IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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ごめんなさい。
一話で終わらせるつもりだったのにネタ入れまくったら長くなりました。
二話に分けます。


お気に入り件数800&ランキング6位記念番外編① ゲームスタート

 グラァァァァ!!

 

 俺たちの目の前で地を這う黒い一匹の大型龍、ジンレイウスが雄叫びを上げる。

 

「よし!弱ってきた!後は弱点のしっぽ切り落としてとどめと行こうか!」

 

「「おお!!」」

 

 俺の言葉に俺の仲間二人も返事をしながらそれぞれの武器を構える。

 

「行くよっ!」

 

 そう言いながらブロンドに黒のテンガロンハットをかぶった女性、シャーリーが手に持った大型の弓を空へと向ける。

 

「くらえっ!」

 

 言葉とともに引き絞られた弓が放たれ、数十本の矢が上空からジンレイウスへと降り注ぐ。

 

 グギャァァァァ!

 

 苦しげな雄叫びとともにジンレイウスのヘイトがシャーリーへと向く。

 

「今だっ、かんちゃん!」

 

「任せて!」

 

 シャーリーの言葉に返事したのは紺のローブに紺のとんがり帽子をかぶった眼鏡の女性、かんちゃん。

 かんちゃんはジンレイウスの背後に陣取り、手に握った杖を構える。

 

「ギガブレイザード!」

 

 かんちゃんの詠唱により杖の先が光る。その光はすぐさま大きくなり巨大な氷の塊となる。

 

「行きます!」

 

 言葉とともにかんちゃんが杖を振ると、それに呼応するように氷の塊がジンレイウスの尾へと向かう。

 

 グギャァァァァ!!!

 

 今までにないほどの雄叫びとともにジンレイウスの尾が吹き飛ぶ。

 

「よしっ!切り落とした!」

 

「今だよ、ハヤテ!」

 

「おう!」

 

 ふたりの言葉に頷きながら俺は手に握った真紅な長槍、ゲイ・ボルグを構える。

 

「これでとどめだ!」

 

 俺は現在のジンレイウスから十分距離のある位置から持てる俊敏性の最大限を発揮してジンレイウスへと向かって駆けて行き、目の前で大きく跳躍する。

 

「くらえ!!」

 

 俺は言葉とともにゲイ・ボルグをジンレイウスに向けて投擲。ゲイ・ボルグはまるで血のような真紅の輝きとともに一直線にジンレイウスの背中へと飛んでいき、そのままジンレイウスの背中を貫通し、その下の地面に突き刺さる。

 

 グギャァァァァァァァァ!!!!

 

 これまでで一番大きな雄叫びを上げ、ジンレイウスは地面に倒れ伏す。その衝撃に地面が揺れた。

 

「……やった。ランク5の黒龍ジンレイウスを三人で……」

 

「「「や、やった~~~~~~!!」」」

 

 俺たち三人は声を合わせてその場で大きくガッツポーズした。と――

 

『お前たち……いったい何をそんなに喜んでいるのだ?』

 

 そんな俺たちの喜びに水を差す声が聞こえた。

 

「「「へ?」」」

 

 

 

 ○

 

 

 

「お前たち……いったい何をそんなに喜んでいるのだ?」

 

「「「へ?」」」

 

 俺たち三人はそろって首を傾げながらパソコンの画面から顔を上げる。

 そこには不思議そうな顔で俺たちを見る五人の人物たちがいた。

 一夏、篠ノ之、セシリア、鈴、ボーデヴィッヒである。

 先ほどの言葉は先頭にいる篠ノ之のものらしい。

 

「お前ら何してんだ?ここ俺の部屋だぞ?」

 

 ついさっきまでいなかったはずの珍客五人の存在に俺は首を傾げるばかりだ。

 

「お前たちこそ何をやっているのだ?そんなに興奮した様子でパソコンの画面を食い入るように見て」

 

「何って……ゲーム……」

 

 篠ノ之の質問にかんちゃんこと簪が答える。

 

「三人でパソコンのオンラインゲームで遊んでたんだよ」

 

 と、シャーリーことシャルロットも答える。

 

「それで?お前ら五人はそんな大所帯で何してんだ?」

 

「俺らはあれだよ。休日に寮にいてもヒマだからみんなで何かしようってことで」

 

「どうせならアンタたち三人も誘おうと思って呼びに来たのよ」

 

