「う〜〜〜‼︎」
白糸台麻雀部。チーム虎姫の部室にて、1人の少女が唸っていた。
彼女の名前は大星淡。先日ここチーム虎姫へと入った新人である。
新人と言っても彼女の実力は相当なもの。既に白糸台では『宮永照の後継者』と言われてる程である。そんな彼女が頭を悩ませている原因、それは……
「か、勝てない…」
「ハーッハッハッ!悪いな淡。また俺の勝ちだ」
はい、俺である。現在、俺たちは虎姫部室の雀卓にて二人で対局している。
理由は簡単、淡が俺に勝ちたいかららしい。
が、結果は見ての通り俺の全勝。世の中そんなに甘くわねぇよ淡さん?
「私の絶対安全圏もダブリーも効かないなんてチート過ぎるよ!」
「だったら効くように腕を上げないとな」
そうやって頭を撫でてやればムスーとしながらもされるがままになる。
最近、どうやら淡は俺達の中でマスコットポジションを確立して来たようで餌付けやスキンシップ、着せ替えなんて扱いを受けていた。まぁ本人が満更じゃない様だがな。
お陰であるお方が「私の分のお菓子が減っちゃう!?」とか何とか言って淡をトバしちまったが、まぁそれはいつか話そう。
「うー、ユージもうやめてぇ…」
「ん?おお悪い悪い。つい考え事してたわ」
「ぶー、もう髪がぐちゃぐちゃー。それにこういう事はテルにしなくちゃダメだよ!」
いや、お前は能力使うたびグチャグチャになるだろうが。
そんな言葉は言っても怒られるので言わない。女の怖さはよく知ってるんだ。
「あれ?テルまだ部活来てないの?」
この場に照はいない。今この場にいるのは、俺、淡、そして少し遠くで牌譜を確認している菫とお茶を飲んでいる渋谷のみだ。照と亦野はいない。
「照はお菓子を買いに行った。なんか今日限定のシュークリームがあるらしくてな。授業が終わった瞬間にはもう居なかった。亦野は…菫ー何か聞いてるか?」
「ん?亦野か。亦野なら今日は家の用事だそうだ。照の方ももうすぐで帰ってくるんじゃないか?アイツ、お菓子の為ならなんでも出来るからな」
「ま、そうだな。一回超高級お菓子を賭けた麻雀対決をした事があったが…アレはヒドかった。他を早々トバして終わったから良かったが、アレが照の親で永遠と続くと考えると…全国どころじゃねぇな」
あの時の照はマジで怖かった。なんつーか、人の威圧ってモンを超えてんじゃね?ってレベルだった。結局俺は隣町までお菓子を買いに出かける羽目になったしな。
ま、そんなチート姫もそろそろ帰ってくるだろ。こういうのは噂が始まりゃ自然と来るよう出来てるからな。
今に扉が開いて ───
ガチャ
ほらな?この後満足そうな照さんがシュークリーム頬張りながら登場するんだろう。俺も一つ貰えっかな?
なーんて、そんな考えをしていた時期が私にもありました。
扉を開け放った照さんは俺たちを見て一言
「おい、麻雀しろよ」
「「「「…………」」」」
やべぇよキャラ変わってんよ。
眉間に青筋、とまでは流石に女の子なのでいかないものも、その表情は一面怒りに彩られ、大魔王プレッシャーを放っている。
いやほんとまじ何があった
「照どうしたんだ?シュークリーム買えなかったのか?」
「……買えた」
その手にはシュークリームの箱が。しかし中身は既になく全て食い尽くしていらっしゃるようだ。
「テ、テル?ほんとにどうしたの?昨日までは妹の入学式の写真見て喜んで「私に妹などいない!!!!」ッ!?!?」
あ、あー、これ向こうで何かあったのか?コイツ、これでかなり負けず嫌いな上に意地っ張りな所があるしな。売り言葉買言葉で喧嘩になるなんて事、割と日常茶飯事だ。
まぁそれでも今回ほどの事は中々無いがな。
「さぁ早く始めよう」
おいもう手ギュルギュルさせてんじゃねぇよ。やる気満々じゃねぇか。風が涼しいわこんちくしょーありがとうございます。
はぁ、とりあえず。こいつを落ち着けるか。
★
ガチャ、バタッ
照さんマジギレ帰宅から30分程経過したころ、俺は密やかに部室から出てきた。照の相手は虎姫とは別の奴にやってもらっている。ま、いい機会だし、理不尽さに慣れていく事も重要だ。決して押し付けたなんて無粋なものじゃ無い。教育的犠せ…指導だ。
さて、未だ悲鳴が聞こえてる内に用件を済ませるか。
