ハイスクールD×D√喰種 作:ビギナー
お祝いの品を購入した後、僕はそのまま帰り道の途中にある公園に寄り道をしていた。
目的は公園にある自販機だ。学校からの帰り道にあるこの公園はたまにコーヒーを買いに立ち寄
る。
家で豆から入れるのもおいしいのだが缶コーヒーにも、缶コーヒーの良さがある。
「ふぅ……」
この公園ではよくカップルを見かける。そのたびに松田や元浜や一誠が血涙を流しながら呪詛を唱
えるのだが、今日は一人だ。周りには数人のカップルが見える。というかカップルばっかりだ……
自分が場違いに感じられ早く帰ろうと、思ったときだった。
辺りが急に薄暗くなり、カップルたちの声が聞こえなくなった。
不思議に思い、周りを見渡すと先程までいたカップル達が消えていた。
「あ、あれ?……」
さっきまでいたのにな……気味が悪くなり、足早に公園から出ようとした。が……
「な、なんで……」
出口から出ようとすると壁のようなものにあたり外に出られなかった。
「ど、どうなって……」
何度出ようとしても出ることは叶わず、手を伸ばせば何もないのに何かある。
恐ろしくなり来た道を引き返し他の出口から出ようとする。けれど出ることは出来ず、がむしゃら
に走り出す。
「だ、だれかいませんか!?」
呼びかけた声も空しく返事はない。
走る、走る、走る
誰か、誰か、誰か……
「どうして誰もいないんだ……!」
恐怖で心が折れそうだった……
「……………わ……」
ッ!誰かの声が聞こえた!
恐怖の中に現れた一筋の希望それがこの状況を起こした犯人だとは思いもせず走りだす。
声の聞こえた方へ走る。そこは噴水のある公園の中心部だった。
「あ、あの……」
声を掛けようとした、けれど目の前の惨状を目にして出て来た言葉は名前だった。
「いっ……せい……?」
昔からの付き合いで僕の初めての友達でなんで……なんで血だらけなんだ……?その腹に刺さって
いる光り輝く槍は……疑問の声を上げようとしても出てくる言葉はなく、あるのは絶望。
「あら?なんで人間が結界の中にいるのかしら?」
その声を聴いて気付いた。姿は変わっていてもそれが一誠の彼女の夕麻ちゃんであることはすぐ
わかった。だけどなぜ……なぜ彼女である夕麻ちゃんが一誠に刺さっているのと同じ光の槍を持っ
ているのだろうか。
「な、なんで夕麻ちゃんが一誠を……」
「あら、あなたも
周りに人がいなくなり、やっと会えたと思ったら瀕死の一誠と一誠を瀕死状態にした夕麻ちゃん。
「ゆ、ゆう……ま……ちゃん……」
「夕麻?あぁそういえばそんな名前にしてたわね。」
そんな名前にしてた?一誠が夕麻ちゃんの名前を読んだあと彼女がそう言った。
「特別に教えてあげるわ、私の名前はレイナーレ。あなたたちを殺すものの名前よ」
レイナーレそれが彼女の本当の名前。名乗った彼女は手にしている光の槍を投げた。
「ッ!」
運よく槍は僕に当たらず逸れたようだ。だが僕は今避けることすらできなかった。
彼女が腕を振り上げた瞬間光の槍が頬をかすめて飛んで行った。わかったのはそれだけ。
「あら?外しちゃったわね。ふふ、次は当てるわ」
彼女笑みを見た瞬間理解した、運よく外れたのではなく外したのだ。
「本当はあまり時間を掛けたくなかったのだけれど、気が変わったわ」
気が変わった?
「10数える間にいなくなればあなただけは、見逃してあげるわ。」
「い、一誠も「あなただけと言ったでしょ?」
つまり一誠を見捨ててここから去れということだ……
「そ、そんなこと!」
「できなければ2人仲良く死ぬだけよ。よく考えてもみなさい、あなたじゃ私に傷一つ付けられ
ない。なら一人だけでも生き残った方がいいでしょう?」
たしかにそうだ、普通ならそうだろう……だけど……!