「でも、簪さんもシャルロットさんも部屋を訪ねてもいなかったので最後に颯太さんを訪ねてみたら、部屋にいるはずなのに返答がなくて」

 

「おかしいと思って試しにドアノブを握ったら開いていたので入ってみたら、こちらに気付いた様子もなく何やらやっているお前たちがいたというわけだ」

 

「なるほどなるほど」

 

 まるでリレーのように行われた説明に納得しつつ俺は頷く。

 

「それとついでに、颯太さん。これ、お返ししますわ」

 

「ん?」

 

 と、セシリアが何かを差し出してきたのでそれを受け取る。

 

「お借りしていたDVDBOXですわ」

 

「あ~、はいはい、あれね。どうだった?面白かったか?」

 

「ええ!とても!」

 

 セシリアは興奮したように、そしてとても楽しそうに頷く。

 

「祖国へ復讐するために、そして妹を守るために大国へと反逆の狼煙を上げる主人公。その姿は他の作品とは逆、悪役側のアンチヒーローであり、その敵役となるのは『正しい力でもって中から国を変えたい』と模索する主人公の親友。お互いの思いのぶつかり合いが単純な正義と悪の話ではなくて、しかも、ロボットものでありながら政治的であり、かつ学園モノの要素も含んでおりとても楽しめましたわ!」

 

「おお!語るね~」

 

 セシリアにオタク教育を施してはや2ヶ月以上。まさかここまで染まるとは、正直颯太さんビックリですよ。

 

「また何か貸してくださいね」

 

「おう。考えておくよ」

 

 セシリアに頷きつつ、俺は他の四人にも視線を向ける。

 

「それで?ヒマって言うけどこの八人で何するんだ?」

 

「そういや、その辺何も考えてなかったな」

 

「うむ。全員で考えようということになっていたからな」

 

「あらら。それじゃあ今のところ全員で集まっただけというわけだ」

 

「ん~、まあそういうことだな」

 

 俺の言葉に一夏が苦笑いを浮かべる。

 

「なんかないの?颯太ってそういう大人数でできる娯楽って知ってそうだけど?」

 

「ん~………」

 

 鈴の言葉に俺は考え込みながら本棚に目を向ける。そこには本や漫画の他にDVDやゲームソフトなんかも入っているが――

 

「DVDはたいていアニメのだから好き嫌いによって楽しめないやつも出てくるだろうし……ゲームソフトも俺の持ってるのはたいてい複数プレイのやつも一対一だしな…………ん?」

 

 と、考え込みながら視線を動かしてくと、一か所で俺の視線が止まる。

 それは先ほどまで俺たち三人がやっていたゲームの画面だった。

 

「あっ、そうだ!これがあった!」

 

 

 

 ○

 

 

 

「――というわけで全員準備できたな?」

 

 俺は大きな丸机を囲むように座った七人に視線を向ける。全員が頷く。

 あれから、俺、簪、シャルロットがプレイしていたゲーム、「モンスタークエスト」を全員でプレイしようと提案し、全員が了承。そこから、この大人数で一つの部屋に籠ってパソコンゲームをやるのは狭っ苦しいということで食堂へと移動してきたのだ。

ちなみにこのIS学園、申請さえすれば一人に一台ノートパソコンが支給される。なんて素晴らしい学校だよ。これによって、パソコンを持っていない組な一夏と篠ノ之もゲームをすることができる。

 

「操作方法はさっき説明した通り。まずはこれからこのゲーム初の人はアカウントを作るところから始める。まあ言っても第一段階としては性別とキャラクターネーム入力するだけだから」

 

 俺の言葉に頷き、一夏、篠ノ之、セシリア、鈴、ボーデヴィッヒが頷きながらキーボードを叩く。

 

「できたぞ!」

 

 一番に声をあげたのは篠ノ之だった。

 

「お?一応不備がないか見ておこうか?」

 

「うむ」

 

「どれどれ……は?」

 

 篠ノ之のパソコンの画面を覗き込んだ俺は、唖然とする。

 

「……おい篠ノ之」

 

「ん?なんだ?」

 

「やりなおし」

 

「何っ!?なぜだ!」

 

「当たり前だろ!どこの世界にプレイヤーネームを本名の名字込みでフルネームにするやつがいるだよ!」

 

「だ、ダメなのか!?」

 

