第一中隊が攻略に苦戦している頃、その戦場となっている皇居正門の隣、警備上の問題から普段は閉じられている坂下門からの皇居攻略を目指す第1歩兵連隊第二中隊の前線は、徐々に徐々に皇居の方へ進んでいた。
「敵兵の姿が見えんな。
どこにいるんだろうか?」
この事案に第一に対処するために出動したのは、首都を守るは我がありをモットーとする第1旅団の全隊だ。
最前線での掃討作戦を実施する2個歩兵連隊のほか、第1旅団司令部と司令部付き隊と各隷下部隊は、赤坂御用地に集結していた。
アメリカ同時多発テロ以降に、東京でのテロ発生を憂慮した陸軍参謀本部と宮内庁による長い時間に及ぶ交渉の結果、得られた宮内庁の許可のもと、皇太子殿下がお住まいになられている東宮御所などのある赤坂御用地内に衛生補給所を設置し、最前線で戦う歩兵連隊の戦闘支援を行っている。
坂下門の攻撃を指揮するのは、第1歩兵連隊第二中隊長の浅井啓一少佐。
中隊長である浅井少佐は、大阪生まれ大阪育ちの大阪人ではあるが、国防大学校を卒業して、日本皇国陸軍の歩兵小隊長として任官した。
そのときの初給料で買った双眼鏡で、周りを眺める。
決してお値段的に安くはなかった双眼鏡で眺めながら思うのは、最初の任地である北海道だった。
ほんの10年ほど前まで、北方配置戦略に基づき、北部ほど優秀な人材の多い場所はなかったのだ。
そして、そこに配属される新人は、エリートコースを進むことを約束された人間なのだ。
そんな北海道地域の、いや日本の最北端である宗谷岬を防衛範囲に持ち、すわっ、冷戦下におけるソ連の侵攻となれば、そこに立ち塞がって遅滞戦術による時間稼ぎを主任務とする第2旅団第2歩兵連隊第三中隊第二小隊、そこが最初の仕事場だった。
第2旅団の陸軍部内での異名は、北の雄、冬戦狂、陸軍最強、
北海道に侵攻してくるであろうソ連軍、今ではロシア軍だが、それらと戦う以前に、吹雪が襲う冬の雪山、草木が芽吹き雪解け水が流れ出る夏の山や湿地帯、それに付随する氷雪上や泥の泥濘と戦い生き残ることは、かなり厳しいものだった。
そんなことを思いながら、皇居周辺を見回す。
皇居周辺には、いつもは見かけるスーツ姿の人間やジョギングをしている人間などもおらず、見ているだけで何か異様な光景だった。
その一見して、
双眼鏡から覗く中隊長からは見えないが、精鋭中の精鋭である敵の工作員たちは、その影に息を潜めて隠れているのだ。
皇居の坂下門の2㎞手前の路肩に停車した82式指揮通信車、この車両は中隊本部として使用している。
機動戦闘車改造の機動指揮通信車の配備が作戦軍司令部や旅団司令部から連隊本部にまで行き渡ったために、中隊本部用車両として配備されたお古である。
周辺の確認を終えたのか、その車両のハッチから、中隊長は乗り出していた身体を、車内に戻した。
「隷下の各小隊は、すでに到着しています。
あとは、中隊長の命令一下、直ちに突撃します」
82式指揮通信車の車内にいた通信兵が、車内に戻った中隊長に報告する。
「血の気が多くてはいかんよ。
蛮勇は身を滅ぼす。
死ぬのは、勇気ではないからな」
報告を聞いた中隊長は、諭すように言う。
「防護陣形を組め」
中隊長が指示を出す。
古来より守りを固められた場所を、攻撃して攻略するのは、かなり骨が折れる行為だ。
日本帝国軍時代からの日本皇国軍戦史で言えば、日露戦争の乃木希典将軍の指揮した旅順要塞攻囲戦しかり、太平洋戦争の栗林忠道将軍の指揮した硫黄島の戦いしかりである。
どちらの戦いにおいても、攻撃側の損害が甚大なものとなっている。
そのような根底があり、中隊長は兵士が無駄に生命を散らすというようなことはあってはならないと考えているのだ。
「にしても、うちの機関砲隊の本領発揮ってとこだな。
今日の戦いは。
余り物の二中と呼ばれるのは、今日までだ」
そう呟いた中隊長は、部隊の面々や歴史を思い出していた。
今では"火力の元祖の12中"の異名をとる第1歩兵連隊第二中隊は、第1機甲群の対戦車大隊や旅団隷下の第一高射砲兵大隊から余剰となった予備兵器を調達してきては、隷下の各小隊に配備して、それを運用している。
これを聞いた当時の陸軍首脳部は、この計画を事後ではあったが承認して、全国の部隊に機能別部隊の編成を訓令として発令した。
その結果、第一中隊はレンジャー中隊、第二中隊は火力等強化中隊、第三中隊は狙撃兵重点配置中隊、第四中隊、第五中隊は車両機動能力特化中隊に再編された。
ただ予備役兵で構成された部隊である第六中隊、第七中隊、第八中隊、第九中隊には特にこのような能力は要求されていない。
なぜなら、日本皇国陸軍における予備役兵の定義はアメリカ軍の州兵に相当するパートタイムの兵士たちである。
普段は別の仕事をしているが、
