ハイスクールD×D√喰種   作:ビギナー

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第27話 赫子

「あ、れ……?」

 

突然のことに何が起こったのか、当事者であるカネキは未だ理解できず。その身にやってきた痛み

にやっとのことで現状を理解する。

 

「ごふっ……」

 

吐血して気がつく。貫かれていた。赫子に。

一体誰の?倒れ伏す二人は未だに意識を失っており、ピクリとも動かない。

 

ならば、誰の?

 

腹部を貫いた赫子による傷は決して浅くはなく、痛みは想像を絶する。

だが、カネキには痛みは思考を止める理由にならない。そして、答えに行き着く。

 

二人だけじゃなかった?

 

答えを得たのなら行動を開始する。首を軽く捻り、後ろを確認すると倒れ伏す二人と同じような格

好をした喰種(グール)がいた。

数は約10。

先程倒した喰種(グール)の二倍どころの話ではなく5倍。そんな絶望的状態であってもカネキの思考は冷え

切っていた。

 

冷静に数を数えると、一番後ろにいる喰種(グール)を地面に潜り込ませていた赫子で貫く。

 

「……!!」

 

言葉を発することなく絶命した喰種(グール)にもっとも近くにいた喰種(グール)が声は出していないが驚いているこ

とがわかった。

 

「まず、一人……」

 

ぼそりと呟くと、カネキを貫いていた喰種(グール)が後ろを振り向く。

その一瞬があればカネキには十分だった。一本の赫子で後ろを向いた喰種(グール)の首を刎ねる。

刎ねられた首が地面にぼとり、と音を立て落ちると、カネキを貫いていた赫子が赤い霧となり消える。

 

「これで、二人……」

 

カネキの呟きを皮切りに残る八人の喰種(グール)が一斉に襲いかかってくる。

対するカネキは赫子を地面に叩きつける。それにより舞い上がる土煙を隠れ蓑にして姿を木々の中

に消す。

あれだけの数。それにまだ伏兵がいることを考えたら正面から戦うのは下策。故に考えをまとめる

ために身を隠したカネキ。

 

「(さて、どうする……)ッ!?」

 

作戦を練ろうとしていたところに突然飛来する物体。それはカネキが今まで見てきた赫子とは違っ

ていた。鋭利な羽根が弾丸の様に次々と飛来してくる。

カネキが知っているであろう見慣れた赫子とは似ても似つかない造形をしているのに、なぜかカネ

キはそれを赫子と認識していた。

 

――――羽赫

 

誰に言うでも、呟くのでもなく頭の中に浮かんだ名称を頭の中で復唱する。

 

そして、どいつが羽赫なのかを確認するために木々を足場にして攻撃を避けながら相手を視覚に入

れる。

 

数は2。一人は遠距離から、もう一人はこちらに迫りながら赫子を起動していた。

 

「(やっぱり速いな……)」

 

追いつかれると判断したカネキは目の前の大木を足蹴にして、後ろから迫る羽赫の喰種の方へ跳躍

する。

目の前に映る羽赫の喰種

 

「これで、三人……ッ!」

 

完全に不意を突いた一撃。

 

「ッ!!!」

 

だが不意を突いたのはカネキだけではなかった。

真下から突き上げる形で迫る赫子。形状は鋭く、肩から腕を覆う様に伸びている赫子はさながら剣

の様で当たれば致命傷は避けられない一撃。

 

――――甲赫

 

だが、それも当たればの話だ。

 

カネキは気がついた瞬間に行動を起こしていた。空中で身を翻し羽赫の喰種の顎を蹴り上げる。さ

らにその蹴りを利用して身体を甲赫の赫子の通過経路からずらす。

 

「ぶべぇッ!」「ッ!!」

 

羽赫の喰種は上に吹き飛び、甲赫の喰種は不意打ちを回避されたことに驚きを隠せない。

更にカネキは落下しながら身を捻り、赫子を振り回す。

甲赫の喰種は咄嗟に赫子で身を守るがカネキの赫子は赫子の守りなどないかの様に、赫子ごと甲赫

の喰種を吹き飛ばす。

甲赫の喰種は木を数本へし折りながら吹き飛ぶと勢いが収まったのか、少し大きめな木にぶち当た

るとピクリとも動かなくなった。

 

