今回は過去の話となります。最初の方は過去話を詰めながらやっていこうと思います。
前回感想を書いてくださった皆さん。この場を借りてお礼申し上げます、ありがとうございます
さて、長くなってしまいましたが第1話です!
朝日が差し込む部屋の中、阿櫻夕時は目を覚ます。長野の朝は寒い、と思っていたのだが家の中では大してそう思うこともなくまた、季節が春ということもあり身震えは起きなかった。
ベットから起き上がった俺は一度欠伸をして部屋から出る。目指すはキッチン。この家に置いて朝の家事は自分の仕事だ。
エプロンを着けて台に登れば実に慣れた手つきで料理を開始する。
しばらくすると階段を降りる音が聞こえてくる。
「おはよう父さん。朝飯もう少しで出来るから」
「あぁおはよう。毎日悪いな」
「まぁ父さんは料理出来ないしね。母さんは朝弱いし」
まだ寝てるであろう母親のことを思い出す。起きたら起きたで騒がしいので起こすのは朝食の準備が出来たらでいいだろう。
新聞を持ち席に着く父さんにコーヒーをだす。見慣れた朝の風景だ。
と、そこへ普段ならばありえない存在が顔を出した。
「夕ちゃんおっはよー‼︎」
「うぉっ!?母さん?なんでこんな早く!?」
「だってぇ〜今日は夕ちゃん長野の小学校初の登校日でしょ〜。お母さんが送ってあげなきゃ!」
「いいよ。ちゃんと道覚えたし。それに恥ずかしいし」
恥ずかしという言葉を聞いて泣き崩れる母さん。はぁ、どうしてこうも毎日オーバーリアクションなんだろうかこの母は…
「ううぅっ、お父さん夕ちゃんが反抗期だよぉ〜」
「はいはい。夕時もそれだけ成長したってことさ。泣かない泣かない」
よしよしと頭を撫でて母さんを落ち着かせる父さん。俺は父さんが将来ストレスで禿げないか心配だよ…
そうしているうちに料理も出来上がる。さて、それじゃちゃっちゃと食べて準備しますか。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
うちの家族は転勤が多い。それは母さんの仕事によるものであるが俺たちはそれに対して不満は無い。
確かに友達と離れるのは寂しいが別に永遠の別れじゃない。いつかまた会えることを信じて旅立っていくだけだ。
しかし、転勤が多いと別の問題も発生する。
「今日は転校生を紹介する」
そう転校生というレッテルだ。転校生という言葉には魔法の力がある。その言葉だけで気になるし期待される。はぁ、正直言ってこれだけはあまり慣れないや。
「入ってこい」
先生の言葉にドアを開け歩を進める。教室内はシーンと静まり返っていて居心地が悪い。
「えーと、阿櫻夕時です。よろしくお願いします」
ぺこりと挨拶。周りはソワソワと浮き足立つ。小学6年のこの時期に転校してきたこともあり生徒の目は好奇心であふれていた。んー、この期待されてる感が慣れないんだよな。
「よし、それじゃ席は……宮永の隣が空いてるな。あの一番後ろの右端だ」
そう言われその場に行く。歩くだけで視線が寄ってくるのがなんとも言えない。とりあえず席に着く、横の彼女が宮永さんか…第一印象は大事だし、ここは挨拶しておこう。
「よろしく宮永さん。俺は夕時っていうんだ。分からないことがあるかもしれないけど教えてくれると嬉しいな」
にこやかに話しかけるが、宮永さんはビクッと身体を震わせるだけで何もしゃべらなかった…あれ?失敗したかな?もしかして嫌われた?
