ユウキたちの反応は・・・?
「・・・SAO・・・生還者・・・?」
ユウキが驚愕している。まぁ普通そういう反応だよな・・・
「それはつまり・・・あのデスゲームと化したソードアート・オンラインで二年間を過ごし、現実世界に帰還した人・・・ということ・・・よね?」
「その通りだ」
シウネ―の問いを肯定する。みんな信じられないという表情を浮かべている。正直、こういう反応にはもう慣れた。
SAO生還者と聞いた人は、大抵二つのパターンに分かれる。同情や哀れみの視線を送ってくる場合と、恐怖や軽蔑の視線を送ってくる場合だ。前者は、俺たちのことを被害者として哀れんでおり、後者は俺たちのことを殺戮者として見てくる。まぁSAOの中で殺し合いをしてきたっていう印象なんだろうな、全くの間違いだが。
確かに、俺のようにプレーヤーを殺してしまったやつもいる。ラフコフメンバーなんて、それこそ数え切れないほどのプレーヤーを殺しただろう。だが、生還者の大半は人殺しなんてしていないプレーヤーたちだ。全員が同じように見られるというのは、どうも納得いかない。まぁ、SAOで何人殺したかなんて他の人たちには分からないことだからな。
さて、こいつらはどっちのタイプだろうな・・・長い沈黙の後、ユウキが口を開く。
「・・・かっ・・・」
「・・・かっ?」
「かっこいいいいいいいいいい!!!!!」
「ええええええええええ!?」
嘘だろ!?何その反応!見れば他のやつらも目を輝かせている!
「すげえ!すげえよアイズ!」
テッチ、あんまり叫ぶな!
「あのSAOから生還してきたんだろ!?かっけえよマジで!」
ジュン、そんな崇めるような視線を送ってくるな!
「ユウキが負けたって聞いた時は信じられなかった!けどSAO生還者なら納得だよ!」
ノリ、興奮しすぎだ!
「うぅ・・・感動したよアイズ!」
タルケン、お前何で泣いてんの!?
「これぞ神のお導き・・・私たちの出会いは運命だったのね!」
シウネ―、その芝居がかったポーズをやめろ!
「ますます気に入った!アイズ、ボクたちに力を貸してっ!お願いっ!」
ユウキ、顔が近い!俺はユウキの額にでこピンする!
「あうっ!」
ユウキが額をさすりながら離れる。・・・ふぅ。
「とりあえず落ち着けお前ら。そして俺の話を聞け」
そう、俺はまだこいつらに肝心なことを話していない。
「俺は・・・SAOで3人のプレーヤーを殺してるんだ」
今度こそ、スリーピング・ナイツの面々が絶句する。そりゃあそうだ、自分が人殺しであることをカミングアウトしてるわけだしな。
俺はみんなに全て話した。ラフコフのこと、討伐作戦のこと、俺がラフコフの3人を殺したこと。全てを話し終えた時、みんな無言だった。
・・・恐らく、俺に対して恐怖を抱いているんだろう。やっぱりコイツは信用できないと思っているに違いない。
・・・残念だが、仕方のないことだ。俺はそう自分に言い聞かせ、力ない笑みを浮かべる。
「・・・分かっただろう?俺がどんな人間なのか。お前らの力になりたいけど、汚れきった俺がお前らの純粋な挑戦に関わることは許されないんだ。お前らの想いに水を差しちまうからな。・・・いや、すでにもう水を差しちまってるか。ごめんな」
俺は一言謝ると、席を立った。
「俺は力になれないけど、きっと力になってくれるやつはいる。そいつと一緒に頑張ってボスを倒せよ。お前らの挑戦が上手くいくことを、影ながら祈ってる。じゃあな」
そう言って立ち去ろうとする。と、俺の手を誰かが握った。振り向くとユウキだった。
「・・・アイズ」
ユウキが真剣な眼差しで俺を見る。
「ボクはやっぱり、アイズに力を貸してもらいたい。アイズじゃなきゃ嫌だ」
・・・コイツ、何を言ってるんだ?
「・・・今の話をちゃんと聞いてたのかユウキ。俺は汚れきった存在で・・・」
「違うっ!」
ユウキが強く否定する。
「アイズは汚れきった存在なんかじゃない!本当に汚れきった存在のやつっていうのは、相手を思って身を引いたりしない!」
「ユウキ・・・」
「・・・確かにアイズは、人を殺したのかもしれない。ボクにはそれについて、正しかったとか間違ってるとか、軽々しく言えない。だってアイズはこんなに苦しんでるんだから・・・」
ユウキの目から涙が零れ落ちる。俺のことで泣いてくれてるのか・・・?