「これで、3……いや」

 

カネキは言葉を区切ると赫子を頭の上に向ける。すると、先程蹴り上げた羽赫の喰種が降ってきて

赫子に貫かれた。

びしゃびしゃと潰れた果実のように血の果汁を撒き散らす羽赫の喰種を見上げる。顔に血が滴るが

何も感じていないかのような無表情で羽赫の喰種を見つめる。

 

「――――4」

 

淡々と仕留めた敵の数を数えるカネキに常人であれば恐怖を感じるだろう。だが、敵は止まらな

い。先程見つけたもう片方の羽赫の喰種が赫子の雨を降らせる。

カネキは仕留めた羽赫の喰種を盾にしながら、赫子の雨を突き進む。

喰種の盾は存外脆くすぐに使い物にならないただの肉片へと姿を変えた。それでもカネキは止まら

ず、いつの間に拾ったのか今度は甲赫の喰種を盾に走り続けた。

そして、甲赫が肉片に変わる頃には羽赫の喰種との距離は狭まり赫子の有効範囲に入った所で羽赫

の雨が止み、横から二人の喰種が現れる。

 

尾骶骨周辺から尾の様な赫子を出した喰種が二人。

 

――――尾赫

 

羽赫の喰種を守るかの様に立ちふさがる尾赫の喰種達。カネキは走る速度を緩めず大地を強く蹴

り、尾赫の喰種の上を飛び越える。

その先には羽赫の喰種がいるが、なぜか赫子はボロボロと崩壊していく。

 

「あれだけ考えなしに撃っていたんだ……燃料(ガソリン)切れになっても不思議じゃない」

 

「ッ!!」

 

羽赫の喰種は赫子がなくてもと言わんばかりに拳を振り下ろすが、カネキは片手でそれを受け流す

ともう片方の手で腕を掴み、引き寄せながら肘鉄を顔面に叩き込む。

 

「ごばッ!」

 

歯が折れたのか口から血を吐き出しながら倒れる羽赫の喰種を後ろへ放り投げる。

投げられた羽赫の喰種はこちらに迫っていた尾赫に受け止められる。

だが、その身体には深々と突き刺さった赫子が繋がっていた。

カネキは羽赫の喰種を投げたあと、その身体を隠れ蓑にしながら赫子を操っていたのだ。

 

「がはっ!」「ごべぇ!」

 

「これで――――6」

 

羽赫と尾赫一人を仕留めたカネキは一気に二人やられた尾赫の生き残りを視界に収める。

 

「ッ!!!」

 

尾赫の喰種は地面に赫子を叩きつけ、土煙をあげる。

カネキは赫子を横薙ぎに振るう。それだけで土煙は晴れ、逃げようとしていた尾赫はピンボールの

様にはじけ飛ぶ。

 

「逃がす訳ないよね」

 

――――7

 

あっと言う間の出来事であった。始め10人はいた喰種は半数以上を失い、最初に数えた限りで残

すは3。

 

そして残りの3人が姿を現す。だが、その姿は今までの喰種とは少し変わっていた。

今までの喰種が被る仮面は両目が開いていて、そこから覗く瞳はカネキと同じであったが両目

とも赤かったのだ。だが――――

 

「……?」

 

カネキはその3人を視界に入れると疑問を抱く。

 

――――あんな格好をしたやつ、最初見たときにいたか?それに……

 

「片方だけ……僕と同じ?」

 

その3人はカネキと同じ、隻眼だった。そしてその赫子もまた同じだった。

 

――――鱗赫

 

「赫子まで同じか……」

 

最初に倒した二人も同じだったが、目の前にいる三人はあれらとは違っている気がした。

 

「(一体どうして……そもそもなぜ僕以外に喰種が?しかもこんなに……)」

 

「(――――来るッ!!)」

 

