ハイスクールD×D√喰種   作:ビギナー

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出来た……と、思いたい。


月光校庭のエクスカリバー
第16話 拘束


先日意識を取り戻した僕は、未だ病室にいた。

肉体の傷は傷跡すら残さず、綺麗に完治していた。そのことに気が付き、悪魔の技術は凄いな、と

感じていたのだが、担当医の話を聞く限り、どうやら治療を行おうとしたところ、傷が勝手に

治り始めたのだと、どこか興奮気味に話してくれた。

 

ぜひ解剖させてくれと、言われたが丁重にお断りした。渋々といった表情であったが、

僕が部長の、グレモリ―の客人として扱われているらしく、あきらめてくれた。

僕は一誠を助けてくれた時以上に、部長に感謝した。いや、もちろん冗談ではあるが、

それくらい感謝した。だって、あの医者、とても医療に携わる者のして良い顔をしていなかった。

あれは、変態か、悪魔の顔だ……あ、悪魔か……

悪魔と変態は似ているな……と、とても失礼なことを考えている僕であった。

 

そんな馬鹿なことを考えていないと、病室とは暇なものなのだ。

普通は、読書をしたり同室の人と会話したりするのかもしれないが、生憎ここは、個室で、

本はあるが、悪魔の文字で描かれた物ばかりで、とても読めない。

 

そんな中、見つけたのが絵本だ。絵本であれば多少絵から内容を読み取れるし、絵から、

想像するのも絵本の楽しみだと思う。

 

絵本を開き読もうとすると、ガララ、と病室のドアが開かれる。

ノックもなしで開けられたドアの前に立っていたのは

 

「小猫ちゃん……?」

 

「カネキ先輩……本当に、起きていたんですね……」

 

「え……うん、昨日からね。」

 

「そうですか……」

 

「う、うん……」

 

沈黙が訪れ、若干気まずくなり始めて少しすると、

 

「すいませんでした……」

 

「こ、小猫ちゃんっ!?」

 

小猫ちゃんが突然頭を下げて謝罪してきたのだ、なぜ謝罪してきたのか分からず、動揺

してしまうが、このまま頭を下げさせておくわけにもいかず

 

「と、取りあえず頭っ!顔上げてっ」

 

「いえ、私は先輩に合わせる顔がありません……」

 

「そ、そんなこと……僕には何をそんなに謝られてるのか分からないし……」

 

「私は、カネキ先輩を守れませんでした……」

 

「え……?」

 

なぜ彼女が自分を守らねばならないのか、疑問に思い、一つのことに辿り着く。

 

「い、いや、部長が頼んだ護衛って、レイナーレの一件で終わったはずだし、僕が

怪我したのは、僕に力がなかったからで……」

 

「それどころか、真っ先に敵にやられてしまいました……」

 

「そ、それは不意を突かれて一誠を助けるためだったって……」

 

「私が未熟で、接近する敵に気が付かなかっただけです……」

 

「そ、それでも、一誠は小猫ちゃんのおかげで助かった訳だし……」

 

「それは、それ……これはこれです……」

 

「無茶苦茶だよ……」

 

「むちゃくちゃでも、なんでもいいのです……ただ、私は先輩に謝り、新たに約束する

ことにしただけなのです……」

 

「い、一体何を……」

 

何を言うつもりなのだろうか、そもそも、僕は謝罪をされる必要が無いわけで……

何を言い出すか分からず、構えていると

 

「私は、強くなります……そして今度こそカネキ先輩を、みんなを守れる様になりますっ」

 

それは、小さな身体に見合わない程頼もしく、どこか儚く感じられた。

だからだろうか、思った瞬間に僕は話し始めていた。

 

「そっか……なら、僕も、強くなる。その時は、僕の事を……みんなの事を守ってくれる

小猫ちゃんを……僕が守ってもいいかな?」

 

言ってから、気が付いた、これじゃあまるで告白みたいじゃないかっ!?一気に体温が

上昇し、恥ずかしくなる。一番良いのは小猫ちゃんが告白と思わず、普通の約束だと

思ってくれることだが……もし告白と取られ、振られたら、顔を合わせるたびに

気まずくなりそうだ……急ぎ、先程の言葉の意味を伝えようとする

 

「い、いや、あの、今のは……」

 

「っ!……そ、そうですね……先輩が私より強くなったら……考えてみなくもないです……」

 

「違くて……えっ?」

 

そ、それはつまりどういうことなのだろうか

 

「では、お大事に……約束ですよ……」

 

「あ、うん……」

 

ガラガラと、扉が閉まり、病室は静粛に包まれる。

 

