

「その口閉じろぉぉぉぉぉ!!」

 

 響の言いかけた言葉を遮ってクリスが手近にあったクッションを投げつける。

 

「え?その話kwsk」

 

「てめぇも興味持ってんじゃねぇよ!」

 

 

 

 ○

 

 

 

「とは言ったものの……」

 

 海斗たちからの誕生日パーティーの翌日、クリスはインターンで会社にやって来ていた。

 

「…………」

 

 クリスは目の前の書類に向かいつつもぼんやりと考える。

 昨日は海斗たちの手前否定したものの特定の誰かから祝ってもらいたいという気持ちは否定できないところである。

 

「まあ、あのバカが覚えてるわけないか……」

 

 言いながらクリスは大きなため息をつく。

 

「…おやおや、どうしたんだい?大きなため息なんかついちゃってさ…」

 

「元気ねぇな。腹でも減ってんのか?」

 

 と、そんなクリスに対面に座っていたムラサキと、たまたま近くを通りかかったマキが訊く。

 

「べ、別になんでもないっすよ」

 

「ほれ、これやるから食っとけ」

 

 と、マキがポケットから取り出したチョコバーを差し出す。

 

「いや、腹減ってるわけじゃ……」

 

「…貰っておいたら?マキも先輩らしく後輩の面倒見たいんだからさ…」

 

「てめぇっ!勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」

 

 ムラサキの指摘にマキが慌てたように叫ぶ。

 

「……で、どうなんだよ?いらねぇのか?」

 

「……い、いただきます」

 

 差し出すチョコバーを受け取ったクリスにマキが満足そうに頷く。

 

「…で?何かあったの?」

 

「……いえ、別に……本当に何でもないんで」

 

「そう……」

 

 視線を反らすクリスの様子にムラサキは特に詳しく聞くこともなく話を終わらせる。

 

「仕事中にごめんなさい、ちょっといいですか?」

 

 と、そんな三人の前に桜子がやって来る。

 

「ん?クリス、どうかしたかい?」

 

「うん。と言っても用があるのはムラサキやマキじゃなくて……」

 

「……ん?あたし?」

 

 桜子の視線にクリスが自分を指さしながら首を傾げる。

 

「ええ。今の仕事が一区切りついたら社長室に行ってください。社長がお呼びです」

 

「はい?なんで……」

 

「さぁ?内容までは聞いていませんが、とにかく伝えてほしいと」

 

「はい、わかりました」

 

 言いながらクリスは立ち上がる。

 

「一区切りついてからでいいんですよ?」

 

「いえ、ちょうど一区切りついてるんで」

 

 桜子の言葉に答えたクリスは社長室に向かう。

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

「どうぞ~」

 

 ノックの音に答えるハヤテ。

 パソコンに向けていた視線を上げるとドアがゆっくりと開き

 

「失礼します」

 

 クリスが入ってくる。

 

「……お呼びでしょうか?」

 

「あ、かたっ苦しいのはいいから。インターンとか関係ない話だから」

 

「お、おう」

 

 ハヤテの言葉にクリスは首を傾げながら頷く。

 

「クリキチ、お前今日六時までだったよな?そのあとって何か予定入ってるか?」

 

「へ?」

 

「だから、この後の予定だよ。何かあるのか?」

 

「い、いや、無いけど……」

 

「そうか。じゃあ仕事の後飯に行くか」

 

「………は?」

 

 ハヤテの言葉にクリスが呆けた顔をする。

 

「なんか食いたいものあるか?中華とかフレンチとかイタリアンとか。なんでもいいぞ」

 

「え?は?いや……」

 

「なんだ?やっぱり何か予定でもあったのか?」

 

「いや、そういうんじゃないんだけど……なんでまた急に?これまでそう言うの無かっただろ?」

 

「まあな。でも、記念だし」

 

「記念?」

 

「お前の誕生日くらいごちそうしてやるよ。昨日だったけどな」

 

「は…?」

 

 ハヤテの言葉にクリスが呆然とポカンと呆けた顔をする。

 

「おま…それ……」

 

「は?どうした?鳩が豆鉄砲を避けたらチャボが食らったみたいな顔して」

 

