あったかいんだからぁ♪
俺はALOに入ると、すぐにユウキとの待ち合わせ場所へ向かった。24層の大樹の前、俺とユウキが初めて出会った場所であり、デュエルをした場所だ。
到着すると、すでにユウキがいた。俺はユウキの元へ歩み寄る。
「あっ!アイズ!・・・え!?まさか本気で殴るつもりなの!?」
顔がひきつるユウキ。俺はそんなユウキの前まで来ると・・・ユウキを抱きしめた。
「・・・え?」
「・・・会いたかった。ただただユウキに会いたかった。このままユウキと会えなかったらどうしようって、そればっかり考えて・・・」
気付けば俺は泣いていた。涙が次々と溢れてくる。
「アイズ・・・」
ユウキが俺の背中に手を回してギュっとしがみついてくる。ユウキも泣いていた。
「ごめん・・・あんな一方的にさよならなんて言っちゃって・・・でもボク、耐えられなかった・・・いずれアイズとお別れする日が来ることに・・・耐えられなかった・・・だってボク・・・」
ユウキが泣きじゃくりながら俺を見る。
「アイズのことがっ・・・好きになっちゃったからっ・・・!」
「ユウキ・・・」
「だからっ・・・これ以上一緒にいたら・・・余計に別れが辛くなるって・・・そう思ったからっ・・・ッ!」
ユウキがビックリしている。それはそうだろう。何故なら俺がユウキにキスをし、ユウキの口を塞いだからだ。一瞬身体を固くしたユウキだったが、すぐに俺に身体を預けてくる。
しばらくして、俺は顔を離した。ユウキは顔を真っ赤にしている。
「・・・ア、アイズ・・・」
「・・・この間のお返しだ。あんな一方的にされたこっちの気持ちも考えろ」
「うっ・・・ごめんなさい・・・」
「・・・好きだ」
「えっ・・・?」
ユウキが聞き返してくる。コイツ・・・もう一度言わせる気かよ・・・まぁ良い。どうせもうキスしちまったんだ。何度だって言ってやるさ。
「俺もユウキが好きだ。仲間としてもそうだけど・・・異性としてもな」
「・・・ッ!」
それを聞いた瞬間、またしてもユウキがボロボロと泣き始める。
「・・・何で泣くんだよ」
「・・・だ、だって・・・う、嬉しいからっ・・・!」
「・・・バカ」
もう一度ユウキを強く抱きしめる。ユウキはしばらく泣きじゃくっていたが、やがて少しずつ落ち着いてきた。
「ありがとうアイズ・・・ボクの初恋の相手が、アイズで良かったよ」
「・・・お前も初恋なのか?」
「え・・・?アイズも・・・?」
「あぁ。そういったものには縁がなくてな」
「・・・アイズって枯れてるね」
「お前も一緒だよな!?」
ツッコミを入れる俺。ユウキはおかしそうに笑う。
「アハハ。でも、何か嬉しいな。アイズの初恋の相手がボクだなんてさ」
「ファースト・キスもお前だな。まぁ奪われた形だが」
「うっ・・・ごめん・・・で、でもっ!ボクだってファースト・キスだったんだからねっ!緊張したんだからねっ!」
「へぇ・・・ユウキでも緊張とかするんだな」
「バカにしてるの!?ボクだって女の子なんだよ!?しかも同い年だし!」
「そうなんだよなぁ。その身長と胸で同い年とは思わなかったわ」
「なっ・・・!?し、身長はともかく胸は関係ないじゃん!」
「リーファはかなりでかいけどな」
「それを言ったらシリカはペッタンコじゃん!」
「止めろ!それ絶対シリカの前で言うなよ!?殺されるからな!?」
俺たちはひとしきり言い合ったあと、顔を見合わせて吹き出す。そして・・・
「アイズ・・・」
「ユウキ・・・」
二度目・・・いや、三度目の口づけを交わすのだった。
***
「アイズ!ユウキ!」
俺たちを呼ぶ声がする。振り返ると、シウネー、ノリ、テッチ、ジュン、タルがこちらへ向かって飛んでくるところだった。