「え……」

 

結局、あの返事はどういう意味なのだろうか、病室には悶々と考える僕の姿だけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

翌日僕は退院して、普通に学校へ向かっていた。

なぜこんなにも早く退院できたのかと言えば、僕が部長に頼んだからである。

傷はすでに完治しているし、このままここにいたらなんだが身の危険を感じたからである。

主に担当医のせいであるが……それに個人的に食事がまずく、食欲が湧かなかったからという

理由もある、それになぜか空腹も感じないし、病院にいたら、お腹が空いてないのにも

関わらず、あのまずいご飯を食べなくてはいけなくなるからだ。

 

入院したのは初めてではあるが、食事があんなにまずいのならもう入院はしたくないなぁと

思った僕であった。

そんなことより、勉強に遅れが出たら後々大変なことになる可能性があるため、主に三馬鹿

に勉強を教えるためであるが……

 

そんな訳で、部長は心配そうに本当に平気かなど、聞いてきたが、完治している有無を伝え

食事の件を話すと、しょうがないわね、と微笑みながら僕の退院を許可してくれた。

まぁ、今までの話で分かると思うが、僕が入院していた病院は悪魔が経営する、病院だ。

普通に人間界に悪魔がいて、病院を経営していることには、突っ込まない。

 

そして今僕は今までに体験したことがない危機に瀕していた。

このあと授業が終わり次第、一誠とアーシアちゃんと部活へ向かうことになっているのだが

昨日のことがある……そう、小猫ちゃんと僕はどんな顔をして合えばいいのだろうか、と

いうことだ。

 

そもそも、小猫ちゃんのあの発言の意味を僕はまだしっかりと理解出来ていないのだ

小猫ちゃんは自分より強くなったら、考えて見なくもない、と言ったのだ、

これは、遠回しに断ってくれた、ということになるのだろうか?

それとも純粋に守ってくれるなら、自分を超えてから的な意味でいったのだろうか、

もし断られていたということなら、とても気まずい感じになるのではないのだろうか、

延々と、考えていると

 

「おーい、おい、おいってば……カネキッ!」

 

「な、なにの様でございまするかッ!?」

 

「い、いや、お前がどうしたよ……部室着いたけど。」

 

「え……?」

 

一誠に声を掛けられ、部室に着いた、着いてしまったことに今更気が付く。

まずい、まだ考えがまとまっていないのに……

 

「か、カネキ?体調悪いなら帰ってもいいと思うけど、なんなら送って行くし……」

 

「か、カネキさんっ、どこか悪いんですかっ?」

 

どうやら、一誠だけでなくアーシアちゃんまで心配にさせてしまった様だ。

 

「い、いや……だ、大丈夫だから……」

 

「で、でも、すげぇ汗だけど……」

 

「あ、熱いからねっ!あー、熱いなー」

 

「そっか?まぁ夏も近いしな。」

 

「そうなんですか?熱中症には気を付けてくださいねっ!」

 

「う、うん、水分補給は大事だよね。」

 

なんとかやり過ごした僕は結局問題が解決していないことに気が付き、

また思考の海へダイブしようとしたが、一誠達が部室の扉を開いたことにより

そんなこともしていられない。

 

「(ええい、侭よ)」

 

もうどうとでもなれ、と一誠達と共に部室へ入り、問題の対象と目が合う。

 

「あれっ、小猫ちゃんだけ?」

 

「そうですが……」

 

一誠が、小猫ちゃんがそう尋ねる、あれっ?普通……?いや、会話したのは一誠だ、

まだ決めつけるのは早い。

 

「んー、今日は、何したらいいんだ?」

 

「部長から、今日はチラシ配りをして欲しい、と……」

 

「そっか、なら二組に分かれてやった方が速いかな。」

 

「へっ?」

 

一誠の提案に思わず声が漏れてしまう。そんな、二組なんて、アーシアちゃんが

一誠と行きたがるなんて結果が見えてしまうじゃないか……そうなったら、必然的に

僕が、小猫ちゃんと……き、気まずいなんてものじゃない。ここはなんとしても

アーシアちゃんか、一誠といかねば

 

「わ、わたしっ、い、イッセーさんと行きたいですっ!」

 

せ、先手を打たれたっ!?