そのような兵士に、特別な訓練を受けさせることは、時間的に見ても、予算的に見ても現実的ではないからだ。
それでも、大半の中隊の編成は中途半端な状態にあり、特にレンジャー中隊として編成される第一中隊が問題となっている。
そして、これは単純な計算だが日本全国にある30個旅団隷下の歩兵連隊は60個、つまり、第一中隊を名乗ることになる部隊は60個ある。
そして、歩兵連隊の指揮下にある1個歩兵中隊の定数は160名だから、合計で9600名ものレンジャー歩兵が必要な計算となる。
それだけの人員にレンジャー訓練を受けさせるだけの予算も暇もないのが、日本皇国陸軍の実情だ。
だから、第一中隊は指揮隷下にレンジャー小隊を1個だけ編成している。
小隊だけであれば、3000名程度の要員を育成するだけで済むからだ。
また、特殊部隊の支援部隊である挺進連隊や第82レンジャー連隊、他にも第6空挺旅団、第10空中機動旅団隷下の歩兵連隊は、現状で連隊長含め全員がレンジャーである。
この集団を維持するだけで、現状の日本皇国陸軍のレンジャー教育課程は、要員的にも予算的にも精一杯なのだ。
「各小隊重火器分隊は、即座に展開して、部隊の進行を援護せよ」
中隊長の指示を受けて、道幅一杯に展開したのは、高射砲兵大隊から配置換えになった35㎜連装高射機関砲L-90-iである。
前述の訓令が発令された直後には、正式に中隊指揮隷下にあった各小隊の第四分隊を解散し、重火器分隊を編制した。
歩兵小隊の編制下に組み込んだ重火器分隊は、35㎜連装高射機関砲L-90-iを2基4門装備している。
3個小隊の重火器分隊だと、6基12門もの量となる。
そして射程4000メートルというのは、中距離、短距離、近距離のすべてでミサイル全盛の高射砲兵部隊から見れば、かなり短く、そして砲弾を発射する機関砲である以上、命中精度はかなり低いために、旧式と見なされ高射砲兵部隊からは退役したものの、歩兵直協火器として見るならば十分な性能を保持しているのだ。
その前面には、在留邦人保護の緊急避難的行為として、必要に応じて紛争地に派遣されることになる歩兵科部隊援護のために国際派遣仕様として重装甲に改善された軽装甲機動車と炭素繊維防弾盾を保持し、屈強な防護陣形を組む第二中隊の各小隊の姿があった。
「各小隊、進め」
改めて掛けられた中隊長からの号令に、各小隊は隊列を乱さずに、一歩一歩進んでいく。
一挙一動がたゆみなく行われ、そこには日本皇国陸軍歩兵の血と汗の努力のあとを思わせる。
日々の演習のなかで、繰り返し叩き込まれた挙動は、実戦でも十分に生かされていた。
「中隊長より各小隊。
距離450で発砲、敵の気先を制せよ」
未だに距離は、おおよそ2800~3000メートル離れている。
それに伴い、35㎜という大口径機関砲の恐怖感は、じりじりと敵兵の精神にじり寄っているはずだが、敵兵もよく耐える。
「敵兵もよく訓練されている。
まだ、撃ってこんとはな」
双眼鏡を使わず、肉眼で遮蔽物の向こうに隠れているはずの敵兵を眺めて、第二中隊長が言う。
何も動きがない、日本歩兵などとるに足らないとでも考えているのだろうか?
当たり前の話だが、神でもなんでもないただの人間である中隊長に、敵兵の考えなんてものが分かるわけもない。
中隊長が今いる地点から、左に数百メートル進んだ先に、皇居正門があり、第一中隊が激しく戦っているはずだ。
「第一中隊よりの通信。
我、敵狙撃兵と交戦中。
我々、第一中隊は損害続出なるも、戦闘を継続している。
皇居周辺に展開中の各中隊は、狙撃兵の存在を警戒せよ。
との通信が入っています」
伝令として、駆け寄ってきた通信兵が報告する。
「了解、隷下部隊にもその旨、通達しろ」
「了解」
第一中隊からの通信にあった敵狙撃兵の存在は、中隊長に一抹の雲のような不安を残した。
しかし、指揮官という職に在る者は、特に人の生命を預かる警察や軍隊などの指揮官は、その不安を解消しなくてはならない。
感じてはいけないのではなく、解消しなくてはならないのだ。
少しでも不安を感じるということは、すなわちそこに何かしらの危険を感じるということだからだ。
それこそ、落ちるかもしれないから高いところが苦手だとか、飛行機が苦手だとかというところにもつながってくるのだと思う。
「通信兵、各分隊に連絡して、
独力で敵狙撃兵の射座を推定し、必要に応じて撃滅する」
中隊長の言葉が中隊本部となっている82式指揮通信車内に響いた。
その数分後には、各小隊に配属されている
「敵狙撃兵ですか?」
中隊長が呼び出してから、数分以内に全員が集まる。
この辺が日本皇国軍が、世界で最も優秀だと言われる所以かもしれない。
「奴らも十分に狡猾だ。
恐らくの話だが、我々が下手に進めば、十字砲火を浴びせかけられる危険がある」
中隊長がきっぱりと言い切った。
「十字砲火ですか?
