ハイスクールD×D√喰種 作:ビギナー
逃げなくちゃ……逃げなくちゃ……逃げなくちゃ……
何から……?早く……何から……?早く逃げないと……何から……?
――――あの”化け物”から……
レイナーレは逃げていた……ただ、ただ逃げていた……
傲慢も、プライドも、仲間すらも見捨てて、ただ、ただ逃げていた。
羽を捥がれ、空を飛ぶことすら叶わなくなった堕天使は、走る。
何度も転び、傷を作ろうと……泥が顔に付いても……ただ逃げていた。
レイナーレを突き動かすのは、生存本能のみ……
さながら肉食動物に追われる、草食動物の様に……
捕食されまいと、逃げるのは堕天使であり、追っているのは、ただの人間だ。
いや、その姿はただの人間とはもう言えないかもしれないが、一応は人間だ。
そのことをレイナーレは知っている。だから、だからこそレイナーレは恐怖する。
レイナーレの中では堕天使とは食物連鎖の頂きに存在する生物である。
故にレイナーレは堕天使以外の種族を見下している。
堕天使こそが至高であり、他種族は道端に転がる石の様にすら思っている。
そんな堕天使である自分が、ただの下級悪魔に殴られ、さらに人間に追撃され、
恐怖すら抱いている。そんな現実が認められず、さらに人間の神器も相まって、
こう思う。こう考えてしまう。
あれは、人などではなく……”化け物”だと。
そう考えれば今自分が陥っている現状にも説明が付くと。
そうでも考えなければ、あの暗闇でも怪しく光る赤い瞳を見た瞬間に恐怖で意識を保てなくなるか
らだ。
化け物、化け物、化け物ッ……
心の中で叫びつつレイナーレは逃げる。
だからだろう、心の中で叫んでいた言葉は、突如現れた化け物カネキを見た瞬間に発せられる。
「ひぃっ……ば、化け物っ……!」
「ッ……!」
奇しくもその言葉は、対象の動きを鈍らせる。
それは奇跡とも言ってもいいほどの事だった。
致命的な隙は逃げるにはうってつけで、もしかしたら、最後のチャンスだったかもしれない。
けれど、レイナーレは思った、思ってしまった。
今なら、こいつを……を殺せると。
故に……
瞬時に光の槍を創りだし、
「死ねェェぇぇッー!」
「あなたが死になさい……!」
紅い閃光が走り、光の槍ごとレイナーレと言う堕天使が消滅する。
故に、こうなるのは必然だったのかもしれない。
―――――――カネキSide
天野夕麻……レイナーレ……一誠がまだ彼女のことを想っているのには気が付いていた。
自分が殺されたにも関わらず、そうしなければならなかった理由があったのではないのか……?と
悩み、信じていた一誠……僕もそうであったらと、信じていた。もちろん一誠を殺したことには
変わらないのでそのことに関しては許せないだろう……けれど僕まで殺そうとしたことなどは、
許そうと……そうしたら、みんなとも仲良くできると……そう思っていた……
けれどそんな考えは甘かったと、そんなハッピーエンドはないのだと、アーシアが攫われた時
そう……気付いた……だけど、だけど……まだ、心のどこかで期待していた……アーシアちゃんを
攫ったのは上司に無理やり命令されたとか、そんなあるはずもない期待……そんな期待は教会で、
泣いてる一誠と動かなくなったアーシアちゃんとともに、砕け散った……極めつけは、
ボロボロながらも見下した笑みを浮かべるレイナーレの顔だ、その顔を見た瞬間、
何かが弾け、神器が発動した……そうして僕は今レイナーレを追っている。
なぜ、なぜあんなにも優しい子が……死ななければならないのだろうか……
胸がはち切れそうな程苦しく、涙が零れ落ち、流星となる。
けれど、歩みは遅くなるどころか速さを増していく。
速さが増すほどに、不甲斐無い自分への怒りと、レイナーレへの憎悪が溢れ出す
許さないッ……!許せないッ……!許せないッ……!
