俺の生きる意味   作:ムッティ

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もう春なのに、クリスマスの話ww


第十六話 ~メリークリスマス~

 三ヵ月後。十二月も終わりに近づき、気付けばクリスマスだ。そんな日に俺は病院に来ていた。横浜港北総合病院である。無論、体調が悪くなったわけではない。

 

 「あら、隼人くん。こんにちは」

 

 廊下を歩いていると、女性看護師さんが笑顔で挨拶してくれる。彼女は大島陽菜さん、俺が初めてユウキに会いに来た時、俺がアイズだと知って対応してくれたあの看護師さんである。

 

 「こんにちは陽菜さん」

 

 「今日もユウキちゃんのお見舞い?ラブラブねぇ」

 

 「クリスマスですからね。一緒に過ごしたいじゃないですか」

 

 「・・・そんなセリフを堂々と言えるなんてっ・・・良いなぁ!私も彼氏が欲しいなぁ!クリスマスを一緒に過ごしたいなぁ!」

 

 嫉妬心全開の陽菜さん。

 

 「・・・陽菜さんだって美人なんですから、彼氏くらいすぐできるでしょうに」

 

 「びっ、美人っ!?」

 

 顔を真っ赤にする陽菜さん。何で俺の周りってこうも純情な女性が多いのかな。

 

 「やだもう、隼人くんったらぁ・・・褒め上手なんだから・・・」

 

 「思ったことを言っただけですよ。・・・まぁルックスが良くて彼氏ができないってことは、よほど性格に問題がある・・・イタッ!」

 

 「・・・はーやーとーくぅん?」

 

 陽菜さんが怖い笑みを浮かべながら俺の頭をひっぱたく。あ、やばいな・・・

 

 「スイマセン!でも、そういう暴力的なところに問題があると思いますよ!それじゃ!」

 

 「あっ!コラッ!待ちなさい!病院の廊下を走らないの!」

 

 慌てて陽菜さんから逃げる俺。

 

 「それと、私は性格も良いんだからねっ!」

 

 「自分で言うことじゃないですよ!」

 

 ツッコミを入れる俺。まったく、怖い怖い。

 

 やがて俺はある病室の前に着く。ノックをすると、中から「どうぞぉ」というのんびりした声が返ってくる。俺はドアを開けた。

 

 「あっ!隼人!メリークリスマス!」

 

 俺を見た瞬間、顔をパアッと輝かせる木綿季。

 

 「メリークリスマス、木綿季」

 

 俺も木綿季に挨拶をする。そして手に持っていたプレゼントを手渡す。

 

 「ハイコレ、クリスマスプレゼントな」

 

 「わぁ!ありがとう!」

 

 喜んでくれる木綿季。しかし、途端にシュンとなる。

 

 「ゴメン隼人・・・ボク、プレゼント用意できなくて・・・」

 

 「入院してるんだから当たり前だろ?気にすんなって」

 

 木綿季の頭をなでてやる。気持ちよさそうにする木綿季。猫かお前は。

 

 と、病室のドアがノックされる。木綿季が応えると、木綿季の両親が入ってきた。

 

 「パパ!ママ!」

 

 「やぁ木綿季。お、隼人くん!メリークリスマス!」

 

 「こんにちは隼人くん。メリークリスマス」

 

 挨拶をしてくれる木綿季のお父さん・誠司さんとお母さん・聖さん。

 

 「こんにちは。メリークリスマス!・・・聖さん、体調はどうですか?」

 

 「すっかり良くなったわ。最近まで入院してたとは思えないほどにね」

 

 聖さんは本当に元気そうだ。

 

 「ホント元気なんだよ。信じられないくらいにね。まったく、おかげで私はあちこち行くのにつき合わされて体力が持たないよ」

 

 嘆く誠司さん。やれやれ・・・

 

 「誠司さん、ホント体力ないですもんね」

 

