ハイスクールD×D√喰種 作:ビギナー
長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
第24話 帰還
カネキがフリードを追いかけて消えてしまった日から約一週間。
オカルト部では依頼の合間や空いている時間を見つけてはカネキの行方を捜していた。
そんなある日の夜、薄暗い部室の中では蝋燭の明かりに照らされたリアスに朱乃が最近のはぐれ悪
魔や堕天使の傾向の報告を行っていた。
「以上が調査の結果です」
「そう……ありがとう」
報告を聞き終えたリアスは礼を述べ、顎に手をやり少し考えた後口を開く。
「最近ははぐれ悪魔の被害が随分と少ないのね……まるで何かに怯えて隠れているかのように目撃
情報が無いのも変ね」
「ええ……そのことについてなのですが、ある噂がはぐれ悪魔達の間で広がっているそうなのです」
「噂……?」
「なんでも、堕天使陣営の隻眼の化け物がはぐれ悪魔狩りをしていて、ここら辺のはぐれ悪魔は狩
り尽くされてしまったらしいですわよ」
「堕天使陣営にそんなのがいたなんて聞いたことないわよ?」
「私も今回の調査で初めて聞きましたわ。そして噂は複数あって伝えたかったのはこちらの方の噂
なんです。気味の悪い眼帯を付けた悪魔が血肉を求めて夜な夜な徘徊していて、見つかると肢体を
捥ぎ取られ最後には塵すら残さず食べられてしまうんだとか……」
「気味の悪い眼帯……?それって……」
眼帯と聞いて真っ先に思い浮かび上がったカネキの存在にその噂の人物はカネキなのでは?と思っ
たリアスであったが……
「悪魔ってことはケンのことじゃないわね……」
悪魔。カネキは確かに神器によりコカビエルすら倒してしまう程の力を持っているが人間である。
「悪魔と言いましたが正確には違うようですわ」
「……どういうこと?」
「なんでも、偶然現場を目撃した悪魔が血肉を貪るその姿が人のものであるはずがないのに、悪魔
でも堕天使でもましてやそれ以外の人外でもなく”人間”であったため、そしてその姿が悪魔より悪
魔らしかったから”悪魔”と言って噂を広めたようです」
「……悪魔より悪魔らしい……」
悪魔より悪魔らしいそんなイメージは普段のカネキとまったく一致しなかったが、コカビエルとの
戦いの中、カネキから感じた冷たさはそれに近い物だと思った。
もし仮に噂の人物がカネキであるのなら連れ戻し、なぜ血肉を貪るなどという噂が出ているのか、
なぜ帰って来てくれたのにまたどこかへ行ってしまったのか。
様々な疑問が浮かんでくるがそんなことよりも、再びカネキにオカルト部へ戻ってきて欲しいとい
う想いが強かった。
「そして、彼はこう呼ばれているそうです」
――――”隻眼の喰種”と……
「グール?あの姿を変えて屍を貪る怪物の?」
「いえ、正確にはあらゆる種族を喰らう。故に喰種というらしいですわ」
「喰種……もしその隻眼の喰種がケンのことなら、堕天使陣営について調べる必要があるわね」
「そうですわね」
「なら、最近イッセーに近づいてきた堕天使に”おはなし”しなくちゃいけないわね」
「ふふ、そうですわね」
そして二人は魔方陣に乗り、どこかへ消えて行った。
――――
あの日、アザゼルさんの元で修行を始めてから僕は一度も学校に行っておらず、家に帰ったのも最
初の日だけで一誠にも、オカルト部のみんなにも、松田、元浜にも会っていない。
学校には長期の入院のため休むと伝えてある。どこに入院しているか、なぜ入院しているかなどは
以前ライザー戦の後入院した病院にて、あのマッドサイエンティストに血を提供する代わりに偽造
してもらった。もちろん部長達には僕が入院していないことなど、ばれているだろうがどこにいる
かは、医者にも伝えていない。
他者を喰らい、力を蓄える。こんなことをしている僕が、みんなの元に平然と戻って良いものか。
犯罪を犯して逃げ出したはぐれ悪魔とはいえ、命に変わりはない。その命を奪って、返り血に染
まった身体で、血に濡れた手で、血に塗れた口で、みんなの前に、みんなと同じように歩んで良い
のか?……良い訳が無い……だから、僕はみんなとは別の道を行こう。
その道が交わることがなくとも僕は、この血塗られた道を進むしかないのだから。
「……ごちそうさまでした」
血に濡れた手で血に塗れた口を拭う。初めは喰らった時の血の味や、肉の感触、鼻に着く鉄の匂い
すべてに嫌悪しながら、吐き気を堪えながら、無理やり胃に流し込んでいた。
だが、いまでは嫌悪はあるものの、味合わないコツを掴み、吐き気もなくすぐに飲み込める。
何十何百と言うはぐれ悪魔の骸を築き、貪り喰って来た僕は、それ相応の力を手に入れた。
だが、だがまだだ。まだ足りない。アザゼルさんとの組手では多少戦えるようにはなってきたが、
まだまだ僕は強くならなければならない。強くなければ奪われてしまう。強くなければいけない。
「もっと……もっと強くならなくちゃ……」
そう、強くなくては意味がないのだから……
「お前、少しは学校の連中に顔くらいみせにいけ」
「……はい?」
いつもの様に依頼をこなし、アザゼルさんに組手の相手をしてもらうために研究室に来たのだが、
開口一番にそう言われ、疑問の声を上げてしまう。
「まぁ、色々あってな。グレモリーの御嬢さんに俺のことばれちまってな。威厳とか威厳とかを護
ろうとしたら、お前のこと言っちまってな。はっはっはっ!」
「……は?」
思っていた以上に低い声が出て、思わず指を押し鳴らして赫子を発動してしまった。
「い、いや、違うんだ。あいつらもお前の事心配していて、そ、そう!俺が、なぜか黒幕扱いされ
そうになったから、つい本当のことを……」
「………………」
「ご、ごほん。ま、まぁ……それも理由の一つだが、実は近々悪魔、堕天使、天界の三陣営による
和平会議が開かれる。コカビエルが悪魔陣営に宣戦布告しようとした今回の一件を機に和平を結ぼ
うってことだな。そうなると、コカビエルの一件を解決したリアス・グレモリ―は勿論、眷属も参
加することになるだろう。まぁ、問題はそこじゃねぇ、和平に全員が全員賛成だ。なんてことはな
い、必ず邪魔をしようとしてくる連中がいることだろうよ」
「っ……!」
「お前はあいつらを護りてェから、修行してんだろ?なら、行方不明になってたやつがいきなり現
れるよりは、少しでも顔出して置いた方がいいと思ったからよ」
「……………」
「変な意地はらねェで早く会いに行って、仲直りするなり、勝手にいなくなってすいませんでした
とか謝っておいた方が護り易いんじゃねぇか?」
「……………」
僕は、どうしたら良い……?
