ハイスクールD×D√喰種   作:ビギナー

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出来ました。


第10話 神器

アーシアちゃんが連れ去られて、数分僕らは動くことができなかった。

 

体の痛みから……己の無力感から……助けられなかったことへの後悔から……

 

けれど、いつまでもそうしてはいられない……

 

僕は、一誠に肩を貸し部室へ向けて足を進める。

 

「くそっ……くそっ……」

 

僕らだけに降り注いだ雨は……しょっぱくて……深い、悲しみの味がした。

 

 

 

 

 

 

 

「だめよっ……イッセー」

 

「な、なんでですかッ……!?」

 

あのあと無事、部室に帰還した僕らは今日あった出来事を部長に報告して、今はアーシアちゃん救

出を頼んでいるところである。確認しているだけでも、堕天使が二人。さらにエクソシストの

フリード・セルゼン。僕と一誠が二人相手にしても、まだ一人いることになる。

だからこそ、部長達の力を借りたかったのだが……

 

「その子は可哀相だけど、堕天使と事を構えれば最悪戦争になるのよ……?」

 

部長の言い分は正しい。けれど、納得はできない……

 

「だったら……だったらッ!俺一人でもッ……!」

 

「いいかげんにしなさい、イッセー……」

 

パチンッ!と頬を叩く音が鳴り響き、一誠が俯く。

部長の声は静かではあったが、有無を言わせない強さと、僕らの身を案じている優しさが伝わって

きた。

でも、それでも、僕は……僕らは……

大きく息を吸い、感情のままに、言うことも考えずに口を開く。

 

「た、しかに……部長の言っていることは正しい……と思います……でも、でもっ!あの子は……

悪魔を助けて、魔女と罵られ……追放されてもっ、神様を信じて……その力を恨んだりしなくて

道で転んだ……見ず知らずの子どもを治してあげるような……やさしい子で……ただのハンバー

ガーを、おいしいって……食べたことないって…… 僕は……あの子に、もっとたくさん、おいし

い物があるんだって……楽しいことがあるんだって……教えてあげたくって……だから、だから部

長がだめと言っても……僕は!アーシアちゃんを……大切な……友達をッ!どんなことをしても、

助けて見せますッ!」

 

途切れ途切れで何を伝えたいのか分からない、そんな言葉だったが、喋っている最中に僕の決意は

強固なものとなって行った。

 

「……………」

 

「……………」

 

僕と一誠は決意を秘めた瞳を真っ直ぐ、部長にぶつけた。

 

「……はぁ……私はこのあと、用事があるの。小猫と祐斗を護衛に付けるから今日は帰りなさい」

 

しかし、思いの丈をぶつけたからといって、部長の考えを変えることは出来なかったようだ。

だが、それは別に構わない。たとえ、部長に反対されようと、僕はアーシアちゃんを助けて見せ

ると決めたのだから。

 

「……わかりました……」

 

そう返事を返し、部室の外に出るために扉へ向かう。

もちろん、帰る訳がなく、アーシアちゃんの捕らえられている教会へ向かう為だ。

僕と同じことを考えているのか、一誠も僕と並ぶように扉へ向かう。

そして、ドアノブに手を掛けた所で部長が話しかけてくる。

 

「もし、小猫と祐斗だけでは抑えられない程の数の堕天使が現れたら、神器を使ってでも生き延び

るのよ?いい?神器は想いに答えてくれるわ。もし、どれだけ強く想っても発動しないときは、別

のことを想いなさい」

 

「それって……」

 

「小猫、祐斗、二人を送って行って頂戴。寄り道はあまりしない様に……ね」

 

「ふふっ、わかりました」

 

木場君がそう返事を返し、小猫ちゃんは頷き、返事をする。

僕と一誠は二人に押される形で部室を後にする。

 

 

 

「まったく、素直じゃないね……部長は……僕らも行くよ」

 

「え……でも、二人は僕らを家に送るために……」

 

「部長は寄り道はあまりしない様にと言ったんだよ?だから、二人がどこかに寄りたいところが

あるなら、僕らは付き合うだけさ。寄り道した場所に僕等じゃ対処出来ない程の敵がいたら、君達

にも働いて貰う必要が出てくるかもだけど……ね?」

 

「木場っ……!小猫ちゃんっ……ありがとうッ……!」

 

「あ、ありがとう……!二人とも……」

 

「はは、お礼は、助けてから……ね……?」

 

「……ハンバーグ……」

 

僕は心の奥で彼が噂の様にあっちの人なんだと思っていたことを、心の中で謝罪した。

だけど半径一メートルには入らないで貰いたい。

ぼそりと、ハンバーグと口にした小猫ちゃんには今度ハンバーグを作ってあげようと、そう思っ

た。僕と一誠は感謝の言葉を何度も伝え、アーシアちゃんの救出に向かった。

 

 

 

 

 

 

教会に着くと、辺りは昼間に来た時に比べ薄暗く、物音がせず静かでそれが不気味さを一層際立て

ていた。

 

「この中にアーシアが……待ってろ……今行くからなッ……!」

 

「え、ちょ……」

 

僕が静止の声をあげる前に、一誠が扉を開け中に入ってしまった。

こういう時は作戦とか色々立ててから……そんなことを考えても仕方がないので僕らも続く。

 

教会の中は、外がボロボロだった割にそこまで汚れてはなく、むしろ綺麗なぐらいだった。

 

「あんれー……?ってなんで、悪魔さん御一行がいらっしゃってるんですかねー……」

 

そいつはそこにいた、本来立つべきではない教壇の上に。

 

「まぁまぁ、どっちでもいっかー……おれっち的にお前らをぶっ殺すればいいだけの簡単なお仕事

ですしねんッ……!」

 