ならば、ここからこの辺りのビルが怪しいですな」
第二中隊で、最先任そして最も経験豊富の
先任選抜射手である富田兵曹長の意見は、狙撃兵の交戦距離である800メートルと一般的な歩兵の交戦距離は、400メートルであり、その二つの円が重複しうるエリアに敵狙撃兵の射座があるというものだ。
「富田兵曹長、
日本皇国軍地理測量局発行の都市戦闘地図を睨んでいた中隊長は、地図の一点を指差して命じた。
その時、上空から聞こえてきたのは、ヘリコプターのローター音だった。
しかし、それは歩兵たちが日頃から演習で聞き馴染んだ、少なくともUH-1の各型やUH-60Jのものではなかった。
その間にも、
「この音は、
それにその後継の
挙げたのよりか、聞いている感じの馬力も強いですし、普通のヘリじゃないですよねえ。
もしかしたら、もしかしたらの話になりますけど、木更津の
上空を見つめていた通信兵が言う。
林立するビル群の間にいる第二中隊には、ヘリコプターの接近は分かっても、種類や正確な位置までは分からないのだ。
「対空戦を下命しますか?」
徐々に近付いてくるヘリコプターのローター音に、通信機を片手にした通信兵が聞いてくる。
こういうときのための、91式携帯地対空誘導弾は、各小隊に配布済みだ。
いざとなれば、各小隊長の判断で迎撃ができるのだ。
「奴らが判断して迎撃するだろうし、今敵兵に背中を向けるのはまずい。
それに、
米軍曰く世界最強の奴らが、敵性機いや敵機をむざむざ首都上空、陛下のお膝元の上空に侵入させると思うか?」
中隊長の言葉に、通信兵は黙って頷くことで、肯定の返事を返したが、1つ疑問があったので、中隊長に聞いてみた。
「陸軍には、
長い沈黙のあと、中隊長は答えた。
「……我々の仕事は、待つことだな」
強引な話題の変換だったが、通信兵は気付かなかったことにした。
通信兵も、その方がいいと感じたからだ。
そんなこんなしたあと、その数分後には、木更津の対戦車ヘリコプター隊のAH-64DJアパッチ・ロングボウが1機、姿を見せた。
「描かれていたのは、木更津葵だったか?」
第二中隊の上空を、颯爽と1航過したアパッチの機体には、女の顔が描かれていた。
「恐らくは」
中隊長の問いに、同じく上空を見つめていた通信兵が答えた。
「それなら、木更津駐屯地のどれかの飛行小隊の2番機だな。
多分、そこそこのベテランが乗ってるはずだ……」
そう言いながら、上空を注視していた中隊長は、旋回するAH-64DJアパッチを見て、さらに呟いた。
「あれに乗ってるのは、下手な奴か?
動きが単調すぎる。
多分、次で墜ちるな。
これは違うか、間違えた。
次で奴らに、撃ち墜とされるな」
AH-64DJアパッチを見送った中隊長は、続ける。
「次は右に旋回するはずだ。
多分、そのときに
2度目の1航過で精密な射撃を行ったAH-64DJアパッチは、中隊長の言った通りに、右に旋回して、そこを狙われた。
RPG-7のロケット弾が尻に着弾し、燃え上がるAH-64DJアパッチは、皇居外壁の向こうに消えた。
「こりゃあ、ヤバイことになった。
くそが。
通信兵、緊急事態だ。
連隊本部に通信、アパッチが墜ちた。
大至急だ」
周辺のビルの屋上にいるはずの、
その指示を出した直後に、通信兵が駆け寄ってくる。
仕事が早い、
「連隊本部より中隊長宛。
通信コード:19450815宛で連絡願うとのこと、繰り返します、通信コード:19450815宛で連絡願うとのことであります」
通信兵だけがスマホに、部隊間通信用のUSBスティックを差せるのだが、直属の連隊本部宛には、中隊長自らが連絡する。
中隊長が連隊本部に通信するときは、旅団司令部通信部が作成した使い捨ての暗号通信コードを通信兵から受け取り、それを入力することで、自動暗号化システムが割り振られた回線が開かれる。
中隊長や通信兵が戦死した場合は、それを確認した将兵が、自らに割り振られた番号をスマホに入力し、それを報告する決まりになっている。
『通信コードを確認した。
連隊本部より第二中隊。
送れ』
連隊本部よりの通信が、骨伝導スピーカーを通じて聞こえてくる。
その声は、日本皇国陸軍に在職してから何回も世話になり、自分の結婚の際には仲人すらも務めてくれた第1歩兵連隊連隊長、市場清隆大佐の声だった。
「こちら第二中隊中隊長、浅井啓一です。
送れ」
連隊本部よりの呼び掛けに、中隊長は応答を返した。
『坂下門に、第二中隊の目の前にアパッチが墜ちたのは、見たな?