「お前は、どうしたい?」
「僕は……みんなに……会いたい」
「なら、会いに行けばいいじゃねェか」
「でも、僕は、たくさん殺して、奪って、喰らった……」
「そんな自分がみんなに会っていいのかーとか、悩んでるんだろうが、お前はあいつらを護りてぇ
んだろ?会わずに護れれば、そりゃ良いかもな。それはあいつらの前に敵が辿り着く前にお前が出
会うことが出来たってことで、お前がそいつを倒せれば、あいつらに危険はねぇんだからよ。だ
が、全ての敵とお前が先に出会い、且つあいつらがそこに現れないなんてことはまずない。いつか
は顔を合わせることになるだろう。今回の和平会議もそうだ。敵が現れればあいつらは戦うだろう
よ。そんなときでも、お前は顔を合わせたくないからって、ただ見てるだけか?」
「違うッ!」
「なら、いつかは会うことは決まっているんだ。なら、今のうちに会って話をしといた方がいいん
じゃねぇか?」
「ぼ、くは……会いに行っても……いいんでしょうか……」
「たとえ誰かがだめだと言っても、俺が許す。ふっ、堕天使総督の許可があるんだ、他の奴の許可
なんていらねぇだろ?なんなら、師匠命令でも出してやろうか?」
そう言って、彼はにやりと笑う。
ああ、僕は知らない内に護りたい存在が増えて居た事に今更気が付く。
「確かに、そんなの出されたら、誰も反対出来ないですね」
自然と頬が緩み、久しぶりに笑みが浮かぶ。
「そうだろう、そうだろうっ!」
「でも……今回は大丈夫です」
「あん?」
「自分の意思で、みんなに会いに行って来ます」
「……そうか」
振り返り、研究室の外へ向け歩みを進める。扉の前で立ち止まり、振り返らず口を開く。
「ありがとうございました。行って来ます」
「おう、行って来い」
開いた扉から入り込む日の光はずっと闇の中にいた僕には眩しくて、つい手をかざす。
空は晴れ渡り、一日の始まりを迎えていた。
――――
人目を避けながら学校へ足を進める。
道中何度が歩みが遅くなり、行くのを今からでもやめようかと何度も思ったが、その度に自分に自
分の意志で行くと決めただろと言い聞かせ、ついに校門前まで来たのだが、校門の前に佇む一人の
人物を視界に収めたことにより、今までの考えなど吹き飛び思考がカチリと戦闘時に切り替わる。
カネキが黙っていると、まるで嵐の前の静けさの様にその場は沈黙に包まれた。
カネキの方へ歩きだし沈黙を破ったのはヴァーリの方だった。
「アザゼルが君と会わせないようにしていたから、そう簡単には会えないと思っていたが……これ
は運命ってやつを信じてしまいそうだよ」
「…………」
ヴァーリがカネキの前で止まり口を開く。
「良い眼をしている」
「…………」
「……和平。楽しみにしていると良い」
「……っ」
視線が交差し、すれ違う。
この先どんなことがあろうとこいつとは戦うことになるだろう。
お互いそう認識し、敵の顔を、名を脳裏に刻み込む。
「ヴァーリ」
「カネキ ケン」
「「(こいつは、
互いの名を呼び、別々の方向へ歩みを進める。
――――
セミの鳴き声やプールの水音を聞きそういえば今は夏だったんだと、少し感傷に浸りながら水音の
する方へ歩みを進める。
「はぁ、こんなことしてる暇があったらカネキのこと探さなきゃいけねぇのに、どうして俺ってや
つは目の前に広がる楽園を眺めていることしか出来ないんだろうな」
「それが男の
「そうだよな。しかたねぇよな……ん?」
木場はプールの向こう側にいるし、こんなことを話してくるのは松田か元浜ぐらいだと思っていた
が、聞いた声はどちらにも当てはまらずしかし、聞いたことのある声で最近は全然聞いていなかっ
た懐かしい声に首を捻り後ろに視線を向けるイッセー。
そしてそこには……
「でも、この場合はイッセーだから、で説明が付くと思うんだ」
「お、お前っ!」
「久しぶり……いや、ただいま……かな?」
「カネキィッ!!!」
親友がいた。
拉致→帰還→家出→帰還←今ここ
なんか似たような展開ばかり書いてる気がしますが他にあまり良いの思いつかなかったので
これが限界です。
そして気味の悪い眼帯でカネキ君を連想するリアス……かっこええやん歯むき出し眼帯。
今年中に和平終わらせたいな(願望)