四月一日。いよいよ特別学校の始まる日である。俺は木綿季を家まで迎えにきていた。
「じゃあ木綿季。気をつけていってらっしゃい」
「くれぐれも隼人くんに迷惑かけないのよ?」
「分かってるってママ!行って来ます!」
元気よく家を飛び出してくる木綿季。が、すぐに転ぶ。
「いや転ぶの早いな!」
思わずツッコミを入れつつ、木綿季に手を貸して立ち上がらせる。
「うぅ、不吉だなぁ・・・何か悪いことが起きるんじゃ・・・」
「ネガティブかっ!いつものポジティブさはどこへいったよ!」
「あ、珍しく隼人がツッコミだ!何か悪いことが起こる前触れなんじゃ・・・」
「・・・そうか、どうやらまだ寝ぼけてるみたいだな。起こしてやろう」
「ちょ!?ハンマーなんてどこから取り出したの!?止めてー!」
逃げていく木綿季。やれやれ・・・
「隼人くん」
誠司さんが俺を呼ぶ。
「・・・木綿季のこと、よろしく頼むよ」
真剣な表情で頼んでくる誠司さん。
・・・そっか。そういえば木綿季は小学校の頃、通学するなって他の生徒の保護者たちから嫌がらせされてたんだっけ。誠司さんと聖さんにとっては、未だに忘れられない苦い記憶なんだろう。
「任せて下さい。木綿季は俺の彼女です。何があっても守って見せます」
笑顔で宣言する。誠司さんも聖さんも安心したような顔になる。
「流石は木綿季の彼氏ね!パパと比べて頼りになるわぁ」
「え!?ママ!?」
「聖さん、比べる基準が低すぎますよ」
「隼人くん!?」
「おーい、隼人!早く行こうよー!」
俺と聖さんが誠司さんをディスっていると、木綿季が呼んでくる。
「今行くよ!誠司さん、聖さん、行って来ます」
俺は二人に一礼すると、木綿季の元へ向かったのだった。
***
「クラスとかどうなるかなぁ。みんな一緒だと良いのに」
「木綿季だけ違うクラスだったりしてな」
「・・・それはマジで凹むよぉ」
「・・・マジでどうしたよ。緊張してるのか?」
「当たり前じゃない。久しぶりの学校だよ?小学校の時とか色々あったから・・・」
やっぱり木綿季にとっても、当時の記憶は苦いものらしい。俺は木綿季の頭をなでてやった。気持ちよさそうにする木綿季。
「んー、やっぱり隼人になでてもらうと落ち着くなぁ」
「猫かお前は・・・っていうか、肝心なことを忘れてるぞ」
「え?肝心なこと?」
キョトンとするユウキ。まったく・・・
「お前は一人じゃないだろうが。俺だっているし、みんないるだろ。お前に何か嫌がらせするようなやつがいたら、思いっきりぶん殴ってやるよ」
「隼人・・・ありがとう」
嬉しそうに笑う木綿季。そのまま腕を組んでくる。
「・・・この格好で登校するつもりか?」
「もっちろん!何か問題でも?」
「・・・周りから違う意味で冷ややかな目で見られるぞ」
「気にしないもーん!」
さっきまで過去のことを気にしてたやつが何を言ってんだ・・・ま、良いか。
「隼人!木綿季!」
俺たちを呼ぶ声がする。見ると、校門の前に全員揃っていた。キリト、アスナ、リズ、シリカ、シウネー、ジュン、タル、テッチ、ノリ、そして春子だ。ちなみに春子のことは、すでに木綿季たちにも紹介済みだ。
っていうか・・・
「リズ、お前いつから俺のこと隼人って呼ぶようになったんだ?」
「アンタねぇ・・・ここはSAO生還者が通う学校なのよ?普通に考えて、アバターネームを出すのはタブーでしょうが」
「ちょっ!私はどうなるのよ!」
「本名をアバターネームに使ったアスナが悪いんでしょ」
がっくりうなだれるアスナ。
「ま、キリトとアスナは有名人だから、顔でばれるだろ」
「それを言ったらアイズもでしょ!私たち、攻略組四天王だったんだから!」
まぁな。ま、リアルでもアバターネームで呼ぶ必要はないか。
「じゃ、改めてよろしくな。和人、明日奈、里香、珪子、春子」
キリト、アスナ、リズ、シリカ、そして春子を本名で呼ぶ俺。みんな笑顔で頷く。
「ジュン、ノリ、テッチ、タルは問題ないか。シウネーは・・・未亡人でいく?」
「いくわけないでしょうが!」
ツッコミを入れるシウネー。笑い出す一同。そのまま校舎へと歩き出す。
「そういえば私、アミュスフィアとALO買ったわよ」
「ホントに!?これで春子ともALOで遊べるね!」
「良かったら俺たちのギルドに入れよ。大歓迎だ。な、みんな?」
「もちろん!」
「じゃあそうさせてもらおうかな!」
「よっしゃー!宴じゃーっ!」
盛り上がるみんな。と、木綿季がやたらとニコニコしていた。
「ずいぶんとご機嫌だな」
「だって楽しいじゃない!みんなと一緒に学校生活が送れるなんて最高だよ!」
「さっきまでテンション低かったくせに」
「うっ・・・さっ、さっきはさっき!今は今!」
拗ねる木綿季。俺は笑うと、木綿季の手を握った。
「・・・違う意味で冷ややかな目で見られるとか言ってなかったっけ?」
「気にしないって言ったよな?」
二人して笑い出す。
「さ、俺たちの最高の学生生活をスタートさせるとしようか」
「うんっ!」
木綿季と手を繋ぎながら、笑顔で歩く。
俺はSAO生還者だ。その過去が消えることはない。でも・・・
俺には最愛の彼女・木綿季がいる。そして、大切な仲間たちがいる。それだけで、俺にとっては十分生きる意味がある。
木綿季と一緒にいることが、みんなと一緒にいることが、俺の幸せなのだから・・・
完
どうも~、ムッティです。
『俺の生きる意味』が最終話を迎えました。
読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
自分の実力不足で、至らない点が多々あったと思います。
それでもコメントしてくださった方、本当にありがとうございました。
また別の作品を投稿したいなと思っているので、その時はよろしくお願いします。
以上、ムッティでした!
本当にありがとうございました!