此処まで誰かを恨み、憎悪したのは初めてではないだろうか……
両親の時は幼く、恨みや、憎悪といった感情より悲しみが勝っていた。
激しく怒る一方で、そんな冷静な事を考えている自分に僕は気が付かない。
そんな時ついに視界にレイナーレを捉える。
見つけた……そう理解した瞬間、神器……赫子をレイナーレ目掛け伸ばす。
二本の赫子は木々を避け、レイナーレ目掛け突き刺さる。が、それに気付いた
レイナーレが翼を用いて横に飛行し、避ける。だが、短時間しか飛べないのか
すぐにまた走り出す。数度似たようなことを繰り返し。
「”邪魔”……だな……」
小さく呟き、狙いを変える。
「まずは……翼から……」
そう判断して木に登り、木々を伝い、”匂い”を頼りに頭上付近に移動し、
赫子を一本レイナーレの右側に突き刺す。
直後レイナーレが翼を用いて左側へ距離を取ろうとする……が、
もう一本の赫子で左の翼を貫く。
「へっ……?」
そんな零れた声を聴きながら、右の翼を先程誘導に使ったもう一本の赫子が貫く。
「いッ……!」
事態に気付いたレイナーレが痛みの悲鳴を上げる前に、地面に叩きつける。
「がっ……!」
肺が圧迫され呼吸ができず苦しむレイナーレを見下しながら、背中を踏み付け、翼を掴む。
背中を踏まれたことにより、さらに肺が圧迫され、声すら出ないであろうレイナーレが
こちらを睨み付ける……が、どうやら何をされるか気付いたようで暴れ出す。
けれど……
「もう、遅い……」
背中を足で抑えながら、掴んだ翼を手と赫子を用いて、力の限り……引き千切る。
「……ッ!――――ッ!」
ぶちブチっと、肉が引き裂かれる音がし、ぼとり……と捥いだ翼が落ちる。
レイナーレは、声にならない悲鳴を上げながら翼があった背中を、自分を抱き締めるように
抑える。
「……ろす……ころしてやるッ……!」
翼があった個所を抑えながら、キッと睨み付ける彼女が言った言葉は偶然にも、
以前対峙した時と同じ言葉であった。以前とは立場が逆転し見下されているのは彼女ではあるが。
そんなことを考えていたからだろうか、彼女が、土を掴んだことに気が付かず。
「ッ……!」
投げられた土で視界が使えない内に、逃げられたようだ。
だが、血で作られた道により彼女の居場所を特定するのは容易かった。
数度赫子を躱され逃げるを繰り返し、そろそろ終わりにしようと、先回りし、
彼女の目の前に現れた時の事だった。
「ひぃっ……ば、化け物っ……!」
「ッ……!」
化け物……たったその一言が僕を凍りつかせる……
そして気が付く、あれ……僕は一体何をしようとしていた……?
レイナーレを見る、恐怖に染まった顔はとても自身に満ちた彼女とは思えない程青くなっており
自分がどんな事をし、これからどうしようとしていたのか気が付く……
僕は彼女を殺そうとしていた……?翼を捥いでも表情すら変えずに……それは……
彼女やはぐれ悪魔と変わらないのではないか……?そう気付くと途端に恐怖が襲ってくる。
あれ……?そんな……そんな……僕は……違う……僕は……こいつらとは違う……
命を奪って、他者を見下して、いたぶって喜んだりしない……
違う……違うッ……違うッ……僕はッ……お前らみたいな……
化け物なんかじゃ……
そんな空白……隙をレイナーレが見逃すはずがなく、
僕を殺そうと、光の槍を創りだし、投擲し僕を貫く……
「死ねェェぇぇッー!」
「あなたが死になさい……!」
ことはなく、赤い閃光と共に光の槍もろともレイナーレという堕天使は消滅した。
「ケン……よね……?大丈夫かしら……?」
呆然としている僕に部長がそう聞いてくる。
「はい……大丈夫です……」
なぜ疑問形なのか気になったが、マスクのせいだと気が付き、外し素顔を見せる。
「そう……よくやったわね……と言いたいところだけど……」
そう言い部長が近付いて来て……
パチンっ!……ぶたれた頬を抑えながら視線を部長に向ける。
「一人で勝手に堕天使を追いかけるなんて何考えてるのっ!?もしあなたに何かあったら
私達がどれだけ悲しむか分からないの!?」
部長が説教を始める、けれど内容はあまり頭に入って来ず、自分が先程しようとしていた
事、アーシアちゃんの事ばかり考えてしまう。
「ケン……聞いてるの……?」
「はい……すいません……」
だからどこか素っ気ない返事ばかり出てしまうのは自然なことだった。
「はぁ……今日は何を言っても駄目みたいね……」
溜め息を吐き部長がそう言う。
「ケン……ただこれだけは覚えておいて……私たちはあなたに何かあったらと思うと心配するし
本当に何かあったらとても悲しいし、辛いの……だから、一人で勝手に行動しないで頂戴
私達にもっと頼って欲しいの……これからもし今回みたいなことがあったら、せめて私達に
一声かけてからにして頂戴……いいわね……?」
「はい……」
「それじゃあ戻りましょうか……」
そう言った部長のあとに続き、僕は教会へ戻る。
そして、そこで有り得ないものを見た。
「アーシアちゃん……?」
「はいっ!カネキさんっ!」
死んだはずのアーシアちゃんがそこにはいた。
「な、なんで……だって……さっきは……」
もしかしたら僕が寝ているアーシアちゃんを死んだと勘違いしていた……?
一誠が泣いていたのは嬉し泣き……?そんなことを考えてしまう……けれど
「はい、私は死んでいました……だけどっ!イッセーさんがお願いして私を悪魔として
転生させてくれました。」
笑顔でそう語る彼女。
「一誠が……?」
視線を一誠に向けると、頬を掻きながらぎこちない笑みを浮かべ、
「まぁ……な……」
そう言った。
アーシアちゃんが悪魔に……シスターである彼女が悪魔になるという事は、
色々と問題があるのでは……?様々な疑問が頭の中で渦巻く……けれど、
一つだけ確かなことがある……それは……
「よかった……」
彼女が生きている、悪魔としてだが、たしかにここに存在している。
そして、僕は想う……もう、二度とこんなことにならないように
強くなろう……と。
「さあ、そろそろ帰りましょうか。」
「「「はい!」」」
もう無力に嘆き、大切な人を失わない様に……
なんか思っていることを描写するのって難しいんだなって
改めて思いました。文才欲しい……
週一更新で頑張ってみます。