送れ』
連隊長に言われるまでもなく、中隊長はこの目で見ていた。
敵兵の放ったロケット弾が命中し、撃墜された攻撃ヘリのその様子を、はっきりと見ていたのだ。
「はい。
生存者の可能性を踏まえ、これより機体周辺の制圧及び乗員の救出のための戦闘行動を開始する予定です。
送れ」
墜落地点と思しき、場所からは黒煙が上がっている。
通信兵が回線を開いて呼び掛けても、AH-64DJアパッチの通信機は、完全に沈黙していた。
生存者の可能性を否定はできないが、かなり低いと思われる。
その言葉が口から出そうになるが、思いとどまる。
これは言ってはならないことだと気付き、中隊長はあわてて、口をつぐむ。
戦死認定に携わる日本皇国陸軍参謀本部庶務課の戦死認定基準では、戦場における味方の生死は、第一には確実な物的証拠である死体を以て、第二には
というのも、戦死認定に携わっていた当時の庶務課長が、死体を誤魔化して戦死したことにするという設定の出てきたアメリカのアクション映画を見て、顔の確認できない焼け焦げた死体や首から上がない死体、それは本当にそいつのものかを、確認するためのDNAデータバンクを設立し、庶務課内で運用している。
そこで、DNA鑑定の戦死認定を受けないと正式に死亡とは言えないのだ。
だから日本皇国陸軍部隊では、余程のことがない限り、味方の死体は投棄せずに帰投するのが普通であるし、滅多なことでは現場の人間である兵士が判断する必要がないのだ。
『うむ。
機体は全損していると思われるが、何があるか分からん。
すべては慎重に、万難を排して行え。
あと、在空中の対戦車ヘリコプター隊が、制圧爆撃を行うはずだ。
坂下門の制圧は、あと少し待て。
送れ』
その通信の間にも、第二中隊の目標である坂下門の上空には、AH-64DJアパッチが集結しつつあった。
「第二中隊、了解。
万難を排して、味方の救出に当たる。
送れ」
『連隊本部、了解。
終わり』
その間にも、集結しつつあったAH-64DJアパッチのうちの1機が急降下して、猛攻を加える。
正確な照準で放たれたロケット弾が、地上にいた敵兵の周囲に着弾する。
爆発が連続して起こり、爆煙を瞬間的に噴き上げさせる。
「派手で汚い花火ですよねえ」
「ああ、全くだ」
呆気にとられた第二中隊は、立ち止まっていた。
上空からの猛攻に、敵は押し潰されそうだ。
「アパッチが暴れたから、戦果が残ってるかは分からんが、一気に押しきれ」
中隊長は、慎重に進んでいた中隊を、一気に加速させた。
「機関砲分隊、制圧射撃。
撃て」
数発の弾薬グリップを装填した弾倉の中身全てを撃ち尽くす勢いで、35㎜関砲は撃ち続ける。
これは日本皇国海軍沿岸警備部隊の不審船対処艦艇が採用している機関砲と同じものであり、敵兵が遮蔽物の代わりとして使用しているトラックを撃ち抜き、その後ろの敵兵ですらも殺傷していく。
「突撃、皇居坂下門を制圧せよ」
包囲戦を企図した陸軍参謀本部の意図は果てしなく単純で、戦場においては民間人と工作員を接触させないことであったし、万が一そうなる前に、全員を殲滅する。
それが、今回出動した陸軍歩兵に課せられた使命だ。
その使命に燃えているのかは知らないが、第二中隊の兵士たちが89式小銃を構えて、坂下門に向かって突撃していく。
その過程で、前線の至るところにおいて、激しい銃撃戦が生起した。
互いの撃ち合う銃弾が飛び交うなかで、を、第一小隊長が怒鳴った。
「おどれら、怯むな。
敵のタマ取ってこいやあ」
その怒鳴り声に対しては、「あいさー」だとか「うぃー」だとか「ウラー」だとか「なのです」だとか、気の抜けた三者三様、十人十色な答えが返ってくるが、それでも第二中隊第一小隊の攻撃は苛烈だった。