「みんな!どうしてここに!?」
「さっきシウネーに連絡しといたんだ。ユウキが見つかったら連絡するって約束してたからな」
驚くユウキに説明する。
「ユウキ・・・良かった・・・」
ユウキを抱きしめるシウネー。
「シウネー・・・みんな・・・ゴメン」
「もう良いって。それより・・・アイズに謝んないとな」
ユウキの謝罪に笑顔で応えたあと、ノリが真剣な顔で俺を見る。
「アイズ・・・シウネーから聞いたんでしょ?アタシたちが末期患者だってこと・・・」
「あぁ。全部聞いた」
「・・・黙っててゴメン」
ノリが頭を下げると、他のみんなも同じように頭を下げてくる。
「良いって。誰にでもペラペラ話せるようなことでもないしな」
「・・・怖かったんだ。末期患者だと知られて、同情や哀れみの視線を向けられることが嫌だった・・・」
ジュンが辛そうに打ち明ける。
「・・・アイズがギルドに入ってくれて、やっぱり本当のことを話すべきじゃないかって話し合ったんだ。でもアイズは優しいから・・・きっと悲しませてしまう。だから最後まで伏せて置こうって・・・」
タルが涙ぐみながら話す。お前ら・・・
「・・・俺はお前らが本当のことを話してくれなかったことの方が悲しいよ。SAO生還者だって話した時、同情や哀れみの視線が辛いって話もしただろ?その俺が、お前らをそんな目で見るわけないだろう」
「アイズ・・・」
テッチが泣いている。
「末期患者だろうが何だろうが、お前らは俺の大切な仲間だ。どこまで行こうが追いかけてやるから覚悟しろよ」
「・・・アイズ・・・っ」
シウネーが嗚咽を漏らす。それを聞いた他のメンバーも、耐えられずに泣き始める。
チクショウ・・・今日だけで何回泣いてんだ俺・・・
「ボクっ・・・死にたくないっ・・・」
泣きじゃくるユウキ。
「せっかくアイズに・・・想いを伝えられたのにっ・・・アイズも・・・同じ想いでいてくれてるのにっ・・・死にたくないよぉ・・・」
「ユウキッ・・・」
ユウキを強く抱きしめる俺。涙が止まらなかった。
「もっと・・・アイズと・・・みんなと一緒にいたいっ・・・」
・・・俺も同じ気持ちだよバカ。クソッ・・・こんなのってアリかよ・・・せっかくまたユウキに会えたのに!想いも伝えられたのに!同じ想いだって分かったのに!なのに何でっ・・・何で・・・
「・・・何が攻略組四天王だよ。何が神速、何が破壊神だよ。惚れた女一人救えない、大切な仲間一人救えない、ただの無力な人間じゃねぇか・・・ッ!」
「アイズ・・・」
「こんな強さなら要らない・・・!俺はッ!惚れた女をッ!大切な仲間たちをッ!みんなを救える強さが欲しいッ・・・!」
その言葉を聞いたユウキが再び泣きじゃくり始める。シウネーとノリも抱き合って泣いている。ジュンは地面に突っ伏し、タルは座り込み、テッチは立ちながらも歯をくいしばって、それぞれ泣いている。
クソッ・・・何とか・・・何とかならないのかッ・・・!
「何とかしてあげようか?」
ッ!今の声・・・聞き覚えがある・・・まさかッ!
俺は後ろを振り向く。そこには・・・赤い鎧を身に纏い、剣と盾を持っている男の姿があった。盾には十字のマーク。それは紛れもなく、血盟騎士団のシンボルマークだった。
お前は・・・
「・・・ヒースクリフ・・・なのか・・・?」
「やぁ。久しぶりだね、アイズくん」
血盟騎士団団長・ヒースクリフ、本名・茅場晶彦は、穏やかに笑っているのだった。
どうも~、ムッティです。
遂にユウキに想いを伝えたアイズ。
しかしユウキの病気はどうすることも出来ない・・・
そこへ現れたヒースクリフ。
果たして彼の目的は?
そしてスリーピング・ナイツの運命は?
第十五話もよろしくお願いします。
以上、ムッティでした。