ズボンから携帯を取り出し連絡先から相手を選択。そしてコール。相手も放課後だろうし、邪魔じゃねぇだろ。
数回のコール音がなり、繋がる
『もしもし?夕兄ぃ。どうしたんだ?』
「お〜京太郎。とりあえず入学おめでと。咲ちゃんにも言っといてな」
『サンキュ。言っとくよ。それで?本題は?』
「咲ちゃん照になんか言ったろ?アイツ激おこなんだが何した」
そう聞くと京太郎はあー、とバツが悪そうに呟く。
そしてその後、照と咲ちゃんの会話を話し始めた。因みに京太郎は咲ちゃんの横にいて聞いてたらしい。
「お姉ちゃん久しぶり!」
「咲!入学おめでとう。制服凄く似合ってた」
「え、えへへありがとう」
「それで?どうしたの?」
「ううん。今日はそれだけだよ。久しぶりにお姉ちゃんと話したかったから」
「…ごめんね咲。最近部が忙しくて…」
「い、良いんだよ!しょうがないよお姉ちゃんエースだし!あ、それでねお姉ちゃん、私も麻雀部に入ったよ!最初はどうしようか迷ってたんだけど京ちゃんが入ったから」
「そうなんだ、じゃあいつか打ち合うかもね」
「うん。京ちゃんも夕時さんと打ちたい!って言ってるし。私もお姉ちゃんと打ちたい!その時は手加減なしでいくからね!」
「大丈夫。姉より出来る妹など存在しない」
ここまではまだ談笑だったんだ。普段の二人の会話。それこそ普通の姉妹の会話。だが、この後事件は起こる
「もー、私だって色々成長したんだよ。む、胸だって大きくなったし!」
これだ。これには横の京太郎も飲んでいたコーラを吹き出したらしい。
そんでもってこれが地雷投下第一打であった。
「それは無い。咲の胸はそれ以上大きくならない」
「そ、そんな事ないよ!お姉ちゃんなんか全然超えてるんだから!ボンキュッボンのないすばでぇなんだから!」
まぁこちらとしては数日前に咲ちゃん達の入学式の写真を貰ってるしそんなミラクルトンデモ現象になってない事は分かっているのだが、照はその時点で既に我を失っていたようだ。
宮永家の女性陣は、皆おもちが小さい。
そもそも、おもちが遺伝系なものなのかは俺は知らんがあそこの家系は豊かなおもちを持ち合わせているわけではない。まぁ周りが大きいだけだと俺は思うが…
そういった事であそこの家ではおもちの話しは禁句。触れてもいけない事になっている。
つかその地雷原にクラウチングスタートよろしく突っ込んでくってどうよ色々と。
そんなわけで会話は次のように続く。
「ありえない。嶺の上に花が咲いても、私より咲の方が大きくなることなんてない!」
「絶対違うもん!お姉ちゃんは一生ぺったんこだけど私は大きくなるもん!」
「ならない!」
「なる!」
そう何度か言い争いをした後、怒って電話を切ったらしい。なんともまぁ…
男から見ればアレだが彼女達からすれば大事なことなんだろう。しらんけど
『咲の奴その後笑って言ってましたよ。「全国に行けばぶっ飛ばせるよね?」って。あーなった咲は怖いんですから』
「あぁ。照の奴もやる気っぽいな。今丁度30人目のスパーリング。もとい対局を終えた所だ。あーあ、アレは後でフォローがいるな。ったくなんで俺がこんな仕事しなきゃならんのだ」
京太郎はアハハと乾いた同情の笑みを返す。そっちもそっちで中々大変そうだな。清澄麻雀部とやら、南無…
「さて、んじゃとりあえず活動方針を決めよう。互いにこのままだとマズいのは確かだ。コイツら何故か自分から謝るって思考がないしな。なんとかしてご機嫌とって有耶無耶にすっぞ」
『(夕兄ぃも似たようなもんじゃ…)了解です。そっちも頑張ってください』
「おう。そんじゃな。またいつか遊びに行くぜ」
そうして電話を切る。ふー、向こうの方はとりあえずこれで大丈夫か。
それじゃこっちはこっちの仕事をしますか。
『うわぁー!モブRがやられた!』
『おいこれで50人目だぞ!?』
『宮永先輩落ち着いてー!』
『抹殺のラストブリットォォォォォォォオ!!!!』
『『『グァァァァァァア!!!!!!!!!!』』』
………………もう少し経ってから出直すか
次回、何を書くかは未定
p.s照さんはケーキバイキングで復活しました♪
夕時「俺の金ががががががががが」