「ちっ、このハジキ使えやしねえ。
このドスも斬れやしねえ」
小隊長が銃剣を着剣した89式小銃を乱射して、弾が切れると振り回す。
この89式小銃に装着する銃剣、制式には89式銃剣というこの銃剣が、いやこの世界中のほとんどの銃剣が、人を斬れないのは、当然のことである。
世界最強の刃物として名高い日本刀であっても、数人の人を斬っただけで、使いものにならなくなるのだ。
着剣した際の機能が、刺突に特化している上に刃渡りが短い89式銃剣は、槍として使うしかないのだ。
だから、斬っただけじゃ死にはしない。
「兄貴ぃ、これをどうぞ」
第一小隊の1人から装填済みの89式小銃がぶん投げられ、小隊長がそれを受け取る。
その姿には、首を傾げざるをえない。
「あいつら、あれは官品だぞ……」
第一小隊の1人が放り投げた小銃は、1挺20万円もする高級品だ。
こんな使い方をできるのは、中央機動憲兵隊特別儀仗中隊に儀式用に配備されている老朽化で廃棄寸前のM-1ガーランド小銃くらいのものだ。
89式小銃が84試小銃として開発されていた当時には、値段相応の性能はあったとは思うが、少々旧式化している感は否めない。
それでも少なくとも、簡単に壊してはいけない代物だ。
「…落として、壊したらどうするつもりなんだ?」
現用の89式小銃は、性能では初期のM-16小銃よりは遥かにましだったが、それでもM-16小銃が実戦という試練を受けた今ではトントンくらいというのが、現場の兵士の意見だ。
「そういえば、あれはどこの奴らだ?」
やくざのごとき暴れっぷりで、坂下門に殺到した小隊を見て、中隊長が聞いた。
「えーと、あのマークは第一小隊ですね」
返答を聞いた中隊長は、第一小隊の面々を思い浮かべる。
奴らは真面目ということはなかったが、少なくとも大人しい目の人間たちだったはずだ。
「バトル・ハイってやつですかね?」
この状態を戦闘中の1種の興奮状態だと、通信兵は予想した。
その可能性はなきにしもあらずだが、中隊長は思った。
「それにしても、変わりすぎじゃね」
第二中隊第一小隊は、このときから数ヵ月の間、少々の皮肉も込めて、やくざ組と中隊長に呼ばれることになる。
「俺もいく。
奴らに任せてたら、何をしでかすか分からん」
この状況を見ていた中隊長や通信兵は味方に対する信頼というものを失っていた。
「確かにそうですね。
私もお供します」
中隊長が傍らの銃を持ち、後部のハッチを開き、82式指揮通信車から出た。
中隊長の後に続くように、通信兵も外に出る。
「中隊長から中隊各員に告げる。
坂下門制圧後は、天皇陛下の保護は隣の門の第一中隊に任せて、第二中隊は直ちに撃墜されたアパッチの乗員の収容作業にかかれ。
敵中に墜ちた仲間を、助けに行こう。
以上、送れ」
中隊長の腰の通信機は、各部隊、各将兵宛に設定されている。
『第一小隊、了解。
送れ』
中隊長の訓示から、数秒、第一小隊から連絡が入った。
『第二小隊、同件。
送れ』
『第三小隊も同件。
送れ』
「中隊本部、了解。
終わり」
それに遅れること数秒後には、中隊長宛に、第二小隊や第三小隊からの返答が続々と舞い込んでくる。
「通信兵、第1衛生大隊に通信。
第二中隊宛へ、2トン救急車の搬送を要請せよ」
「了解」
第二中隊は坂下門を制圧しつつあった。
2トン救急車は、日本皇国陸軍衛生大隊の装備する装甲救急車である。
装輪式装甲救急車で、最新型のものだと、10式戦車の外装式装甲を取り付けられるようになっており、戦場での生残性の向上を図っている。
『第二小隊より中隊本部。
送れ』
「こちらは、中隊長だ。
どうした?
