Fate/twilight   作:インセク太

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1話の続きです

ラブコメ回ですかね




1話B

普段と変わらぬ朝が始まった。いつものようにベッドから起き上がり、気だるい体を伸ばし、重たい瞼をこすり眼鏡をかける。昨日はいろいろ考えて事をしてしまったため、制服のままで寝ている。しかしブレザーとスカートは脱いでいる。なので今の綾香はワイシャツにパンツのみという、凛が見たら怒号の嵐、のような格好をしている。綾香は、まあ今日は一人だし、と自分の服装をみてもそこまで後悔することはない。ふと足元になにかひっかかりを感じ、見下ろすとブラジャーが引っかかっている。昨日寝てる時に外したのか、と気だるげにそれをとり、ベッドに投げる。寝ぼけた体を動かして、部屋をでて、あくびをしながら階段を降りていると、こんがりと焼けたトーストの匂いが綾香の鼻をこすった。

「おはようございます、綾香さん」

綾香に声をかけたのは間桐桜だ。

「おはよう~・・・って!!なんで家に桜さんが!?結界は!?」

綾香は窓際まで駆けて、勢いよくカーテンを開ける。屋敷の外は昨日と変わりなく、静謐に、それでいて容赦なく、遠坂凛が掛けた結界のヴェールが、よどみなく張られている。それを見て安心する綾香だったが、一つの疑問が浮上する。

「どうやって屋敷に入ったの?」

「あなたが思っているより、遠坂凛という魔術師は相当な実力者ということですよ。彼女がこの屋敷に張った結界は、個人を特定限定、個人の皮膚より10cm地点に結界に反発作用する結界を設け・・・」

「とっ、とにかく、桜さんは体になんの害もなく出入りできるのね」

桜の話しが長くなりそうだったので、綾香は話を切り出す。

「そうです。あとは綾香さんもその特定個人に設定されているので外に出ることは可能ですよ」

「私もできるの?凛さん、そういうこと言わなかったなあ」

「きっと凛さんは、できるだけあなたに外に出て欲しくないんですよ。相当心配してましたし。それは私も同じです。5日間という短い時間ですが、あなたの護衛をします」

そう言ってにこりと微笑む桜。朝日が顔を照らして、いつも以上に綺麗に見える。

「そっか、ありがとね桜さん」

こんなに自分を思ってくれる人たちがいることを実感し、頬を染める綾香。そんな綾香を見ていた桜だが、ふと何か思い出したように人差し指を頬に当てた。

「そういえば、護衛役はもう一人いるんです。私がいることに対して、その様子ですと、凛さんから何も聞いてないみたいですね」

「えっ、もうひとりいるの?」

「そうですよ。もうそろそろ来ると思いますが・・・」

ピンポーン

待っていたように鳴らされたインターホン。桜は、「噂をすれば・・・」と言い残し、玄関に向かっていった。

 桜に連れられてきた人物、髪が半分白く、身長は高い、しかし少し幼いような顔ぶりをした男性、衛宮士郎だった。

「しししし士郎さん!?」

「おはよう、綾香」

士郎はにこりと笑う。しかし、そこであることに気づき顔を背ける。綾香は、そういえば・・・と自分の体を見る。裸ワイシャツに、白のパンツ一枚。それが今の綾香の格好だった。ワイシャツのボタンも上三つ外していたので、だいぶ胸を露出している。

「きゃあああ!!!」

自分でも分からないが、なぜか士郎の左頬にビンタをかまし、綾香は急いで部屋に戻っていった。

居間に残された士郎はジンジンする左頬を手でさすりながら呟いた。

「なんでさ・・・」

 

「ごめんなさい、士郎さん」

 感情の高ぶりで、士郎をたたいてしまったことによる罪悪感で、綾香は士郎に謝った。彼女は、シャワーを浴び、白いセーターに、紺色の膝丈まであるスカートという普通の身なりになっている。

「いや、まあ、気にしなくていいんだ」

まだ頬に手のひらの感触を感じながら、士郎は苦笑いした。そんな士郎をみて、桜さんが私の格好について言ってくれれば、と桜を睨む綾香だったが、桜は軽く舌をだしてそっぽを向いた。がるる、と綾香が桜を威嚇していると、士郎が口を開けた。

「綾香、突然こんなことになったけど、その、大丈夫か?」

シン―・・・と空気が静まる。言葉を濁したのは、士郎なりの気遣いである。彼は前聖杯戦争に参加しているため、綾香の置かれた状況の深刻さは熟知している。部屋が暗くなってしまったのは、太陽が隠れてしまったせいだけではない。

「そんな心配しなくても大丈夫よ。ほら、私強いから」

綾香は笑顔を作って見せる。

「本当そうか?」

「ほんとだって。だってまだ始まったワケじゃないでしょ。始まるかどうかもわからないんだしさ」

綾香の笑顔の不自然さに気づかないほど鈍感な士郎ではない。しかし、それ以上追求はしなかった。今は綾香を支え、気分を明るくすることが、大切だと感じた士郎はこんな提案をした。