考える暇を相手が与えてくれるわけもなく、答えてくれる訳もなく、三人同時に襲いかかって来

る。

右、左、中央。三方向に別れた隻眼の喰種達は逃げ道をなくしながら赫子を展開する。

 

「(後ろに下がるのは相手も読んでいるだろう。そして、どの喰種の赫子も僕の赫子に比べたら脆

い。なら……)」

 

カネキは唯一の逃げ道である後退を選ばず――――前進した。

 

「(前進あるのみ(ゴリ押し))」

 

赫子を前で交差(クロス)させ、身を隠しながら走るカネキ。

そして、中央の喰種との距離が近くなると、解き放った。

 

「ぐッ!!」

 

中央の喰種は赫子で防ぐも後方へ吹き飛ぶ。

左右の喰種は身を屈めて回避しながらもこちらへ向かってくる。

カネキは吹き飛ぶ中央の喰種へ赫子を向けガードのない足へ絡みつかせると、左の喰種目掛け振る

う。

 

「(これで、左は少し時間が稼げる)」

 

そして、カネキは右の喰種へ接近する。当然右の喰種は赫子を使い殺そうとしてくる。

 

「(二本程度なら、どうとでもなる)」

 

まるでどこに来るのか、どう動くのか分かっているかの様にカネキは紙一重で赫子を避け続ける。

気がつけば右の喰種との距離はなくなり、右の喰種は赫子だけでなく、その身すらも武器として戦

い始める。だが――――

 

「(そう、攻撃の文脈を読むんだ。視線、呼吸、足取り、関節の些細な動きで予測しろ。そうすれば――――)」

 

――――「当たらない」

 

「(そして、躱したら――――)」

 

「――――反撃」

 

右の正拳突きを身体をずらし躱し、脇に挟み関節部分に掌底打ちを叩き込む――――右腕がへし折れる。

 

「アアァァァァl!!!!!!」

 

悲鳴をあげ、右腕を抑えながら蹲る喰種。

 

「だめだよ。痛みは我慢しないと……じゃないと」

 

カネキの背後にはいつの間にかゆらゆらと佇む鱗赫の赫子があった。

 

「――――死んじゃうよ?」

 

喰種の瞳はすでに恐怖に飲まれており、その瞳が最後に映したものは、頬を吊り上げて笑う本物(・・・)

喰種だった。

 

右の喰種の首を刎ねたカネキはその場から跳躍する。

すると、先程までいた場所には赫子が次々と突き刺さっていた。

カネキは静かに着地すると、隻眼の喰種二体へ向けてか呟く。

 

「――――なんだ、隻眼(僕と同じ)なのに両目(さっき)のと対して変わらないのか」

 

何かと比較していたのか、まるで失望したかのように、嘲笑うかのような視線で見下すカネキ。

そんな視線に恐怖したのか、その場から動かない隻眼の喰種達。

誰も動かないそんな状態は静粛を生み、にらみ合いが始まる。

暫く続くかと思われた静粛は当事者ではなく、場外からやってきた部外者、いや正確には黒幕の手

によって破られる。

 

ぱちぱちと、この場には不釣り合いな拍手が響き渡る。

 

「いやー、まいったね。これは予想外。あの不死鳥(フェニックス)如きにやられていたカネキ ケン(オリジナル)がここまで

強くなっていたなんて」

 

「あ、なたは……どうして……いや、考えれば最初から貴方しかいなかった」

 

その人物の登場にカネキは同様を隠せない。

 

「――――Dr. (ドクター)

 

「そう、私が彼らの産みの親。Dr. (ドクター)だよ。カネキ君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




したり顔でさも当然の様に出てきたオリキャラ(敵)
共食いさせたかったから喰種(モブ)は出そうと思っていたときに使えそうな医者がいたから……誰も覚えてないだろうけど。

原作13巻衝撃がすごかったです(小並)
竜はちょっとこの作品では出せないかなぁと思います。一応終わりまでの展開はあるので。
14巻次第では行けるかもだけど……
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