 「・・・隼人くん、そんなさらっとディスらなくても・・・これでも一応、君の彼女の父親なんだよ?」

 

 「だからですよ。本当のお父さんのように慕っているからこそ、体力をつけて長生きしてもらいたいんですよ」

 

 「・・・ッ!隼人くんっ!君は何て良い子なんだ!良い息子ができて私は幸せだ!」

 

 「まぁ、本当はいじりがいがあるからですけどね」

 

 「私の幸せを返せっ!」

 

 俺と誠司さんのやりとりに笑い出す木綿季と聖さん。幸せだ、本当に。誠司さんも聖さんも本当に良い人たちだ。何より・・・

 

 俺は木綿季を見る。ニッコリ笑う木綿季。・・・大好きな彼女がいて、俺は本当に幸せだ。

 

 

 

***

 

 

 

 ヒースクリフは本当に俺たちの想いに応えてくれた。ちゃんと全員の病気を治してくれたのだ。それを知った時は本当に嬉しくて、スリーピング・ナイツ一同で大いに号泣したものだ。検査の結果、木綿季の病気が完全に治ったことを知った倉橋先生は「信じられない」を連呼していた。そりゃあそうだろう。奇跡としか言いようのないことなのだから。しかもヒースクリフは、木綿季のお母さんである聖さんの病気まで治してくれていた。恐らく病院の電子機器に入り込んだんだろう。流石としか言いようがない。

 

 後日、ALOでスリーピング・ナイツの病気回復を祝うパーティーが行われた。キリトたちも参加してくれて、大いに盛り上がった。親交のあるユージーン、サクヤ、アリシャも来てくれたのだが、クラインとユージーンとエギルが酒を飲んで異常なハイテンションとなり、そのまま全員でフロアボスに挑戦しに行った。結果は圧勝。まぁあれだけの面子がいれば余裕だわな。

 

 キリトたちには、事の顛末を全て話した。ヒースクリフのおかげで木綿季たちの病気が治ったいうことで、みんな複雑な顔をしていた。だが、ヒースクリフが俺に対して恩を感じていた話をした時、アスナが懐かしそうに振り返っていたな。

 

 「団長は普段からどこか淋しそうな顔をしてたんだよねー。でも、アイズとのデュエルの時は本当に楽しそうだった。ギルドの本拠地に帰ってからも、私に楽しそうにアイズとのデュエルの話をしてたよ」

 

 ヒースクリフ、アンタも何だかんだ人間だったんだな・・・

 

 俺が思い出していると・・・

 

 「おーい、隼人」

 

 木綿季に呼びかけられた。誠司さんと聖さんは、倉橋先生のところに行っている。

 

 「ん?どうした木綿季?」

 

 俺が木綿季の方を振り向くと・・・木綿季が唇を重ねてきた。

 

 ッ・・・コイツ・・・

 

 「・・・今のがボクからのクリスマスプレゼントってことで」

 

 木綿季は恥ずかしそうにそう言うと、俺の肩に頭をコテンと乗せる。そして手を握ってくる。俺はその手を握り返した。

 

 「来年のクリスマスは、一緒にどこか行きたいね」

 

 「あぁ。イルミネーションとか見に行こうか」

 

 「あ!行きたい!約束だからねっ!」

 

 俺と木綿季は指きりをするのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 俺は木綿季の病室を後にし、ダイシー・カフェへやってきていた。

 

 「よぉアイズ。いらっしゃい。今日は貸切だぞ」

 

 「エギル・・・いつも貸切のような気がするのは俺だけか?」

 

 「細かいこと気にすんなって。夜はちゃんと営業してるよ」

 

 ホントかよ、と俺はエギルに疑いの視線を向けつつ、店内を見渡す。すると・・・

 

 「メリークリスマス、アイズ」

 

 「よぉ、シウネー。メリークリスマス」

 