 

「ん?じゃあ、カネキは小猫ちゃんと頼んだぜっ」

 

「あ、い、う、うん……」

 

断ろうと、なんとか結果を覆そうとしたが、小猫ちゃんからの謎の圧力と、

アーシアちゃんの嬉しそうな顔を見たら、返事をしていた。

な、なにをいってるか(ry

 

 

 

 

 

 

そして、現在悪魔を召喚に用いる紙を配っているところである。

小猫ちゃんとの会話は、未だに無く無言でチラシを配っている。

これは、僕を振ったことに気を使っているのだろうか?それとも……

考え込んでいると、

 

「カネキ先輩……」

 

「な、なにかな……?」

 

「あれ、食べたいです……」

 

そう言い、彼女が指さしたのは移動型のアイスクリーム屋だった。

 

「え、あ、うん。」

 

「食べたいです……」

 

ああ、目で語っている。奢れ、と……圧力に負けた僕は

 

「お、奢るよ、何味がいい?」

 

「いえいえ、奢って貰うなんて……とんでもないです……でも先輩が

どうしても、というなら、私は止めることなんて出来ません、

ここは、王道にバニラで。」

 

「ば、バニラだね、分かったよ……」

 

奢って貰うなんてとんでもないと、言っている割に、しっかりと

食べたい味を言う、小猫ちゃんに若干戦慄を覚えながらも

僕はソフトを買いに行く。

 

「はい、これ。」

 

僕は買って来たソフトを小猫ちゃんに手渡す。

 

「ありがとうございます……カネキ先輩は食べないんですか……?」

 

「え……?う、うん、ちょとお腹も一杯だし、買っても全部食べられそうに

ない、かなーなんて……。」

 

「そうですか……」

 

そんな会話をしながら、僕らはまた歩きだす。

そして、気が付くあれ、普通に話せてる、なんだが悩みまくった

僕が馬鹿みたいで、少しおかしく、笑みがこぼれてしまう。

 

「?どうしました……?」

 

「いや、なんでもないよ。」

 

「そうですか……」

 

どこか、釈然としない表情をしていた小猫ちゃんだったけれど、

僕が話そうとしないことを察したのか、アイスを舐めながら

また歩き出す。

 

 

 

 

空は茜色に染まりきった頃、僕らはチラシを配り終えていた。

 

「終わりましたね……」

 

「そうだね。」

 

そして現在帰り道の最中だ。

 

「今日は、ありがとうございました……おいしかったです、アイス……」

 

「そ、そう?ならよかったよ。」

 

会話は相変わらず少ないが、僕は気まずく感じていたはずの沈黙が

あまり気にならなくなっていた、時々会話を交わしながらの帰宅は

分かれ道が来たところで、最後を迎える。

 

「それでは、私はこっちなので……」

 

「あ、うん、最後まで送ろうか?」

 

「いえ、ここから近いので大丈夫です……」

 

「そっか、それじゃあ、また……明日。」

 

「はい、また明日……」

 

別れのあいさつを交わし、僕らは別々の道を歩み出す。

僕はこの時小猫ちゃんと、一緒に居るべきだったのだろうか、

それとも一緒に居なかったことで彼女も一緒にああ、ならなかった

ことを喜ぶべきなのか、少なくとも、僕が彼らに出会ったのは

間違いだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

それは、唐突にやってきた、上空に現れたそれは僕を見下ろしていた。

2対10枚の漆黒の翼を持ったそれは、レイナーレの物とは比べ物にならない程、

強大な力を持っていることが一目でわかった。

今の僕じゃ勝てない……!そう理解した瞬間に逃げ出そうとしたが僕はただ、その強大な存在

から目を逸らすことが出来なかった。

目を逸らせば、背を向ければ、その瞬間に僕は死んでいるだろう。

それを本能で理解していた僕の身体は、足は鉛のように重く、まるで地面に縫い付けられて

いるかのように動かなかった。

 

「こいつか?フリード、やれ。」

 

「アイアイッサー!」

 

気が付いた時には、剣が迫って来ており、それを何とか回避することに成功するが、

 

「本命はこっちっちっ!」

 

いつの間に、突き刺していたのだろうか、身体に刺さっていた針のような物を、

僕は抜き取るが、意識が朦朧とし始め身体が前後左右に揺れ、最終的に倒れてしまう。

 

「おやすみ、良い夢見れるといいね、きひっ」

 

最後に目にしたのは銀髪の、気味の悪い笑みを浮かべた青年の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 




自分のラブコメの限界。
自分の中では小猫ちゃんはまだ惚の字ではありません……
本当はもう少し日常回入れたいと思っているのですが、
来年から忙しくなるので、できたら今年中に完結したいな、と思っている次第です。
一応、次の話というか、第19話くらいまで書いてるのですが、
色々矛盾点など少なくするために、コカビエル終了まで投稿しないかと、
(本音を言えば、投稿したら、先の展開読める人いそうな気ががが)
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