颯太「はいはい、オツカレオツカレ」
なんだよ!もっと労えよ!
僕の作品の主人公だろ!?
颯太「こっちはお前がなかなか最新話更新しないせいで久々の出番だったんだぞ!!」
ホントすいませんでした~!!!
カチカチカチッ。
「これで……よし」
目の前に表示された投影ディスプレイに示された数字をいくつか変更していく。
「これは後で怒られるかもな~。でも――」
俺は苦笑いを浮かべながら、しかし、画面をじっと見つめて言う。
「これは必要なことだから……許せよ、『火焔』……」
俺はそっと右腕の赤いリングを撫でた。
○
「お待たせ」
装備フル展開状態の『火焔』を展開し、少し遅れてアリーナへと出てきた俺は先客の三人に声をかける。
「遅かったな。なんか問題でもあったか?」
「いや、ちょっとな」
一夏の問いに曖昧に返事しながらあとの二人へと視線を向ける。
「……………」
「………ふんっ」
篠ノ之は集中しているのか無言で、ボーデヴィッヒは嘲るように鼻を鳴らす。
「怖気づいて逃げ出したのかと思ったぞ」
「怖気づく?お前とは絶対に戦わないと、と思ってたんだ。怖気づいてる暇はない」
ボーデヴィッヒの挑戦的な言葉にも俺はじっとボーデヴィッヒを睨みつけて言う。
「…………」
挑発に乗ってこなかったことに若干眉を反応させながらもボーデヴィッヒは俺から視線を動かし、一夏を睨む。
「一回戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」
「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」
と、試合開始のカウントダウンが始まる。
5,4,3,2、1――
「「叩きのめす」」
試合開始とともに一夏とボーデヴィッヒが同じ言葉を叫んで動く。
一夏は瞬時加速でボーデヴィッヒへと突進。それに向けてボーデヴィッヒは右手を突き出す。
――来る!
そう思ったと同時に一夏の動きが止まる。ボーデヴィッヒの装備〝AIC〟だ。
一夏はまるで見えない腕に抱えられているように停止している。
停止した一夏に向けてボーデヴィッヒは肩の大型カノンが一夏に向けられる。このままでは一夏はやられるだろう。――これが一対一の試合だったならば、だが。
「はあぁぁ!」
一夏に向いていた意識を俺に向ける意味も込め、叫びながら一夏を飛び越えて斬りかかる。
「ちっ……!」
俺の斬撃を避けるために砲撃をやめ、俺と一夏から距離を置くボーデヴィッヒ。
「逃がさねぇ!」
さらに追撃を加えるために斬りかかる、が
「私を忘れてもらっては困る」
ボーデヴィッヒへの斬撃を防ぐように俺とボーデヴィッヒの間に篠ノ之が現れ、近接ブレードで俺の《火人》を受け止める。
「じゃあ俺も忘れられないようにしないとな!」
一夏は言いながら瞬時加速で箒へと突進する。一夏の動きに合わせて舞うように一夏と入れ替わるように避ける。
ガギンッ!
一夏と篠ノ之のブレード同士がぶつかり、火花が散る。
何度も鍔迫り合いをしながら後部のスラスターの勢いを上げながら篠ノ之を後方に押しやって行く一夏。
「くっ!このっ……!」
押され続けたことで焦れた篠ノ之が大きく振りかぶる。
「颯太!」
「おう!」
篠ノ之の一撃を受け止めた一夏。その脇から《火ノ輪》を篠ノ之に向けて射出する。この距離なら外さない。が――
「「!?」」
確実に当ったと思った《火ノ輪》は虚しくなにもない空間を通る。
「邪魔だ」
入れ替わるように急接近してくるボーデヴィッヒ。どうやらボーデヴィッヒのワイヤーブレードが篠ノ之の足に巻き付き、アリーナの脇まで投げ飛ばされていた。
「なっ、何をする!」
ボーデヴィッヒの行動は仲間を思っての行動というより、本当に邪魔だったからなのだろう。床に叩きつけられた篠ノ之が不満そうに怒声を発する。
『一夏っ!こいつらやっぱり!』
『ああ!やっぱり作戦通りで行こう!』
プライベートチャネルで呼びかけ合い、俺たちは同時に動く。一夏は急接近するボーデヴィッヒへ。俺はアリーナの脇に飛ばされた篠ノ之へ。
「悪いがお前の相手は俺だ!」
「くっ!」
立ち上がったところを斬りかかってきた俺に悔しげな声を発しながら転がるように俺から距離を空ける。
「まだまだっ!」
篠ノ之がブレードを構え直す前に《火ノ輪》を射出する。
「このっ!」
一瞬早く握り直したブレードで《火ノ輪》を弾く。
俺たちの作戦、それは簡単なもので相手の戦力を削ぐことが目的だ。例え連携が取れていなくても相手は少ない方がいい。恐らくボーデヴィッヒは篠ノ之のことを戦力としてカウントしていないだろう。それでも一対二と二対二ではやはり違う。ボーデヴィッヒが初めから一人で戦うつもりだったとしてもだ。
「やあぁぁぁ!!」
「はあぁぁぁ!!」
お互いに叫びながら近接ブレードで鍔迫り合いで斬り合う。が、俺と篠ノ之で決定的に違うものがある。
「はあぁぁぁ!!」
俺の左側から斬り上げるような篠ノ之の一閃が飛んでくる。俺の《火人》は間に合わない速度だ。でも――
ガギンッ!