送れ」
『墜落地点を制圧、生存者の捜索及び収容作業を開始しました。
なお、機体の残骸部には、パイロットを確認できず。
送れ』
報告を聞いた中隊長は、第二小隊に改めて注意を促した。
「中隊長、了解。
捜索中の味方の受傷事故発生に注意。
敵兵の待ち伏せや、仕掛け爆弾の類いには、十分警戒せよ。
送れ」
『第二小隊、了解。
直ちに取りかかります。
終わり』
第二小隊との通信を終えた中隊長は、あることを失念していたことに気付き、無線で連絡を入れた。
「中隊長より第一小隊と第三小隊へ。
坂下門に2トン救急車が到着する。
ギリギリまで車両が進入できるように、障害物をどかせ。
以上、送れ」
坂下門前に乗り捨てる形となった車両や、元々置いてあったトラックやバス、敵兵の死体、排除する対象は多数ある。
『こちら第一小隊、了解。
送れ』
『第三小隊、同件。
送れ』
中隊長は89式小銃を片手に、坂下門に向かう。
皇居の手前に停車した82式指揮通信車の停車しているところから、数百メートルを走り抜けて、坂下門に到達した。
「第二小隊は?」
「もっと、奥に散ってます」
坂下門に群がるように止まっていた車両を退かせて、今は死体の片付けに当たる兵士に聞く。
返答を聞いた中隊長は、89式小銃のスリングを引いて、89式小銃の本体を引き寄せる。
ここから先は、何が起こるか分からない戦場だ。
89式小銃の銃把を持つ手に力を込めて、安全装置を解除する。
ア・タ・レの文字に合わせて、つまみを回して、タの文字つまり単射に合わせる。
引き金に指を添える。
その状態のまま、皇居のなかに進入する。
少し進んだところで、墜ちたAH-64DJアパッチの残骸を見つけた中隊長は、周囲を呼び掛けた。
「第二小隊、第二小隊のやつはいるか?」
周辺は変に静まり返っていた。
そんななかでは、中隊長の声はよく通る。
「えっ、嘘、中隊長?
あっ、いえ、失礼しました。
自分は第二小隊第一分隊所属の富樫軍曹であります。
「分かった」
富樫軍曹の報告を聞いた中隊長は、頷くと無線機を取り上げようとした。
「グレネード!」
遠くで第二小隊の隊員の声がした。
直後には、爆音と爆風が中隊長を襲う。
爆風に巻き上げられた砂が遅れて落ちてきて、中隊長たちに降りかかる。
「この時期に黄砂に遭うなんぞ、聞いてない」
頭上から落ちてくる砂の量は、中隊長の予想を遥かに上回っていた。
「生存者、発見!」
グレネードが発見されたのとは、また別の方向からその声は聞こえてきた。
「両名とも骨折等の所見が見られるものの、生命に別状なし…」
声のする方へ、急いで向かう。
「…ただ、グレネードが仕掛けられている模様で、手が出せません」
中々に敵さんは、狡い手を使う。
旧軍とは違い、日本皇国軍の将校や下士官兵に至るほとんどの人間が、縦や横の繋がりでの仲間意識、絆を持っている。
戦場においても、味方を見捨てられないのが、日本皇国軍軍人である。
声の上がった方向に、中隊長は駆けつける。
「状況は?」
そこには、第二小隊の隊員が集結していた。
到着した中隊長は、開口一番、部下たちに状況を尋ねた。
「発見したときには、既にこの状況だったのですが、パイロットの腹部の下側に手榴弾があるようです」
第二小隊の発見者の報告に、中隊長は頷いた。
悔しいという気持ちは、この場にいる全員が共有している。
「ベトコンのやり方だが、それよりも狡い。
生きている仲間を囮にするとは、俺たちを余程怒らせたいようだな。
俺たちを舐めくさってるのか」
中隊長は、腹の底から沸き上がってくる怒りに、そう言うのがやっとだった。
「まだ門前にいる第三小隊を呼ぶ。
その兵力を合わせて、我々が敵兵を殲滅する」
目の据わった中隊長は、舌鋒鋭く指示を出した。
「通信兵、第三小隊を呼んでこい」
「了解」
中隊長と同じく目の据わった通信兵が、無線機を取り上げる。
通信兵が第三小隊を呼び出している間に、新たな脅威が迫っていた。
「敵兵、多数接近中」
パイロットたちが手榴弾で生命の危機に晒されている場所一番外側で、警戒に当たっていた第二小隊の兵士が叫んだ。
「撃て、撃て。
殲滅せよ」
中隊長の指示に被せるように、小隊長が指示を出す。
「第一、第二分隊、突撃、俺に続け。
第三分隊、支援、遠隔の敵兵を排除せよ。
残った重火器分隊は、中隊長指揮のもと、パイロットを守れ。
以上、総員かかれ」
着剣した状態の89式小銃を片手に、突撃した25名は、一気呵成に攻め立てて敵兵を殲滅していく。
この84㎜無反動砲から発射される砲弾は、対人戦を考慮したADM-401フレシェット散弾と呼ばれるもので、砲弾外殻の内部に1,100発もの子弾を内蔵する。