「一誠を置いていけない……」
「カネ……キ……お……れは……いい……か……ら……」
「よくないッ!絶対に見捨てない!」
一誠の声を遮るように叫ぶ。
「10」
見捨てられる訳がないじゃないかッ!
「9」
一誠は……僕の……初めての友達で……
「8」
一誠がいたから……一人じゃなくなった……
「7」
一誠がいたから……おじさんやおばさんに出会えた……
「6」
一誠がいたから松田に出会えた!
「5」
一誠がいたから元浜に出会えた!
「4」
一誠がいたから……たくさんの楽しい思い出が出来た!
「3」
そんな一誠が……いなくなる……?
「2」
そんなのは……いやだ……いやだ!
「1」
そんなのゆるせない……!
「
直後身体が熱くなり腹部には一誠と同じように光の槍が突き刺さった。
ただ……レイナーレにも僕から出た赤い爪が突き刺さっていた。
「ゲフッ……」
「な、なによ……これ……わ、私は……至高の堕天使なの……よ……こ、こんな……人間ごときに……」
吐血しながらレイナーレを視る。すると僕の腰から生えたものはレイナーレの腹部を突き破り貫通
していた。
「ありえないわ……こ、んなの……認めない……」
だがレイナーレは、上空へと飛ぶことにより爪を抜き取った。
「こ、このォ……人間風情がァッ!!この私に……傷を……殺すッ!」
一誠に告白していた時の可愛らしい表情は消え去り、同一人物とは思えない、憎しみを含む罵倒を
叫ぶ。
「死ッ!なッ……この紋章は……チィッ!今日は邪魔が入ったからこの辺にしておいてあげるわ。
目的はもう達成したようなものだしね……ただ、覚えておきなさい……あなたは、必ず殺す
わッ!」
そう言って彼女は空へ消えて行った。
追いかける気は湧いてこず、彼女が口にした言葉の意味を考える。
目的は達成した?
「一誠ッ!」
腹部の痛みも溢れ出す血も気にせず、僕は一誠の元へ駆け寄った。
「一誠ッ!一誠!」
一誠の腹部からの血は止まらない。
「カ……ネキ……」
「一誠ッ!すぐ助けるから!」
病院に連れて行かないと、早く。
「もう……無理……だ……わか……るんだ……」
「何言ってるんだよッ!まだッ……まだわからないじゃないかッ……!」
「へへっ……まだ……やりたいこと……あったのにな……」
「これからやればいいじゃないかッ……怪我が治ったらッ……なんだって……」
触れている手がどんどん冷たくなっていく。
「あー……こんなことに……なるなら……おっぱい触っとけば……よかった……ぜ……」
「なに馬鹿なこと言ってるんだよッ……これから触ればいいじゃないかッ……治ったらきっ
と……」
「そ……うだ……な……」
乾いた笑いを上げながら一誠がそう言う。
「あー……でも……やっ……ぱ……死にたくねぇな……」
「いっ……せい……?」
胸に耳を当てる心音は……しない……
「だめだ……だめだってッ……!」
僕は心臓マッサージをする。
「一誠ッ!一誠!」
何度も、何度も、何度も……けれど一誠が息を吹き返すことはない。
「おねがいしますッ……だれかッ……だれでもいいからッ……一誠を……」
神様でも天使でも死神でも悪魔でもなんでもいいッ……!
「一誠をッ!助けてくださいッ……!」
一誠の血で出来上がる血の池は決壊したダムの様に広がって行く。
近くに転がった紙袋からは一誠達へお祝いに買ったキキョウの花の栞が飛び出していた。
「それがあなたの願いかしら?」
キキョウの花言葉は「変わらぬ愛」「気品」「誠実」「従順」らしいです。
サブタイトルが話数なのは自分にネーミングセンスがないからです。
追記;改行修正しました。
あとブローチから栞に変更しました。なんかブローチは違うかなぁと、改行中に思ったので、栞だとカネキ君らしさが出るかなと思いました。