その鋭い一閃を俺は左肩の《火打羽》で防ぐ。と同時に《火神鳴》で逆に篠ノ之へ向けて殴る。
「っ!」
「だりゃっ!」
《火神鳴》を受け吹き飛ぶ篠ノ之。それによって篠ノ之のシールドエネルギーが減る。
そこで一瞬一夏の方に視線を向ける。一夏の方も苦戦しているようだ。
「これはこっちの決着は速くつけないとな」
《火人》を握り直し、篠ノ之に向き直る。
「行くぞ、篠ノ之!」
「来い、井口!」
言葉と同時に互いに動き、斬り合う。ブレードとブレード、ブレードと《火打羽》がぶつかり甲高い音が何度も上がる。《火打羽》がある分俺の《火人》が、《火神鳴》が篠ノ之にダメージを与えていく。
「くっ!このっ!」
焦った篠ノ之は大きく振りかぶる。
――ここだ!
振り下ろされたブレードを両肩の《火打羽》防いで勢いを殺し、二枚の《火打羽》を開くと同時に《火人》で篠ノ之のブレードを斬り上げる。
「っ!」
振り下ろしたまま手も上がった篠ノ之のボディはがら空きだった。
「はあぁぁぁ!!」
気合いの咆哮とともに背中の《火神鳴》を両方篠ノ之に向け、さらに両肩の二つの砲門も篠ノ之に向ける。
「オープンファイヤー!!!!」
ズドドドドン!!!!
「ぐあっ!」
超至近距離から《火神鳴》の荷電粒子砲を受け、篠ノ之が吹き飛ぶ。
「くっ!」
立ち上がろうとする篠ノ之だったが、今の攻撃でシールドエネルギーが切れたらしく、立ち上がれずに片膝をつく。
「よっし!」
喜びの声をあげた俺の視界の横に、ふと見慣れない数字が目に入る。
(これは……なんだ?23/100?いや、ゆっくりだけど少しづつ数字が上昇してる。こんなの今まで見たことなかったのに……なんだこれ)
そこまで考えたところで無理矢理思考を切り替え、視線を一夏たちに向ける。
そこにはAICに動きを封じられた一夏と一夏へ向けて大型カノンを向けるボーデヴィッヒが見えた。
(今はそんなこと考えてる場合じゃない!)