そして有効射程が100mほどのこの砲弾は1㎡あたり5-10発の密度で子弾をバラ撒くのだ。
復讐心に燃える第二小隊は、ものの数分で敵兵を殲滅した。
「敵兵はまだ、このなかにいる。
警戒を怠るな」
周辺を警戒している第二小隊は、周辺に散っていく。
それを傍目に見ていた中隊長は、あることを思いついた。
「液体窒素を持ってるよなあ?」
携帯用液体窒素ボンベ、日本皇国陸軍兵士には、必携とされているものである。
爆弾の処理、駐屯地施設等での初期消火に使えることから、全国の将兵に配布されたものだ。
「持ってます」
重火器分隊の将兵は答えた。
他の中隊の歩兵であれば、野営用の背嚢に入れて持ち歩く程度だが、第二中隊は違う。
大口径の機関砲を扱う重火器分隊を隷下に持つ第二中隊は、所持する弾薬の誘爆の危険に晒されてきた。
だから、大半の兵士が液体窒素ボンベをベルトから吊り下げていたのだ。
「確か、2年前の報告で手榴弾を液体窒素で処分した話があったはずだ」
2年前の7月、弾薬消費のための実弾演習中だった歩兵部隊の兵士が、手榴弾の投擲に失敗するという事態が起こった。
前代未聞のこの事態に、パニックになったのは、投擲に失敗した本人ではなく、直属の上官である下士官だったという。
通常の手榴弾は、安全ピンを引き抜いてから数秒後に爆発する。
その猶予のなかで、下士官は手榴弾に向けて液体窒素を噴射した。
「そのときは、数秒の遅滞のあとに爆発したんだが、そうなる前に下士官が遠くに投げて処理したんだ。
今回も、その手が使えるかは分からん。
だが、やってみる価値はあるだろう?」
ボンベを片手に持った中隊長は、他のその場にいる兵士たちに聞いた。
「はい」
そう重火器分隊の兵士たちは、笑顔で答えた。
「よし。
じゃあ、誰か毛布を持ってこい。
あとの残りは、地面に深めの穴を掘れ」
液体窒素は触れたものすべてを、-196度というその驚異的な低温で凍らせるだろう。
それは、陸軍の飛行服も例外ではない。
それは、-196度という空間内での活動を考慮していないからだ。
有機物だろうが、無機物だろうが、バリバリに凍らせる。
飛行服は使い物にならなくなるだろう。
ならば、毛布が必要になるだろう。
「あとは、中隊本部に連絡して、予備の戦闘服を要求しろ」
中隊長の指揮のもと、テキパキと準備が進む。
"用意周到""動脈硬化"とは、細かい準備は簡単に行うが、それに慣れて融通が利かないという陸軍の体質を揶揄した言葉だが、中隊長の思いつきの実行のために、いや仲間を救うために準備に奔走している状況を、見た今となってはそれも頷けるのである。
重火器分隊の1人の兵士は毛布を用意し、残りの兵士は深い穴を掘る。
「あと少しの我慢だ。
頑張れ」
死への恐怖から涙や鼻水を垂れ流す若いパイロットに、声をかける。
それでも流石に、日本皇国陸軍で鍛えられてきただけのことはある。
一般人ならば、この状況では失禁等をしてもおかしくはないのだ。
「準備が完了しました。
いつでもやれます」
「一気にやれ」
重火器分隊の兵士からの報告に、中隊長は返した。
予備の戦闘服や毛布が到着し、いつでも救出できる状況にある。
1人の兵士が液体窒素を、パイロットの身体の下に流し込む。
ボンベ1本分まるまるを使いきる。
「まず1人」
ある兵士が呟いた。
1人目のパイロットが助け起こされる。
-196度もある液体窒素の冷気によって、凍結した手榴弾を掘った穴に投棄する。
続いて、2人目にも取りかかる。
的確に液体窒素で処理された手榴弾は、1発目の手榴弾と同じ穴に投棄され、手榴弾を投げ込み、誘爆させて爆破処理する。
「やれるもんだな」
と呟いた中隊長は、緊張していたのか荒い息を整えながら、一気に破顔した。
「よくやった。
パイロットは第三小隊に任せて、俺たちは本隊と合流するぞ」
そう言うと、中隊長は坂下門の方を確認する。
第三小隊が来ていた。
「2名の確保に成功。
これより、撤退させる」
手榴弾の処理が完了したのを見届けた中隊長が、第二小隊の後方に来ていた第三小隊に叫ぶ。
「後送しろ」
中隊長は、駆け寄ってきた第三小隊の兵士に、パイロットを預けた。
そのまま第三小隊に背を向けると、第二小隊に合流すべく先を急いだ。
「小隊長」
駆け寄った先にいる人物に、中隊長は声をかけた。
先刻から敵兵相手に、激戦を繰り広げている第二小隊長だ。
「中隊長、パイロットたちはどうなりました?」
中隊長に顔を向けた小隊長が、中隊長に聞く。
「先程、無事に救助した。