その後もちょこちょこ宮永さんに話しかけては見たものの成果はなくことごとく無視された。
そうして、登校初日のHRをとなりの子へのアプローチで使い果たした俺なのだが…
(あれ?教科書が無い)
現在チョットしたピンチに陥っていた。
あらかじめ配られていた教科書がカバンの中に入ってないことに気づく。しまった、家に忘れてきたか。
転校初日から教科書を忘れるというのは辛い。しょうがないで終わるかもしれないが、そういった印象が固定されてしまうのは今後の学園生活に関わる。
一人ウンウンと頭を悩ませているとチョンチョンと肩を叩かれる。片方は壁だし叩いたのは宮永さんか。
宮永さんの方を見ればまたもやビクッと身体を震わせたが、今度は小声で話しかけてくれた。
「教科書…無いの?」
初めて声を聞いた。今までその声を聞くため頑張った所為なのか、彼女の声はとても可愛らしく、そして美しく聞こえた。
しかし、何時までも聞き惚れていてはいけない。せっかく彼女が話しかけてくれたんだ。なんとか話を転がす。
「ア、アハハ…家に忘れてきちゃって」
「……見る?」
まさかの申し出に目を丸くする。
「いいの?」
「うん。大丈夫」
そう言って机を近づけてくれる。なんといい子なんだろうか。その場はなんとか彼女に教科書を見せてもらうことでどうにか乗り越えることができたのだった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
さて、授業が終われは休み時間となる。当然転校生である俺は質問攻めにあっていた。やれ前はどこに居たんだとか、やれ好きなものはなんだとか、質問の内容は十人十色、机の周りはラグビーよろしく囲まれていて人で埋まっている。
「ねぇねぇ!前はどんな所にいたの?」
「野球好きか?」
「頭良いの?」
「あ、あはは…」
ふと、耐えきれなくなって視線を外した廊下の先に、宮永さんが大量のノートを持っているのが見えた。
俺はクラスメイトの質問を無視し宮永さんの元へ歩き出した。
「大丈夫?手伝うよ?」
「…平気。大丈夫」
とは言っても、やはり重そうだ。まったく先生は何を考えているんだ。
俺は山住みになっている教科書を半分無理やりに取った。
「んじゃ今日のお礼ってことで半分持つよ」
「……そういうことなら」
少し卑怯かもしれないけどこう言えば断れなかったようで最終的には折れた。
そうして並んだ歩く。会話はない。俺自身会話は無くてもいい方なので気にしてないが宮永さんの方は口を開いては閉じを繰り返していた。
「……ありがとう。…えっと」
「あぁ、阿櫻夕時だよ。よろしくね」
「私は宮永照。照でいい。よろしく夕」
そうして俺達は職員室へと歩を進めた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「と、まぁこれが俺と照が出会った日の事だな」
話を終えた俺は渋谷の淹れてくれたお茶を飲む。うん美味い、このお茶技術には勝てないんだよなぁ
話を聞いていた連中の反応はというとそれぞれ違ったものだった。
菫は以前にも聞いた話なので苦笑したいた。
亦野と渋谷はそれぞれ目をキラキラと輝かせていた。これはアレだ、人の恋話に対して異様な好奇心を発揮する女子高生のアレだ。
そして最後、今日この虎姫へと入ったルーキー、大星淡というと…うーんと手を組んでなにやら考えてるご様子だった。
「どうかしたか?淡」
「うーん、なんだかさっきの話し方だとまるでテルとユージーが付き合ってるみたいだなと思って…」
その言葉に一同目を合わせる。そーいや言ってなかったな…
「付き合ってるよ?私達」
どう言おうか悩んでたところで照が容赦なく投下していった。コイツこういう事には前と違って羞恥心とか感じなくなってやがる…!
対して恋人宣言をされた淡の方は、カチコチに固まった後、部室内を震わす大絶叫で叫んだ。うぅ、耳がぁ…
「え?!何時から?もしかしてさっきの話の後?」
「ンな訳あるか。俺はそこまでプレイボーイじゃねぇよ」
「いや、阿櫻先輩ならもしかしたら…」
「うん、ありえるかもね…」
「なんか言ったか?亦野さん?渋谷さん?」
「「いえ!なんでもございません!」」
声を合わせる二人。怖がるくらいなら最初から言わなけりゃ良いんだ。
「ったく、とにかく付き合い始めたのは中学の頃だ。小学生の頃は普通に仲のいい友達だったよ」
「あー分かる分かる。小学生の頃の男女ってそんなかんじだよねー」
「分かってくれたなら結構だ」
はぁ、と一息付く。なんで今になってこんな恥ずかしい話を…まぁ、思春期真っ只中の女子高生じゃ仕方ないか。
「そういてば前から聞きたかったんだがお前らが麻雀にハマったきっかけはなんだったんだ?中学の頃には麻雀部にはいっていたんだろ?」
菫が話を変える。ナイスフォロー。
「私はお母さんが切っ掛け…確か夕の切っ掛けも」
「あぁ、母さんだな」
「お母さんってあの強烈な印象の…」
「言うな、頭が痛くなる」
「どうして?いい人なのに」
いい人なのは認める。でも同時に変な人なのだ。お陰で小学生の時なんかは子供らしからぬ感覚の持ち主として周りに色々言われたもんだ。
「それじゃ二人が初めて打ったのっていつ?」
それは…淡に言われ思い出す。
アレは確か俺が転入した夏の日の事だったけ……
主人公の言動がちょこちょこ大人びているのは家庭環境の為です。転勤の多さと強烈な母親を持てばこうもなりますよね。
決して子供の口調が面倒くさいとかそんな理由じゃありません。そんなオカルトありえません。
まぁそれは置いといて次回は麻雀回です。とはいえ麻雀要素少なめなので多分その過程やその後などのストーリーがメインになるかと…決して麻雀の対局を考えるのが面倒くさいとかそういうr(ry
投稿は不定期ですが次回も楽しみにして頂けるとありがたいです!ここまで読んでいただきありがとうございました!