両手の《火ノ輪》をすぐさま回転させ、構える。
「このっ!!」
ボーデヴィッヒへ向けて《火ノ輪》を射出、と同時に加速し二人のもとへ。
「ちっ……!」
AICから一夏を解放し、《火ノ輪》を避けるボーデヴィッヒ。《火ノ輪》を避けたことで一夏と少し距離が開く。
「はあぁぁぁ!!」
大きく振りかぶった右のアームでボーデヴィッヒに殴りかかる。
「くっ!」
既のところで避けたボーデヴィッヒにさらに追い打ちで左のアームで殴りかかる。
「甘いな」
あと数十センチで当たると言うところで、まるで透明な手に掴まれたようにアームが動かなくなる。
「腕の数が倍でも、何の意味も持たんな」
ニヤリと冷たい笑みを浮かべながら俺に大型カノンの砲門を向ける。
「ならもっと増やすまでだ!」
俺の言葉と同時に右のアームがバカッと開き、一本だった右のアームが四つに分裂する。
「何っ!?」
その光景にボーデヴィッヒが驚愕する。
「おらぁっ!」
四本のうち二本で大型カノンの向きを変え、残りの二本でボーデヴィッヒを殴る。
「くっ!」
俺のアームに殴られながらAICを解除し、俺から距離を置く。
「悪い。助かった」
「どういたしまして」
「箒は?」
「向こうでダウンしてるよ」
左手で親指を立てて指す。
「ここからは作戦第二段階だな」
「おうっ!」
俺の言葉に一夏は≪雪片弐型≫を握り直し、俺は左側のアームも分裂させる。
「しかし、聞いてはいたけど、実際見るとすごいな」
一夏が俺の背中に視線を向けて言う。
もともと俺の腕の四倍はありそうな太さだったアームが二本とも四分割し、結果俺の元々の二本の腕と同じ太さの腕が八本増え、計十本の腕となる。増えた八本は長さはそのままなので俺の元々の腕のリーチの倍はある。
「全部自由自在か?」
「全部自由自在だぜ」
一夏の問いに頷きながらアームを八本とも違う動きをさせる。
「二本の時よりパワーは落ちるが、一本一本の動きはより一層スムーズに動かせる。多分こっちの方がボーデヴィッヒ向きだ」
「なるほどな」
雑談はしつつも俺たちの集中はボーデヴィッヒから途切れることはない。
ボーデヴィッヒも俺たちをじっと睨んでいる。
「そのアーム。分裂するとはな。少し驚かされた」
「お前に対策を立てられないように隠してたからな」
ボーデヴィッヒを睨み返しながら答える。
「お前のAICにはこれはちょっと面倒だろ?」
「…………」
俺の言葉に、ボーデヴィッヒは無言で、しかし視線はさらに鋭くなる。
「さて、篠ノ之は俺が倒したし」
「ここからは第二ラウンドだな」
一夏は言葉とともに零落白夜を発動させ、ボーデヴィッヒへと直進する。
「触れれば一撃でシールドエネルギーを消し去ると聞いているが……それなら当たらなければいい」
突進してくる一夏に向けてボーデヴィッヒほAICを発動させるが、右へ左へと避け、一向に捕まらない。また、要所要所で《火ノ輪》や両肩の砲撃でボーデヴィッヒの集中を一夏だけに向けさせない。それだけでなく、隙を見て俺も近接で攻撃を仕掛け、俺に意識が向くと一夏が攻撃を仕掛ける。これを繰り返す。
「このっ!ちょこまかとっ!」
苛立ちまじりに吠えるボーデヴィッヒ。
「そこっ!」
ボーデヴィッヒに向かって八本のうち二本で殴りかかる。
「甘い!」
言葉とともに俺の体が不可視の手によって拘束される。アームも八本とも動かない。
「どうだっ!腕が何本になろうが私の敵ではない」
「確かにすげえ。でも、俺本体に加えてアーム八本も動きを止めさせるなんて相当集中力がいるはずだ。それに、――俺たちは二人組だぞ?」
俺の言葉と共に俺を飛び越えて一夏がボーデヴィッヒに斬りかかる。
「くっ!」
俺へのAICを解き、すぐさま離脱。一夏の攻撃はあと数センチというところでボーデヴィッヒにはかすりもしなかった。
「悪い。外した」
「大丈夫。惜しかった。この調子で行くぞ」
「おう!」
俺の言葉に一夏が再度《雪片弐型》を構え直す。が――
キュゥゥゥン………。
そんな音とともに一夏の《雪片弐型》がもとのサイズに戻る。
「なっ!?ここにきてエネルギー切れかよ!」
「おいっ、ウソだろ!?このタイミングでっ!?」
なんというバッドタイミングだ。ボーデヴィッヒに勝つには一撃必殺が望ましかったってのに。
「残念だったな」
言葉とともに両手にプラズマ手刀を展開したボーデヴィッヒが一夏の懐に飛び込む。
「限界までシールドエネルギーを消耗してはもう戦えまい!後一撃でも入れば私の勝ちだ!」
おそらくボーデヴィッヒの言葉は真実だ。このままだと一夏は一発でも受ければアウトだろう。そうなったら非常にまずい。俺一人でボーデヴィッヒの相手は非常にまずい。