第三小隊が護衛しているはずだが?」
小隊長は気にしていたことが聞けたとばかりに、顔を正面に向けた。
「小隊長、正面より敵兵、多数接近中。
敵兵の第2波です」
88式鉄帽を目深に被った兵士が、駆けつけて報告する。
その報告を聞いて、中隊長と小隊長はにっこりと笑いあった。
「中隊長から第一小隊長。
中隊の指揮権を、第一小隊長に委譲する。
送れ」
「第一小隊、了解。
終わり」
短い無線での通話のあと、中隊長は肩から提げた89式小銃を外した。
「こうなるのは、あの演習以来、7年ぶりですね」
「そうだな。
第二小隊のMINIMIを借りるぞ」
中隊長が初任の小隊長だった時、北部方面を統括していた当時の北部方面軍が主催する北海道冬季師団対抗大演習、これは道北から道東にかけてを担任地域とする第2歩兵師団、道央を担任地域とする第7歩兵師団、後詰めとして道南を担任地域としている第11機甲師団の3個師団が機動戦闘を対抗演習という形で披露する唯一の機会であり、この演習において、敵中に孤立した第2歩兵連隊第二中隊第三小隊は、味方の救出部隊が来るまでに、幾度となく来襲する仮想敵部隊に反撃を加え、さらには逆襲の夜襲を行い、仮想敵部隊を壊滅判定になるまで叩きまくった。
このとき、周辺を包囲していたのは、演習のために予備役動員を行い、完全編成に戻った第7歩兵師団である。
第7歩兵師団創設時に、旭川に司令部を置きたいと駄々をこねた挙げ句、割りを食わされた第2歩兵師団にしてみれば、復讐のチャンスである。
まあ、そのときの中隊長は、負傷した機関銃手から奪ったMINIMI軽機関銃片手に、後に師団司令部より感状が贈られるほどの戦果をあげていた。
「懐かしいですな。
もう一働きしますか」
中隊長や小隊長は、各自の持つ88式鉄帽、MINIMI軽機関銃、89式小銃を確認する。
「いやはや、あれの再現を実際に出来るとは思いませんでしたよ」
MINIMI軽機関銃と89式小銃を構えた中隊長と小隊長が、敵兵に向かって突撃していく。
「第一分隊、中隊長、小隊長に続け」
「第二分隊も遅れるな」
「第三分隊、突撃」
「重火器分隊、援護、狙撃戦用意」
敵兵に向かっていった中隊長と小隊長を追いかけて、第二小隊は大きく躍進する。
「じわじわ来るぜ。
来るぜ、来るぜ、来るぜ」
そう叫んだ第一分隊長は、狂人のごとく銃を構えて乱射していく。
中隊長を先頭に、後に坂下門の虐殺として記録される戦闘の始まりだった。
『こちらは第1作戦軍司令部第3幕僚部。
皇居内に突入中の各隊に告げる。
直ちに、皇居外周部100メートル以内から撤収せよ。
繰り返す、皇居内に突入中の各隊に告げる。
直ちに、皇居外周部100メートル以内から撤収せよ』
第1作戦軍司令部第3幕僚部から流されたアナウンスを無視して、第二中隊は進撃を続ける。
敵兵は三々五々に逃げ散っており、それに伴って第二小隊も各方面に散り散りになっていた。
「どんどん、押せ押せ」
敵を蹴散らしていく小隊長から号令がかかり、第二小隊はさらに奥に入っていく。
『第三小隊より第二小隊。
司令部より退避命令が出ています。
すぐに戻ってきてください。
送れ』
第二小隊が戻ってこないことに気付いた第三小隊の呼びかけを、第二小隊は無視する形となった。
『第1作戦軍司令部第3幕僚部より第二中隊の第二小隊へ。
直ちに皇居内より退避せよ。
繰り返す、直ちに皇居内より退避せよ』
まだ、第二小隊が残っていることに気付いた司令部からも、退避命令が伝えられたが、それも無視した。
気付いていたのかは不明だが、そこに例の唐辛子エキス入りの水が降ってきた。
目の前の戦闘に夢中になっていた第二小隊は、上を見上げた兵士から目と喉をやられていった。
「目が、目がァ」
「喉が、喉がァ、焼けるように痛い」
「〇●☆△×#◇」
人の言うことを聞かないバカどもの末路とは、悲惨なものである。
降下している最中に、霧状に広がった唐辛子エキス入りの水は、人の気付かないうちに、体内に侵入し、蝕んでいった。
対核兵器用に調達された放射線防護服を装備して、皇居内に突入してきた特殊武器防護大隊の隊員によって救出されるまでの1時間、第二小隊の兵士は、そこらじゅうでのたうち回っていた。
彼らは、一応助かった。
人間の尊厳は、大分と失ったが。
そして、自身が呼んだ2トン装甲救急車に乗り込む羽目になるとは、呼んだときの中隊長は、想像もしなかっただろう。
この事件のあと、中隊長+第二小隊の面々は、命令無視の件を連隊本部から咎められ、減給処分を受けたという。
海に帰りたい………
長い、長すぎる。
海に帰りたい………