人類の天敵
そんな中、『喰種』に憧れる一人の女の子がい た。
名前は[八代崎 沙耶]。ヒトだ。
そんな彼女に突如起きた不可思議な事故。
『喰種』に憧れた少女はその日をさかいに『喰種』になった。
・・・目を覚ますとそこは病院。真っ白な床に真っ白な天井が広がっていて、私はそんな中のベットの上におかれていた。
「っ!!目ぇ覚めたのね!!沙耶!!」
「んっ…。おかあ…さん?」
あれ?私はなんで病院なんかに…?
母に支えられながら起きあがった。
「あんた、学校帰りに事故にあったんやで。それで…。」
…覚えていない。全くもって。
「それにしても不可思議な事故やで…。いきなり工事中の建物の上から鉄骨が落ちてくるなんて。管理がちゃんとされてないにもほどがあるわ…。あぁ、でもよかった…生きてて…。」
母は私の手を握りため息をついた。
「起きたかな…?沙耶さん。」
「先生!いやぁ、ありがとうございますっ…」
「いえいえ、それよりも調子はどうかな?沙耶さん。」
「…へっ?あ、はい。特には…」
嘉納と呼ばれる医師が私のそばへ来た。
「よしよし。調子がいいのなら問題ない。退院も早くできるかもな」
にっこりと笑うと部屋を出ていった。
「沙耶。これ、お見舞いにもってきたんよ。良かったら食べてね」
じゃっ。と母は私にりんごを渡し帰っていた。
リンゴ一つだけかよ。と私は笑いながらかじった。
――――っっ!!!!
今までにない吐き気におそわれる。なんでだ?腐ってたのか!?いや、そんな感じではなかった。なんだこれ。汗みたいな変にすっぱくてしょっぱいような水分とシャリシャリとした水分を含んだ砂のようなものが口いっぱいに広がった。
「おえぇ゛え゛っ゛…」
リンゴ、だよね…。手にしているものを見てみる。“りんご”だ。赤く熟していてみずみずしいリンゴだ。もう一口かじってみる。が、さっきとは変わらない。
――――――――――
なぜだ…?事故が起きてから三日ほど寝ていたらしいし、味覚がくるったのか…。考えれば考える程に頭がこんがらがる。
気が付けば吐き気は収まっていたので気晴らしにテレビでも見ようかとつけてみた。
《今月に入って六件目の喰種による補食事件が東京でおきました。『大食い』よる補食事件として捜査がすすめられています…》
喰種…。私が何気少し憧れているもの…。
《ある解説者によると喰種は確か月に一人くらいの食事で良いと言ってましたよね。だとしたらこいつは確かに大食いですね。》
テレビの中でニュースにでているヒトが言う。
《喰種って確か特殊な補食器官を持っててヒトしか食べれないんですっけ。ヒト以外を食べたら吐き気におそわれるんですよね。》
「へぇー。…えっ?」
…いやいやいや、さすがにリンゴごときで思いこみは激しいよな。気のせいだよ。気のせい…
―――――――
そう思い続けて一週間たった。今まで普通に食べていた食べ物が喉を通らない。気持ち悪くて食べれたものじゃない。
もしかして…な。いやいや、でも、いくら憧れてたからってヒトが喰種になるなんて…。
とにかくお腹が減った。
コンコンッ
部屋をノックする音がした。看護師か?
「はい。」
部屋のドアを開けるとそこには私の親友がたっていた。
「ヤァッッホォウ!」
「ま、摩耶!?」
摩耶、私の親友。中学一年の時に部活を通して仲良くなった友達。今では親友だ。気が付けばもう中学三年の三月上旬、後少しで卒業式…。でも摩耶と同じ高校だから寂しくなんかない。
「そうそう!今日来たんは私だけじゃないんだぞい!はよおいでおいでぇー!」
摩耶がそう言うと摩耶の後ろから私の友達がでてきた。
小豆に里絵…あと…!!??
祐介!!??どして!?
「へっへぇーん。びっくりしたやろ?あんたの為やで」
摩耶は得意げに言う。
「な、なんで祐介がいんのよ」
「はぁ?俺だって好きで来た訳じゃないんやぞ。なんか摩耶の奴に連れてこられただけやし。」
少し、私の好きな人。
「それより沙耶、調子どうなん?」
小豆が心配そうに言う
「あぁ、もうこの通りピンピンよ!」
「そう?でもなんか顔色悪いけど…」
摩耶がそっと私の額に手を当てる。
「うーん。熱はなさそうやな」
相変わらずの世話焼き者。私の額にのってる摩耶の手を見た。丁度良いくらいに肉がのってて…。
あぁ。
―――――美味しそう…。
「…沙耶?」
っ!私…今何を…?
「ん、ん?どしたの?」
「いや、なんでも…ない。てか、熱はなさそうだし。ご飯ちゃんと食べて寝りゃ直るか!」
摩耶は笑って言った。
「それじゃ、帰るわ。」
小豆、里絵、祐介、摩耶の四人は私の部屋を出て行った。
それにしても、摩耶の手を美味しそうなんて思うなんて。もう、ほんとに喰種になっちゃったのかな…。
四人が出て行ってから数分後、看護師が入ってきた。準備が整い次第、退院…と。
―――――――――四日後。
私は何も食べれずにいた。喰種に憧れていた。が、実際喰種みたいに普通の食べ物が食べれなくなり、ヒトを美味しそうと思ってしまうのが日常になり、心のどこかで私は喰種になったんだ。と自覚している面、怖いと否定する面もあった。
「お腹すいた…」
空きっ腹を紛らすために家の近くの森を散歩していた。
どこからかいい匂いがした…。
「なんだろうこれ…。」
ぐうぅ~…。
こんだけの空腹にはさすがに逆らえれない。
いつの間にか無意識にも自分の足がいい匂いをたどっていた。
スンスン…。あと、すこし…。
スンスン…。あ、ここだっ!!………っ!!!
目の当たりにしたのは森…樹海の中にぶら下がる一人のヒトの姿…。
首吊り死体…。
「う…そ……。」
泣き崩れた。確かに喰種には憧れていた。けど、心のどこかでは否定していた。が、今、ここで確信した。私は本当に『喰種』になってしまったんだと…。
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