そう言い。彼……フリード・セルゼンは光の剣を取り出し、斬りかかってきた。

 

「ッ……!」

 

あまりにも急な攻撃に驚いたが、眼帯の紐を切られただけに終わり、追撃はなかった。

なぜなら、木場君が刀を造りだし、フリードに斬りかかったからだ。

 

「チッ……!何邪魔してくれてんですかぁ……?」

 

「ここは僕に任せて先にッ……!」

 

「木場っ……!」

 

木場君が僕らに先に行くよう促す。

 

「で、でも……」

 

全員で掛かって早く倒した方が良いのではと思い、声を掛けるが

 

「大丈夫……僕はこう見えて結構強いんだよ……?」

 

「ぐあぁッ……!」

 

彼はフリードを吹き飛ばし、余裕の笑みを浮かべている。

これならば、大丈夫だろうと思い、僕らは先を急ぐ。

 

「「ありがとうッ……!」」

 

僕と一誠はそれだけ言い、小猫ちゃんと地下へと降りて行く。

 

 

 

地下には祭壇のようなものがあり、そこにはアーシアちゃんが横たわっていた。

 

「「アーシアッ……(ちゃん)!」」

 

急ぎ彼女の所へ向かいたいが、彼女へ向かうには、障害物が多過ぎた。

ローブを羽織った彼等は、おそらくはぐれのエクソシストだろう。

僕は殴り合いの喧嘩など、したことがない……だから僕が出来ることはただ、ただ襲いかかってく

る彼らの攻撃を躱すことぐらいだ。

彼らの攻撃は光の槍に比べたら、とても遅く躱すのは容易いことであったが、何分僕には攻撃手段

がない……拳はとても実践で使えるものではなく、頼みの神器は、こんな状況なのにどれだけ想っ

ても発動する兆しが見えない。

 

「しまッ……」

 

油断した。神器のことばかり考えていた結果、攻撃を食らう……衝撃に備えたが、いつまでたって

も痛みはない。

 

「小猫ちゃん……!」

 

そう彼女が僕に襲いかかっていた人物を殴り飛ばしていたのである。

 

「油断しないでください……」

 

そう言い、彼女はとてもその小さな体からは考えられない程の力で、敵を圧倒していく。

 

「一誠ッ……!先にッ……!」

 

僕は微かにできた道を指さし、一誠にそう言い放つ。

 

「わかったッ……!」

 

一誠は僕の考えを読み取ってくれたのか、指さした道を走りアーシアちゃんの元へ向かう。

それを見届けた僕は、目の前の敵へと意識を移す。

いくら小猫ちゃんが圧倒していても、敵はなかなか減ってくれない。

僕にできるのは相手の意識を引き、攻撃を避けることだけ。これじゃあ限がない……そう思った時

だった。

一陣の風が吹き、敵が吹き飛ぶ。直後降り立った人物を見て、思わず声を掛ける。

 

「木場君ッ……!」

 

「やぁ、またせたね……二人とも」

 

木場君の増援もあって、敵の数が減っていく。

僕も、囲まれなくなってきたため、攻撃の姿勢を取る。

頭を掴み、引き寄せつつ膝で顔を蹴り上げるッ!本で読んだことがあっただけのため、どこかぎこ

ちなかったが、うまくできたようだ。

攻撃を食らわせた相手は鼻から血を流しながら、気を失った様だ。

 

「そっちも終わったみたいだね……?」

 

木場君がそう聞いてきたので辺りを見渡すと、全員倒れていた。

どうやら僕が倒したのが最後だったようだ。

 

「アーシアちゃんと一誠は……?」

 

祭壇の方を向いても二人の姿はなかった。

 

「二人なら上に上がったんじゃないかな……?」

 

木場君がそう言ったのを聞いて、僕はすぐに上へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

地下から出て最初の部屋に戻ると、一誠が倒れているアーシアちゃんの前で膝を着き泣いていた。 

 

それだけで、もう分かった……分かってしまった。

 

彼女はもう……そうして、見てしまった。アーシアちゃんをこんな目に合わせた人物が……

 

ゆらゆら揺れながらも、外に逃げていく姿を……

 

ボロボロの彼女は、こちらに気付き笑みを浮かべた……まるでざまぁみろと言っているかの様に、

 

人を馬鹿にした笑みを見た瞬間、僕は……

 

「―――――――――ッ!!」

 

声にならない叫びをあげる。

 

直後、僕の顔には眼帯型のマスクが現れ、

 

腰からは、赤い、触手のような爪が、皮膚を、服を突き破りながら外に飛び出す。

 

神器が発動した、それがわかれば十分だった。

 

あとは、彼女を……アーシアちゃんを殺したアイツを……

 

”摘むだけだ……”

 

 

 

皮肉なことに、神器が発動したのは、守りたいと思った存在が、死んでから……

 

どれだけ願っても、どれだけ想っても、どれだけ懇願しても発動しなかったそれは……

 

大切な知り合いが、大切な人が、大切な友達が……物言わぬ亡骸になったことにより、

 

意図も容易く、発動する。目的はただ、ただ……(レイナーレ)を”摘む”ためだけに

 

「許さないッ……!」

 

いつもとは、逆から覗く瞳は、怪しく、赤く、光っていた。

 

暴走した怪物は、走り出す、逃げ出した、敵を追いかけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、なんか色々酷いですがこんな感じで最後まで行くんじゃないかな……?
とりあえず、次回で聖女と堕天使編……?は終わりとなりますね。
11話も出来てるので1時間後くらいに続きどうぞ。

追記;改行修正+リアスの説教のところでカネキが考え事をしている間に話が進んでる
場所をカネキもしっかり話してる感じにしました。さすがにあれはひどいな……と改行修正中に思ったので


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