 黒髪の女性と挨拶を交わす。彼女は安施恩。シウネーである。病気が治り、無事に退院することができたそうだ。

 

 良かったぜホント。

 

 「ユウキのお見舞いに行ってきたの?」

 

 「あぁ、相変わらず元気だ。聖さん・・・木綿季のお母さんも元気だったよ」

 

 「良かった」

 

 笑みを浮かべるシウネー。

 

 「お前はどうなんだ?その後体調の方は?」

 

 「すっかり元気よ。両親が心配するぐらいね」

 

 「今度は元気すぎて心配してるのな」

 

 「まぁね」

 

 笑い合う俺とシウネー。と・・・

 

 「エギルさん、こんにちはー!」

 

 「おっ、アイズ!シウネー!」

 

 「ヤッホー!」

 

 「メリークリスマス!」

 

 ジュン、テッチ、ノリ、タルだった。みんなリアルだと格好が少し違うが、顔は全然変わらない。

 

 「よぉお前ら。メリークリスマス」

 

 「元気そうで何よりだわ」

 

 挨拶する俺とシウネー。

 

 「お前らホント元気になったなぁ」

 

 俺は感慨に浸るのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 ジュンの本名は春日純、俺や木綿季と同い年だ。テッチの本名は手島孝道、ノリの本名は武田紀子、タルの本名は樽本謙二で、三人は俺の一つ上だそうだ。そしてシウネーこと安施恩は俺の二つ上である。スリーピング・ナイツは、みんな年の近いギルドだったんだな。しかも、入院していた病院も思いのほか近かった。そのことを知ったときは、みんなビックリしたものだ。まさかみんな近くにいるとは思わなかったぜ。ちなみに分かると思うが、木綿季以外のメンバーはすでに退院している。

 

 「ユウキはまだ入院が必要なのかい?」

 

 ノリが聞いてくる。

 

 「あぁ。エイズで身体が弱っていたのに加えて、メディキュボイドの中で二年半もダイブしてたわけだしな。相当身体が弱っているんだよ」

 

 「俺たちSAO生還者も、身体が弱っててリハビリには苦労したもんな・・・」

 

 エギルがしみじみと言う。あぁ、あのリハビリはきつかったなマジで。

 

 「まぁ倉橋先生が言うには、直に退院できるみたいだぞ?少なくとも、四月からの学校には間に合うだろう」

 

 それを聞いたみんながホッとしたような顔をする。

 

 「本当に?良かった!」

 

 「学校には間に合ってほしいって思ってたんだよ!」

 

 「これでみんな一緒の学校に通えるな!」

 

 タル、ジュン、テッチが嬉しそうに言う。そう、実は木綿季たちも、SAO生還者の学生たちが四月から通う学校に入学する予定なのだ。本来SAO生還者の学生しか対象としていないのだが、木綿季たちは入院期間が長く、中学からろくに通えていない状態のため、他の学校で受け入れることが難しいと判断されたのだ。よって、木綿季、ジュン、ノリ、テッチ、シウネー、タルの六人は、特例として入学を認められた。まぁその学校なら、中学・高校の範囲を全て一からやってくれるし、本人たちにとっても都合が良いだろう。

 

 「あー、四月から学校かぁ。楽しみだなぁ」

 

 目を輝かせるシウネー。よほど嬉しいようだ。

 

 「とりあえず、シウネーのあだ名は未亡人とかになりそうだな」

 

 「結婚もしてないのに!?」

 

 ショックを受けるシウネー。みんな爆笑なのだった。

 

 




どうも~、ムッティです!

みんな元気になりましたー!

わーい!

ちなみに今回、ユウキは本名の「木綿季」表記です。

アイズも本名の「隼人」となっております。

この二人は晴れて恋人同士になりました。

・・・リア充め。

ま、良かった良かった。

この物語ももう少し続くので、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

第十七話もよろしくお願いします。

以上、ムッティでした!
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