「どんな顔だよ!?――お前今……」

 

「あん?だから、昨日誕生日だっただろ?だからお祝いしようと思って」

 

「お前…覚えてたのか……?」

 

「そりゃ覚えてるだろ。五年前もちゃんと祝っただろ?」

 

「……………」

 

 ハヤテの言葉にクリスがなんとも言えない表情を浮かべる。

 

「んじゃ、特に指定もないみたいだし店はこっちでテキトーに決めとくぞ」

 

「お、おう」

 

 ハヤテの言葉にクリスが頷く。

 

「んじゃ、とりあえずこっちから」

 

 言いながらハヤテは机の下から紙袋を取り出す。

 

「ほい。誕生日プレゼント」

 

「え?」

 

「なんだ?いらないのか?」

 

「あ、ありがとう……」

 

 ハヤテの差し出す紙袋を恐る恐る受け取ったクリスはそっと紙袋を開ける。中からは赤色のマフラーが。

 

「マフラー……」

 

「お前コートとか手袋はしてるけどマフラーしてるとこは見たことなかったから。寒いんだから風邪ひかないように防寒対策でよかったら使ってくれ」

 

「あ、ありがとう。使わせてもらう……」

 

「あぁ、それと……」

 

 ハヤテは言いながら紙袋を示す。

 クリスは首を傾げながら紙袋を覗き込むと、そこにさらに小さな袋が入っている。取り出して中を見てみると

 

「コレ……シュシュ……」

 

 赤色の二つのシュシュが出てくる。

 

「お前いつも同じそのピンクのやつしてるだろ?似合ってるけど、少し年季を感じるからな」

 

「でも、これは……」

 

「だいたい五年も経っててまだ使えるって相当物持ちいいな。それ」

 

「………ん?ちょっと待て」

 

 ハヤテの言葉に一瞬呆けた顔をしたクリスは恐る恐ると言った様子で口を開く。

 

「お、お前気付いてたのか!?」

 

 ハヤテの言葉にクリスが叫ぶ。

 

「まあ選んだの〝俺〟だしな。五年も使ってくれてるのは送った側としてはうれしいけど、年頃なんだからおしゃれしろよ」

 

「…………!」

 

 クリスは顔を真っ赤に染めてパクパクと口を開くが言葉にならない。

 

「……あ、金魚のモノマネ?似てる似てる」

 

「お、おまっ!気付いてたんなら言えよ!」

 

「は?何が?」

 

「シュシュのことだよ!」

 

 首を傾げるハヤテにクリスが叫ぶ。

 

「五年前にお前に貰ったやつだって気付いてたんだったら早く言えよ!気付かれてるとも知らずに本人の前でずっとつけてたとかあたし…なんか……アレじゃん!!」

 

「どれだよ?」

 

「う、うるせぇ!バーカバーカ!!」

 

「小学生かよ」

 

顔を羞恥で真っ赤に染めて叫ぶクリスにハヤテがツッコむ。

 

「と、とにかく今度からそう言うのやめろよな!」

 

「何をだよ……?」

 

 貰ったプレゼントを大事そうに抱えたクリスがドアへと逃げていく様子を見ながら苦笑いを浮かべるハヤテ。

 

「とにかく何でもだよ!話は終わりだよな!?じゃあ仕事に戻るからな!」

 

 そう言って顔を真っ赤にしたまま大慌てでクリスがドアを開けて去って行く。

 

「夜のこと忘れるなよ~」

 

 大きな音を立ててドアを閉めるクリスにハヤテはのんびりと声をかけたのだった。

 




というわけでクリスの誕生日記念でした。
シンフォギアのクリスは公式に誕生日が12月28日と言うことで書かせていただきました。
ちなみになんでシャルロットや楯無や簪の誕生日エピソード書かないのって思う方もいるかもしれませんが、答えは簡単です。
IS組は誕生日が設定されてないからです。


さて、2018年も残すところあと少し。
恐らく今年最後の更新となるでしょう。
年始一発目がいつになるかはわかりませんが、はやめに更新しますのでお楽しみに!
それでは読んでいただいている読者の皆様、今年もありがとうございました。
来年もみなさんに楽しんでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします!
それでは!よいお年を!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。