ハイスクールD×D√喰種 作:ビギナー
「それがあなたの願いかしら?」
声が聞こえた。凛としたきれいな声に惹かれ顔を上げるとそこには紅が居た。僕らの血より赤く、
朱く、紅い。僕はその人物を知っていた。むしろあの学校にいて知らぬものなどいないだろう。
「リアス・グレモリ―先輩?……」
「ええ、そうよ。」
彼女は優雅に微笑みそう言った。
「それで、あなたの願いは彼を助けることかしら?」
ッ!そうだ一誠ッ!
「一誠を助けてくれるんですかッ!?」
思わず叫ぶように声を上げていた。
「ええ、ただし助けたとしても彼はもう人ではいられないけれど」
それは、どういう意味なんだろうか?
「彼はもうすでに死んでいるの」
ッ!わかっていたけれど現実を受け入れたくなかった。
「けれど彼を転生させることはできる」
「転……生……?」
「そう私は悪魔なの。だから彼を悪魔に転生させてあげられる」
悪……魔……?
「あら?知っていて呼び出したんじゃないのかしら?」
そういって彼女が指さしたのは一枚の紙だった。その紙にはこう書かれていた。
<アナタの願いを叶えます>
それはブローチを買ったあと貰った広告に混ざっていたのだろう。
鞄の中身がぶちまけられたため外に散らばっていた。
「ほ、本当に……一誠が助かるんですか……?」
「ええ、ただ私達もボランティアでやってるわけじゃないの」
それはそうだろうタダで人が蘇るならこの世から死者がいなくなる。
「い、いったい……何をすればいいんですか……?」
「そうね……それじゃあ……あなたの魂でも貰おうかしら?」
妖艶に本当の悪魔の様にそう囁いた。
「僕の魂で……本当に助かるのなら……お願いしますッ……!」
僕の命で一誠が助かるのなら捧げよう。お金が必要なら臓器を売ってでも集めよう。
だから……どうか……
「そう……いいお友達を持ったわね」
そういって彼女は一誠の頭を撫でた。
「いいわ……助けましょう」
「ほ、本当ですかッ……!?」
「ええ、少し離れててもらえるかしら?」
「は、はいッ……」
彼女はそうしてチェスの駒を取り出し、一誠の胸にあてた。するとチェスの駒は一誠の中に消えて
いく。8つのポーンの駒をいれると一誠の傷がふさがり顔の色も良くなっていく。
「これで大丈夫よ」
「ありがとうございますッ……!!」
僕はこのあと魂を取られ死んでしまうのだろう。けれど、一誠が助かった。
それだけで僕は……満足だ……
「彼は私が家に運んでおくわ。それで対価なのだけど……」
「わかってます……どうぞ僕なんかの魂でよければ持って行って下さい……」
死が怖くないかと聞けばとても怖い、けれど僕の魂で一誠が助かったのだ。
それだけでも僕の人生には意味があったと思う……だから大丈夫だ。
「ああ……ふふ、それは冗談だから安心しなさい」
「じょ、冗談……?」
「ええ、あれはあなたの気持ちがどこまで本気か確かめるために言ったことだから。対価は後日、
学校で話すわ。あなたも怪我してるしね」
そういって破れて血まみれの僕の腹部を彼女は覗いてきたが
「あ、あれ……?傷がない……?」
そういわれてみると体の痛みは既になかった。
てっきりアドレナリンが分泌されて痛みを感じていなかったと思っていたのだが腹部を見てみると
本当に傷がない……血はべっとりと付いているが……
「それがあなたの神器なのかしら?」
神器……さっきの堕天使レイナーレも言っていたがそれは……
考えていると急に眠気が……
「え、ちょ、ちょっと大丈夫なの?」
そんな彼女の声が聞こえたが、意識が……
「ね、寝てる……?はぁ……子猫、手を貸して」
「はい……」
翌日目を覚ますと自宅のベットに寝ていた。