「でも、これだけは言える。アイズは自分の保身のために人を傷つけるような人じゃない。誰かを守るためだったんでしょ・・・?」
・・・よく分かったな。
あの時、ラフコフの命を捨てた特攻に怯え、戦うことができなかったやつらが何人かいた。当然、ラフコフからすれば絶好の獲物だ。そいつらを重点的に狙ってくる。俺はそいつらを見捨てることができず、襲いかかろうとしていた3人をぶった切ったのだ。既に3人のHPゲージはレッドにまで削られていたため、一撃でHPが0になって死んでいった。俺はそうなると分かった上で剣をふるったんだ。
「だからボクは、アイズを人殺しだなんて思わない。勇敢な男の子だって、優しい男の子だって、そう思うよ」
泣き笑いでそう言ってくれるユウキ。・・・俺にはそんな優しい言葉をかけてもらえる資格なんてないんだよユウキ・・・と、シウネ―の手が俺の手を包み込んでくれる。
「・・・アイズ。きっとあなたは、リアルで恐怖や軽蔑の視線を向けられたりしたのよね?だから自分は汚れきった存在だなんて言うのよね・・・」
・・・そうだ。俺がSAO生還者だと知った人の中には、そういう視線を向けてくる人もいた。俺はそのことにとても傷ついた・・・
シウネ―は優しく微笑んでいる。
「確かに、SAO生還者というだけで偏見の目で見てくる人はいるわ。残念ながらね。でもね、そういう人ばかりじゃないのよ?少なくとも私たちは、あなたをそんな目で見てなんていないもの」
「・・・俺が人殺しだと知って、まだ同じセリフを言えるのか?」
「言えるわ」
シウネ―が断言する。
「ユウキが言ったでしょう?私もあなたを、人殺しだとは思わない。あなたは勇敢な人、人を守ろうとすることのできる優しい人なのよ」
「シウネ―・・・」
すると俺とシウネ―の手に、他のメンバーの手が次々と重ねられていく。
「さっき出会ったばっかりだけど、俺にとってアイズはもう大切な友達だぜ?過去がどうだったなんて関係ない。俺は今のアイズが好きなんだからな」
「ジュン・・・」
「俺もアイズはもう友達だと思ってる。アイズに出会えて良かったと思うし、これからも仲良くしてくれよな」
「テッチ・・・」
「まだ出会ったばかりだけど、アイズが良い人だってことぐらい、鈍感な僕にだって分かるよ。だからそんなに自分を責めたり卑下しないでよ。見てる僕らが悲しくなるじゃないか」
「タルケン・・・」
「あたしたちスリーピング・ナイツを、そんじょそこらの連中と一緒にしないでよ?友達を見捨てるなんてマネ、あたしたちは絶対にしない。だからこそ、あたしはみんなを心から信じることができる。今の話を聞いて確信したよ。アイズも心から信頼できる人だってね」
「ノリ・・・」
・・・お前ら・・・優しすぎるだろう・・・
と、後ろからユウキに抱きしめられる。その顔は・・・満面の笑みだった。
「これで分かったでしょ?アイズはもう、みんなから仲間だと思われてるんだよ。・・・そういうわけだからアイズ、もう逃げられないよぉ?ってゆーか、離さないもんねー!」
抱きしめる力が強くなる。・・・やれやれ、これは逃げられそうにないな。
「・・・お前ら、俺を仲間に引き入れたことを後悔すんじゃねぇぞ?」
「後悔なんてしないもん。ねーみんな?」
「もちろん!」
「当たり前だ!」
「当然だろ!」
「男に二言はないよ!」
「女のアタシにもないね!」
「まったく、物好きな連中だ・・・よし、ボスだろうが何だろうがぶっ倒すぞ!」
『おーっ!!!!!!』
こうして、俺たちの挑戦が始まるのだった。
どうも~、ムッティです。
いやー、みんな良い人すぎて泣ける・・・
良かったね、アイズ・・・
さて、これからアイズたちによるボス攻略が始まります。
果たして攻略できるのか?
第7話もよろしくお願いします!
以上、ムッティでした!