「うん、綾香。今日は俺とデートをしよう」

「え、」

「デートしよう」

「え、ええーーーー!!」

「何か悪いか?」

「だって、凛さんに家に出るなって言われたんだよ?危険じゃないの?」

「まあ危険はあるかもしれないけど、大丈夫さ。それに、一日家にずっといるのも気が滅入るだろう?」

「まあ、そうだけど・・・、というか普通にうれしいけど・・・」

「んじゃ、行こうぜ。いいよな?桜?」

桜は若干呆れたような表情をしているが、やれやれといった感じでこういった。

「しょうがないですね、先輩は。行ってきてもいいんじゃないでしょうか。まだ動きはなさそうですし」

「よし!行くぞ綾香」

士郎は綾香の手を握って立ち上がった。そのまま、引っ張られるように士郎に連れ出されながら、綾香は不謹慎にもこう思ってしまった。

(聖杯戦争に巻き込まれてラッキーかも・・・)

 

 

その後、士郎に連れ回される形で、隣街へ行った綾香。綾香が想像していた以上に士郎はデートスポットについて考えているようで、すごく美味しいケーキがあるカフェや、綾香のことを考えてかメガネショップに行ったり、など常に楽しかった。デートってよくするんですか?と聞いたら、士郎は顔を背けて「まあ鍛えられたからな」とつぶやいていたが、深追いすると話をはぐらかされてしまった。

 楽しいときは疾風のごとくすぎ、公園のベンチに座って、落ち着いたときにはもう夕方になっていた。砂場には子供が遊んだあとだと思われるスコップが刺さっていて、夕焼けに照らされている。綾香と士郎は何をいうこともなく、その夕焼けを見つめていた。

「少し、昔の話をしようか」

士郎が口を開いた。

「実はこの公園はな、俺が小さいころ住んでいた土地なんだ」

その言葉を聞いて綾香は周囲を見渡す。公園にしては広すぎると感じていたが、街があった痕跡は全く見つけることができない。困惑する綾香をみて、士郎はさらに言葉を続けた。

「20年前くらいか、ここで大災害があったんだ。街は燃え、大勢の人が死んだ。その時一人だけ生き残ったんだ。それが、俺」

悲しそうに笑う士郎。綾香は、はっとする。

それって私と一緒・・・。私もあの街で一人生き残ってしまった。私の目の前にいるこの人も、私と同じなのか。

「綾香のことを最初に見たとき、自分もこんな目をしていたのかって思ったよ。あんな暗くて悲しい目はそうそう見るもんじゃない。ましてや子供だったらなおさらだ」

「士郎さん・・・」

「俺たちはたった一人生き残ってしまった。死んでいったほかのみんなのために何をすればいいのかな。俺にはまだ答えがわからないんだ」

綾香はここで口にするべきか迷った。この心のわだかまりを口にして良いのか。綾香は決心した。

「士郎さん、もしかして聖杯は運命をも変えることができるの?それだったら私は・・・」

士郎は綾香を見た。士郎の目は綾香を見ていた。しかし、そこには綾香を見て、過去を振り変えるような、そんな目をしていた。

「古い知り合いに、自分の過去をすべてなかったことにしてすべてを救おうとした女性がいたんだ。彼女は過去にした選択を常に後悔していた。それが本当に悪いことなのかは俺にはわからなかった。だけど彼女はいつも苦しんでいた。だけどな、そんな生き方は人の生き方じゃない。人はもっと自分のために生きるべきなんだ」

「でも、私、あのとき・・・。聖杯がすべての望みを叶えるなら・・・」

「聖杯は決して願望機じゃないよ。あれは本当に災厄なんだ。ここだって・・・、いやいい、とにかく・・・」

「ここだって?士郎さん、もしかして」

「・・・すまない、聞かせたくはなかったんだが」

綾香はこの土地の大災害が聖杯によるものだということに気づいてしまった。それじゃあ、士郎さんは聖杯によってすべてを奪われたの?それなのに私、聖杯が願いを叶えるかもしれいって思って・・・

「ご、めん、なさい」

綾香の目から涙が溢れていた。悲しかった。例えようがないほど悲しかった。士郎は綾香の頭を抱いた。

「綾香、過去を否定することは絶対にしちゃいけない。過去があるから今の自分がある。自分だけじゃない。過去があるからこの世界があるんだ。過去の重みを一人で背負うのが辛かったらいつだって俺が一緒に背負ってやる。俺だけじゃない、凛だって一緒に背負ってくれる。だから一人で苦しむな。もう綾香はひとりじゃないんだよ」

綾香は声をだして泣いた。ここ最近のことだけじゃない。生き残ってしまったあの日から溜まっていたものすべて吐き出すように泣いた。その間士郎は優しく綾香を抱きしめていた。

 

綾香が泣き終えたとき、もう公園は暗闇に包まれていた。そろそろ帰らないと桜が心配するな、と士郎がいい、二人は帰途についた。玄関まで士郎は綾香を送り、俺は泊まりはしないからここでお別れだな、と言った。

「しばらくは来れないけど、何かあったらすぐに駆けつけるから」

「うん、ありがと。士郎さん」

そう言って二人は別れた。家に帰ると、桜が居間で待っていた。桜は綾香の顔を見て何か察したのか、ホットココアを作った。それは暖かく綾香を包み込んだ。綾香はそのあとシャワーを浴びて、ベッドに入った。

綾香の体にはまだ士郎の腕の感触が残っていた。

私はひとりじゃない。

「今日はいい夢が見られそう」

綾香は小声でつぶやいて、目を閉じた。

 




まあ何とか2週間で出せました
フェイト二期始まりましたね!これで今月も生きていけます笑
もっと質が良い文章にしたいのですがなかなか難しいですね
次はもっと質がよく!
ではでは2週間後に
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