「ダメに決まってんだろ!リアル割れするわ!」

 

「じゃあどんな名前にしろと言うのだ!そんなものすぐには思いつかんぞ!」

 

「じゃあ………これでどうだ?」

 

 俺は篠ノ之のパソコンを操作し、ネーム欄の『篠ノ之箒』の文字を消し、『もっぴー』と入力する。

 

「ん~、どこか悪意を感じる気がしないでもないが……面倒だからこれでいい」

 

「そうかい」

 

 篠ノ之が納得したので篠ノ之にパソコンを返す。

 

「――あれ?」

 

 と、今度は途中まで作業していた一夏が首を傾げる。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「プレイヤーネームを入力してたらこんなものが」

 

 見ると画面には『このプレイヤーネームはもう既に使用されています』の文字が。

 

「あ~、このゲーム人気あるから結構プレイしてる人いるんだよ。その中の誰かと被ったんだな」

 

「そっか。どうしようかな」

 

「別のにするか、少し細部を変えると使えたりするぞ。なんて名前にしようとしたんだ?」

 

「ブリュンヒルデ」

 

「………このシスコンが」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いやなんでも。とりあえず他の考えたら?」

 

「おう。そうするわ」

 

 

 

 

 とかとか、そんな一幕がありつつアカウント作成はつつがなく終了し、全員のキャラネームが決まった。俺やシャルロット、簪も含め、以下のとおりである。

 

 一夏→『ワンサマー』

 篠ノ之→『もっぴー』

 セシリア→『ティア』

 鈴→『スズネ』

 ラウラ→『くろうさぎ』

 シャルロット→『シャーリー』

 簪→『かんちゃん』

 俺(颯太)→『ハヤテ』

 

 と、いうことになった。

 これでまずはアカウントは出来上がった。次はジョブの決定だ。

 このゲームの面白いところはジョブを決めるのにプレイヤーに五十の選択問題を出し、その結果からその人物に一番合った下位職を決定する。

下位職は全部で五つ。『戦士』『格闘家』『僧侶』『魔法使い』『盗賊』の五つだ。この初期職業から転職するにはそれぞれの職を育て、初期職業の上位職が解放されると他の下位職に転職できるようになる。

また、下位職には後で解放される六つ目がある。性別職だ。育てられるスキルには筋力、俊敏性、各種武器スキル、職業スキルの他に男性プレイヤーには勇気スキル、女性には魅力スキルが存在する。それらのスキルを育てることで男性は『遊び人』、女性は『踊り子』の職が解放される。また、これらの性別職は上位職がない職業だ。

さらに、下位職六つとそこから解放されたそれぞれの上位職五つを完璧に育て上げると最高職が解放されるが、これは後々説明するということで打ち切った。

そんな説明をしつつ五人は質問選択を終わらせる。

最初のジョブが決まった。俺たち三人のジョブも合わせると

 

 一夏→『戦士』

 篠ノ之→『戦士』

 セシリア→『魔法使い』

 鈴→『格闘家』

 ボーデヴィッヒ→『盗賊』

 シャルロット→『僧侶』の上位職『ハンター』

 簪→『魔法使い』の上位職『賢者』

 俺(颯太)→『僧侶』の上位職『ランサー』

 

 と、なった。

 その後はキャラクターメイクで自分のキャラの顔を設定する。

 体系は先の五十の質問とジョブによってランダムに変わる。体系の結果で言えばみな現実の自分の似たような体形になっていた。ひんぬーになった鈴が少し不満げだったが、女子はまだいい方だと思う。男の格闘家なんてガチムチの筋肉ダルマにしかならんのに。

 キャラクターメイクもつつがなく済む。結果顔もなんだかんだ全員リアルの顔にそっくりなキャラになった。

 

 

 ○

 

 

 

「全員準備できたな」

 

 俺が見渡すと全員が頷く。

 

「それじゃあ――ゲームスタートだ!」

 

 

 

 ○

 

 

 そこは誰もがファンタジー世界の人の住む町と言われて思い浮かべるような風景だった。

 煉瓦の建物や灰色の石畳。町の中央には大きな某夢の国にあるような真っ白な大きな城。

 その町の一画、白い建物から五人の人物が出てくるのを俺たち三人は待ち構えていた。

 

「よお、お待たせ」

 

 先頭の片手剣を背負った戦士の男性プレイヤー、ワンサマーが言う。

 