「させるかっ!」
「邪魔だっ!」
援護に入ろうとした俺だったが、ボーデヴィッヒのワイヤーブレードを使って牽制され、それをなんとか回避しつつなんとか接近する。
「こんのっ!!」
「無駄だ!!」
接近し、《火人》で斬りつけようとするも、ボーデヴィッヒの方が一瞬早く、回し蹴りが飛んできて俺は数メートルほど弾き飛ばされる。
「颯太!」
「次は貴様だ!堕ちろっ!」
蹴り飛ばされた俺に意識がいったせいでボーデヴィッヒのプラズマ手刀が一夏を確実にとらえる。
「ぐあっ……!」
ダメージを受けた一夏は力が抜けたように床へと落ちる。
「は……ははっ! 私の勝ちだ!」
高らかな勝利宣言とともにとどめを刺そうとするボーデヴィッヒ。が、その瞬間彼女の意識から俺は消え失せる。
「まだだっ!」
俺はすぐさま姿勢を直し、分解されていたアームを元の太い二本に戻す。
「こんのっ!!!」
走り出すと同時に後ろに向けて《火神鳴》の荷電粒子砲を後ろに向けて発射。と、同時に背中のスラスター翼にそのエネルギーを吸収させ、推力へと変換する。今までに感じたことのないGを感じながら、これまでで最速の瞬時加速でボーデヴィッヒに迫る。
「っ!!」
ボーデヴィッヒが反応するが、もうすでに遅い。俺は《火人》を構えて急接近する。
「はあぁぁぁ!!!!!」
雄叫びと共に横薙ぎの一閃をボーデヴィッヒに向けて放つ刹那、俺は《火人》を空中に置くように手を放す。俺の手から離れてあらぬ方向へ飛んでいく《火人》。
「っ!!?」
俺の行動の意味の分からないボーデヴィッヒは驚愕の表情を浮かべる。
困惑の表情のボーデヴィッヒに向かって俺はボーデヴィッヒの目の前に真っ直ぐ右手を突き出した状態で最接近し、
「これは一夏の分!!」
パァン!!!
遅れてやって来た左手を右手に少しずらして叩きつけた。
「!!!!」
ボーデヴィッヒがその瞬間一瞬怯む。その隙を見逃さず、俺は右手の甲で高速回転する《火ノ輪》を右手ごとがら空きの腹に叩き込む。
「これはセシリアの分!!」
「ぐはっ!!」
さらに右手を引くと同時に左手の甲で高速回転する《火ノ輪》を左手ごと腹に叩き込む。
「これは鈴の分!!」
「ぐううっ!!」
さらにさらに、俺は《火神鳴》を八本に分解し、それぞれの腕で殴って行く。
「これもセシリア!!これも鈴!!セシリア!!鈴!!これもこれこもこれもこれもこれも!!!」
徐々に徐々に連打の勢いを増す。
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ――!!」
両手と八本のアームすべてを全身全霊で叩きこむ。俺の連打の勢いでボーデヴィッヒの体が持ち上がる。
「アリーヴェデルチ!!!」
最後に一発一番の力を込めた一撃を叩きこむ。
「ぐはぁっ!!」
アリーナの端の壁まで吹き飛ぶボーデヴィッヒ。
さらに追撃として《火ノ輪》を両方放つ。
「おらぁっ!!」
ボーデヴィッヒに被弾したのを確認すると同時に再接続させた《火神鳴》をボーデヴィッヒに向ける。
「これで、どうだぁぁぁ!!!!」
四つの砲門から最大出力で発射する。四つの閃光がボーデヴィッヒへ向かって行く。
ズドドドドン!!!
《火神鳴》の荷電粒子砲が被弾するとともに爆発が起こる。爆発によって舞い上がった土煙でアリーナの一画が隠れる。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
いっきに疲労が来て、肩で大きく息をしながら両手の甲に《火ノ輪》を戻す。
「や、やったった……」
ふと、視線を横にやると先ほどの謎の数値。数字は90/100。先ほどよりも大幅に増えていた。いったい何なんだろうかこれは。
「颯太……お前……」
ぼんやりと謎の数値を見ていると、一夏がやって来た。
「何?」
「……お前、もう何でもありだな」
「なんだよそれ?俺のどこが――」
一夏の言葉に首を傾げた俺だったが、そこから先の言葉は
「ああああああっ!!!!」
突如アリーナに響いた声によって遮られた。
そこにいたのは、土煙を晴らし、シュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃を放ちながら雄たけびを上げるラウラ・ボーデヴィッヒの姿だった。
あー、久々の投稿がバトルシーンからって言うのは、なんとも疲れました。
ない文才絞って書き上げました。
しかしあれですね。
ネタ入れすぎましたね。
もう颯太君何でもありですね。
って、作者僕なんで僕のさじ加減ですけどね。