ぼんやりとした意識のなか昨日あったことを思いだし、ベットから飛び出て顔を洗いに洗面所に
向かう。
水で目を覚ます。タオルで顔を拭いていると違和感があることに気が付いた。
その違和感の正体はすぐ気が付いた。
「な、なんだ……これ……!?」
顔が変わっていたとか、髪の色が変わっていたとかそんな大きな変化はなかったが……一部分おか
しな箇所があった。左目だ……
強膜は黒くなり、瞳孔は赤くあきらかに異常だ。
「人間じゃないみたいだ……」
だがそれでも一誠が本当に無事なのか……あれは夢じゃないのか……確かめるためにも学校に行か
なくてはならない。
「たしかここに……」
昔目の近くを怪我して、失明しかけたことがあった。その時使っていた眼帯があったはずだ……
「あった……」
取りあえず今日はこの眼帯を付けて行くしかない。
軽く朝食を済ませたあと、一誠の家を訪れた。
「すー……はぁー……」
大きく深呼吸をして呼び鈴を鳴らす。
「おうッ!今行くッ!」
聞こえてきた声に安堵し、ほっ、と息を付く。
一誠は無事だった。あと確かめることは、昨日のことだ。
「わりぃ、またせたなッ……」
そう言って出て来た一誠の姿を視認し再び安堵した。
「おはよう、一誠」
「おう!おはようカネキ!」
いつもどうりの朝の挨拶。いつもどうりの登校。
「てかその目のやつなんだ?おしゃれか!?」
「ちょ、ちょっとね……」
いつもどうりの会話。
「おはよう松田、元浜」
「おうカネキにイッセーおはようさん」
いつもどうりの日常。だけどそんな日常は……
「夕麻ちゃんだよッ!俺の彼女のッ!」
「だから知らないって」
「妄想と現実がごっちゃになってしまうとは……あとでAVみせてやるから」
「しゃ、写メだって……あ、あれ……?」
容易く崩れ去る。
「いったいどうなって……」
「カネキッ!お前は知ってるよな!?夕麻ちゃん!」
そう言って詰め寄って来た一誠、さっきのやり取りを見ていたがあきらかにおかしい……僕と一誠
は覚えている天野 夕麻という少女を。
「うん……まぁ……」
「ほ、ほんとかッ!?ほ、ほらやっぱりいたじゃないか!」
「カネキ……わざわざ合わせてやる必要はないんだぜ……」
「こいつは俺たちがなんとかしてやるから、カネキも来るか?AV鑑賞会」
にやにやと女子から引かれる理由でもある気持ちの悪い笑みを浮かべ、教室だというのにとんでも
ないことを言ってきた。まぁいつものことなのだが……
「い、いや……いいよ……」
若干引き気味に断った。
「そうか?まぁ気が向いたら来いよ」
そう言って一誠を引き摺っていった。
そういえば今日はなにか約束があったような……記憶を探りながら帰路についていると、公園の前
を通りかかり昨日のことが気になり、公園へ向かう。
「何もない……かぁ……」
昨日あれだけ血まみれだった公園には血の跡すらなく時間だけが過ぎていった。
しばらく時間が過ぎると辺りが急に薄暗くなった。昨日の様に……
「まさか……」
なにかの破壊音。
まさか昨日のレイナーレ、堕天使がまた……?音が近付いてくる。
ヒュンと空気を裂きながら光の槍が飛んでくる。僕はそれを視認していた。
昨日は投げられたら見ることすら出来なかったのに。投げられた槍を躱す。
槍が飛んできた方向を見ると空には、レイナーレとは違う堕天使がいた。
そして堕天使から逃げてきた人物がいた。それは……
「一誠……?」
「カネキッ!?」
一誠がいた。身体中ぼろぼろで傷だらけだ。
「ほぅ……はぐれの悪魔狩りをしていたら、俺の槍を避けるとは、人間……貴様何ものだ……?」
そう言ったのは空を飛んでいる男の堕天使だ。
何者と聞かれても僕は一誠の友達で、本が好きなただの男子高校生だ。
それ以外に言えることがあるだろうか……?