「それじゃあ、さっそく行くか。まずは装備を整えるのとレベルアップ、このゲームのことを知ることも兼ねてこの町の周辺を探索するか。ここは始まりの街だからその周辺はそこまで高レベルのモンスターも出ないし」

 

「おう、任せるぜ」

 

 一夏が言い、他の四人も頷く。

 

「じゃあ、行くか!」

 

『お~!!』

 

 

 

 ○

 

 

 

「そっち行ったぞ!もっぴー!くろうさぎ!」

 

「おお!」

 

「任せろ!」

 

 俺の言葉にもっぴーとくろうさぎが返事をしながらイノシシのようなモンスターに接近する。そのままもっぴーが構えた刀で一閃を加え、くろうさぎが短剣で突き刺し、上へと斬り上げる。

 

「今だ、ティア!」

 

「お任せを!」

 

 俺の言葉にティアが杖を構える。

 

「行きますわ!『ファイヤーアチャー』!」

 

 ティアの言葉とともに杖の先に魔法陣が発生。炎が放出され、イノシシを焼く。

 

 ピギィィィィィ!

 

 イノシシは断末魔の雄叫びを上げ、倒れる。

 

「よし、うまくいったな!」

 

「うむ。なかなかだったな」

 

「楽勝ですわね」

 

 三人は嬉しげに笑う。ちなみにゲーム中は気分を出すためにプレイヤーネームで呼び合うことになっている。と――

 

 テテーテッテッテー♪

 

 レベルアップを知らせる軽快な音楽が響く。

 

「あら?私レベルアップしましたわ」

 

 レベルアップしたのはティアだった。ゲームが始まってまだ一時間ほどだが順調に皆レベルアップしていく。

 

「レベルアップのスキルポイントは何に?」

 

「ん~、魔法を中心に俊敏性と魅力ですわ」

 

 そう言いながらティアが操作する。

 

テレレレッ♪

 

『ティアの〝魔法スキル〟が一定値を超えました。新魔法、「コールドツメチャー」を覚えた』

 

「新しい魔法を覚えましたわ!」

 

「おお!おめでとう!」

 

「うむ。よかったな」

 

 このように俺たちは初心者組に付き添って経験値稼ぎや装備新調のためのお金を稼いでいる。大人数でやると効率が悪いので4:4に分かれてパーティーを組んでやっている。ワンサマーとスズネにはシャーリーとかんちゃんが着いている。

 

「そろそろお金も大分溜まっただろうし町に戻るか」

 

「そうだな」

 

「そろそろ装備も新調したいと思っていたところだ」

 

「他の皆さんとも合流しましょうか」

 

「そうすっか」

 

 と、いう訳で俺たちは他四人と合流すべく移動を開始した。リアルでは顔を合わせてゲームしているのでメッセージを飛ばす手間もないのですぐに意思疎通ができる。

 移動中に二匹のイノシシと遭遇したが俺が手を出さなくても三人で倒してしまった。それによりくろうさぎもレベルアップする。

 

「おいっす、調子はどうだ?」

 

「あ、ハヤテ」

 

 他四人に合流すると、ワンサマーとスズネのみがイノシシと戦い、シャーリーとかんちゃんがそれを見守っていた。

 

「うまくやってるよ。ふたりとも近接だから危なくなったら二人とも遠距離な僕たちが支援してるしね」

 

 と、シャーリーが言ったところで二人がイノシシを倒す。

 

 テテーテッテッテー♪

 

 それによりレベルアップしたようだ。

 

「お!レベルアップだ!」

 

「あたしも!」

 

 どうやらふたり同時だったようだ。

 

「ようワンサマー、スズネ」

「おう、ハヤテ」

 

「調子はどうだ?」

 

「順調、順調♪」

 

 俺の言葉にスズネが嬉しそうに言う。

 

「今のレベルアップボーナスのスキルポイント振り分けたらどうだ?」

 

「おう」

 

「そうするわ」

 

 と、ふたりが操作していく。

 

テレレレッ♪

 

『ワンサマーの〝片手剣スキル〟が一定値を超えました。ワンサマーは「イグナイトパリング」を覚えた』

 

「おっ!なんかかっこいい!」

 

『しかしMPが足りない!』

 

「はっ!?えっ!?どういうこと!?」

 

 表示された文字に一夏が驚愕する。

 

