生暖かい目で見ていただけると幸いです。
イノセンス。AKUMAを
俺は転生者らしい。らしい、というのも、俺にはそんな覚えがないのである。それでもその事実を受け入れているのは、目の前に常識外れの訪問者が来たからである。俺達が信じてやまない"神"と名乗られた時にはもう、その場から逃げたくなったが。彼は、俺に記憶が無いのはおかしいという。神は誰にでも平等たれ。そのせいで普通人に干渉はしない。その制約のせいで、俺をこの世界に送った後の監視が困難であり、何故このようになったか原因が掴めないという。
俺は別に現状を満足している。そう伝えれば、「我が納得いかないんだ!」という理由で、俺の側に憑いている。漢字を間違えたわけじゃない。俺以外に見えていないのだから。
「イノセンス、発動―!!」
するとどうだろう。何も掴めていなかった右手から、一本の剣が出てきた。神聖な光を
「アレンー、こっちは終わったぞー?」
一緒にアクマを倒しているはずの、仲間に声をかける。
「え、もうですか!?…と言いつつも、こちらも終わりましたよ。」
丁度、最後の一体を片付けたみたいだ。
「最近、やけに多いな。あのピエロが本腰を入れたか――?」
その可能性が無きにしもあらず。迷惑すぎる存在に顔を
「ノエルさん…?」
「あ、あぁ。ごめん、先を急ごう。」
俺達は倒し続けなければならない。教団へ帰ろうと、歩き始める。
微かに聞こえる、声を無視して。
時は
「…どういうことですかコムイ室長。」
呼び出しに応じた俺が目にしたのは、喧嘩の現場だった。これを止めろと?あ、そう。
「…イノセンス、発動。」
静かにそう呟いた。研究員がそそくさとその場を離れる。一閃、彼らの間に入れた。丁度掴み合っていたところに入れたので、どちらもすぐさま距離を取った。神田は俺に気付いて青ざめた。白髪の子も、多分俺の顔で青ざめた。
「死にたいのなら続けてどうぞ?」
刃をちらつかせながら、彼らに絶対零度の笑顔を送った。
「「け、結構デス…。」」
閑話休題。
「なるほど。あの"クロス元帥"、ねぇ…。」
事のあらましを聞いた。うん、元々の原因はコムイ室長にあったんだな。だろうと思っていたけど。
「つまり、俺と組んでアクマ退治をしろと。俺に、教育係をしろと。」
「そうなんだよ。神田を付けようとも思ったんだけど……」
「コレ、だとなぁ…。」
あれだけ脅したにも関わらず、二人はいがみ合っている。そりが合わないんだな。それはそれで素晴らしい成長をしてくれそうなんだけれど。
「君って、ホントドSだよね。それだと周りに被害が及ぶから、君に頼みたいんだ。」
ため息まじりに言われた。
「分かりました。でも、基本俺はソロ活動ですよね?…結局神田も来ることになりません?」
因みにこの会話は当人二人には聞かれていない。表へ出たようだ。
「だから、君にはストッパーとしての役の方が大きいかな。」
…胃薬の用意はしておこう。勿論市販のもので。
翌日、コムイ室長に呼び出される。彼らも来ているはずだ。
「失礼しまーす。」
中に入ると、既に話し始めていた。どうやら遅かったらしい。
「話を戻すけど、南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない」
「りょーかい。」
全て言い終える前に、OKサインを出した。エクソシストの仕事はイノセンスの確保、そしてアクマの破壊。つまり、場所さえ分かれば、どうすればいいのかが必然的に分かる。最後まで言わせろという避難の目を受け流し、新人に声をかける。
「そういえばアレン。団服出来てるから、これ。」
「えっと…どうも。」
そういえば、まだ自己紹介をしていない。そのことを思い出した俺はまず、名乗る事にした。
「あぁ、俺はノエル・シーカーだ。ノエルでいい。」
「アレン・ウォーカーです。」
今回の移動手段である船がある地下水路に着くまでの間に、アレンは団服に着替えた。少し大きそうだ。
「これ、着なきゃいけないんですか?」
「エクソシストの証だからな。それ着てるだけでご飯がタダになるくらいのネームバリューはあるぞ、多分」
ま、最後は黒の教団が払うのだが。
「ご飯が…タダに……!!」
目を輝かせながら、団服を見る。…彼はどのような人生を送ったのだろうか。クロス元帥は……考えないでおこう。俺達は船に乗った。コムイ室長が、
「いってらっしゃい。」
そう言って、俺達も
「「いってきます。」」
そう返した。神田は直ぐに寝たみたいだ。