「金木 研……」
「カネキ……カネキ……ふむ、覚えたぞ人間俺の槍を避けたことはまぐれでも称賛に値する褒美に
殺してやろう。このドーナシークがなッ!!」
そう言って堕天使ドーナシークが光に槍を作り投げてきた。
「カネキッ!」
一誠の名前を呼ぶ声が聞こえた。光の槍はたしかに速いのだろう実際に速い、けれど……
「躱せないほどじゃないッ……!」
「ッ!ふ、ふはははは!人間!おもしろいぞ!最初に避けたのは、まぐれではなかったか!?」
突然ドーナシークが笑いだし、そう言った。
「では、これならどうだッ!」
そう言うと光の槍を両手に持ち投擲してきた。
たしかに避ける場所は減るがそれだけだ。そう思っていたが……
「ッ!」
「そらッ!そらッ!そらッ!」
両手に作りだした槍を投げては作り、作っては投げ。怒涛の勢いで次々と飛んでくる。
「くッ……!」
さすがに無傷とはいかず次々と傷が出来る。左目をかすめ眼帯の紐が切れる。
「むッ……貴様なんだ……その目は……?」
ドーナシークが言っているのは、左目の事だろう。
「貴様人間ではなかったのか……!?」
「僕は……人間だッ!」
「人間がその様な気味の悪い目を持つわけがないだろう。それになぜ傷が治っている!?」
そう言われて初めて自分の傷が消えていることに気付いた。昨日の様に血が出ていた形跡はあるの
に……
「なるほど……貴様がレイナーレ様が言っていた人間もどきか……なら貴様は絶対に殺す!」
そう言って襲いかかってきたドーナシークだが直後、紅い閃光がドーナシークの前に落ちる。
「そこまでよ、堕天使。私のかわいい下僕に手は出させないわ」
そう言って現れたのは
「リアス・グレモリー……」
忌々しそうにドーナシークが呟いた。
「これは、リアス・グレモリーなぜこの様な所に?」
「私の下僕に手を出したのだから、私が来るのは当然でしょう?」
下僕……?
「それは、まさかグレモリ―の眷属だったとは……手綱もなく、てっきりはぐれかと。しっかり
管理して貰わねばはぐれと勘違いして狩ってしまうところだぞ?」
「ええ、だけどここはグレモリ―の領地よ?無断で、はぐれとはいえ狩るのは礼儀がなって
いないのではないかしら?」
「チッ……!それに関しては非礼を詫びよう……ただそちらも下僕の管理くらいしてもらいたい
ものだなッ!」
そう言うとドーナシークは飛行し、そのまま去るかと思いきや
「だが、その人間は関係ないであろう……?そいつの命だけはもら「彼は私の眷属候補よ。」
チッ……!」
「それにさっきも言ったけどグレモリ―の領地で許可もなく好き勝手しないでもらえるかしら?」
彼女がそう言うとドーナシークは顔を歪めて今度こそ去って行った。
「ふぅ……あなたたち大丈夫かしら?」
「ぼ、僕は大丈夫ですけど……一誠が……」
「え、あ、あぁ……だ、大丈夫ですよ。こんなのかすり傷ですしッ!」
「ごめんなさいね……遅れてしまって」
「「い、いえいえ……」」
「カネキ君も……今日話をするつもりだったのだけど疲れただろうし、明日使いを出すわ」
「あ、はい……」
僕はそう言うしかなかった。
「私はこのあとイッセー君の傷を治すけど、ほんとに平気かしら?」
「へ、あ、あぁ……はい……なぜかわからないけど……傷が治ったみたいで……」
「そう(やはり治癒系の神器なのかしら?でもならあの赤い爪は……?)では明日ね」
「は、はい……」
そうして彼女は一誠を連れて何処かに消えてしまった。
「帰ろう……」
紐の切れた眼帯を握り締め、片目を瞑り、僕は帰路に着く。
日常はじわじわと、非日常へと変貌していく――――――
新規小説作成からコピー貼り付けで続き投稿しているのですが切り取り押してしまい、全部消えた時はすごくあせりました……。普通に元に戻すがあって元道理になりましたがPCの操作未だに理解してないのでやばかったです……
追記;改行修正しました。