「あ~、たぶんあれだ。レベルアップのMP上昇具合とお前の片手剣スキルの育て具合があってなかったんだな。速く育てすぎるとそうなるんだよ。俺も槍スキル上げる時に何にも考えずにやってそうなった」

 

「アハハハ~、バカね~。バランスが大事なのよこういうのは」

 

 ワンサマーを笑いながらスズネが操作する。

 

 テレレレッ♪

 

『スズネの〝魅力〟スキルが一定値を超えました。スズネは魅力技「ぱふぱふ」を覚えた』

 

「おお!」

 

『だがバストが足りない!』

 

「やかましいわっ!好きでこの体型じゃないわ!」

 

 スズネの悲痛な叫びが響くのであった。

 

 

 ○

 

 

 そんなこともありつつ、俺たちは始まりの街に戻ることにした。のだが――

 

「死ねや、ハヤテ!!!」

 

 突然の乱入者が俺を襲う。

 

「なっ!お前は!!」

 

 赤いコートに白髪の男性プレイヤーの二本の剣を咄嗟にゲイ・ボルグで受け止める。

 

「よく受け止めたな」

 

 俺から距離を離しながらその男性プレイヤーが言う。

 

「おい、久々に会ったってのに随分な挨拶じゃないか――ラブライバー」

 

 と、俺はその男性プレイヤー、ラブライバーにゲイ・ボルグを構えながら言う。

 

「ハヤテ、この人知ってるの?」

 

「ああ」

 

 シャーリーの言葉に俺は頷く。

 

「こいつの名はラブライバー。ジョブは『アーチャー』だ。俺のリアルでの知り合いだ」

 

 そう言いながらも俺はラブライバーこと中学時代の親友の一人、山本卓也から警戒を外さない。

 

「で?いきなり何の用だ?」

 

「何の用……だと?とぼけるな!てめえ、前までは俺たち四人で『非モテ男子パーティー』組んでたってのに…それなのに…今のお前は何だ!女性プレイヤー六人もはべらせやがって!あれか!新しい学校の知り合いか!?全員揃ってキャラと同じでリアルも美人揃いかちきしょうめぇ!!!」

 

 なんかすごくしょうもないことでキレらていた。

 

「ここで潰してやるよ、槍使いが!!」

 

「いい度胸だ、やってやるよ!こいや、弓兵風情が!」

 

 そこから死闘が始まった。

 ラブライバーの双剣をゲイ・ボルグで防ぎ、ゲイ・ボルグの攻撃をやつの双剣が防ぐ。一進一退の攻防戦である。

 

「てめえふざけんなよ!俺たちと同じ非モテ同盟のくせにネト充しやがって!どうせリアルも充実してんだろ!」

 

「してねえよ!してたら休日にゲームやってねえわ!お前こそ何カッコつけて『アーチャー』のくせに剣使ってんだよ!」

 

「うるせえ!お前と違ってこちとらネットもリアルも充実してねえんだよ!ゲーム内くらいカッコつけさせろ!出会いをよこせ!だから――!!」

 

 と、なぜかラブライバーは俺から距離を置き、シャーリーたちの方へと突進していく。

 

「お、お前何を!?」

 

「うおおおおおお――!!」

 

 俺の言葉も聞かず、ラブライバーは突進し、

 

「うおぉぉぉぉぉぉ友達からでもいいのでお願いします!!!!!」

 

 スライディングからの華麗な土下座を決めていた。

 ちなみに『土下座』は立派なプレイヤースキルである。男性の性別スキル、〝勇気〟をスキル上げしていくと覚えることができる。なぜそんな技があるのか、という質問に対して運営側は、『土下座をする勇気』と答えていたのを何かの雑誌で読んだ。

 

『……………』

 

 その場の全員何も言えずポカンとして、結果的にはその場の全員とフレンド登録をしたラブライバーはスキップをしながら去って行った。それでいいのか、卓也よ。




すいません長くて。
しかもなんだかよくわからない話で。
実はあれなんです。
若干スランプです。
こうやって気分転換にちょっと趣向を変えてみたくなったんです。
ちゃんとしたオチは考えてるんですが、何分ネタを込めすぎたんで長くなってしまいました。
書いてたら筆がのってしまって……。
予告では一話で終わるって言ってたのにすみません。
続きは明日……もう今日ですね。今日中にアップします。

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